愛知県知事 大村 秀章 様 2025年 10月10日
日本共産党愛知県委員会 委 員 長 石山 淳一
日本共産党愛知県議団 県議会議員 しもおく奈歩
2026年度(令和8年度)愛知県予算編成に関する要望書
先の参議院選挙では、総選挙に続き自民党・公明党が過半数割れを起こす結果となりました。これは、アメリカいいなり、大企業優遇を続けてきた自民党政治のもとで、物価高騰によるくらしの苦難に直面した国民の「一刻も早く自民党政治を終わらせたい」という強い願いの結果です。その一方で、「日本人ファースト」「暮らしが苦しいのは外国人優遇のせい」など根も葉もないデマと外国人差別、排外主義をふりまく勢力が伸長しました。この流れの根底には、くらしの深刻な困難と政治への閉塞(へいそく)感があります。その切実な要求に応え、くらしの困難を打開していくことこそ行政が本来果たすべき役割です。
愛知県は製造業を中心にして、正規雇用とともに、多くの非正規雇用の労働者、外国人労働者が経済を支えているのが特徴です。今こそ、県民の生活を守り、外国人差別、排外主義を許さない愛知県の役割が求められています。非正規雇用の待遇改善と正規雇用を広げることがくらしを守るためには欠かせません。また全国で5番目に高い男女の賃金格差、管理職の割合が全国でワースト1というジェンダー平等後進県を脱し、誰もが安心して働ける社会をつくることが必要です。全国一のCO₂排出量の碧南火力発電所を有する県として、気候危機打開の積極的な対応が求められます。
全国で最低水準となっている教育・福祉・医療・防災の分野の予算を思い切って引き上げることが今こそ求められています。今年の包括外部監査では、愛知県の目玉事業である国際展示場、ステーションAI、IGアリーナをめぐって不透明な部分が指摘されています。一部の大企業を優遇するしくみや大型開発推進の立場を転換し、中小企業への直接支援など県民に手厚い施策をすすめるときです。
愛知県は、戦争する国づくりを支える敵基地攻撃能力の保有のための兵器を製造する拠点となっています。愛知県が進めるスタートアップ事業に参画するイスラエルの企業は、イスラエルの軍需産業と連携しています。繰り返される県内への自衛隊艦船の来航など、愛知の軍事基地化、軍需産業の拠点化をやめて平和を構築することに愛知県が貢献するならば、日本とアジアの平和外交を推し進める力となります。
こうした立場から、以下、日本共産党愛知県委員会及び日本共産党愛知県議団として、267項目の要望をまとめました。来年度の予算編成に反映していただくよう強く要望します。
【要望事項の柱】
- 県民のふところをあたため、物価高からくらしを守る
- あいつぐ災害の教訓をふまえ、これからの災害へ備える
- 新型コロナなど感染症対策をふくめ、安心できる保健・医療の体制を整えて命と健康を守る
- 介護や国保の負担軽減と福祉の拡充で、命とくらしを守り支える
- 保育・学童保育の拡充などで、子どもたちの豊かな成長を保障する
- 教員不足を解消し、子どもの権利を守る教育条件の整備・充実をはかる
- 一日7時間週35時間働けば普通にくらせる社会へ 非正規ワーカーの処遇改善を急ぐ
- 障害者権利条約にもとづく施策を実現し、障害者(児)の生活と権利を守る
- 差別やハラスメントをなくして多様性を尊重し、誰もが尊厳をもって自分らしく生きられる社会、誰もが持てる力を発揮できるジェンダー平等社会をつくる
- 大企業・高度先端産業優先、企業誘致型の産業政策から、中小企業・地場産業・農林漁業優先に転換して雇用と消費を増やし、内発型・循環型の地域経済を実現する
- バリアフリーの拡大などで、くらしやすい住環境等を整備する
- 大地震や津波をはじめ、巨大台風や線状降水帯による集中豪雨や突風、土砂災害などにしっかり備える
- 2050年までに温室効果ガス排出実質ゼロを実現し、気候危機から未来を守る
- リニア中央新幹線、中部空港第二滑走路、設楽ダムなど、不要不急で浪費型の大型事業をやめる
- 文化・芸術へ手厚い支援を行い、スポーツ施策を充実する
- 憲法と地方自治を行政に生かし反核平和などの国際連帯・交流をすすめる
- 有効な施策が展開できるよう、県の財源を確保する
(1) 県民のふところをあたため、物価高からくらしを守る
- 消費税の5%への減税及びインボイス制度の撤回を国に求めること。
- 最低賃金をただちに全国一律、時給1500円へ引き上げるよう国に求めること。
- 会計年度任用職員など非正規職員の時給を1500円以上にすること。公契約条例に時給1500円以上の報酬下限額を設けること。 医療・介護・保育・福祉などで働くケアワーカーの賃金と処遇を改善すること。介護報酬を緊急の引き上げを国に強く求めること。
- 中小企業・小規模事業者などへ賃上げ促進、事業継続支援の補助制度をつくること。
- 「いのちのとりで裁判」最高裁判決に従い、不当な減額分を速やかに回復すること。生活保護利用者に夏季加算及び食料品や光熱費高騰に応じた臨時手当を支給すること。
- 県の特別障害者手当及び障害児福祉手当・在宅重度障害者手当を引き上げること。
- 来年予定の県営水道料金の値上げを中止し、2024年9月までの料金に戻すこと。
- 国民健康保険料(税)を一人年間3万円下げるよう市町村の納付金を減らし、一般会計から繰入れること。介護保険と後期高齢者医療の保険料を引き下げる補助を行うこと。
- 中小企業・小規模事業者向けに県が行ってきた物価高騰対策についてその効果を検証し、必要な施策は国の臨時交付金待ちにならず、通年執行すること。
- 教育に係る費用を軽減すること。学校給食を無償化すること。高校タブレット端末は無償貸与を継続すること。県立高校エアコン代の保護者(PTA)負担をなくすこと。給付型奨学金を設けること。県立大学の学費を無償化すること。
- 公共交通料金の子ども料金の適用年齢を18歳まで引き上げること。
- 主食である米の価格を安定させること。あわせて生産者への支援を強化すること。
- 市町村の行う生活支援等の事業を促進する包括的な県補助金を創設すること。
