〔未定稿 文責:日本共産党愛知県議会議員団〕
駅の無人化しないで!利用者の安全を保障せよ
【下奥奈歩 委員】
今月2日に、JR東海道線の安城で、事故があり、朝7時前から夜まで、13時間も電車が動きませんでした。次の日には小坂井で事故があり、また電車が動きませんでした。
このような時、駅が無人化されていては、情報がわからず、利用者は途方に暮れると改めて、感じながら、JR東海の駅無人化問題について質問します。
JR東海は、東海道本線の三河地域の岡崎、豊橋間について蒲郡駅を除く西小坂井駅、愛知御津駅、三河大塚駅、三河三谷駅、三河塩津駅、三ヶ根駅、幸田駅、相見駅の8つの駅を今年秋以降に無人化すると、昨年12月14日、関係自治体などに通知したといわれています。
JR東海は、すでに管理する405駅のうち227駅(2016年4月現在)がすでに無人駅としていますが、さらに無人駅を拡大していく方向です。
駅員がいないと、定期も買えない、長距離切符も買えない、ホームで転落事故などが起きても、すぐに対応できない、など不安が次々、湧いてきます。
そこでまず、この東海道本線の三河部の駅無人化計画の概要について明らかにするようおたずねいたします。
【交通対策課主幹】
JR東海道本線の岡崎駅から豊橋駅の間には、9つの駅があり、現在は、いずれの駅も有人駅である。これを今年の10月から、蒲郡駅を除く8駅において、集中旅客サービスシステムを導入して、駅員を無配置にする計画である。この集中旅客サービスシステムとは、インターホンやカメラ、遠隔放送スピーカーなどを設置することで、駅員がいなくても、切符の購入や精算、問い合わせなどに終日対応できるような仕組みである。なお、現地での案内が必要な場合には、係員が現地に赴いて、利用者への対応を行うという計画であると聞いている。
【下奥奈歩 委員】
次にこの駅無人化の計画の公表や伝達問題についておたずねします。県は、この計画を、JRの誰から、いつ、どういう説明を受けたのか、県は、その場で、JRに対して、何を言ったのか、どういう対応をその後行ったのか、伺います。
【交通対策課主幹】
県は、昨年12月6日に、JR東海の担当部長からただいま申し上げた内容の説明を受けた。その際、障害者への対応やダイヤが乱れた時の対応などについて確認するとともに、地元自治体へ説明することを確認した。その後、東海道線だけでなく、他の路線も含めた駅員の無配置駅について、利用者、特に高齢者や障害者への安全性・利便性を確保するための対策を講じるよう要請した。
【下奥奈歩 委員】
この計画について、幸田町では、12月22日に議会に報告し、委員会で説明もしています。しかし、議会に説明しなかった市町村もあります。しかもJR東海が公表し配った文書には、「無人化」の文字は一言もありません。「現在、早朝、夜間等、駅係員不在時はサービスを停止している、切符の購入が、列車を運行するすべての時間帯で行えるようになります」と便利になるように書いてあるだけで、読んだだけでは、わかりません。
重大な影響をもたらす駅無人化の計画の公表や伝達が、わかりにくく、しかも各市町村で扱いがまちまちであり、とりわけ、関係住民はほとんど知らされていない状態です。駅無人化の計画の公表や伝達問題について、こんな民主的でないやり方について、県当局の見解を伺います。
【交通対策課主幹】
民間事業者が、サービスの内容を変更しようとするものであり、どのように周知を行うかは、各事業者の判断で行われるものであると認識している。
【下奥奈歩 委員】
JR東海の駅無人化にともなう安全確保について、おたずねします。
平成18年10月から鉄道事業法等の一部を改正する法律が施工されました。その法改正における主要な改正点の一つは、鉄道事業法の法の目的に「輸送の安全の確保」が加えられ、また、鉄道事業者の責務として「輸送の安全の確保が最も重要であることを自覚し、絶えず輸送の安全性の向上に努めなければならない」との規定が新たに設けられたことがあります。
