〔未定稿 文責:日本共産党愛知県議会議員団〕
子どもの貧困調査実施の予算(予算額47,390円)について
子どもの貧困対策政策につながる調査を
【わしの恵子 委員】
子どもの貧困調査について質問させていただきます。
愛知県は「愛知子ども調査」を実施するため「子どもの貧困対策検討会議」を立ち上げ、これまでに3回行われています。今回の補正予算案では、「愛知こども調査」及び「ひとり親家庭等実態調査」を行うものですが、「子どもたちが生まれて育った環境に関わらず、健やかに成長していく環境を整備していくことが重要である」と、知事も述べておられるが、今後の県の実効性ある子どもの貧困対策を進めるにあたってどんなスケジュールで進めていくのか伺います。
【地域福祉課主幹(地域福祉)】
「愛知子ども調査」は、本年12月に実施予定としている。
調査実施後は、29年3月末までに、調査の集計結果をまとめ公表するとともに、各市町村へは、該当分のデータをフィードバックする予定としている。
なお、調査結果の詳細な分析は、調査内容等を検討するために設置しました有識者による「子どもの貧困対策検討会議」において、29年4月から行うこととしており、分析結果を最終報告書として取りまとめる予定としている。
【わしの恵子 委員】
私は、6月定例会でも実効性ある子どもの貧困対策を行うためには、健康福祉部だけの取り組みだけではなく、全庁的に取り組むことを要望し、子どもの貧困対策検討会議において、今後具体的な子どもの貧困対策を検討するといわれたが、就学援助制度問題は教育委員会、暮らしや雇用の問題では県民生活部、産業労働部などと、連携していく必要があると考えます。これについては、本会議の一般質問でもありましたが、私も同じ考えであることを表明したいと思います。
続いて、今回取り組む子ども調査は、小学1年生の保護者7,000人、小学5年生の子どもと保護者でそれぞれ7,000人、中学2年生の子どもと保護者それぞれ7,000人の合計35,000人、その他に、ひとり親家庭等実態調査もおこなうとのことですが、ひとり親家庭に対する調査については、「愛知県ひとり親家庭等実態調査」が5年ごとに行われており、前回は、平成24年度に実施されました。今度の調査はこれまでの調査結果を踏まえて行うものと考えるが、どういう観点で行うのかお尋ねします。私は、日本の働くシングルマザーは、世界の中でもとりわけ貧困率が深刻だと認識しています。そこで、特に働くシングルマザーの子どもたちに目を向けた調査を行ってほしい、そして、子どもの貧困対策を行うことが必要だと考えますがいかがでしょうか。
【児童家庭課主幹(児童家庭)】
「愛知県ひとり親家庭等実態調査」は、母子家庭及び父子家庭並びに寡婦の生活上の問題点や行政の施策に対する意向について、前回の調査内容を基本として最新の実態を調査するものです。
また、今回の調査では、今年度、厚生労働省が実施する全国ひとり親家庭等調査の調査項目を参考に項目を追加するとともに、同時期に実施する愛知子ども調査と整合性を図った項目を加えて、その調査結果と合わせて多角的な分析をすることとしております。
ひとり親家庭等実態調査では、シングルマザーを含めた、ひとり親家庭の子どもに対する調査項目として、保育の状況、進学希望、教育費の状況、子どもの悩み、病気のときに看護する人等を予定しております。
この調査結果からひとり親家庭の子どもに対する問題を把握し、今後の施策につなげてまいります。
県として子どもの居場所づくりを支援することを求める
【わしの恵子 委員】
子どもの貧困の背景ですが、親や家庭の貧困が大きな原因と考えます。3年前の国会で、生まれ育った環境で子どもの将来を左右させてはならないと、子どもの貧困対策法が全会一致で成立しています。そこで、県としても、貧困対策法を受けて、子どもたちの実態をつかみ、支援していくべきと考えますが、私は、緊急課題として具体的な提案をしたいと思います。
6月定例会でも、学習する環境が不十分な子どもたち、栄養価のあるものを摂ることができない、こういう子どもたちには、無料学習塾や子ども食堂などについて、県内の実態の把握、そして、県としての今後の取り組みについて伺ったが、その時の答弁では、学習支援事業は、県内の40市町にある。子ども食堂は、民間の社会福祉法人やNPO、地域の有志などにより、県内10市において、17か所で取組んでおり。今後については、市町村と連携して助言、情報提供に努め、実態把握をしていくという答弁をいただきました。そこで、その後の実態把握が進んでいるところがあれば伺います。
【地域福祉課主幹(地域福祉)】
「学習支援事業」については、前回お答えした時と変わらず、40市町において、何らかの学習支援事業が実施されている。