(2) あいつぐ災害の教訓をふまえ、これからの災害へ備える
- 耐震化を促進する。市町村ごとの住宅耐震化を公表し目標と期限を定めて促進すること。緊急道路沿線建物の耐震化、地盤と宅地の耐震化=液状化対策を促進すること。
- 災害関連死をなくすため避難所の生活環境をスフィア基準に沿って改善する。とくにトイレは初期段階では50人に1基、中期段階では20人に1基とし、女性用と男性用の割合が3対1となるように対応を急ぐこと。
- 被災者生活再建支援制度を設ける。半壊や一部損壊住宅、浸水住宅、宅地被害家屋など、災害規模に関わらず全被災世帯をカバーする支援制度を設けること。
- 被災事業者を支援する。とくに営農支援、事業再開支援への補助をつくること。
- 防災会議の女性比率を高める。現在の4%をまず第5次男女共同参画基本計画の2025年度目標の30%に引き上げること。避難所運営には必ず女性が参画すること。
- 2024年8月に発生した蒲郡市での三人が犠牲となった土砂災害を繰り返さない。報告書では、土砂崩れを招いた表流水の発生原因は特定されず、不安は解消されない。第三者による検証を行い、事故原因を明らかにしたうえで必要な再発防止策を確立すること。
(3) 新型コロナなど感染症対策をふくめ、安心できる保健・医療の体制を整えて命と健康を守る
- ひっ迫する医療機関の経営を支え、良質な医療提供を維持するために、診療報酬の増額改定を国に求めると共に、県独自に医療機関への恒常的な支援制度を設けること。
- 1床当たり410万円の補助金を出す病床数適正化支援事業による病床削減を中止し、必要な病床数の確保に努めること。
- 愛知県がんセンターの整備・建替えについて、経営の効率化を推進するための経営手法見直しや病床削減ではなく、直営を堅持すること。がんの治療・予防・研究の拠点としての機能を堅持し、そのために必要な人員を確保すること。
- 県立病院、公的医療機関を関係機関と協力して充実させること。とりわけ精神医療、障害児者の医療については県が責任を持って対応すること。
- へき地医療について、県が責任をもって対応すること。特に、地域医療がひっ迫している東三河北部医療圏において県立の救急指定病院、透析センターをつくること。最寄りの医療機関にスムーズに救急搬送できる体制をつくること。派遣医師を増員し必要な医師数を維持すること。
- 公衆衛生の要として保健所の機能と体制を強化すること。削減した保健所や支所を復活させ、保健師等を増員すること。市町村及び各保健センターとの情報共有と連携強化で疫学調査の徹底や自宅療養者の支援など、感染拡大に対応できる体制を整えること。
- 感染症用ベッド及び発熱外来の機能を維持するよう医療機関への支援を続けること。
- コロナ感染の後遺症と思われる症状について相談・受診できる体制を整えること。あわせて医療費を支援する制度を設けること。
- ワクチン接種に伴う副反応について無料で相談・受診できるようにすること。副反応に関する正しい情報を提供すること。予防接種健康被害救済制度の周知をはかること。
- 高齢者施設等でのクラスター発生が繰り返されている。日常的に介護が必要な高齢・障害の感染者を受け入れできる介護付き療養施設を備えておくこと。
- 感染拡大の波が繰り返し発生していることを踏まえ、医療や公衆衛生の専門家及び自治体関係者とともに、遅滞なく対処方針を打ち出せる体制を整えておくこと。
- 勤務医の労働条件改善、研修制度の改善などを進めて、全国平均を下回っている医師確保を図ること。とくに小児科・産婦人科などの充実をはかること。女性医師への援助を強めること。
- 県として看護師確保計画を作成し、公立の看護専門学校の増設と定員増、学費無償化、給付型奨学金の導入などで、人口比で全国的に少ない看護師不足を打開すること。
- 県の看護修学資金の貸付制度を復活するとともに、運用を拡充すること。
- 救急車や救急隊員を増やし、救急体制を強化すること。救急車の適正利用を目的とした、救急搬送で入院に至らなかった患者からの選定療養費の徴収を導入しないこと。
- 県として社会福祉法に基づく無料低額診療事業を実施すること。実施医療機関の拡大計画を立てること。
- 「差額ベッド代を支払わなくてもよいケースがある」との厚生労働省通知の趣旨を病院に徹底し、県民に周知すること。
(4) 介護や国保の負担軽減と福祉の拡充で、命とくらしを守り支える
- 市町村が愛知県に納める国保の納付金がこの4年間で一人当たり3万円(24%)もあがり国保料(税)引き上げの大きな要因となっている。一般会計からの繰り入れなどで国保の納付金を一人当たり3万円引き下げ、国保料(税)の負担を軽減すること。
- 国保料(税)の18歳以下の子どもの均等割保険料(税)を廃止すること。
- 国保会計の繰越金と基金を国保料(税)の引き下げに活用すること。
- 市町村に保険料の統一も理由にした赤字解消計画を強制しないこと。一般会計からの法定外繰り入れ、保健事業など市町村の自主決定権を尊重すること。
- 障害者・ひとり親など医療費無料制度に伴い削減されている国庫負担減額分を一般会計で補填すること。
- 資格確認書をマイナ保険証所持者もふくめ全加入者に自動的に発行すること。
- 愛知県後期高齢者広域連合へ健診費用などを補助し、保険料を引き下げること。
- 訪問介護の基本報酬の減額が介護事業所の倒産、閉鎖、経営困難をもたらしている。ただちに介護報酬を引き上げるよう国に強く要請すること。総合事業の生活支援サービス単価を市町村が引き上げるよう援助すること。報酬引き下げによる差額分を経営困難となっている事業所へ支援する県独自補助を設けること。中山間地、過疎地域の訪問介護事業者は、移動時間に介護報酬が算定されず事業所の持ち出しになっており、燃料代の負担も重い。県として過疎地域を支える事業所へ移動時間に見合う補助を行うこと。
- 介護保険料を引き下げるために財政支援を行うこと。介護保険の基金は全額を保険料の引き下げに充てるよう市町村を指導すること。介護保険の保険料及び利用者負担軽減制度を創設すること。
