〔未定稿 文責:日本共産党愛知県議会議員団〕
地域の実情ふまえた生活交通の充実を
【しもおく奈歩 委員】
急務である生活交通とコミュニティバスの充実について質問します。
私は、この間ずっと委員会の中でコミュニティバスの充実を求めて質問してきました。そして、前回は県内市町村からもコミュバスも含めた生活交通の充実を求める声が上がっていることを委員会の質問の際紹介させていただきました。
その後も、身近に使いやすい生活交通の充実について、考えさせられているいろいろな状況が寄せられましたので、ここに紹介します。
まず、稲沢市の子育て世帯のママからは、稲沢市中央図書館にコミュニティバスで子ども3人連れて行ったとき、バスの停車位置が図書館の玄関の反対側にあり、子どもにとっては結構距離もあってすごく不便で、雨の日なんかはとくに子ども連れて傘をさしていくのが大変。だと話していらっしゃいました。
子育て世代にとっても需要があるコミュバス。しかし、ただバスを走らせただけではこういう不便さもあるという実態です。子どもを連れて安心して便利に使えると言うのが大事であるように、暮らしのリアルな実態に即して、路線や停留所の位置など、本当に知恵と工夫をこらすべきであると思います。同時に、子育て世代のママたちの子どもを連れて移動する大変さ、こういう交通弱者に寄り添う行政の姿勢が本当に大事だと思いました。
そこでまず、こうした子育て世帯の交通弱者に対して、県の見解と具体的な方策についてどうしていくのか伺いたいと思います。
【交通対策課主幹】
利用者目線に立って、使いやすい公共交通に改善していくことは、子育て世帯に対してのみならず重要なことであると考えている。バス停の位置や路線の経路などを含めた地域の公共交通の在り方について、交通事業者、住民、関係行政機関など地域の関係者が一堂に会し協議する場として、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律に基づく協議会などが多くの市町村に設置されている。県としては、こうした地域公共交通会議等に参画し広域的な見地から助言等に努めていきたい。
交通弱者に生活交通の保障を
【しもおく奈歩 委員】
次に、西尾市の幡豆地区では足腰を痛めて移動に困難を強いられている高齢者が多い地域でさらに坂道の多い地域だそうです。それなのに生活交通の手段が不足しています。地元市会議員の方は「こういう地域ではドアツードアの乗合タクシー方式の生活交通が必要ではないか」と話していました。
山間部を中心に平地でも足腰の弱い高齢者が多い地域では、ドアツードアの乗り合いタクシー方式を整備していくことが急務となっています。
このように愛知県では、とりわけ名古屋市以外の地域の生活交通の整備が極めて遅れていますが、なぜこのように交通弱者対策が進まず憲法上の移動の自由が、とりわけ弱者に保障されていないのはなぜでしょうか?答弁を求めます。
【交通対策課主幹】
地域内の生活交通の確保については、市町村が中心となって、路線バスやコミュニティバス、乗り合いタクシー、デマンド交通など地域の実情に応じた移動手段の確保に取り組んでいるところである。ご質問にありました西尾市の幡豆地区でも自宅から最寄りの鉄道駅を結ぶデマンド型乗り合いタクシーの運行が行われているところである。中山間地域など大変厳しい状況にある地域もあり、乗り合いが基本となる公共交通はマイカーの利便性には及ばない点はあるが、地域の実情に応じた様々な取組が行われており、名古屋市以外の地域における生活交通の整備がおしなべて極めて遅れているとは認識していない。
【しもおく奈歩 委員】
極めて遅れているという認識がないということですが、その認識は間違っていると思います。
「あいち公共交通ビジョン」の「生活交通」部分の分析や対策をみてみますと、生活交通の遅れの原因と対策は、非常に安易なものになっていると思います。
本来、今世界中で各都市が目指し始めている未来のまちづくりの方向である「歩いてくらせる楽しい街づくり」こそ、目指すべきビジョンの前提として、当然、据えるべきです。しかし、こうした魂ともいうべきものがない。県民に寄り添って行政を具体化していこうとする姿勢がないと思います。
自家用車の普及だけに依存して、行政としてこうした事態を放置していたのではないでしょうか?答弁を求めます。
