〔未定稿 文責:日本共産党愛知県議会議員団〕
青年就農給付金制度を使いやすく
【下奥奈歩 委員】
決算に関する報告書206ページの2新規就農・経営継承総合支援事業費のうち、(2)事業費補助金の青年就農給付金について伺いたいと思います。
今、農家の高齢化や担い手不足は深刻化しており、私の地元豊橋も含めて農業県である愛知県にとって喫緊の課題です。日本共産党は、党として早くから、フランスのように青年就農援助の充実をと求めていました。そして、国の事業で、青年就農給付金という制度ができ今現在その制度が運用されているところですが、まず青年就農給付金についての制度説明を丁寧にわかりやすくお願いします。
【農業経営課】
青年就農給付金制度は、45歳未満の青年就農者の就農意欲の喚起と就農後
の定着を図ることを目的に、平成24年度から始まった制度で、就農前の研修
期間中の最大2年間及び、経営が不安定な就農直後の最大5年間の生活費に相
当する所得確保を支援するため、対象者一人あたり年間最大で150万円を給
付するものである。
就農前の研修中に給付する準備型は、県農業大学校や県が認めた農家などで
1年以上研修することや、45歳未満で就農することなどの給付要件を満たし
た者に対して、県から直接、対象者へ給付するものである。
就農直後の新規就農者に給付する経営開始型は、自ら農業を営むこと、就農
時の年齢が45歳未満で、市町村の認定を受けた新規就農者であることなどの
給付要件を満たした者に対して、市町村から直接、対象者へ給付するものであ
る。
【下奥奈歩 委員】
説明ありがとうございました。青年就農給付金は国で始められた事業でそれに伴い、全国で49歳以下の新規就農者が2014年2万1860人から昨年2016年は2万2050人と増加傾向にあります。
そこで、伺います。青年就農給付金制度をはじめてからこの数年間、愛知県の状況はどうでしょうか?定着率や離脱、新規就農者数など実績や成果についてお尋ねします。
【農業経営課】
本県における新規就農者の状況については、45歳未満の新規就農者数を見
てみると、平成26年度は213名、平成27年度は225名、平成28年度は
252名と増加傾向にあり、青年就農給付金制度の効果が出ていると考えてい
る。
青年就農給付金の定着率や離脱については、平成28年度末までに青年就農
給付金を受給して就農した者は、454名で、そのうち離農した者は37名と
なっており、定着率は91.9%となっている。
農業をやってみたいと考えている者にとっては、青年就農給付金制度が就農
への後押しとなっており、本県の新規就農者数の増加につながっていると考え
ている。
【下奥奈歩 委員】
ありがとうございます。この青年就農給付金制度は、新たな担い手確保や新規就農者にとって必要不可欠であり、非常に重要な制度だと思います。青年就農給付金受給者アンケートでも、「就農決断するときに大いに後押しになった。今後も継続してほしい」との声が多くよせられております。
なので、就農したいという若者の背中を押せるようにより制度の拡充をはかり使いやすいものにしていくことがほんとうに求められています。
この制度について、条件が厳しく利用し辛いという声が私のもとに寄せられております。それは、親元就農者が青年就農給付金を受けた場合、就農後5年以内に経営を継承しなかった場合は給付金の全額を返還することを求められているということです。
この部分について、地元豊橋の農家の方から「親がまだ現役世代の場合でも5年以内に経営を完全に分けて継承しなきゃいけないというのは厳しい。この条件では利用するのは難しい」という声を聴きました。また、都道府県や団体が行った農林水産省への予算編成過程での検討を求める提案の中でも「新規学卒者・若年層のものが親元就農する場合はその親は現役世代が中心であるため、5年以内の経営の継承は非現実的である」と述べられています。
先程紹介したアンケートの中でも、「採算ラインに追いつくのが厳しい。給付期間を延長してほしい」など、さまざまな意見が寄せられています。