- 特別養護老人ホームの定員を増やし、待機者を解消すること。小規模多機能施設など、
- 施設・居住系サービスを大幅に増やすこと。
- 介護・福祉労働者の賃金を大幅に引き上げるとともに、1人夜勤の解消など介護施設
- の労働条件を早期に改善すること。
- 県下30市町村(56%)が実施するまでに広がった加齢性難聴者の補聴器購入補助制度を県として設け、補助単価の引き上げ、全市町村への拡大をすすめること。国保や後期高齢者の健診に聴力検査を加えること。
- 県の子ども医療費助成制度を入通院ともに18歳まで拡大すること。
- 県の精神医療費無料制度の対象をすでに47市町村(87%)が実施している精神疾患だけから全疾患へ拡大すること。おなじく48市町村が実施している自立支援医療(精神通院)の無料化を県制度に加えること。
- 妊産婦医療費助成制度を設けること。
- 不妊治療への助成の充実をはかること。
- 「孤立死」や「介護心中」などを防ぐ相談体制の充実をはかること。ヤングケアラーなど家族だけに依存するケアから脱却し、家族を社会的に支える体制を整えること。
- 生活保護に夏季加算を支給すること。エアコンの買換えや修繕も費用支給の対象とすること。車の使用は個別事情に配慮して一律に禁止しないこと。親族への扶養照会は原則行わないこと。食料品や光熱費の高騰に対応できる手当てを緊急に支給すること。
- 「いのちのとりで裁判」の最高裁判決を踏まえ、国に対し、原告らへの謝罪と不当に削減された保護費等の回復を求めること。県でも関連制度もふくめた削減の影響を明らかにし、速やかに減額分の回復措置をとること。その費用は全額を国に請求すること。
- 熱中症対策として、低所得世帯へのエアコン購入(買換え)助成事業を創設すること。
(5) 保育・学童保育の拡充などで、子どもたちの豊かな成長を保障する
- 改正された保育士の配置基準を全ての市町村と保育施設で速やかに実現するように、経過措置に期限を定め、必要な支援を行うこと。創設した愛知県保育士配置改善事業費補助金の活用状況を踏まえ、より市町村が活用しやすいよう制度拡充をすすめること。
- 愛知県独自の一歳児保育実施費の対象年齢を拡大し、小規模保育事業所も対象施設に加えること。
- いわゆる育休退園を速やかに解消すること。そのために必要な保育士の確保などで市町村を援助すること。
- 認可保育所を増設するとともに、安易な公立保育所の民間移譲や指定管理者への移管などの民営化は行わないこと。小規模保育や家庭的保育など施設形態の違いによる保育格差を生じさせないこと。実地検査を強化し、突然の廃園などの事態を防ぐこと。
- 国へ保育の公定価格及び補助の増額を求めるとともに、第一子から保育料を完全無償化すること。第二子以降に拡大された県独自の多子世帯の保育料助成制度は、所得制限を撤廃し、政令市及び中核市にも補助対象を広げ、全市町村が活用できるようにすること。
- 保育園等の給食費も無償とするよう国に求めるとともに、無償化をすすめる市町村への財政支援を行なうこと。
- 学童保育所を増やして待機児童をなくすこと。過密・大規模化を解消すること。
- 学童保育料の無償化をめざして、負担軽減をすすめること。
- ひとり親世帯など学童保育を必要とする子どもは全員を受け入れること。あわせて保育料の減免制度を県独自に設けること。
- 学童保育指導員の処遇改善をすすめること。処遇改善事業をはじめとした国の補助事業を全自治体がフルに活用実施できるよう援助すること。会計年度任用職員一般職扱いとされている公務員指導員の処遇を専門職にふさわしい水準に改善すること。
- 保育の質を向上させるために県として巡回アドバイザーを配置し、市町村の学童保育所への支援を行うこと。
- 障害児の受け入れ促進のため常勤職員が配置できる水準に補助金を増額すること。
- 施設整備の補助金を創設だけでなく改築にも活用できるようにすること。補助の対象を学校内の設置に限定せず、 国基準通りの補助額に増額すること。
- 児童福祉司、児童心理司、保健師の増員などで児童相談所の体制を充実し、児童養護施設や一時保護所を増設すること。
- 「子どもの貧困」について実効性のある対策を実施すること。放課後の「子ども食堂」「無料塾」など子どもの居場所確保と学習支援を拡充すること。
- 公共交通料金の子ども料金の適用年齢を18歳まで引き上げること。国と各交通機関に働きかけつつ、県として実施に踏み出すこと。
(6) 教員不足を解消し、子どもの権利を守る教育条件の整備・充実をはかる
- 深刻な教員不足の解消のため、子どもの減少を理由とした採用控えをやめ、年度初めから授業が十分に受けられるように、まず正規教員の採用を大幅に増やすこと。
- 臨時教員の正規化を促進するとともに、賃金など労働条件を改善すること。
- 小・中学校では 20 人規模の少人数学級をめざし長期的な教員増員計画を持つこと。
- 改定された「公立学校教員給与特別措置法(給特法)」の付則に「教員一人当たりの担当授業数の削減」が明記された。教員の多忙化解消のため、授業の持ち時間数は「1日4コマ」を原則とし、必要な教員数を配置すること。部活動顧問の強要をなくし、教員外の「部活動指導員」の待遇を改善して確保すること。教員の勤務時間の正確な記録管理を行うこと。臨時教員への残業代をもれなく支給すること。
- 教育実習について、実習生の過大な負担とならぬように指導援助を強めること。実習生の声を聴く機会を教育委員会として設けること。
- 採用試験について臨時教員や教育実習生に過度な負担とならぬよう配慮すること。臨時教員の一次試験免除基準について透明性を高めること。