「子ども食堂」については、今年8月に改めて県内市町村に実態調査を実施しましたところ、市町村で把握しているものは、19市において、33か所が確認されている。
【わしの恵子 委員】
私は、子ども食堂や無料学習塾などは、応急手当であり、根本的な貧困の解決にはならないと考えている。しかし、貧困の連鎖をなくすためにも、切実な課題だと思う。特に子ども食堂は、ただ食事を提供するのだけの場所ではなく、その地域の子どもたちが安心して生活をして、豊かに成長できる「居場所」でもあると思います。それぞれの市町村が子どもの居場所づくりとして、NPO法人等の民間やボランティアの力も借りながら、きちんと予算を組んで取組むことは大切なことだと思います。
調べてみると、兵庫県では、「子ども食堂応援プロジェクト」という名称で、NPO法人や社会福祉法人が実施する「子ども食堂」運営事業を県内全域に拡大するため、立ち上げ経費を助成しています。そして、長野県でも今年度から、子どもの居場所づくりモデル事業として、地方創生加速化交付金を使って、貧困家庭等の子どもを対象に食事の提供や学習支援などを長野県NPOセンターに委託して実施しているそうです。
そこで質問ですが、愛知県でも、各市町村が「子ども食堂」や「無料学習塾」について、一層取り組んでいけるように、財政支援を含めた施策を図るべきと考えるが、いかがですか。
【地域福祉課主幹(地域福祉)】
市町村が「無料学習塾」に取組む場合は、国の生活困窮者自立支援制度の「子どもの学習支援事業」として行うことができることから、本年度は、この事業の国庫補助金を活用して、19市で事業が実施されている。
県としては、国の生活困窮者自立支援制度の国庫補助金を活用することにより、それぞれの市町村において、地域の実情に応じた「子どもの学習支援事業」が実施されるよう、引き続き、働きかけてまいりたい。
また、「子ども食堂」の取組を市町村で実施する場合については、生活困窮者自立支援制度の「子どもの学習支援事業」の中で、「居場所づくり」の事業として実施することが可能でありますので、意欲のある市町村に制度の周知を図ってまいりたい。
【わしの恵子 委員】
子ども食堂についても、無料学習塾についても、いずれも、国の制度を活用して、市町村に情報提供していくとの答弁であったと思うが、私は、愛知県が率先して、兵庫県のようにやっていただきたいと思います。子どもたちが県内どこに住んでも、同じ待遇を受けられるようにすべきと思います。子どもたちは日々成長しているので、兵庫県が子ども食堂を県内全域に拡大する立ち上げ経費を助成するという考え方は、とても大切だと思っています。子ども食堂、無料学習塾、国の制度があるからといって、見守るだけではなく、県が率先してやっていただきたいと強く要望したいと思います。
国に先駆けて県独自の政策を求める
続いて、子どもの居場所確保は、無料学習塾や子ども食堂だけに限らずに、学童保育も大切な居場所だと思います。県が母子家庭等を対象に行っているひとり親家庭等実態調査の平成24年度を見ると、放課後を「自宅で過ごしている」が77%と一番多くありました。放課後児童クラブ(学童保育)は、23.6%。これは、学童保育に行きたくても保育料を払えないために、行けない子どもたちが多いということではないかと考えます。市町村の中には、児童館学童など安価な保育料のところもありますが、自主的に運営している学童保育では、保育料が高くて入所するのが困難という子どもがたくさんいます。放課後一人ぼっちで過ごす子どもたちの居場所をつくることは、行政の大きな役割であり、喫緊の課題であると思います。
私は、経済的に苦しい子どもたちを対象に、学童保育料の無料の制度を創設してもいいのではないかと考えています。県が支援を行う考えがあるのか伺います。
【子育て支援課主幹(子育て支援)】
放課後児童クラブについては、その実施主体である各市町村において、低所得者世帯の子どもたちの利用の機会が失われることのないよう、市町村独自の施策としてそれぞれの実情に応じて、ひとり親家庭などに対する利用料の減免を行っているところである。
今年度、利用料の減免状況を調査したところ、47市町村において利用料の無料化や減額をしていることがわかった。
県としては、全ての子どもたちが安心して過ごすことのできる放課後の居場所づくりは大変重要であると考えているので、低所得者世帯の放課後児童クラブの利用料の減免が国の施策として全国で統一的に行われるよう、全国知事会や16大都道府県児童福祉主管課長会議を通じて国に対し要望しているところである。
【わしの恵子 委員】
全体的には、そういう居場所づくりは大切だというところで、落ち着いて来ると思います。国へ要望することは、当然のことでありますが、沖縄に続いて子どもの貧困調査を行う愛知県でありますので、全国に先駆けて、そういう私の要望しました事業について、実践していただくように、求めて質問を終わります。