【交通対策課主幹】
モータリゼーションの進展に伴い、郊外の開発、市街地の拡大が進んできたのは、概ね日本全国に共通する事象であると考えている。国においても、近年、急激な人口減少や高齢化を迎える中で、コンパクトシティ・プラス・ネットワークという考え方を提示し、法制度の整備を図っている。こうしたコンパクトなまちづくりと、公共交通によるネットワークの連携を目指して、立地適正化計画や地域公共交通網形成計画の策定に取り組む県内市町村も増えてきているところである。また、本県では、クルマと公共交通、自転車、徒歩などをかしこく使い分けるライフスタイルであるエコモビリティライフの推進に平成20年度から取り組んでおり、過度な自家用者利用からの転換を促すことにも取り組んでいる。
市町村では限界 県からの費用支援が必要
【しもおく奈歩 委員】
県は、市町村がその費用負担をどうするかも含めて、地域の実情に応じて住民や交通事業者と連携して対応するものと、いつも答弁していますが、市町村だけでは限界があり、いろんなところで深刻な事態が起こっているんです。それを、市町村のやることだからと子育て世代や高齢者が移動に困難をきたしている生活交通の不十分な状況をこのまま県として放置し続けてはなりません。これらの現状と対策について、答弁を求めます。
【交通対策課主幹】
県民の生活を支える公共交通網には、大別して、広域的な幹線部分と、集落と幹線を結ぶ支線部分がある。支線は、幹線なくしては成り立たないという性質のものである。県内の公共交通ネットワーク全体の状況を見ると、地域によっては、利用者の減少によって大本となる幹線部分の維持でさえ厳しくなっているところもある。
広域行政を担う県の役割としては、引き続き、ネットワーク全体の維持に影響が大きい広域の幹線的な路線の確保に努めるとともに、市町村の地域公共交通会議等に参画して広域的な見地から助言等を行うことで、支線的な路線など地域内の生活交通の確保にも寄与できるよう努めてまいりたい。
【しもおく奈歩 委員】
私は、12月議会の委員会でコミュニティバスの質問をしたときに交通事故を起こす高齢者ドライバーが増えていることをお話ししました。そして、高齢になった方が免許を返納し、車を持たなくても高齢者が安心して生活できる交通環境や、高齢者の尊厳を守り生活の質を守る保障をするためにコミュバス含め生活交通の充実を求め質問しました。
そのとき、県は、「移動の足の確保が重要となっていると認識している。」と答弁し、「今後、さらに、高齢化が進行していくことも考えると、コミュニティバスに限らず、公共交通が果たす役割は重要である」という、生活交通についていわないものの交通の重要性についてはそれなりに認識を示したと思いますが、この点は間違えないですね。確認です。答弁を求めます。
【交通対策課主幹】
昨年12月の当委員会において、委員からコミュニティバスなどの拡充の必要性についてお尋ねがあったのに対しまして、「コミュニティバスに限らず、公共交通が果たす役割は重要であると考えている」旨を答弁させていただいたものと記憶している。
【しもおく奈歩 委員】
県の認識は、不十分ではあるもののそういった認識のうえにたって、一緒に生活交通についても考えていってほしいと思います。
国会では、6月7日に日本共産党島津幸広衆議院議員が高齢者の免許自主返納にともなう「足の確保」について取り上げ質問をしました。その中で、高齢ドライバーの交通事故多発から、道路交通法が改正されて運転免許の自主返納の取り組みが進んでいるが、免許を返納してからの生活をどう支えていくのかについて質問しました。
これは、地方に行くほど深刻な問題です。豊橋は、コミュバスが限られた地域しかなかったり豊橋駅を拠点とする交通しかったりという状況で地域を細かくまわる生活に密着した交通は不足しています。そして、現在走っているコミュバスも赤字で維持するのに大変苦労されています。また、高齢化率県下2番目の蒲郡市では、名鉄電車や路線バスも赤字で維持が危うくコミュニティバスも一地区しかないという状況です。高齢になれば住にくいまちになってしまいます。
そして、島津幸広衆議院議員は「高齢者交通事故防止対策の関係閣僚会議で安倍首相が『社会全体で高齢者の生活を支える体制の整備を着実にすすめてまいります』」と述べたことを紹介し、国への財政支援を求めました。担当大臣は「高齢者運転交通事故防止対策が総合的に推進していけるように関係省庁と連携していく」という答弁をしています。