ところがJR東海は、「カメラで見ているから大丈夫」「緊急の時には、近くの駅から駆けつける」などと言っていますが、ほんとうに対応できるか極めて疑問です。駅員がいないと、ホームで転落事故がおきても、すぐに対応できません。
JR東海が行っていることは、鉄道事業法の改正の趣旨に反するのではありませんか。JR東海の駅無人化にともなう安全確保について見解を伺います。
【交通対策課主幹】
各鉄道事業者は、鉄道事業法の中で、鉄道事業の運営を適正かつ合理的なものとすることが求められている。そうした中で、安全性や利便性に配慮しながら利用者数の少ない駅について、合理化が進められていると承知している。今回のJR東海の計画である集中旅客サービスシステムの中では、先程申し上げたような安全確保のための措置も講じられているとのことなので、直ちに鉄道事業法の趣旨に反しているとは考えていない。
【下奥奈歩 委員】
ホームからの転落事故や接触事故は、国土交通省の統計では、年々、増加傾向にあり、2004年の118件と比べて2014年は、227件と10年間で100件以上も増えています。その原因として、過度な合理化、人員削減も指摘されています。
再発防止を求める切実な声が広がっていますが、事故の原因は、なんといってもホームに駅員さんが不在であることです。そこで最近、ホームドアの早期設置問題が国会でも大きな話題にもなっている状況です。
ホームドアについての国交省の検討会は昨年末、駅ホームの「安全性向上」に向け、ホームドアやホームの危険を知らせる「内方線付き点状ブロック」の整備を急ぐことなどを強調するとともに、駅員らによる対応の強化も提言しています。その提言では、ホームドア未整備の駅で、視覚障害者本人が誘導案内を希望しない場合であっても、可能な限り乗車まで見守ることを求めています。
こんな今日の情勢をまじめに考えれば、駅無人化などは論外ではありませんか。
ホームからの転落事故や接触事故の急増に対処するために、知事は、JR東海の社長に、無人化はやめて欲しいと、ただちに申し入れるべきと思いますが、JR東海への働きかけは、何をしたのでしょうか?答弁を求めます。
【交通対策課主幹】
県は、本年1月に、JR東海に対して駅員のいない駅において利用者、特に高齢者や障害者への安全性・利便性を確保するための対策を講じるよう要望書を提出した。
【下奥奈歩 委員】
駅無人化によるサービス低下についてお聞きします。各駅の住民のみなさんからは、地元で定期が買えない、長距離切符を買うためにほかの駅まで行かなければいけない、駅員さんがいないといろいろ聞くこともできない、私たち不慣れな障害者はどうすればよいかわからない、など、すでに様々な声があがっています。
バリアフリー化されていない不便な駅では、車いすの方など助けが必要になります。そういうときに駅員がいなければ安心して駅を利用することができません。
駅無人化により明らかに不便になり利便性が低下すると思います。JR東海は大きな社会的存在でありながら、地域貢献を果たしていない、社会的責任を果たしていない、と考えますが、県当局の見解を伺います。
【交通対策課主幹】
今回のJR東海の集中旅客サービスシステム導入によって、障害者の方が駅を利用するときなど現地での案内が必要な場合は、係員が現地に赴いて利用者への対応を行うと聞いている。鉄道事業者は、安定的に輸送サービスを提供することが最も重要な社会的使命である。そうした使命を果たしつつ、利用者サービスについても一定の水準を確保されるものと認識している。
【下奥奈歩 委員】
防犯の点からも駅員配置は必要です。私は、以前民間の製造業に務めていたときに、JR飯田線で職場まで通っていました。飯田線はほとんどが無人駅で、その職場へ行くとき利用していた小坂井駅も無人で駅員さんがいない駅でした。仕事が終わって帰る時間は外が暗い時間です。駅は、明かりはついていましたが、周りは真っ暗でそこで電車を待つのはすごく不安な気持ちになりました。
