〔未定稿 文責:日本共産党愛知県議会議員団〕
鉄道路線について市への補助継続を
【下奥奈歩 委員】
名鉄西尾・蒲郡線の補助廃止について伺います。まず、県はこの路線に運行支援をしている西尾市・蒲郡市に対して補助金を出し支援を行ってきました。
そこで、伺います。一点目その運行支援を行ってきた経緯と期間をお示しください。2点目、2市の名鉄への支援額、2市に対する県の補助額についてお示しください。
【交通対策課主幹】
本県は、名鉄西尾・蒲郡線が西三河南部地域と東三河を結ぶ広域的、幹線的な公共交通機関であることから、名鉄に運行支援を行っている西尾市、蒲郡市の2市に対して平成23年度から平成25年度までの3年間と平成26年度から本年度までの3年間、合わせて6年間補助を行ってきた。二市による名鉄への支援額は、この6年間で毎年2億5,000万円であり、本県から2市への補助額は、平成23年度から平成25年度までの3年間は毎年8,300万円、平成26年度は6,100万円、平成27年度は4,100万円、今年度である平成28年度は3,000万円の補助を行ってきた。
【下奥奈歩 委員】
次に、名鉄西尾線・蒲郡線の利用状況について、輸送人員の推移を5年間の数字で、通学・通勤それぞれどのように推移をしているのかお示しください。
【交通対策課主幹】
ます通学定期による利用人員は、平成23年度159万3,000人、平成24年度162万5,000人、平成25年度171万7,000人、平成26年度162万5,000人、平成27年度169万9,000人と、この5年間で約6.7パーセントの増となっている。通勤定期の利用人員は、平成23年度73万3,000人、平成24年度73万8,000人、平成25年度75万8,000人、平成26年度77万2,000人、平成27年度82万6,000人と、この5年間で12.7パーセントの増となっている。
【下奥奈歩 委員】
私も、資料をみましたが一進一体しながらも微増しているということだと思います。県は、先ほど答弁でもありましたように名鉄西尾・蒲郡線に支援を行っている西尾市・蒲郡市それぞれ2市に対して徐々に補助額を減らしてはきたものの補助金を出し、支援をしてきました。
しかし、来年度からはその補助金を廃止してしまいました。廃止に至った経緯について答弁を求めます。
【交通対策課主幹】
県は、運行支援を行っている2市に対して、当初は平成23年度から平成25年度の3箇年に限定して補助を行うこととしていた。しかし、地元2市においては、更に平成26年度から平成28年度の3箇年、名鉄への運行支援を決定するとともに、本県へ補助の継続を要望してきた。利用者が劇的に増加するといった抜本的な解決策がない中で、永続的な支援としないために、2市のみによる路線維持あるいはバス等への転換など、二市が自立的な交通体系へ移行することを条件とする激変緩和として、平成26年度から平成28年度の3箇年限りとしての、補助を継続してきた経緯がある。
【下奥奈歩 委員】
県が先ほど輸送人員の推移を示したように微増していて、特に定期は、平成16年度比、通勤は33%増、通学は10%増となっており、地元の努力が表れています。
また、通学や通勤のための地域の足として必要とされているということだと思います。そして、形原小学校の6年生の児童は、自分たちが高校生になったときの交通手段を残すために名鉄存続活動をしています。市長への手紙に赤電募金箱の設置の提案、夏休みを利用し名鉄存続の願いを書いたチラシやしおりを名鉄蒲郡駅や形原駅に配布するという取り組みをしています。
また、蒲郡市長・西尾市長は昨年10月連名で、振興部長宛てに名鉄存続のための支援をと要望書を提出しています。その文章の中では「名鉄西尾・蒲郡線は、学生・高齢者など交通弱者の日常の交通手段となっています。地域振興の観点から、主要公共交通機関としてなくてはならないもの」と述べています。市民にとっても、地域を支えるうえでも必要な路線だということです。
そして、2市は8年間で利用者を伸ばしていくなかで5年間の運行継続を決定したと書いてあります。しかし、市の負担も大きく一地域だけでは解決できる問題ではないと書いてあります。
「自分たちが高校生になったときのために名鉄を存続してほしい」とがんばる小学生や、2市の切実な想い、そして地域の住民の足、通勤・通学の足としての日常交通を守るために、住民の声にこたえて県として、引き続き2市に対しての財政支援を行うべきではないでしょうか?答弁を求めます。
【交通対策課主幹】
鉄道は大量輸送を効率的に行うことができるという特性を有しているが、現在の西尾・蒲郡線の利用状況を見てみると、そうした特長を発揮することができていない状況にある。そうした中で、西尾市、蒲郡市の二市のみによる路線維持、あるいはバス等への転換など二市が自立的な交通体系を整備するための猶予期間という意味合いで、これまで県は二市に支援を行ってきたものであり、一定の役割を果たしてきたと思っている。
県内には、バス路線しかない地域もある。県としての関わりのバランスを考慮すると、鉄道の運行を維持するために、いつまでも財政支援を継続することはできないため、県の支援は今年度限りとした。今後は、こうした運行支援に対する補助という形ではなくて、地元が行う利用促進の取組などに、県としてできることは引き続き支援していきたいと考えている。
【下奥奈歩 委員】
鉄道は、地域の方が利用し地域と密接するものです。地元や沿線地域の住民の声を何よりも尊重するべきではないでしょうか。
3月2日の中日新聞で、JR只見線のことが報道されていました。福島県では、豪雨で寸断された「JR只見線」復旧したい住民の願いを受け止めて行政も乗り出し、福島県と沿線自治体が復旧費用を分担する方針を固めました。JRは、赤字路線を廃止してバス転換したいと望んでいましたが、地元が粘り強く鉄道存続を訴えました。
地元のかたは「地域の衰退に歯止めをかけるのは只見線しかない」「過疎化の進む町を元気にできるのも只見線しかない」と話したそうです。
県が補助を廃止し、2市は5年間は支援をすることを決めていますが、存続への道は険しいものです。公共交通は、県民にとって生活のツールであり必要不可欠なものです。また、只見線の話をしましたが、地域の衰退、人口減少にも歯止めをかけることができます。
県は、県民の側にたち、県民の声に真摯に耳を傾け2市への引き続きの支援を強く求め質問を終わります。