〔未定稿 文責:日本共産党愛知県議会議員団〕
航空ミュージアム展示コンテンツについて
【下奥奈歩 委員】
第一号議案平成29年度一般会計予算(案)第3款 振興費第一項振興総務費のうち、まず、あいち航空ミュージアム整備費について質問します。
今年の11月30日にオープンを控えているあいち航空ミュージアムの開館準備が着々と進められていくとおもいます。
議案説明の中に展示コンテンツの制作、開館準備という項目がありました。準備がすすんでいくということで、改めて航空機の展示の仕方について伺います。
この間、私は航空機の歴史認識や、どのように航空機を説明して展示するのかということを聞いてきました。しかし、「過去からの歴史の積み重ねが、現在の航空機産業の礎を築いたもの」と答弁するのみで、歴史認識に対するまともな答弁は全くありませんでした。
戦時中航空機は、戦争が進む中で軍用機として利用され、すばらしい技術が人の命を奪うものにかわってしまった悲しい歴史を持っています。これからの私たち若者や、子どもたちに負の歴史があったということも正しく伝えていくのは大人の役目だと思います。
そこで、伺います。負の歴史認識を抜きにせず、若者や子どもたちに歴史を伝えていけるような航空機の展示をするべきと考えますが、どうでしょうか。答弁を求めます。
【航空対策課主幹】
あいち航空ミュージアムは、「航空機産業の情報発信」、「航空機産業をベースとした産業観光の推進」、「次代の航空機産業を担う人材育成の推進」の3つのコンセプトのもとに整備を進めており、展示機体は、モノづくり愛知の魅力を感じてもらえるものを展示することとしている。
【下奥奈歩 委員】
日本の名機100選に含まれる、軍用機の展示の説明が戦闘力やフォルムの賞賛、技術面ばかりになり、高い技術が軍事利用されてしまった負の歴史に触れないんじゃないかと大いに危惧するものです。
愛知の素晴らしい航空機産業や技術を伝えると同時に、軍事利用されてしまった歴史と、二度と軍事利用させない、平和のための利用にしていく、というメッセージを伝えていくのが歴史を学ぶ博物館の役割だと考えます。
また、展示物以外にも展示コンテンツとして、オリエンテーションシアターというものもあると議案説明の中に記載がありました。展示される航空機もですが、その映像も航空機の素晴らしさを強調するだけのものではなく、負の歴史と二度と軍事利用させないというメッセージを伝えていく映像にするべきと思いますが県の考えを伺います。
【航空対策課主幹】
繰り返しになるが、展示コンテンツについては、航空機産業の情報発信、航空機産業をベースとした産業観光の推進、次代の航空機産業を担う人材育成の推進の3つのコンセプトを基本として検討を進めている。また、次代の航空機産業を担う人材育成を推進するためにも、飛行機の飛ぶ仕組みといった基礎的な事項のみならず、モノづくりにかけた先人たちの技術や情熱等も伝えていきたいと考えている。
【下奥奈歩 委員】
次に、今回議案説明の中にシアトル航空博物館〈The Museum of Flight〉と姉妹提携に向けた取り組みを行うと書いてありました。
第一に姉妹提携を考えた経緯 第二に今後提携に向けてどんなことを取り組んでいこうと考えていくのか、第三に提携するメリットはどんなことがあるのか。この3点について答弁を求めます。
【航空対策課主幹】
昨年10月18日に、本県とワシントン州は、「友好交流及び相互協力に関する覚書」を締結した。この締結を受け、具体の取組の一つとして、同州にあるシアトル航空博物館との姉妹提携に向け取組を進めていきたいと考えている。
【下奥奈歩 委員】
提携するメリットはどんなことがあるのかお答えください。
【航空対策課主幹】
シアトル航空博物館は多くの機体を展示しているとともに、2,000を超える教育システムがあり、その運営ノウハウを学ぶためにも提携のメリットがある。
【下奥奈歩 委員】
私は、シアトル航空博物館が気になって調べました。
そして、ニューヨークから発信されているという写真や動画が掲載されているページにThe Museum of Flight について紹介されていました。
その紹介の中に、民間機の紹介もある中に、第二次世界大戦に使用されたB-29の展示や、ヨーロッパ戦線でB-17をはじめたくさんの戦闘機も展示されていることが紹介されていました。
なぜ、そういう博物館と提携をするのでしょうか。シアトル航空博物館を参考にしたら、愛知も戦闘機の実機が展示されていくのではと懸念をしています。今後、この航空博物館を参考に展示を考えていくのでしょうか。県の考えを伺います。
【航空対策課主幹】
シアトル航空博物館は、アメリカ西海岸で最大、かつ最も完成度の高い航空機を多数所蔵しており、また、ボーイング社をはじめとする航空機メーカーと連携した2,000以上の教育プログラムを有している世界有数の航空博物館であるので、こうしたノウハウを伝授していただき、あいちミュージアム運営の参考にしていきたいと考えている。
【下奥奈歩 委員】
今日の答弁でも、航空機産業の発展を理由に、戦争美化されるような展示にされてしまうのではないかという懸念がぬぐいきれません。
愛知県として、若者や子どもたちにすばらしいものづくり技術を軍事利用するようなことが二度とあってはいけない、平和的に利用されることを願うというメッセージを発信していくときです。
すばらしさだけでなく、負の歴史も伝えていくべきということを強く求め質問を終わります。