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[2017年6月27日]振興環境委員会(環境)武豊石炭火力発電について(しもおく議員)

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〔未定稿 文責:日本共産党愛知県議会議員団〕

パリ協定についての認識を問う

【しもおく奈歩 委員】

 昨年の9月議会、12月議会の委員会での質問に引き続いて地球温暖化に関わる重大問題である武豊石炭火力について質問していきす。

 

 まず、パリ協定について少し触れておきたいと思います。前回の委員会でも話題にしましたが、2020年以降の地球温暖化対策の国際的な枠組みを定めた「パリ協定」が11月4日に発効しました。しかし、日本は批准が協定の発効に間に合わなかったという異常な遅れをとってしまう事態となりました。

 そして、今世界で大きな問題になっているのはアメリカのトランプ大統領がパリ協定から離脱すると表明していることです。この表明に対して、反対する動きが全米に広がっています。9つの州の知事、125の都市の市長、900以上の企業代表、180の大学学長らが連名で、「われわれは協定に居続ける」と題した公開書簡を発表しました。声明に名を連ねた中には、アップル、ギャップ、グーグルなどの大企業も入っています。また、この声明とは別に、超党派の17州の知事がパリ協定を指示し、うち13州の知事が目標達成に向けた「気候変動同盟」を設立。211の都市の市長がパリ協定の目標達成を目指すことを約束しています。

 このようにアメリカでは大統領の方針に反しパリ協定支持を表明する自治体が続出し企業もおかしいといってパリ協定離脱に反対する声明に名前を連ねる事態が起きています。このことは、パリ協定が地球温暖化抑止にとって大事であることを示しています。この点について県の見解をうかがいます。また、パリ協定が地球温暖化抑止にとって大事であるという認識をされておられるのか伺います。

 

【地球温暖化対策室長】

 パリ協定は、初めて190余りの条約締約国すべてが地球温暖化対策に合意した、2020年以降の新たな国際的枠組みであり、歴史的にも大変意義深いものと考えている。

 この協定発効を契機に、先進国のみならず、世界規模で温室効果ガスの削減が進むことが期待されているところである。

 

【しもおく奈歩 委員】

 パリ協定については意義があるということでありました。

 トランプ大統領が、こういう状況で、いろんな企業や州で反対を表明しているという点についてお答えください。

 

【地球温暖化対策室長】

 この協定発効を契機に、世界規模で温室効果ガスの削減が進むことが期待されているところである。

 

【しもおく奈歩 委員】

 パリ協定が地球温暖化抑止にとって大事だというのであれば、CO2を大量に排出し気候変動に甚大な影響を及ぼす石炭火力発電所をつくるべきではありません。今、全国的に石炭火力計画が進んでおり、愛知県内では武豊火力発電所の計画が着々と進められてしまっていますがやめるべきです。

 今の世界の流れは脱炭素社会であり、フランス・イギリス・カナダは石炭火発の廃止に向けた方針を発表し、ドイツも石炭依存度を低減させる方向です。中国は昨年100基以上の建設計画を中止しました。その背景には、環境規制が進めば石炭への投資は利益が回収できない座礁資産になるからです。

 また国内を見てみますと、関西電力が気候変動対策を理由に兵庫県赤穂(あこう)市の火力発電の燃料を石炭に転換する計画を断念したということが今年の1月末にありました。

 そして、環境大臣がその決定を歓迎し「石炭火力を見直すことは大変喜ばしい」と述べ「石炭火力は将来性に乏しい」として他事業者にも石炭火力発電所の建設再考を促しています。

 また、兵庫県知事は赤穂の判断について「石炭はどうしても、どんな最新鋭でも従前と比べてCO2が増える」と記者会見で述べています。そして、環境汚染の影響や対策について明確な説明のない関西電力に地元赤穂市議会、住民からも厳しい声があがっていたそうです。

 さらに、同じく今年の3月には千葉県市原市における石炭火力発電所新設計画が中止になりました。本計画に対しては、一昨年、計画段階環境影響評価配慮書の段階で当時環境大臣が「是認できない」との意見書を提出していたとのことです。

 そして、4月には兵庫県高砂(たかさご)市の石炭火力発電所新設計画に大幅に遅れが生じることが明らかになりました。

 石炭火力はどんな高い最新の技術を用いても、天然ガス火力の2倍もの二酸化炭素を排出するものです。また、石炭火力発電所は、健康被害を招く窒素酸化物、硫黄酸化物、PM2.5や水銀も排出される危険性があります。これらの汚染排出を数十年間にわたって固定することになるという懸念もあり日本においても、環境大臣が規模の大小にかかわらず石炭火力発電所の建設に懐疑的(かいぎてき)な見方を示しているなど、石炭計画が続々と見直しが迫られている状況にあることは間違いありません。

