〔未定稿 文責:日本共産党愛知県議会議員団〕
国際展示場建設の見直しを求める
【下奥奈歩 委員】
第3款振興費のうち第1項振興総務費、愛知県国際展示場整備事業費について質問します。
まず、名古屋市との計画の関係について伺います。名古屋市は、今回の議会に、新規事業として市独自で空見地区に大規模展示場を作るための「空見地区における大規模展示場整備に関する調査」に2000万円を計上しました。以前からこの話は出ていましたが、名古屋市が予算を計上して動き出しました。
ポートメッセ名古屋の拡張、空見地区への大規模展示場調査、そして県の整備する国際展示場、県内で展示場整備・構想が乱立するという異常な事態だと思います。
市と県が対立してお互い展示場をつくると勝手に言っていますが、いずれ、もともと過大な需要見込みのもとでの計画であり、さらに多くの施設で集客を競うとなれば、いずれ、共倒れとなる可能性が極めて高いといわざるをえないのではないでしょうか?また、稼働率25%で収支が均衡できると言っていた県の主張も崩れるのではないでしょうか?県の考えを伺います。
【大規模展示場準備室長】
県としては、名古屋市の空見ふ頭の展示場については、場所、アクセス、用途規制などに様々な課題があり実現できるものとは考えていない。本県国際展示場は、収支が均衡できる水準である25パーセントの稼働率を目標として、引き続き整備促進、利用促進に努めていきたいと考えている。
【下奥奈歩 委員】
大村知事は、市長の考えに対して「できない」と拒否したと報道されていました。しかし、市長の意向としてはあるので予断は許さない状況ではないかと思います。
しかし、空見の話しは実現するかはわかりませんが、ポートメッセ名古屋は拡張されるわけです。愛知県が展示場だらけになってしまいます。日常的な需要がない中で無駄でしかないと思います。
また、市長の空見地区大規模展示場構想に対して大村知事は15日、報道陣の取材に「課題や問題点が多く、開発に膨大な金と時間がかかり事業として成り立たない」と指摘をしたと報道されていました。
これは県も同じです。市長に対して、そういわれるのであれば、白紙も含め国際展示場整備は見直すことこそ、責任ある態度ではないでしょうか?答弁を求めます。
【大規模展示場準備室長】
本県国際展示場については、場所、アクセス、用途規制などについて、大きな問題点があるとは認識していない。大規模展示場整備は、喫緊の課題であり、2019年秋の開業に向けて、着実に取り組んでいきたいと考えている。
【下奥奈歩 委員】
次に、コンセッション方式に関する考え方に関して伺います。県は先月「愛知県国際展示場コンセッションに関する基本的な考え方」を公表し、民間事業者から意見募集を行いました。
公表した中身についてですが、その考え方の資料の「運営権者の提案に基づく事業」の項目の中で「応募企業、及び公募グループの構成企業が、提案に基づき、事業区域外(例えば隣接地)において任意で事業を行うことを認める。」としています。
これはどういうことでしょうか?隣接地もということは、例えば、カジノを含む統合型リゾート施設IRの誘致も可能になる、または想定にあるのではと懸念されます。IR誘致も可能になるものなのでしょうか?県の考えを伺います。
【大規模展示場準備室長】
任意事業については、民間事業者の責任と費用により展示場の利用促進につながる独自の取組を期待しており、展示場の維持管理や運営業務に係る提案と合わせて募集するものである。詳細については今後策定する実施方針で整理していくこととなる。なお、任意事業について、特定の事業を想定しているものではない。
【下奥奈歩 委員】
次に、国際展示場の総事業費について伺います。昨年の12月議会では、340億円の工事請負契約締結が承認されました。また、約28ヘクタールの用地費はまだ発表されていませんが、企業庁売買実績からすると約300億円程度と推定されます。
そこで伺います。総事業費はどの程度でしょうか。事業は始まり、来年度予算に50億円計上しています。答弁を求めます。
【大規模展示場準備室長】
施設の建設に関する予算は、平成28年6月補正予算で債務負担行為をお認めいただいた約350億円である。来年度予算の約50億円のうち、47億円余りは、この債務負担行為の実予算化であり、残りは中部国際空港との連絡通路などの設計や運営事業者の選定等にかかる費用である。なお、用地費については、今後企業庁と調整していく。
【下奥奈歩 委員】
次に、「愛知県国際展示場コンセッションに関する考え方」の資料の中で、「運営権対価」で、「最低提案価格」に触れていますが、そこには、「建設費や土地購入費」も含めて検討されている価格なのでしょうか?答弁を求めます。
【大規模展示場準備室長】
コンセッションに関する内閣府のガイドラインによると、民間事業者が運営事業を実施した場合に事業期間中に得られると管理者が想定する利益を現在価値に割り戻したものと考えられており、事業期間中に得られる収入から経費を除いた金額を想定している。また、展示場の建設は、地域経済活性化のためのインフラ投資と位置づけており、建設費や土地購入費を含めたものとはしていない。
【下奥奈歩 委員】
次に、財政面について伺います。千葉県の幕張メッセの場合、建設費と用地費は借金をして、その償還は千葉県と千葉市が一般会計から充当しています。県民にとって大きな負担となっています。
本県の国際展示場では、愛知有料道路の運営権対価(発注者から事業を運営する権利を付与される対価として、民間事業者が発注者に対して支払う金額をさすものです。)の一部150億円を当事業費に活用するという報道がありました。「愛知県国際展示場コンセッションに関する基本的考え方」では、運営権対価について言及しています。運営権対価を原資に、当該事業に係る既存の債務を圧縮することができる「メリット」と記載した解説も見受けられます。
県として、負担を圧縮する努力をしていくことをいろいろ考えているということだと思います。
しかし、これだけ大きな規模の展示場で、収支計画もはっきりしない、収支が25%で均衡できるという根拠もない中で、この先県民に負担を押し付けるようなことになるのではないでしょうか?答弁を求めます。
【大規模展示場準備室長】
展示場の建設費については、簡素で機能的な施設として、設計施工一括発注により、コスト縮減を図っているところである。また、運営については、ローコストオペレーションを徹底し、コンセッション方式を採用することにより、民間の創意工夫を生かした経営を実現することで、多くの展示会、イベントを呼び込み、県民、地域の中堅中小も含めた企業など多くが利用できるをいただける競争力のある施設を目指していく。
【下奥奈歩 委員】
国際展示場は、以前から申し上げているとおり文字通りの無駄な大型開発です。また、展示場ができればリニアや中部国際空港2本目滑走路推進を加速させるものになります。そういったものに何百億という県民の税金が投入されて、一方では県民の福祉やくらし、教育には冷たいという姿勢です。国際展示場は、白紙も含め見直すべきということを最後に要望します。