〔未定稿 文責:日本共産党愛知県議会委員団〕
愛知病院の在り方を質す
わしの恵子 委員
決算審査意見書P24のがんセンター愛知病院について、一般病床 226 床、結 核病床 50 床ありますが、一般病床の利用率が平成26年度、27年度と下がっており7割を切っていますがその理由は何でしょうか。
がんセンター愛知病院長
病床利用率が減っている理由として、入院延べ患者が年々減少していることがあります。
これは平均在院日数が短縮化されていることが大きな要因と考えております。 結核を除いた入院患者の平均在院日数は、平成25年度は年平均で 13.9 日、26年度は 13.0 日、27年度は 12.2 日と減少してきております。 平均在院日数短縮の主な理由としては、がん医療そのものが入院から外来へシ フトしてきていること、平成 26 年 4 月 1 日から DPC参加病院となったことによる外来化学療法や手術前にしていた検査など、外来で行うようになりました。 また最近ではクリニカルパス適用拡大による入院治療の効率化によって入院 期間が短縮化され、利用率の減少につながっていると考えられます。
わしの恵子委員
医療の進歩によるところが大きいということだと思います。 がんセンター愛知病院を取り巻く状況ですが、近くにある岡崎市民病院が平成25年に西棟が建設され、700床の大病院になりました。 今年4月には愛知県知事指定のがん診療連携拠点病院に指定されております。
更には藤田保健衛生大学が2020年4月開院を目標にして岡崎市の針崎町に同大学病院を設置し、二次救急病院で救急搬送には365日24時間体制で対応し、病床 数は400程度との報道があります。そんな中で、医療介護総合確保法による地域医療構想案が議論されておりますが、愛知病院が属する西三河南部東医療圏の病床数は、ほぼ現在数を確保したうえで、高度急性期病床数は半減の約300床減、回復期病床は約400床増を目標とされています。また、総務省の自治体病院改革プランは「病床利用率が3年連続で70%未満だった場合、病床数の抜本的な見直しなどを求める」、そして平成27年に通知された新公立病院改革ガイドラインでも「地域医療構想と整合性のとれた将来像を明確化」するよう求められています。このような状況の中で、愛知病院の今後のあり方をどのように考えているかお尋ねします。
経営課長
愛知病院の今後のあり方についてお答えします。 愛知病院につきましては、愛知県地域保健医療計画で、「三河地域のがん診療 の拠点病院として、がん診療機能の更なる充実・強化」が要請されておりますの で、地域におけるがん診療の連携・支援の強化やがん医療水準の向上に努めると ともに、切れ目のない緩和ケアを提供しております。 また、平成 27 年 4 月には国からがん診療連携拠点病院の指定を取得しましたので、従来にも増して、患者さんをご紹介いただく地域の診療所等の医療機関との関係を深めるとともに、岡崎市民病院や、がん医療の提供を予定している新大 学病院とも連携の強化を図り、地域のがん医療水準の維持・向上に努めていく必要があると考えております。 このため、今年度策定作業を進めております次期中期計画におきましても、地域医療機関との連携を強化しながら「三河地域におけるがんの中核的医療機関」となることを目指していきたいと考えております。 また、結核、感染症、へき地医療支援などの政策的医療にも引き続き取り組んでまいります。
後発医薬品などで医療費抑制を
わしの恵子委員
これからもがんばっていただきたいと思います。 次に決算審査意見書P30の外来収益について伺います。 外来収益91億4779万7325円は、前年と比較して7億7483万3579円と9.3%増加しています。 これは、延べ患者数は減少しているが、患者1人当たりの診療収入が増加したことによると説明されています。 患者1人当たりで計算すると平成25年度は21,886円、平成27年度は26,908円となり、5,022円、12.3%の増となっています。 この要因についてお尋ねします。
経営課主幹
外来収益の患者1人当たりの診療単価についてお尋ねいただきました。 委員ご指摘のとおり、平成27年度の外来診療単価は、25年度と比べまして 5,000円程度増加しております。 外来の収益は初診料や再診料の診察料、外来での投薬や注射、処置や簡単な手 術、検査、放射線などの収入でございますが、お尋ねのありました増加額のほとんどが、投薬・注射収入の増加によるものでございます。 これは、新しく高額な医薬品を採用したり、その適応拡大により使用量が増えたりしたことによる、薬による収入が増えたことが大きく影響しています。なかでも、がんセンター中央病院においては、外来での抗がん剤治療を積極的 に行っており、高額な抗がん剤の使用拡大などにより、注射収入だけで単価が 8,200円以上増加しており、病院事業全体の外来診療単価の上昇の大きな要 因の一つとなっております。
わしの恵子委員
高額薬品が増えて、特にがんセンターで主に使用されているとお答えいただきました。患者さんにとっては大切な薬だと思いますが、全体の医療費を上げていますよね。患者さんにとっても負担が大きいと思います。特に高額薬品というの が社会問題になっていると思います。その中で県立病院として全体の患者さんの 医療負担が増えている状況の中で、後発薬品を増やしていただくなど様々な工夫 をしていただいて患者さんの負担を少しでも減らすように要望しておきます。
看護師の処遇改善、人材確保の努力を
次に看護師確保について伺います。 看護師の退職状況について調べたところ、平成26年度106人、平成27年 度89人、合計195人でした。 20歳代の退職者がほぼ半分の94人もおられます。 小児保健医療総合センターは、全国から希望をもって若い看護師が来られるとお 聞きしています。そこで病院長にお聞きしますが、県立病院どこでも厳しい労働環境にあり大変 と思いますが、特に小児保健医療総合センターにおいては、働き続ける環境を作るために、どのような努力をされているのか伺います。
