〔未定稿 文責:日本共産党愛知県議会議員団〕
武豊火力発電所について
【下奥奈歩 委員】
地球温暖化の問題や、環境アセスを行っている武豊石炭火力発電について質問します。
地球温暖化の問題について
昨年12月に、第21回となる気候変動枠組条約締約国会議、いわゆるCOP21がフランスのパリで開催されました。これは、地球温暖化対策に世界全体に取り組んでいくための国際的な議論をする会議です。
このCOP21パリ会議では、196ヵ国の参加によって2020年以降の地球温暖化対策の新しい法的拘束をもつ国際的枠組みパリ協定が採択されました。これは、歴史的転換をもたらす合意になったと報道されました。パリ協定での合意は、世界の平均気温の上昇幅を産業革命前の水準と比べ2度を下回るようにし、1.5度に抑える努力をすると明記されています。
日本政府は2030年度における温室効果ガスの削減目標として、2013年度比で26%減と掲げていますが、これは1990年度比に換算すると18%減と極めて不十分なものとなっています。世界第5位の排出国と言われる日本としてとても責任ある態度とは言えないと考えます。
私は、パリ協定が採択された今、これを機に、再生可能エネルギーへの転換や低エネルギー社会への取り組みに本腰を入れていくべきと考えます。NGOは、90年度比で温室効果ガスを少なくとも40~50%削減を主張しています。
そこで伺います。まず、県としてCOP21において採択されたパリ協定の結果を踏まえ、どう受け止めているのか。基本的な見解を伺いたいと思います。
また、愛知県が他の都道府県の対策をリードしていくためにも、国に対し、削減目標を抜本的に引き上げることを求めるべきではないでしょうか。
【地球温暖化対策室長】
パリ協定は、初めて190余りの条約締約国全てが地球温暖化対策に合意したものであり、歴史的にも大変意義深いと言われております。この協定発効を契機に、先進国のみならず、世界規模で温室効果ガスの削減が進むことが期待されているところでございます。「パリ協定」を受けて、今年5月に閣議決定された地球温暖化対策計画によりますと、国が示した削減目標は技術的制約、コスト面の課題などを十分に考慮して算定されたものと承知しており、国は目標達成に向けて、約束草案に掲げられた施策を着実に実行していくとしております。
【下奥奈歩 委員】
パリ協定は、世界の温室効果ガス排出量の55%以上を占める55カ国以上が締結してから30日後に発効するとされている。アメリカ・中国を含む61カ国で、総排出量に占める割合で47.79%が批准し、4%を占めるインドは10月2日に批准しました。そして、EUも10月7日に批准する構えで、協定発効の条件が満たされることになり、11月下旬に発効されると報道されています。各社新聞報道で、未だに批准しない日本は遅れていると報道されています。
そこで伺います。世界から遅れ、世界の孤児となっていることに、県当局は異様な遅れであるという認識はありますか。
また、日本政府が批准しない間に、日本抜きで協定が発効されようとしていることについて、県としてどう考えていますか。
【地球温暖化対策室長】
これについては、我が国はこの臨時国会で批准案が審議されると聞いております。
【下奥奈歩 委員】
異様な遅れであるという認識はないということでしょうか。
【地球温暖化対策室長】
臨時国会で批准案が審議されると認識しております。
【下奥奈歩 委員】
各県が、温室効果ガスの削減目標を掲げています。例えば、京都府では、地球温暖化対策条例の中で、2020年までに1990年度比で25%削減するという目標を掲げています。では本県の取組はどうでしょうか。「あいち地球温暖化防止戦略」を見てみますと、2020年度における温室効果ガス削減量を1990年度比で15%削減としています。愛知県は、京都に比べても国の目標に比べても以上に消極的な数字だと思います。
そこで伺います。「環境首都あいち」というのなら、県は、もっと積極的な対策に取り組み、温室効果ガス削減目標値を思い切って引き上げるべきではないでしょうか。
【地球温暖化対策室長】
県は、国の地球温暖化対策計画を踏まえ、現行の「あいち地球温暖化防止戦略2020」の検証を経て、新たな計画として仮称ではありますが「あいち低炭素社会づくり戦略」の策定に向け、有識者を交えた委員会を設置し、策定の検討を始めたところでございます。県としては、削減目標や目標達成のための施策について、委員会での議論を踏まえて今後、検討してまいりたい。
【下奥奈歩 委員】
削減目標値を思い切って引上げていくことも含めて検討が行われているのでしょうか。
【地球温暖化対策室長】
削減目標につきまして、政策も含めて委員系での議論を踏まえて今後検討をしてまいります。
【下奥奈歩 委員】
答弁では目標値について答えが無かったので、たいへん不安もありますが、ぜひ目標値を引き上げるということも念頭に置いて、議論していくべきであると思います。
石炭火力発電所について
【下奥奈歩 委員】