- 不登校は全国でも県内でも急増しており、小学校では2023年度は前年度比1967件増加して9375件。中学校も同様に2023年度は前年度比1309件増加して1万4676件となっており、いずれも過去最多となった。不登校は子どもの「いのち」の問題であり、子どもの心と傷の理解と休息・回復の保障を中心に据えた学校の対応が必要である。来年度から不登校経験がある子どもを受け入れる中学校が日進市に公立として初めて設置されるが、校内別室、教育支援センター、学び多様化校(旧不登校特例校)などをすべての市町村におき、子どもの居心地の良い場所をつくること。フリースクールや、フリースペースが取り組んでいる心の傷やケアや養育への公的助成をおこなうこと。
- いじめは人権侵害であり、暴力である。社会全体の問題として重視し、学校関係者と協力して解決することが大切であり、教員の多忙化解消、少人数学級推進、いじめ問題の研修をすすめること。不登校問題とあわせ、養護教諭の増員、スクールカウンセラーの配置の拡充、スクールソーシャルワーカーの全小中学校・高校への配置を計画的に進めること。
- 就学援助制度の所得基準を生活保護世帯の4 倍以上に広げ、必要とする人が利用しやすい制度にすること。
- 教育活動に不可欠な授業料以外の教材費、修学旅行費、部活振興費など学校納付金を無料にするなどして、教育に係る保護者負担を軽減すること。
- 学校給食無償化を促進すること。無償化に取り組む自治体への半額補助制度を創設すること。学校設置者として、県立の定時制高校・特別支援学校・県立中学校の給食を無償化すること。
- オーガニック給食を促進すること。地元食材の活用、地産地消の給食を促進すること。
- 特別支援学校のマンモス状態を解消するため、特別支援学校の設置基準を踏まえて教室、教員を増やすこと。通学バスを拡充し、希望する子どもがもれなく利用できるようにするとともに、通学乗車時間の短縮をはかること。
- 県内の高校生・大学生に対する給付制奨学金制度を創設すること。個人への奨学金返還支援制度を創設すること。返済相談窓口の設置などサポート体制を確立すること。返還困難者への提訴を止め、ていねいなフォローにつとめること。
- 県立大学、県立芸術大学の授業料を無償化し、入学検定料も廃止すること。
- 高等学校等就学支援金の支給にかかわる所得制限を廃止し、全ての生徒の授業料を無償にすること。この制度説明書の外国語(複数)翻訳版を発行し、支援金の需給漏れがないようにすること。
- 私立高校の学費無償化をめざして、入学納付金補助、経常費補助など私学助成の拡充をはかること。
- 県立高校の特別教室・準備室へのエアコン設置を急ぐとともに、いまだに続いている学校教室のエアコン代の保護者(PTA)負担をなくすこと。老朽化機器を更新すること。
- 暑さ指数計の活用など熱中症防止対策を徹底するとともに、部活動の夏の全国大会、県大会の開催時期を見直すよう主催団体等に強く働きかけること。
- 部活動については、スポーツ庁の「部活動ガイドライン」に則り、週1日の休日の設定や連休は休みにするなどして、子どもたちの心身の休暇を保障すること。部活動は子どもの自発的活動であり、「部活動強制加入」の機運を廃し、大会遠征費用、指導者への謝礼、ユニフォームや用具購入などの自己負担を軽減すること。
- 定時制高校の廃止を中止すること。
- 高校の統廃合は中止すること。
- 中高一貫校について、特定の学校に人材と予算を集中してエリート養成をすすめることへの懸念がある。既に中学受験の過熱が問題となっており、抜本的に見直すこと。
- 夜間中学については、必要とする人々の声をよく聞き、学校運営に反映させること。
- ICT教育について、こどもの健康や発達に及ぼす影響の研究と対策を行うこと。ICT機器の活用については、個々の教員の判断にゆだねること。臨時教員へも必要な機器を支給すること。オンライン化に対応できるよう、各家庭での端末の確保・通信環境の確保、学校へのICT支援員の配置などを公費負担で進めること。機器破損時の保障や高校でのタブレットの使用について、保護者の負担がないよう公的に助成すること。
- WEB出願について、丁寧に受験生の対応を行うこと。希望する場合は、紙での出願もできるよう見直しを行うこと。
- 学校のトイレに生理用品を配置すること。洋式化、乾式化などトイレの環境整備を促進すること。
- ジェンダー平等の理念に沿って、ブレザーの採用や私服通学など選択肢の幅を思いきって広げること。
- 児童生徒の人権を侵害するような校則は見直すこと。子どもの権利の視点で、校則の見直しに児童生徒が主体的に取り組めるよう援助すること。
- 国際的な到達点を踏まえた包括的性教育を発達段階に応じて学校教育などに取り入れていくこと。
(7) 一日7時間週35時間働けば普通にくらせる社会へ 非正規ワーカーの処遇改善を急ぐ
- 最低賃金を時給 1500 円以上に引き上げること。社会保険料の負担軽減など、中小企業が賃上げできるように必要な助成を行うこと。
- 県の会計年度任用職員等非正規職員の時給をただちに 1500 円以上にすること。
- 法定労働時間を一日7時間週35時間に短縮するよう国に強く求めること。長時間労働の解消のために、残業規制の強化とサービス残業の根絶をすすめること。
- 公契約条例の内容を充実し、「官製ワーキングプア」を一掃すること。報酬下限額を設定し、賃金や報酬単価を時給1500円以上とすること。
- 教員や保育士、消防職員、救急隊員など教育・保育・福祉・医療・防災など公的分野の人手不足を解消するとともに、希望に応じて非正規から正規への転換をすすめること。
- 県内の財界・大企業に対して、内部留保を活用して、正規雇用の拡大、賃金引上げを強力に働きかけること。
- 違法行為やパワハラなどが横行する、「ブラック企業」に関する情報を公開すること。労働条件等の是正をすすめる「ブラック企業規制条例」(仮称)を制定すること。
- 就職案内に正確な労働条件、過去の労働違反の経歴、離職率の状況を示すこと。
- 「ブラックバイト」などの解消をめざし、働くものの権利や法的知識の若者への普及、相談窓口やサポートセンターの拡充を行うこと。「働くルールのリーフレット」をさらに拡充すること。
- ILO 条約水準での「ハラスメント禁止法(仮称)」の法整備を国に求めること。県として、ハラスメント被害の救済、防止対策を強化し、相談員や専門家の体制を十分にとること。