そこで、伺います。この国会での大臣の答弁も踏まえて、県としても高齢者の生活を支えていくために、生活交通の充実へと取り組むべきではないでしょうか?答弁を求めます。
【交通対策課主幹】
県民の生活を支える公共交通網には、大別して、広域的な幹線部分と地域的な支線部分があり、大本となる幹線部分が維持されなければ、そこにつながる支線部分まで破綻しかねないということである。広域行政を担う県としては、ネットワーク全体の維持に影響が大きい、広域の幹線的な路線の確保に努めることが最重要課題であると考えている。
運転免許を返納した高齢者支援の取り組みを
【しもおく奈歩 委員】
2015年6月に、道路交通法の一部を改正する法律が成立しました。その法案審議のなかで「運転免許の自主返納等の理由で自動車等を運転することができない高齢者の移動手段の確保については、地方自治体とも連携しながら中長期的な視点も含め適切に対策を講じていくこと」との付帯決議が可決されました。さらに、これを受けて各都道府県警察本部長などにたいして「地域公共交通網の形成に向けた関係機関との連携について」の通達が送付されました。
その通達では「法改正で運転免許証の自主返納などにより、運転をすることができない高齢者が増加することが予想され、その移動手段を確保することの重要性が今後ますます高まる」とのべ「持続可能な地域公共交通網の形成に向けた取り組みについても、さらなる推進が求められる」とし、高齢者の移動手段の確保に向けた取り組みを推進するよう求めています。国交省も中部運輸局に同じような内容で通達を出し、交通網の促進を求めております。
こういった通知もでていてそういう方向性は当然だと思いますが、県の見解を求めます。
【交通対策課主幹】
現在、国土交通省では、高齢者が安心して移動できる環境の整備についての方策を幅広く検討するため、高齢者の移動手段の確保に関する検討会を設置し、その中で様々な検討が進められている。予定では、本年6月までに中間とりまとめを行い、必要な場合は、6月以降も継続して議論することとされているため、ここでの検討状況も見ながら、対応を考えていきたい。
【しもおく奈歩 委員】
次の質問です。高齢者も含めて生活交通は本当に今、必要とされています。東浦町では、病院やお店など生活するうえで必要な場所をバスがまわっており、そこの地域では利用者が30万人突破しているそうです。行きたいところに行ける、生活に本当に密着したコミュバス含めた生活交通を充実していけばたくさんの方が利用されると思います。必要とされるものになっていくと思います。地に足のついた交通が必要です。
そこで伺います。車を持たいない若者、子ども連れの親、子どもたち、高齢者や体の不自由なかた誰もが安心して自由に移動でき住み続けたいと思えるまちづくりをするためにも、県としてコミュニティバスや生活交通を充実へ財政支援をするべきではないでしょうか。答弁を求めます。
【交通対策課主幹】
地域の生活交通の維持確保については、地域の関係者が一丸となって主体的に取り組まなければ上手くいかない問題であり、住民に最も身近な基礎自治体である市町村だからこそ担うことができる役割と考えている。したがって、コミュニティバス事業については、市町村が、その費用負担をどうするかも含めて、地域の実情に応じ、住民や交通事業者らと連携し対応していただくべきものであると考えている。今後、先ほどの国土交通省における検討会の状況も踏まえていくことにはなるが、現行の法制度を前提にすると、これまでの県、市町村の役割分担の考え方を基本とするスタンスに変わりはないものと考えている。
【しもおく奈歩 委員】
今回も全く県民の生活の足を保障するという姿勢が見られない答弁でした。子育て中の親の世代、高齢者、車を持っていない若者や子どもたちなど多くの方から地域に根付いた生活交通の充実が求められています。リニアや、中部国際空港のための交通政策から、地に足のついた生活交通への転換が必要です。思い切って舵をきり、まちづくりと一体としたコミュニティバスを含めた生活交通の充実を県としてとりくみ誰もが安心して生活し移動できる愛知県にすることを求めて質問を終わります。