小児保健医療総合センター長
看護師の確保に関しては、看護師の就職フェアなどで要望として多く聞かれる 看護師宿舎の整備が大きな課題でありました。 しかしながら、小児センターの施設内に整備することは建築規制上困難な面も ありましたので、今年度から、病院近くの賃貸マンションを借上げ、看護師宿舎長として新規採用職員に提供し、16名の職員が利用しております。また、看護師の定着に向けた取り組みとしては、働く人を大事にする職場環境の整備、人材確保・定着・育成をスローガンに掲げて対策を行っております。 例えば、教育活動として、「新規採用者の育成」を始め、「中堅看護師のスキル アップ」等の研修も開催してキャリアアップをサポートしております。 また、働きやすい環境を整えるために、若い看護師さんの声を直接吸い上げる ことが重要であることから、マロンポストと名付けた意見箱を設置し、週1回、 看護部長や師長等が内容を確認し、若い看護師さんに回答を掲示するなどの取り 組みも実施しております。 さらに、育児と仕事の両立のため、「院内保育所の整備」や「育児短時間勤務等」の活用推進も行っております。
わしの恵子委員
いろいろな努力をしてもらっているのですね。引き続き続けていただきたいと 思います。 厚労省は平成22年に「看護職員の定着」を目的に「看護職員就業状況調査」 を行っております。「現在の病院で働き続けたい理由」の質問に対し、第1位は「通勤が便利」、第3位は「勤務時間が希望に合っている」、第4位は「休暇が取りやすい」というのがありました。 私が注目したのは第2位の「人間関係が良いから」が39.2%もあることで すが、病院には多くの職種があり、その職種についている職員が患者さんに接しています。それぞれの運営方針や看護対応などが職員全体で共有されることが大事だと 思います。そのようにして人間関係を大切にしていただくことをさらに要望したいと思 います。 続いて看護師の労働環境の改善について伺います。 先ほども看護師の退職状況を言いましたが、平成26年度は106人の退職者のうち定年まで勤めた方は4人、平成27年度は89人の退職者のうち定年まで勤めた方は7人でした。 その中で年度途中に退職される方もみえると思いますが、年度途中で退職され れば、欠員が生じてしまうのではないでしょうか。 そこで27年度当初と年度末の欠員の状況について伺います。
管理課主幹
平成27年4月1日の状況は、4病院合わせました看護師の定数が989名でございます。 これに対しまして、在職者は1,038名おりますが、この内、育児休業等で 休んでいる方を除いた実働者数は970名、つまり19名の不足となっておりま す。 次に平成28年3月31日の状況ですが、実働者数は962名で、27名の不足となっております。 なお、27年度の特殊事情といたしまして、小児センター及び精神医療センターで新病棟等での業務開始の予定があり、年度当初で定数を増員したところでありますが、いずれも業務開始が年度後半を予定していたことから、あえて年度当 初より欠員でスタートしたものです。
わしの恵子委員
年度当初より欠員が生じていたということですが、年度途中の採用や過員も含 めて、確実な人員確保に努力されていると思いますが、具体的にはどのように取り組んでおられるのか伺います。
管理課主幹
看護師につきまして、通常、年度当初において、年度途中での退職などによる欠員の発生を防止するため、あらかじめ業務に必要な人数に上乗せして職員を配置しております。 また、採用試験の実施にも力を入れておりまして、以前は年1回、夏ごろに行っておりましたが、平成27年度におきましては、希望者が受験しやすいよう6 月から概ね1カ月ごとに合計7回実施したところです。 試験日も土曜、日曜と2日準備して、都合がいい日に受験できるよう配慮して おります。 さらに、年度途中に欠員が見込まれる場合には、翌年4月に向けた採用試験の合格者の中で、既に看護師免許を取得済みの方については、ご本人の希望を聞いた上で、年度途中に前倒しで採用し充足に努めております。
わしの恵子委員
必要な人数に上乗せして採用するとか、試験の回数を増やすとか、土日にやるとか、きめ細かい取組、努力をしていただいていることがよくわかりました。しかし、まだまだ欠員という状況がありますので、今後ともしっかりと取り組んでいただきたいと思います。先ほど小児センターの方でも院内保育所の話がありましたが、若い女性医師、看護師が働き続けるためには、院内保育所は大切な施設だと思います。がんセンター中央病院に院内保育所がありますが、利用状況についてお聞きします。
がんセンター運用部長
平成27年度は、4月に21名で始まり、概ね20名を超える水準で推移し、年度末の3月には定員いっぱいの25名になりました。 内訳は25名中20名が看護師、5名が医師となっております。なお、27年度中に園児が増加したことから、保育所の隣室の更衣室を改修し、 10名分の新たなスペースを設けました。 平成28年度は、地域の保育所への移行もあり、9月末で18名の利用となっております。
わしの恵子委員
院内保育所が必要とされているという状況がよくわかりました。 これからも積極的に取り組んでいただきたいと思います。 先ほど小児保健医療総合センターの院内保育所についてセンター長からお話 がありましたが、これから作られるのですよね。
小児保健医療総合 センター事務局長
来年度にオープンということで準備しております。
わしの恵子委員
お医者さんや看護師さんの声をしっかり聞いていただいて、取り組んでいただ きますように要望して終わります。