- 首切りや賃金の不払い、法律違反の駆け込み寺として「労働相談情報センター」(仮称)を設置すること。
- ハローワークの地方移管・民営化に反対すること。
- 県として学生の就職支援の相談窓口を拡充すること。就活、転職、再スタートのため、無料の公共職業訓練と就職先開拓、あっせん、カウンセリングをセットで行い、就職先が決まるまでていねいに支援して、若者の就労支援を支えること。
- 生活困窮に陥った学生向けの食料や物資の支援活動や「フードバンク」に取り組む団体に必要な支援を行うこと。
- 若者へ家賃補助などの支援を行うこと。
- 就職氷河期世代への就労支援を強化すること。県として積極的に採用すること。
- 就職、採用活動について内定取り消し、囲い込み、ハラスメントの防止など、企業の社会的責任を啓発すること。
- 就活時のハラスメントに対応する相談窓口の開設や救済機関を設置すること。
- 労働法規や社会保険の基礎知識を、学校教育に位置付けること。
- 外国人労働者への職場における差別的言動を撤廃するため啓発活動や支援を行うこと。
- 職場における性的指向・性自認を理由とする就職・就労差別をなくすこと。カミングアウトの強要やアウティングなどが起こらないよう研修や啓発を徹底すること。
(8) 障害者権利条約にもとづく施策を実現し、障害者(児)の生活と権利を守る
- 必要な支援を受けながら障害者が望む場所で暮らせるよう、グループホームや入所施設を含む住まいの基盤整備をすすめること。
- 特別障害者手当及び障害児福祉手当の県上乗せ分、在宅重度障害者手当について物価高騰に見合う大幅な引き上げを行うこと。
- 必要なときに身近な地域で、療育を受けられるよう、通所施設の整備を行うこと。
- 保護者の子育てやレスパイトを保障するための、障害児のショートステイやホームヘルプに対応できる施設・事業所を増やすこと。
- 障害者(児)の福祉サービス利用料、給食費などの利用者負担を無償にすること。
- 障害者雇用の法定雇用率の厳守を企業に働きかけるとともに、中小企業への補助制度を創設・拡充すること。県職員の障害者雇用率を高めること。
- 65 歳以上の障害者について機械的に「介護保険を優先」することなく、必要な障害者福祉サービスを継続して提供すること。
- 身体障害者手帳の交付が適切に受けられるよう、国の基準に基づく医師の適切な診断の徹底や診療報酬の改定、医師不足の解消など、必要な措置を講ずること。
- 交通や建物などのバリアフリー化をすすめること。交差点での音響信号装置、エスコートゾーンの拡充をはかること。
- タクシー利用補助制度を新設すること。
- 旧優生保護法にもとづく愛知県の施策について検証するとともに、被害にあわれた方々への支援をもれなく行い、優生思想の克服のための行動計画を立てること。
(9) 差別やハラスメントをなくして多様性を尊重し、誰もが尊厳をもって自分らしく生きられる社会、誰もが持てる力を発揮できるジェンダー平等社会をつくる
- 日本国憲法、男女共同参画社会基本法、男女雇用機会均等法、県男女共同参画推進条例などにもとづき職場、地域、学校、家庭などあらゆる場でジェンダー平等を推進すること。
- 人権尊重の社会づくり条例、多文化共生推進プランにもとづき、外国人差別と排外主義を許さず、一人一人の人権が尊重される愛知県をつくること。差別解消の必要性について、正しい知識の啓発を積極的に発信していくこと。あらゆる差別を禁止する包括的な法律をつくるよう国に求めること。
- 妊娠・出産、育児休業利用に関する嫌がらせなどのハラスメントの防止措置が事業主に義務付けられたことを踏まえ、規定の順守を企業に働きかけること。
- ハラスメントは人権侵害であることを周知徹底し根絶への取組みを強化すること。
- 県の各種審議機関委員(女性割合 28%)、管理職(同16.40%)の女性比率を引き上げること。政策決定、意思決定の場での男女同数をめざすこと。
- DV、性犯罪、ストーカー、痴漢などの被害防止に努めるとともに被害者への支援・相談体制を充実、強化すること。そのために、性暴力救援センター「なごみ」への補助を大幅に増額すること。性暴力被害者支援のワンストップ支援センターを東三河などに増設すること。
- 痴漢被害の実態調査を、県として民間鉄道会社、市営交通機関と連携して行い、被害防止の注意喚起にとどまらず、加害防止を軸にした対応を強化すること。
- 子どもの性被害に対応できる相談窓口を設置し、教職員等へ研修を実施すること。
- 「一人で悩んでいませんか?」と題した相談窓口やワンストップ支援センターの紹介カードを増刷し、助けを求められる場所があることの周知を継続・強化すること。
- 生理用品の無償配布(学校や公共施設への設置など)をはじめ、「生理の貧困」をなくす総合対策を実施すること。
- 生理休暇の取得推進へ、「生理休暇を取ろう」と呼びかけるポスターなどをつくり、生理休暇は女性が健康に働くための権利であると、理解を広めること。
- 居場所がなく街をさまよい、性被害の危険にさらされている若年女性等に対し、必要に応じてアウトリーチや居場所づくりから中長期的な支援までつなげていく仕組みを、民間団体とも知恵を出し合い、構築していくこと。
- 男女差別等に対する企業責任を明確化し、県条例に罰則規定を設けること。
- 厚労省が公表した都道府県ごとの男女の賃金格差が43位(男性を100として2)であることを踏まえて、是正計画を策定し、企業等へ是正を強く働きかけること。
- LGBTQ、SOGI など性的マイノリティの人権を擁護し、当事者の意見を聞きながら、文化や嗜好、価値観の多様性への理解を促進し、施策にいかすこと。各種申請用紙等の改善、相談窓口を設置すること。
- 所得税法 56 条を廃止し、家族従業者の働き分を正当に評価し、必要経費と認めるよう国に求めること。
- 女性差別撤廃条約の選択議定書を批准するよう、国に強く働きかけること。
- 選択的夫婦別姓制度の導入を国に求めること。