次の質問です。COP21 開催中に、化石燃料の利用をやめ、再生可能エネルギー100%をめざす「脱炭素」という動きがさらに広がりました。ところが政府は昨年に原発と石炭火力発電をベースロード電源と定め、原発の再稼働、石炭火力発電所の建設を進めようとしています。これは、今世紀後半の温室効果ガス排出を実質ゼロにするとしたパリ協定に逆行するものです。
環境省は、国の温室効果ガス削減目標を達成できなくなる恐れがあるとして、昨年、愛知を含む4県に対して待ったをかけたにも関わらず、今年2月中旬に環境省は経済産業省と懇談をして、突然態度を変え石炭火力発電所の新設を容認しました。
環境NPO気候ネットワークによりますと、国内で48基(2284.6万キロワット)もの石炭火力発電の計画が進められています。これが全て稼働された場合推計で年間約1億3707万トンのCO2が排出されます。
そして、この愛知では武豊に石炭火力発電の新設が計画されています。この発電所の環境アセスメントで国が新設を容認したら、愛知もただちに賛成といって、知事意見をだしました。このように県民の命や暮らしよりも、国の方を向いている県の態度は大問題です。地球温暖化防止に真剣に取り組む姿勢ではないと思います。
石炭火力発電所は、CO2など温室効果ガスを大量に排出し、温室効果ガス削減とは逆行するものであり、新設推進は、将来にわたり環境を破壊への道となるものです。
そこで伺います。県民のくらしや命、安全を守るために、県として、石炭火力発電所の計画に対して、白紙撤回を求めるべきではないでしょうか。
【環境活動推進課 主幹】
石炭火力発電所を立地する場合には、電気事業法の規制がかかります。従って、事業の可否については、経済産業省が判断するもので、県は事業の可否を判断する立場にございません。
県の役割は、環境影響評価手続の中で、環境影響評価法に基づき、環境の保全の見地から意見を述べることであり、事業の賛否を表明するものではございません。
指摘のりました武豊火力発電所リプレース計画につきましては、既設の石油火力発電施設が老朽化したことから、より高効率の石炭火力発電施設を設置するものでございます。
学識経験者からなる愛知県環境影響評価審査会の意見を踏まえまして、環境影響評価法に基づき、昨年7月31日計画段階環境配慮書に対しまして、また本年3月2日に環境影響評価方法書に対して知事意見を提出しております。
これら知事意見におきまして、環境の保全に関する最新の知見を踏まえ、最善の利用可能技術を導入するなど、より一層の環境影響の低減について検討するよう求めているところでございます。
【下奥奈歩 委員】
県としては、国言いなりの態度だという答弁だったと思います。県として環境を守る立場だということが見えてこないと感じました。
次の質問です。
石炭は、最も多種多様な汚染物質を排出する燃料です。さまざまな汚染物質が排ガスと共に大気に放出されて、環境汚染を引き起こします。排ガス浄化技術も進んでいますが、汚染物質の排出はなくすことはできません。
日本も世界も大気汚染は安心できる状態ではありません。最近、WHOは、大気汚染の深刻さについて指摘しています。大気汚染は、脳卒中や急性呼吸器感染症、慢性閉(まんせいへい)寒性(そくせい)肺(はい)疾患(しっかん)、あるいは、肺がん発症などの原因となり、毎年300万人を超える早期死亡を引き起こしています。大気汚染は従来考えられていたより、はるかに健康影響をもたらしており、地球規模の健康被害をもたらす最大のリスク要因であると、注意喚起しています。
そこで伺います。こういった県民の生活と健康に大きな影響を与えることになるという問題性を県は認識しているのでしょうか。認識しているのであれば、石炭火力依存を減らしていくことを第一に目指すべきではないでしょうか。
【環境活動推進課 主幹】
本県は、武豊火力発電所リプレース計画の配慮書及び方法書に対して知事意見を述べているが、知事意見では、環境の保全に関する最新の知見を踏まえ、最善の利用可能技術を導入するなど、より一層の環境影響の低減について検討するよう求めているところです。
今後、中部電力株式会社は、環境影響評価法に基づき、環境影響評価の結果を環境影響評価準備書として取りまとめることとしております。
本県としては、愛知県環境影響評価審査会の意見を聴きつつ慎重に審査し、適切に意見を述べてまいりたいと考えております。
【下奥奈歩 委員】
県民の健康に大きな影響を与えることになる問題性を県は認識しているのか、そこを応えてほしいのでもう一度答弁をお願いします。
【環境活動推進課 主幹】
繰り返しになりますけれども、中部電力が環境アセスの結果を準備書でとりまとめる、その中で環境保全措置が盛り込まれることになっておりますので、それについて本県として慎重に審査して、適切に意見を述べていきたいと考えております。
【下奥奈歩 委員】
(要望)
CO2負荷、大気汚染物質負荷の高い石炭火力をつくっていくような石炭火力重視の政策は一刻も早く停止するべきです。そして、再生可能エネルギー中心の動力・エネルギーシステムの転換を進めるべきです。
国言いなりの石炭火力発電所の計画は撤回し、地球環境の保全最優先また、県として県民が安心して生活できる環境を守ることを最優先するという基本原則の立場にたった環境政策に切り替えることを強く求め、質問を終わります。