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[2017年3月14日]振興環境委員会(振興)下奥議員

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〔未定稿 文責:日本共産党愛知県議会議員団〕

「平和と友好」のアジア競技大会にしよう

【下奥奈歩 委員】

 第20回アジア競技大会推進事業費関連して伺います。

 冬季アジア競技大会が2月に札幌で開催されました。愛知県出身の選手も大いに活躍した大会でした。しかし、その華やかさの裏で様々な苦労があったことや開催経費が予定の倍69億円に膨れ上がる見通しも報道されています。本県は、開催経費850億円のうち600億円は県と市で負担する計画です。

 また、札幌市が見込んでいた当初の選手と関係者は総勢1500人とされていました。しかし、経済成長が続く東南アジアや中東で冬季競技が急速に普及し、その結果見込みを上回る2000人に増えたそうです。

本県のアジア競技大会の開催構想には、議案の説明のまんがという資料の中にも概要が掲載されているように、選手・関係者約1.5万人としています。

 そこで、伺います。これから大会開催基本計画が策定し大会に向け動き出していきますが、札幌市のように、今後選手や関係者が増える可能性があるのではないでしょうか?増えることはないと言い切れるのでしょうか?また、開催経費について、簡素でコンパクトなものにするため、どのようなとりくみを検討されているのでしょうか?答弁を求めます。

 

【アジア競技大会推進室長】

第20回アジア競技大会での選手等参加者数は、OCAによると15,000人とされている。今後の増減については、OCAと情報交換し、調整したいと考えている。また、大会経費の削減に向けては、できるだけ簡素な施設、最小限の設備を基本とし、例えば最新の技術を活用して、通訳や案内、選手の移動などを自動化して費用を削減するなど、効率的な大会運営を図ってまいりたいと考えている。

 

【下奥奈歩 委員】

 中日新聞に「予算を超えたら、その分は稼ぐしかない」と成瀬室長が述べたように報道されていますが、これはいったい何を意味しているんでしょうか。今から、経費膨張を前提としているのでしょうか?お伺いします。また、大村知事は「簡素で・・」と信念を掲げているそうですが、「既存施設を生かす工夫」など、現時点で具体的にどのように工夫すると考えているのか伺います。

 

【アジア競技大会推進室長】

 まず、新聞記事について、取材の際、記者から「予算を超えたらどうするのか」と質問されたため、「超えた分は入場料収入やスポンサー収入などの確保に努める」と答えたのであり、経費膨張を前提として発言した訳ではない。次に、大会経費を抑えるための工夫についてであるが、競技施設については、競技実施に関わる部分は国際競技基準に合致した施設・設備とするが、競技に直接関わらない部分、例えば仮設で作る諸室スペースについては、テントを活用するなど、簡素で質素な大会を目指し、できるだけ工夫してまりたい。

 

【下奥奈歩 委員】

 次に、事業内容について伺います。選手村に関する調査をこれから行っていくという記載があります。選手村は名古屋競馬場が候補地となっています。

そこで伺います。現段階で、名古屋市との調整はどこまで話をすすめているのでしょうか?また、選手村は近隣住民にも関わってくる話です。調査した内容や、計画について住民への公表や地元の意見をきく説明会などは考えているのでしょうか。答弁を求めます。

 

【アジア競技大会推進室長】

 選手村については、名古屋市とともに、移転が検討されている名古屋競馬場を候補地として、大会後の活用も前提に、必要な機能や整備手法などについて、基本的な検討を行っている。地元住民などへの説明や意見を聴くことについても、名古屋市にその方法や機会を相談して、行ってまいりたいと考えている。

 

【下奥奈歩 委員】

 次に、大会開催基本計画策定に向けての検討が行われていくようですが、まずどんなことを検討されていくのか伺います。

 

【アジア競技大会推進室長】

 大会開催基本計画は、大会開催に向けて行うべきことを、競技、競技会場、輸送など各分野について、どのようなスケジュールで、どのように行っていくべきかを示すロードマップのようなものである。まずは、過去のアジア競技大会や、他の大会の例を研究し、内容について検討していきたいと考えている。

 

【下奥委員】

 札幌市の大会では、費用が膨張したことなど「不確定要素」が多かったと大会組織委員会の広報マーケティング課長が中日新聞の取材の中で話していました。

 その検討を進めていく際、季節は違いますが、大会を実際に開催した札幌市との情報交換も行いながら、慎重に進めていくべきではないでしょうか?