(10) 大企業・高度先端産業優先、企業誘致型の産業政策から、中小企業・地場産業・農林漁業優先に転換して雇用と消費を増やし、内発型・循環型の地域経済を実現する
- 一部の高度先端産業のみを対象とするスタートアップ支援を見直し、すべての中小企業・小規模事業者、地場産業を支援する産業政策に転換すること。「STATION Ai」をスタートアップ支援から中小企業・小規模事業者、地場産業の支援施設に転換すること
- 軍需関連の技術開発等をスターアップの支援と連携の対象にしないこと。県議会での「ガザ停戦決議」も踏まえてイスラエルとの連携事業は直ちに中止すること。
- 「産業競争力強化減税基金」を廃止して、県内の中小企業・小規模事業者、地場産業に向けた支援を拡充すること。
- 中小企業振興基本条例にもとづく「振興会議(仮称)」を設置すること。
- 中小業者や農業者が疾病や災害などにより事業活動の停止を余儀なくされた場合でも安心して事業を再開できる「事業者休業支援制度(仮称)」を創設すること。
- コロナ関連融資の返済は、据え置き期間の延長や借り換え融資など柔軟な対応を行うこと。資金が必要なすべての中小業者に融資を行うこと。審査にあたっては厳しい経営環境を十分に考慮すること。
- 現在行っている中小・小規模企業訪問ヒアリング調査の対象を抜本的に増やして行い中小企業・小規模事業者の実態・要望を反映した施策を進めること。
- 「特区」区域等における不動産取得税の免除制度を廃止すること。
- 商店版リフォーム助成やグループ補助金、創業応援資金など中小企業・小規模事業者向けの補助金制度を実施すること。
- 工場賃貸料、水道光熱費(特に工業用電力料金)リース代など、下請製造業の固定費補助制度をつくること。
- 納税は市町村で丁寧な納税相談に応じ、納税者の状況をふまえた納税事務を行い、生活と営業を困難にする強権的な徴収を行わないこと。
- 農民、林業従事者、漁民への価格保障、所得補償制度を創設すること。
- 都市農業や中山間地産業支援を強化すること。鳥獣被害対策を強化すること。
- 地域の再投資を促す、信用金庫、信用組合など地域金融機関や協同組合金融のいっそうの活性化を支援すること。そのために、中小企業団体、市民団体、有識者などから構成する「地域金融活性化委員会」(仮称)を県に設置すること。
- 各自治体の「地域創生事業」が、真に地域の活性化と均等の発展に寄与するよう支援するとともに、その「成果」を加味する地方交付税の配分に反対すること。
- 国連「家族農業の10年」を踏まえ、家族経営を中心とした農業への支援を行うこと。
- 新規就農者への支援を強めること。有機農業への就農・転換を支援すること。
- 種子法・種苗法の復活を国に強く働きかけること。
- 地産地消の推進と安心・安全な給食を実現すること。学校給食パンの小麦を愛知県産小麦100%に置き換えること。
- 岩手県などが行っている賃上げ促進の支援制度や、江南市や大治町が実施した中小業者への直接支援制度を県としても設けること。
(11) バリアフリーの拡大などで、くらしやすい住環境等を整備する
- 老朽化が激しい県営住宅の建替えや長寿命化を加速すること。県営住宅に収入が少ない若い世代の入居を進めること。階段への手摺り設置などバリアフリー対策を緊急に実施すること。ベランダ修繕などの県営住宅修繕費を倍加すること。
- 民法改正に伴う賃貸住宅標準契約書の改定に基づき、県営住宅の「畳表の取り換え、障子紙、ふすま紙の張り替え、給水栓、排水栓、LED照明の取り換え」を県として行うこと。また、玄関ドアの塗装塗替えなど公費による修繕区分を増やすこと。
- 住宅リフォーム助成制度を創設すること。県営住宅の新設・建替えなど生活密着型の公共事業を推進すること。
- 車がなくても暮らせるように、市町村が運営するコミュニティバス等を支援し、住民の暮らしの足を充実すること。自治体が取り組む高齢者福祉タクシーについても支援すること。
- 施設、歩道、公共交通などのバリアフリー化を早急に実現すること。鉄道駅のホームドア設置を促進すること。パーキング・パーミット制度を導入すること。
- 土砂崩れや暗いトンネルなどの危険個所を改善し、生活道路の安全対策、環境整備を強化すること。
- 危険な鉄道踏切の改良は、国や鉄道事業者任せにせず県が率先して推進すること。
- 高齢ドライバーの踏み間違い防止装置の補助事業を復活すること。
- 空き交番等を解消し、地域の安全を強めること。
- 買い物弱者支援と商店街振興を同時にすすめる取り組みを支援し強化すること。移動販売への支援など「買い物難民」をなくす施策をすすめること。
- 食の安全をはかるために、食品検査員の増員などチェック体制を強化すること。
- 消費生活相談センターの拡充、担い手の増員など消費者相談の体制を強化すること。
- インターネット、SNSを利用した犯罪から青少年を守るため、SNS等の十分な知識を得る施策を推進すること。相談窓口や支援団体などの連絡先を周知すること。
(12) 大地震や津波をはじめ、巨大台風や線状降水帯による集中豪雨や突風、土砂災害などにしっかり備える
- 木曽川・庄内川・矢作川・豊川など国管理河川の整備計画を最大規模の事態に備えて見直し、堤防整備率の早期達成を国に求めること。新川などの主要河川や一級河川の県管理河川の改修を緊急に行うこと。
- 津波災害警戒区域では津波避難施設の整備、事前及び広域的な避難訓練の実施、堤防・水門・護岸の耐震性強化などを早急にすすめること。津波避難ビルなど指定緊急避難場所は一時的な避難を想定していたが、津波避難警報が長時間発令されたケースが生じた。一定の備蓄物資の保管など緊急避難が長びく事態への備えを講じること。
- ゼロメートル地帯では地震・津波対策に加え、津波災害警戒区域に準じて避難所や堤防の整備など高潮・浸水対策の具体化を急ぐこと。市町村間の調整をはかり事前の広域避難についても具体化すること。