そこで、伺います。農業を次の世代が引き継いでいくために、また新たに農業に挑戦する若者を増やし、育成していくためにこの青年就農給付金、現在の農業次世代人材投資資金を誰もが利用しやすい制度となるように、今述べたことも含め、国に対して制度の改善・拡充を図るよう求める必要があると考えますが、県の見解を伺います。
【農業経営課】
青年就農給付金制度は事業開始当初は、非農家出身者が農業へ参入すること
を後押しすることを目的としていたこともあり、農業後継者が親元就農する場
合は対象とならなかった。
このため、各都道府県や農業団体が国に対して農業後継者も対象となるよう
働きかけたことにより、平成26年度からは農業後継者が親元就農する場合に
あっても対象となるよう要件が緩和されたところである。
しかしながら、委員ご指摘のとおり、平成26年度の要件緩和後においても、
親元就農する場合にあっては、5年以内に経営継承しなければならないなど、農
業後継者にとっては、いまだに要件が厳しいため、給付対象とならない後継者も
多い。
本県農業が持続的に発展していくためにも、農業後継者が親の後を引き継ぎ、
農業の担い手となってもらうことが重要と考える。
このため、本県では、農業後継者の多くが農業次世代人材投資資金の対象と
なるよう、国に要件緩和の働きかけをしており、今後も引き続き要望をしてい
きたい。
米の直接支払い交付金を廃止いないよう求める
【下奥奈歩 委員】
豊橋もですが、農家の高齢化やリタイアが急速に進んでいるのが現状です。若手就農者を増やす対策に思い切って取り組み、次の担い手を飛躍的に増やすために国、県、関係自治体と連携し長期にわたる支援強化を進めることが必要です。
青年就農給付金、現在の農業次世代人材投資資金の制度をぜひ拡充するよう働きかけを強化するよう要望します。
次に、しかし、農家の後継者がせっかく就農しても定着しないという問題もあります。農水省の農業構造動態調査によりますと、49歳以下の基幹的農業従事者は、2015年17万7500人、2016年16万2300人、2017年15万8600人と年平均で約1万人も減っています。これは、米の直接支払い交付金廃止など価格所得補償の削減、TPPや日欧経済連携協定などの輸入自由化路線など、新規就農者が展望を示せない農政切り捨ての政策に原因があると考えます。
そこで、次に、決算に関する報告書212~213ページにあります。農作物対策事業費のうち、推進費補助金に関して伺います。
米の直接支払い交付金が来年度から廃止されてしまいます。
米の直接支払い交付金は、生産調整参加農家に10アール7500円を一律に支払い、不十分とはいえ米作(べいさく)農家(のうか)の赤字を補填する確実に見込める収入でした。その直接支払い交付金の廃止は農家所得の減少に直結し打撃は深刻です。地元豊橋の農家の方も「今まで交付金があったから米作農家は経営することができた。しかし、廃止されたらやっていけなくなる」と話していました。
そこで、伺います。米の直接支払い交付金廃止について県としての基本的な見解を伺います。
【園芸農産課】
米 の 直 接 支 払 交 付 金 は 、 委 員 お 示 し の と お り 生 産 調 整 に 参 加 し た 農 家 に 対 し 、 生 産 コ ス ト を 下 回 る 米 価 を 補 て ん す る も の と し て 水 稲 の 作 付 け 1 0 a 当 た り 7 ,5 0 0 円 が 交 付 さ れ る 制 度 で あ り ま す 。
具 体 に は 、 本 県 の 1 戸 当 た り 平 均 規 模 で あ る 1 h a の 水 田 を 所 有 す る 農 家 で あ れ ば 、 転 作 と し て 麦 や 飼 料 用 米 な ど 水 稲 以 外 の 作 物 を 4 割 に 当 た る 4 0 a 作 付 け し 、 残 り の 6 0 a か ら 自 家 消 費 用 の お 米 分 の 1 0 a を 除 い た 5 0 a に 対 し て 合 計 3 7 , 5 0 0 円 が 交 付 さ れ て お り ま す 。
