〔未定稿 文責:日本共産党愛知県議会議員団〕
子どもの貧困について
【わしの恵子 委員】
子どもの貧困対策について質問させていただきます。
話があったように、県が名古屋市を含む県内全域の小中学生について、35,000人を対象に生活実態を調査し、全体に占める困窮層の割合を示す子どもの相対的貧困率を算出すると発表し、大村知事も自らのことを挙げながら、子どもの貧困問題を世代をまたいで連鎖させないという決意を持って調査すると述べたことに私は大変高く評価しています。私も名古屋市内の中学生がお昼になるといつの間にかどこかへ行ってしまう生徒がいます。お弁当も持たずスクールランチもいただけない、そういう子どもがいると聞いて心を痛めていました。
今、貧困と格差がいっそう拡大している中で、子どもの貧困は社会問題となっています。国の対策は、ひとり親世帯への経済的支援の一部強化などにとどまり、根本的な打開策を打ち出していません。3年前の国会では、生まれ育った環境で子どもの将来を左右させてはならないと、子どもの貧困対策法が全会一致で成立しています。
ところが子どもの貧困について、ますます深刻になるばかりです。この貧困率が急増する背景には、政府が進めてきた雇用、福祉、社会保障の切り捨てによる貧困と格差の拡大があると先ほども言いましたが。あると思います。
子どもの貧困率は、標準的世帯の年間可処分所得の半分、1人当たり約122万円未満で暮らす18歳未満の割合を示すものであります。
貧困であることは、落ち着いて勉強する環境がない、親が仕事で忙しくてなかなか相手にしてもらえない、朝食を食べていない、栄養価のある食事が取れないなど、発達の諸段階でさまざまなハンディを背負って大人になり、貧困が固定化し、次世代に連鎖していきます。子どもが将来に希望を持てるように、子どもや家庭が抱える問題を取り除くのは政治の責任だと考える。私は、県が独自の調査を行うことで、県特有の課題を洗い出し、実効性のある子どもの貧困対策につなげて欲しいと要望します。
そのうえで、現在県が取り組んでいる子どもの貧困対策について伺います。1つはあいちはぐみんプラン、先ほどもありましたが、2015~2019年までの5年間、子どもの貧困対策推進計画を立てて様々な取組をしています。私は、子どもの貧困対策というなら、シングルマザーの経済的支援を拡充することが急務と考えています。OECDのデータでは、日本の場合、就労していないひとり親世帯の貧困率は50.4%となっています。就労しているひとり親世帯の貧困率は50.9%と、逆に上昇してしまう。働くと逆に貧困率が高くなるような国は世界で日本だけです。原因はシングルマザーの5割以上が非正規で働いているからです。
そこで、現在、県のひとり親手当はどうなっているのか伺います。
【児童家庭課主幹(児童家庭)】
ひとり親手当だが、国の制度である児童扶養手当と県独自の制度である遺児手当がある。
児童扶養手当は、所得によって変わるが、全部支給の場合、平成28年4月分から月42,330円で、所得に応じた一部支給の場合で、月42,320円から9,990円の範囲で支給される。
第2子については月5,000円の加算、第3子以降は月3,000円が加算さる。
県の遺児手当については、5年間が支給期間であるが、支給開始から3年目までは児童1人につき、月4,350円、4年目から5年目については月2,175円の支給額となっている。
【わしの恵子 委員】
私は貧困の連鎖を断ち切るためには、ひとり親家庭に対する児童扶養手当、第2子以降は例えば一律1万円増額するとか、支給対象も、よく今18歳以上のことを言われますが、せめて20歳未満まで拡大して大学進学等の支援をしていただきたいと思いますが、県の見解を伺います。
【児童家庭課主幹(児童家庭)】
児童扶養手当の第2子以降の更なる増額について、平成28年8月分から増額され、支給は12月になるが、所得が低い方で全部支給の場合、第2子の加算は月5,000円が月10,000円に、第3子以降は月3,000円が月6,000円の加算となった。
第2子以降の更なる増額や20歳未満までの支給対象年齢の拡大については、国は児童扶養手当の生活安定・自立促進機能の在り方を再点検し、その結果を踏まえ児童扶養手当の機能の充実を図ることとするとともに今年度ひとり親家庭の実態調査を行うことを予定しているので、まずは、これらの動向を注視してまいりたいと考えている。
なお、ひとり親家庭の子どもの大学進学の後押しとして、特別会計による母子父子寡婦福祉資金貸付の修学資金貸付を実施し、支援しているところである。
【わしの恵子 委員】