- 中小河川の堤防のかさ上げや耐震化を促進し、水位計や監視カメラを増やすこと。バックウオーター現象や内水氾濫につながる危険個所を調査し対策をとること。
- 土砂災害危険地域では警戒区域等の指定を急ぎ、土砂崩れ対策、砂防堰堤の整備、ため池対策などを促進すること。建設残土への規制を強化すること。大規模盛土造成地への対策を具体化すること。民有地の擁壁や石垣の崩壊による近隣への被害防止と復旧のための代執行などの仕組みを整えること。孤立集落対策を具体化すること。
- 石油コンビナートや臨海工業地帯では消防力の広域的確保に加え、護岸の側方流動対対策や地盤の液状化対策などを立地企業とともに具体化すること。石油コンビナート等防災計画の対象に石炭及びバイオマス燃料などによる災害も加えること。
- ライフラインの確保に事業者と共に取り組むこと。停電被害の防止と早期復旧のために電気事業者と連携し必要な対策を立てること。水道事業の公共性を堅持し、老朽管の計画的な更新をはじめ、断水の予防と復旧への備えを強めること。
- 耐震化を促進すること。住宅について市町村ごとの耐震化状況を公開し、県として目標と期限を定めて必要な支援を行うこと。緊急道路沿線建物の耐震化を早急に進めること。家具固定化、ブロック塀撤去などの進捗状況を把握し支援すること。液状化対策など宅地と地盤の対策を進めること。
- 災害時に最もリスクが高い要援護者にオーダーメイドの災害時ケアプラン・個別避難計画をつくるよう市町村を強力に支援し、災害ケースマネジメントの導入を促進すること。
- 災害関連死をなくすため避難所でTKB(T=清潔なトイレ、K=キッチン・温かい食事の提供、B=床面より高いベッド)を確保すること。トイレは初期段階では50人に1基、中期段階では20人に1基とし、女性用と男性用の割合が3対1となるように対応すること。トイレトレーラーを確保すること。避難所運営には必ず女性の参画をはかること。
- 避難所を増やすこと。県有施設の提供をはじめ、学校内での教室の活用、旅館やホテル、企業の会議室、私立を含む大学や高校等の活用をすすめること。車中泊避難者のためにトイレや炊事施設などを備えた駐車場を大規模公園などに整備すること。分散避難、縁故先や自宅避難者の情報把握と支援物資の提供体制を整えること。
- 福祉避難所を増設すること。福祉避難所になる施設に対して、人の配置や設備備品、備蓄物資の確保など必要な支援を行うこと。避難所における福祉スペースの確保とバリアフリー化の進捗状況をつかみ促進すること。受け入れ対象者が直接、福祉避難所に避難できるようあらかじめ調整をすすめること。
- 避難時の感染防止対策を徹底すること。避難所などでの感染予防に取り組む「感染制御支援チーム」を保健所中心に平時から編成しておくこと。
- 半壊や一部損壊住宅、床上浸水住宅など、被害を受けた全世帯をカバーする被災者生活再建支援制度を県独自に設けること。全壊住宅には国施策と合わせて最低でも600万円の支援金を支給すること。宅地被害により居住が困難となった家屋も被災住宅と認定し、支援の対象とすること。
- 仮設住宅は、プレハブを前提とせず、県産材を活用した木造仮設住宅の建設をすすめること。みなし仮設住宅を確保するために関連業界とも必要な協定を結び、被災者に速やかに提供できるようにすること。
- 被災した農業者への営農支援、事業再開支援を制度化すること。
- 防災避難情報を確実に届けるために無線だけに頼らず、個別受信機の普及を促進すること。多言語の情報発信を強化し、ハザードマップの多言語化も進めること。聴覚や視覚に障害がある県民へも確実に情報を提供すること。
- 防災会議の女性比率4%は全国平均以下であり、少なくとも第5次男女共同参画基本計画の2025年度目標の30%を早急に実現すること。
- 昨年8月に発生し、三人が犠牲となった蒲郡市での土砂災害について、報告書では、大量の表流水が土石流のような土砂崩れの原因と指摘したが、その表流水の発生原因は不明のままである。第三者による検証機関をもうけ、表流水の発生原因を究明し再発防止策を確立すること。
(13) 2050年までに温室効果ガス排出実質ゼロを実現し気候危機から未来を守る
- 2024年の世界平均気温が1850年の気象観測開始以来もっとも暑い年となり、パリ協定の温暖化抑制目標である「5度目標」を超え、産業革命前に比べ1.55度上昇したことを踏まえ、「気候非常事態宣言」を発し、気候危機打開の取組みを具体化・強化すること。
- 温室効果ガス排出量がワースト3である現状を踏まえ、温暖化「2050 年カーボンニュートラル」をめざして、2030年度までに温室効果ガス排出量を2013年度比で46%削減する県目標を75~80%削減に引き上げること。国にも同様に目標の引き上げを求めること。
- 温暖化防止の世界的枠組みである「パリ協定」を実効あるものとするよう国に働きかけ、県政にも生かすこと。石炭火力をなくすため、地球温暖化を加速する石炭火力計画の中止を求めること。
- 太陽光、地熱、風力、小水力、バイオマスなどの再生可能エネルギーは「地域固有の資源」であり、地域経済や雇用にも貢献するので、積極的に利用を推進すること。太陽光パネルの再利用を促進すること。
- 原発再稼働中止・原発ゼロを国に働きかけること。中部電力に、浜岡原発は廃炉とするよう働きかけること。関西電力に、福井の原発群の廃炉を求めること。
- 自治体のイニシアチブで、住民の合意と協力、地域の力に依拠し、利益が地域に還元され、環境破壊を起こさない再生可能エネルギーの利用を進めること。
- 住宅の太陽光パネル設置の初期費用ゼロに向けて、県補助額の増額と無利子の融資制度をつくること。 太陽光パネルで消費エネルギーがまかなえる「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)」、「ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)」を実現するなど、学校などの公共施設から脱炭素を進めること。
- 二酸化炭素排出削減に有効な企業等の設備投資に対する助成制度を設けること。