本 県 の 2 8 年 産 主 食 用 の 水 稲 作 付 面 積 は 2 6 , 9 0 0 h a で 、 こ の う ち 生 産 調 整 に 参 加 し た 農 家 が 作 付 け し た 水 稲 1 2 , 0 0 2 h a に 対 し て 、 こ の 交 付 金 が 支 払 わ れ て い ま す の で 、 作 付 面 積 で み た こ の 交 付 金 の 活 用 割 合 は 4 5 % と な っ て お り 、 こ れ ま で の 米 の 生 産 調 整 に お い て 、 一 定 の 役 割 を 果 た し て き た も の と 認 識 し て お り ま す 。
【下奥奈歩 委員】
今、多くの農家が今後どうなっていくのかと不安を抱いています。農家にとって必要なのは将来に向けて安心して農業に励み、農村で暮らし続けられるということです。交付金廃止はそれに逆行するものです。
そこで、伺います。農家の方の不安の声にこたえて対策や対応が求められていくと思いますが、県としての考えを伺います。
【園芸農産課」
稲 作 農 家 が 安 心 し て 経 営 を し て い く た め に は 、 第 一 に 米 価 が 安 定 す る こ と が 重 要 で 、 需 要 と 供 給 の バ ラ ン ス を 取 る こ と が 必 要 で す 。
国 は 平 成 3 0 年 産 米 か ら 生 産 調 整 の た め の 生 産 数 量 目 標 を 配 分 し な い こ と と し て お り 、 生 産 調 整 へ の 参 加 を 要 件 と し た 米 の 直 接 支 払 交 付 金 も 同 時 に 廃 止 す る こ と と し て お り ま す 。
こ う し た 中 、 県 と し ま し て は 、 農 家 が 需 要 に 応 じ た 米 生 産 に 取 り 組 む こ と を 支 援 す る た め 、 県 と 農 業 団 体 等 で 構 成 す る 「 愛 知 県 農 業 再 生 協 議 会 」 が 主 体 と な っ て 国 か ら の 情 報 を 参 考 と し て 去 る 8 月 末 に 生 産 数 量 目 標 の 目 安 を 示 し た と こ ろ で あ り ま す 。
ま た 、 農 家 の 経 営 の 安 定 を 図 る た め に 米 の 直 接 支 払 交 付 金 制 度 と と も に 、 経 営 所 得 安 定 対 策 等 が 設 け ら れ て お り ま す 。
本 県 農 家 に お い て は 麦 ・ 大 豆 を 組 み 合 わ せ た 二 年 三 作 体 系 の 一 層 の 推 進 や 飼 料 用 米 の 生 産 拡 大 に 積 極 的 に 取 り 組 ん で お り ま す の で 、 今 後 と も 、 こ の 経 営 所 得 安 定 対 策 等 の 予 算 を 十 分 に 確 保 す る よ う 国 に 要 請 し て ま い り ま す 。
さ ら に 、 本 年 8 月 に は 農 業 団 体 等 と と も に 「 あ い ち の 水 田 農 業 強 化 方 針 」 を 策 定 し ま し た の で 、 水 田 の フ ル 活 用 を 進 め る と と も に 、 優 位 販 売 に つ な げ る た め の 新 品 種 の 普 及 に よ る 高 品 質 ・ 安 定 生 産 を 推 進 す る な ど 、 農 家 の 経 営 安 定 に 努 め て ま い り ま す 。
【下奥奈歩 委員】
私は地元豊橋で「自分たちの代で農業やめる」こういう切実なお話を聞いてきました。また、「次の世代に引き継げる農政にしてほしい」こういう声もきいてきました。
農家の後継者や都会の若者などが就農に踏み切り、深刻な担い手不足を解決する上での決定的条件となる最大の柱は、農産物の価格保障を中心に所得補償を組み合わせ生産費をカバーすることです。農業県愛知として、農業を守り次の世代を支え育成する対策に力をいれていくことを最後に要望し質問を終わります。