 そこで伺います。世界の脱炭素の動きからみても国内で起こり始めた状況からみてもCO2が増加し環境に甚大な影響を与え、座礁資産になる石炭火力は歓迎されていません。この状況について県の見解を求めます。

 

【環境活動推進課主幹(環境影響・リスク対策)】

 県は、環境影響評価法に基づき、環境の保全の見地から意見を述べるもので、石炭火力の事業について、県としてその可否を述べる立場ではない。

 

【しもおく奈歩 委員】

 世界では日本国内の流れも歓迎されていないという状況についての見解を聞いたのですが、それについての答弁をお願いします。

 

【環境活動推進課主幹(環境影響・リスク対策)】

 石炭火力の立地は、国のエネルギー政策の問題でもある。県は、環境影響評価法に基づき、しっかりと環境の保全の見地から意見を述べる立場であると認識している。

 

それでもなお石炭火力発電にノーと言えないのか

【しもおく奈歩 委員】

 歓迎されていなにも関わらず、武豊火力発電の計画にNOとはっきり言えないのは、環境首都愛知としてはなさけない態度だと思います。

 先ほど述べてきた建設計画が中止や延期になったところでは事業者が中止の理由を「電力需要の減少」「事業環境の変化」と説明しています。東日本大震災以降、電力需要は減り続け、原発を稼働させなくても電力は足りている状況です。再生可能エネルギーも増え続けている今、原発や石炭火力が必要性はないんだということをはっきりと申し上げておきます。

 次の質問です。2016年11月に火力発電における石炭の利用全般の期限を迫るレポートが気候変動対策分析を行う研究機関から発表されました。

 そのレポートの中でパリ協定の約束を達成するために日本を含む豊かなOECD諸国は2030年までに、中国は2040年、世界全体で2050年までに石炭火力をゼロにということを言っています。

日本は2030年までにゼロにすべきですがわずか13年しかないにもかかわらず愛知も含め石炭火力発電所の計画がされている状況にあるわけです。

 これでは、パリ協定の約束から遠ざかってしまい地球温暖化が進んでいく一方です。そうさせないためにも、日本がそして環境首都愛知が真剣に向き合い脱炭素へ舵を切ることが不可欠です。

 また、日本政府第4次環境基本計画では、2050年までに温室効果ガス排出量を80%削減する目標を掲げています。

 そこで伺います。武豊石炭火力発電所の計画は、温室効果ガスを減らすどころかさらに増やすことになります。パリ協定の合意にも反し、国の目標とも適合しないのではないでしょうか?答弁を求めます。

 

【環境活動推進課主幹(環境影響・リスク対策)】

 武豊火力発電所リプレース計画については、既設の老朽化した施設を、より効率の高い施設に建て替えるもので、現在、環境影響評価法に基づき、手続が行われているところであり、今月19日に学識者からなる愛知県環境影響評価審査会から答申があった。

 この答申においては、環境の保全に関する最新の知見を踏まえ、最善の利用可能技術を導入すること、2030 年度における国の二酸化炭素削減の目標と整合するものとなるよう、実効性ある取組を実施することなどを指摘しているところである。

 本県としては、この答申を踏まえ、環境の保全の見地から知事意見を適切に述べていきたいと考えている。

 

【しもおく奈歩 委員】

 次に伺います。武豊火力発電所リプレース計画 環境影響評価準備書にかんする部会報告で、「本計画では、超々臨界圧の高効率な発電設備の採用や木質(もくしつ)バイオマス燃料の混焼による発電を実施するとしているが、石油火力発電と比べて二酸化炭素排出量が増加する。」と懸念を示しています。しかし、「このため、事業者は本計画を2030年度における国の温室効果ガスの削減目標と整合させるとともに、国が昨年11月に締結したパリ協定に基づき2030年度以降も長期的に一層大幅な削減が求められることに留意する必要がある」ということに留めています。

 また、「現時点では、事業者における温室効果ガスの削減に係る具体的な取り組み計画が十分に示されていない」という重要なことも言って情報発信を求めています。

 そこで伺います。環境への影響に懸念を示し、温室効果ガス削減の具体化がされていない状況であるなら、取り組みや、努力義務を課すのではなく、二酸化炭素排出量が増加する武豊火力発電リプレース計画にたいして中止を求めるべきではないでしょうか?