 

【アジア競技大会推進室長】

 冬季アジア札幌大会は、大会の運営方法等を直接確認することができる機会であり、今後の開催準備の参考となる大会である。このため、開催前の段階から職員を大会の組織委員会に派遣するとなどして準備状況や大会運営状況を視察調査してきた。今後、組織委員会から更にヒアリングするなどして、経費面にも留意して開催準備を進めてまいりたい。

 

【下奥委員】

 9月議会のときに、私は「県民・市民にも意見をきくべきだ」と質問をしました。その時に、当局から「アジア競技大会の成功に向けては、議会や県民の皆様の意見を無視することはない。」と答弁しました。

 大会を成功させるために、そして県民・市民の方々が心から歓迎できる大会にするために、無視しないというのなら、基本計画策定のときに県民・市民からの意見も聞きながら、力をあわせて進めるべきと考えますがどうでしょうか?答弁を求めます。

 

【アジア競技大会推進室長】

 大会開催基本計画については、来年度から策定準備を始めるが、途中の段階で議会や県民に示せるよう、OCAと相談してまいりたい。

 

【下奥委員】

 次に、準備の中に広報・啓発という記載があります。これから県民に向けてPR活動など行っていくと思います。そのPRはどのように行っていくつもりでしょうか?

 大会をもりあげていくために、開催意義についても県民に広くお知らせする必要があると思います。大会を主催するアジア・オリンピック評議会が掲げている「スポーツの公正な競争を通じ、アジアの若者のスポーツ、文化、教育及び道徳的、身体的な資質の発達を助け、国際的な尊敬、友情、親善、平和及び環境の促進に寄与する」ということを大きく打ち出すことが大事です。

 しかし、大村知事は、スポーツ振興と言いながらも、一方で、超電導リニアプロジェクトも発信し、大型プロジェクトの宣伝や交流人口の拡大や競争力の強化ということを言っています。

 また、9月の委員会の時に当局の答弁でも「アジア競技大会の場を活用してリニアを発信していくということである。リニア推進ではない。」という全く矛盾した意味の分からない答弁をしています。推進じゃないと最後に付け加えながらも、大会を活用してリニアを発信するというのはやはりリニアを前面に打ち出し推進する姿勢であることは変わりません。

 そこで、伺います。県民へのPRをする際にも、リニアを前面に打ち出していくつもりなのでしょうか?アジア競技大会を口実に大規模開発推進の宣伝になるのではないかと懸念されます。県の答弁を求めます。

 

【アジア競技大会推進室長】

 大会のPRに当たり、リニア中央新幹線とあわせて情報を発信することは、大会への注目度を一層高める観点から効果的であると考えている。なお、アジア競技大会のPRは、開催の周知や、開催機運の醸成、観戦者の拡大を目的として行うものであるので、大規模開発推進の宣伝になるとは考えていません。

 

【下奥奈歩 委員】

 アジア競技大会開催構想の招致の意義に、評議会の崇高な理念のもと、素晴らしい大会にできるよう最善の努力をつくすと書いてあります。

 それなら、まず、一つ目はアジアの友好と協力を発展させるために日本が過去に行った侵略戦争や植民地支配の問題を県としても、次の世代に正しく伝えて、歴史の真実に正面から向き合い、真摯に誤りを認め反省し未来への教訓にしていくことを発信し、学ぶ機会をつくることが必要ではないでしょうか。それこそが、信頼や友好への道につながります。

 二つ目は、スポーツ振興の発展、振興に住民目線で取り組むことです。スポーツが過度な勝利至上主義になっているように感じます。そうではなく、心身の健全な発達、フェアプレーの尊重などスポーツの価値が発揮できるようにすることが大事ではないでしょうか。

 また、各地で公共施設を削減していこうという動きがあります。今でも施設が足りないと市民の方は話しています。例えばある市では市民プールがありません。こういう市民がスポーツを楽しむ場所が減ってきています。公共スポーツ施設の整備に力を注ぎ、利用者の負担を軽減し誰もが気軽にスポーツを楽しめる環境をつくることがスポーツの振興になります。

 私は、今述べてきました主に2点についても検討いただき、取り組みながらアジア競技大会を県民に発信する必要があると考えます。県の考えを伺います。

 

【アジア競技大会推進室長】

 アジア競技大会では、アジアの国々の友情や平和を願う大会であり、場面に応じて、こうした趣旨を伝えていきたいと考えている。また、スポーツ施設については、アジア競技大会のために新規の整備は行いませんが、大会のPRや機運醸成にあわせて、スポーツの楽しさを伝えるなどスポーツ振興にも取り組んでいくこととしている。

 

【下奥奈歩 委員】

 大きなイベントであるアジア競技大会は県民の支持と理解が不可欠です。大会への取り組みが県民生活や環境と調和のとれた、規模や内容も身の丈に合った無理のないものにすることが求められます。また、国際競争力の強化や大型開発の推進を目的に行うものではなく、真に県民・市民のスポーツの振興に役立ち、アジアとの友好・友情を深める大会にしていくことを求め質問を終わります。

 

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