また、小坂井駅は、小坂井高校の生徒も利用している駅です。部活で帰りが遅くなることもあります。駅員がいない駅でもし何か起こったときに咄嗟に助けを求めることができません。
駅員がいることで、安心して駅を利用できるし、防犯対策にもなります。カメラがあるだけでは駅を利用する方を危険から守ることはできないと思います。この点について県の考えを伺います。
【交通対策課主幹】
防犯対策についてのおたずねですが、防犯対策は地域を挙げて取り組むべき課題であり、一民間事業者だけにその役割を期待することは、独立採算で事業運営を行う事業者としては限りがあるものと考えられる。駅員がいることで、安心できることは理解できるが、一方で、鉄道事業者は民間事業であることから、採算とのバランスの中で安全性や利便性の確保も考慮し、将来にわたって鉄道事業が継続されることが重要と考えている。
【下奥奈歩 委員】
鉄道の駅は、まちづくりの中心施設であり、地域の誇り、歴史、文化を表すものです。駅無人化など鉄道がさびれていくことは、地域がさびれていくことです。知多の地域では、あれほど空港インパクトで知多地域が栄えると大宣伝されましたが結局どうなったでしょうか。地元常滑は財政悪化し、武豊線の駅は無人化され、南知多では高齢化が進んでいます。同様に、地域のことをなおざりにするJR東海の、もうけ第一主義、効率最優先のこういう地方切り捨て計画で、三河地域を衰退させてはなりません。
知事は、関係住民に、地方再生に逆行するこの計画をすぐに知らせて、力をあわせ、関係自治体とともに、県全体で、無人化に反対の声を上げるべきと考えます。
JR東海に対し、豊橋市をはじめ、幸田町、蒲郡市、豊川市などと協力して、自治体や沿線住民、利用者と真摯に協議するよう、強く求めるべきです。中部運輸局にも、乗客の安全とサービスのために、無人化は問題だ、三河地方を切り捨てるのか、と強く申し入れる必要があります。
鉄道の駅は、まちづくりの中心施設であり、三河地域を衰退させてはなりません。愛知県として、JR東海や中部運輸局に無人化の中止を申し入れ、協議すべきです。答弁を求めます。
【交通対策課主幹】
駅の運営体制をどうするかは、あくまでも事業者の経営判断に委ねられると考えている。県としては、引き続き、駅員の無配置駅における利用者の安全性、利便性がしっかり確保されるよう働きかけを進めていきたいと考えている。
【下奥奈歩 委員】
30年前、国鉄を民営化するとき、当時の自民党が、「ローカル線もなくなりません。ローカル優先のサービスに徹します。明るく親切な窓口に変身します」と新聞に広告を出していたことを、日本共産党の本村伸子衆議院議員は、2月17日の衆議院予算委員会で、紹介し、この公約を守らせ「JRは、地方を切り捨てるのでなく、地方路線を守るべき」と安倍晋三首相の姿勢を質しました。
しかも、お金がないわけではありません。JR東海の財務状況は、2016年の財務状況で5,556億円の黒字で、JR各社のトップです。しかし、リニア新幹線にお金がかかるとして、財源作りの為、ひたすら地方を切り捨てているのです。そのJR東海にリニア新幹線建設のため、3兆円の経営支援も決定しています。
地方切り捨てで財源を確保し建設する、リニア新幹線を起爆剤とする、メガリージョンだといって、東京、名古屋、大阪を一体として、国際競争力を付ける、というふれこみですが、メガリージョンの内部の東海道本線の駅は無人化では、地方に住んでいる住民の生活交通は切り縮められるだけで、ますます地域衰退が加速してしまうではありませんか。このようにスーパーメガリージョンの内実は、結局、地方破壊ではありませんか。名古屋集中、東京集中をすすめるだけで、地方は疲弊するだけではありませんか。
地方自治体の使命は、県民の安全と暮らしを守ることです。知事は、県民からその使命を負託されているのですから、地方に暮らす住民生活を守るために力を尽くして欲しいと申し上げて、質問を終わります。