 

【環境活動推進課主幹(環境影響・リスク対策)】

 武豊火力リプレース計画について、県は、リプレース計画の事業そのものの可否を述べる立場ではない。県としては、環境影響評価法に基づき、環境の保全の見地から十分に審査を行い、適切に意見を述べていくといった役割であると考えている。

 

【しもおく奈歩 委員】

 本計画は、2016年まで稼働していた3機(2~4号機)、合計112.5万kWの発電所を107万kWのもの(5号機)にリプレースする計画です。この計画に対して気候ネットワークが意見書を提出しその中で、武豊火力発電所リプレース計画 環境影響評価準備書によれば、5号機では年間設備利用率80%、年間発電電力量は約75億kWの想定となっているが、現状として比較されている2~4号機では、3機とも年間設備利用率45%、年間発電電力量が合計で年間約45億kWhと5号機の想定よりも大幅に少なく、新たに107万kWもの大規模な発電所を建設する必要性がないと指摘しています。

 こういった専門的な立場からの指摘されている点について県の見解を伺います。また、県はこういった指摘があっても大規模な石炭火力発電所が必要だと言えるのでしょうか?答弁を求めます。

 

【環境活動推進課主幹(環境影響・リスク対策)】

 事業者である中部電力は、環境アセスメントの結果を取りまとめた環境影響評価準備書において、中部電力全体の電力の需給状況等も踏まえ、新たな高効率な発電設備にリプレースしていくことは、長期的な電力の安定供給等につながるとしている。

 県は、事業者が行った環境アセスメントの内容について、環境影響評価法に基づき、学識者からなる審査会の意見を踏まえ、環境の保全の見地から意見を述べるもので、事業の必要性を含め、その可否を判断する立場ではない。

 

情報提供の仕方を改善せよ

【しもおく奈歩 委員】

 環境首都愛知とは思えないような答弁であり、世界の流れにも逆行しており、パリ協定の約束を守る気があるとは思えません。

 次に、伺います。武豊火力発電所リプレース計画 環境影響準備書についてです。2016年12月22日より開始した「武豊火力発電所リプレース計画 環境影響評価準備書」および準備書(要約書)の公表が、2017年2月13日午後4時30分に終了しネットで見られなくなっていしまっています。同じように方法書や配慮書についても期限が終了して閲覧できません。これらの文章の「あらまし」のみが掲載されているという状況になっています。

 また、この準備書を閲覧期間中に自分のパソコンに保存したという方が「保存ファイルにも期限付きのカギがかかっていて期間終了後は見られなくなってしまった」と話していました。

 中部電力株式会社が公表している住民意見の概要と事業者の見解という資料があります。その中に意見として、「愛知県知事意見には誠実に対応すべきである」とあり「知事意見ではインターネットを含む準備書の公表に当たっては、住民の理解促進及び利便性の向上に努めること」と指示しているが、見解は今までの継続で、追加がされたのは図書貸出期間の延長をしただけである。と指摘しています。また、配慮書段階では知事から「印刷できるようにすること」の具体的指示があったことも意見で述べられ、印刷可能にすることを求めています。しかし、実際は印刷できるようにはなっていません。

 また、気候ネットワークが提出された意見書にも「環境アセスメントにおいて公開されている準備書は、縦覧期間が終了しても閲覧できるようにするべきである。縦覧期間後に非開示とする理由を企業の著作権保護のためというのは理由にならず、一般的な書物で著作権があるからといって開示すらしないなどという書籍はありえない。

 そもそも、環境アセスメントは住民とのコミュニケーションツールであり、できるかぎり住民に開かれたものであるべきである。」と述べています。

 そして、さきほどの環境影響評価準備書に関する部会報告でも、印刷可能にすることや縦覧期間後も引き続き閲覧できるようにすることを求めています。

 しかし、中部電力側は意見の概要にたいする事業者の見解の中で「愛知県環境影響審査会の運営について当社は回答する立場にない」という態度です。県として、事業者にたいしてそういう態度を改めさせることと聞く耳をもち、知事や部会報告でも意見で述べているように、印刷可能にすることや縦覧期間後も引き続き閲覧できるように強く働きかけを行ってほしいと思いますがどうでしょうか?答弁を求めます。

 

【環境活動推進課主幹(環境影響・リスク対策)】

 本県としては、インターネットの利用による図書の公表にあたっては、住民等の理解促進や利便性の向上に努めるよう、引き続き適切な対応を事業者に求めていきたいと考えている。

 

【しもおく奈歩 委員】

 印刷についてはどうでしょうか。

 

【環境活動推進課主幹(環境影響・リスク対策)】

 インターネットの利用による図書の公表について、印刷も含めて、事業者に適切な対応を今後も引き続き求めていきたいと考えている。

 

【しもおく奈歩 委員】

 最後に要望します。今回も環境守ることに対して前向きな意見とは思えない答弁ばかりで残念でした。

 石炭火力発電は、何度も申し上げていますように温室効果ガスの二酸化炭素を多く輩出するとともに、窒素酸化物や硫黄酸化物、ばいじんなど大気汚染物質を排出するため、健康や自然への影響も深刻です。石炭や原発という大規模集中型の電源ではなく、省エネルギーの推進と再生可能エネルギーの大量普及を柱に据えて、原発にも石炭にも依存しないエネルギー政策にすることが必要です。そして、環境首都愛知がその先頭にたち、温室効果ガス削減へと進むために武豊火力発電所の計画に対して中止をもとめていくべきことを強く要望し質問を終わります。

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