今年の8月から増額をするという話がありました。色々な施策についても答えをいただきました。さらなる支援がされるよう、国に対しても要望していただきたいと思います。
先程述べたように、学習する環境が不十分な子どもたち、朝食を食べてこない子どもたち、栄養価のあるものを採ることができない、こういう子どもたちへの支援では、無料学習塾とか子ども食堂、地域の方々の努力などによって取組が全国でも広がっています。すでに愛知県内でも中部大学や日本福祉大学の学生有志団体が学習支援の取組を行っていると聞いています。子ども食堂についても、地域やボランティア団体による取組が広がっていると聞いています。
そこで、貧困家庭の子どもたちの支援を行う学習支援事業だとか子ども食堂などについて、県内の実態について、把握はどうか。そして県として今後どのように取り組んでいくのか伺います。
【地域福祉課主幹(地域福祉)】
県内の学習支援事業と子ども食堂の実態について、各自治体が実施する子ども達への学習支援の取組は、教育委員会で実施する地域未来塾や放課後子供教室のほか、福祉部局では生活困窮者自立支援制度の子どもの学習支援事業やひとり親家庭の子どもの生活・学習支援事業があり、現在、県内の40市町において何らかの学習支援事業が行われている。
また、子ども食堂は、民間の社会福祉法人やNPO、地域の有志の方々によって開設されており、市町村で把握しているものは、県内10市において17か所となっている。
次に、今後の取組については、学習支援事業は、未来を担う子ども達にとって貧困の連鎖を防ぐ対策の一つとして大変有効であると考えている。学習支援事業に取り組んでいない市町村に対しては、県教育委員会とも連携しながら、それぞれの地域に応じた学習支援を実施できるよう、県内外の市町村の取組や成功事例を紹介するなど、助言、情報提供に努めたいと考えている。
また、子ども食堂は、比較的新しい民間による取組であることから、利用される人数や場所、頻度等について実態把握をしてまいりたいと考えている。
【わしの恵子 委員】
具体的に答弁をいただきました。まだまだ子ども食堂についてはこれからだと思いますが、是非実態把握をして、さらなる支援をお願いしたいと思います。学習支援についても同じく要望したいと思います。
虐待や経済的事情によって児童養護施設で暮らす子どもたちがいるが、18歳になると原則施設を出て自立しなければなりません。そのため大学進学を諦めたり、また、就職しても転職する青年もあるなど、継続した支援が必要な場合もあると思います。
そのため厚労省は、原則18歳までとされている施設で暮らせる期間を22歳まで延長し、支援を強化する方針も検討していると聞いています。合わせて大学などへ進学し、施設を退所する子どもには最大で4年間、家賃や生活費を実質的に支給する制度を新たに設けるほか、施設を退所した子どもたちが低料金で暮らせる自立援助ホームについても、退所年齢を20歳から22歳に引き上げることにしていると聞いています。これらの対策に対し、県としてはどのような見解を持っているのか、そしてどのようにしていくのか伺います。
【児童家庭課主幹(児童家庭)】
保護者がいない子どもや経済的理由により保護者が育てることのできない子ども、更には児童虐待により家庭での養育が適正でない子どもを公的な責任で養育する「社会的養護」は大変重要なことであり、児童養護施設等の入所児童が退所後、社会的な自立ができるよう支援することも大事なことであります。
そのため、県としも国が27年度補正予算で創設した児童養護施設退所者等自立支援資金貸付事業を推進していく。
また、国においては社会的養護としての支援を何歳まで継続するかを検討することとしており、この動きを注視する必要がある。
なお、児童福祉法の改正により大学等就学中の者については22歳までの支援が自立援助ホームについて延長されたことは、評価できるところだが、自立援助ホームについては県所管施設としては県内にまだ2施設しかないため、今後更に数を増やしていくことが必要であると考えているところである。
【わしの恵子 委員】
それぞれ具体的にお答えいただきました。今日も中日新聞に新貧乏物語ということで載って、心を痛めています。でも本当に今、県の答弁を聞くと、一生懸命やっていただいていると思うし、厚生労働省もそういう考え方を示しているので、是非とも見守るだけではなくて、積極的に取り組むよう要望します。
最後に、先ほど自民党の委員からもありましたが、子どもの貧困対策は健康福祉部だけの問題ではないと思います。全庁的というか、横断的というか、他の部署にも関わってくると思いますので、本当に愛知県を挙げて取り組んでいただくことを要望します。