- 県有施設の電力は100%再生可能エネルギーでまかなうこと。
- 二酸化炭素を吸収する里山と森林の保全をすすめること。
- 自治体の地球温暖化対策の策定に対して、専門的な情報提供など必要な支援を強め、自治体が区域計画を持つよう指導すること。
- 太陽光パネルや風力発電、バイオマス発電など、再エネ推進をかかげた乱開発を防ぐために、環境への影響を考慮した規制・防止策を強化すること。
- きれいで魚が豊かに育つ伊勢湾・三河湾をとりもどすため、汐川干潟や六条干潟などを保全し、貧酸素水塊の解消など水質改善と自然環境の再生をすすめること。里山保全と都市の緑地化をすすめること。
- 実効ある自動車排ガス対策をとり、大気汚染の改善を進めること。5 削減のために発生源別に具体的な対策を進めること。
- 電気自動車(EV)の普及を進めること。EV 購入には充電設備の設置を義務付けるとともに補助制度を新設すること。
- プラスチック生産削減を求めるなど、積極的にプラスチック削減に取り組むこと。
- PFAS(有機フッ素化合物)が水源などから検出され健康不安が広がっている。早急に汚染状況を調査し汚染源を特定すること。とくに小牧基地の調査を国に求めること。住民の健康不安に寄り添い、検査と相談を行う体制を設けること。
(14) リニア中央新幹線、中部空港第二滑走路、設楽ダムなど、不要不急で浪費型の大型事業をやめる
- 「開業年度を明言できない」「利用客は想定を下回る」「地盤沈下など沿線住民の生活を脅かす」「新幹線の3倍の電気消費で環境悪化」などが指摘されるリニア中央新幹線は中止を求めること。
- 大深度地下などでの湧水・陥落事故、トンネル工事での人身事故の発生も踏まえ、リニア事業の抜本的な見直しをはかること。
- JR東海に、リニア事業による発生残土の運搬車両が通行する沿線の環境評価や残土の含有物質の調査などをきちんと行わせること。予期せぬ地盤の陥没や不同沈下に対処できるように工事前の物件調査を求めること。
- リニア開業を前提とした名古屋駅一極集中の都市改造事業は中止すること。
- 県営名古屋空港の再活用を行うとともに、中部国際空港の第二滑走路計画は直ちに中止すること。第二滑走路計画の前提とした公有水面埋立法の趣旨を無視した中部国際空港沖の埋立承認を取り消すこと。
- 設楽ダム建設は、治水・利水などが構想時の状況とは大きく異なり、工期の延長により費用も増大し、新たな大規模地滑り地帯が指摘されするなど、計画の正当性が失われたので中止すること。
- 一滴も利水していない徳山ダムから導水する木曽川水系連絡導水路事業から法令に従い撤退すること。
- 西知多道路など高規格道路は、生活重視、環境保全の面から中止を含め見直すこと。
- 名古屋港の不必要なバルク戦略港湾の計画を見直すこと。水環境を悪化させる金城ふ頭と飛島ふ頭北側にある水路埋め立て計画を見直すこと。
- カジノを含む統合型リゾート(IR)を誘致しないこと。そのベースとなる「MICEを核とした国際観光都市」の実現を目指す取り組みは中止すこと。
- 究極の規制緩和を進め一部大企業や先端産業のみの利益につながる、「あいち・とこなめスーパーシティ構想」は中止すること。
(15) 文化・芸術へ手厚い支援を行い、スポーツ施策を充実する
- 独立行政法人化される愛知県美術館、陶磁美術館を県民のための美術館として運営すること。
- コンセッション方式による運営が予定されている県芸術劇場と芸術文化センターについて、営利目的ではなく、「文化芸術を創造し、享受する」権利を保障する運営を行うこと。
- 関連予算を増額し、文化・芸術の継承・発展を支援すること。
- 県の施設等での文化芸術等の展示については、不当な圧力に屈することなく憲法21条に基づく表現の自由が守られるようにすること。
- スポーツを県民の権利として位置づけ、スポーツ予算を抜本的に増やすこと。スポーツ団体への支援を拡充すること。
- 図書館など文化・スポーツ施設の統廃合は見直すこと。県の施設は低料金で県民の声を生かした使いやすいものにすること。
- アジア競技大会・アジアパラ大会は、当初発表に比べて総事業費は約3倍、愛知県負担は約2.5倍となっており、とても簡素な大会とは言えなくなっている。早急に両大会の経費及び関連経費を明らかにしたうえで、開催の是非について県民の意見を集約すること。下請業者への未払い問題を抱えるGLイベンツ社との会場設営契約を見直すこと。
- 障害者スポーツの発展をめざす支援を強めること。
- 文化・芸術活動の現場でのハラスメントが問題になっている。フリーランスの表現者・スタッフは「ハラスメント防止法」の対象になっていない。相談窓口の設置、業界団体などが行うハラスメント講習の支援、ガイドラインの作成を国に求めること。県としてもフリーランスのスタッフなどをハラスメントから守る対策を行うこと。
(16) 憲法と地方自治を行政に生かし反核平和などの国際連帯・交流をすすめる
- 平和県宣言から62年、改めて「非核平和愛知県宣言」を発し、非核平和行政を積極的に進める姿勢を示すこと。
- 政府に対し、憲法違反の戦争法(安保法制)の廃止、集団的自衛権容認の閣議決定の撤回を求めること。専守防衛を逸脱し、周辺国の軍拡競争を促す「敵基地攻撃能力の保有」に強く反対すること。能動的サイバー防御法に基づく措置に反対するとともに、愛知県として参加しないこと。
- 日本政府に核兵器禁止条約の署名・批准を求める署名に知事は率先して応じること。また、94ヵ国・地域が署名、73ヵ国・地域が批准(2024年9月24日現在)している核兵器禁止条約を批准するよう国に強く働きかけること。
- 知事は被爆者との面会を毎年継続すること。好評だった。「戦後80年平和シンポジウム」の経験を引き続き、被爆の実相と戦争の記憶を県職員はじめ広く県民に知らせ続けること。
- 「抑止力」強化を標榜した軍備拡大に反対するとともに、ASEANが実践している地域の平和協力の枠組みを、北東アジアにも構築するよう国に求めていくこと。
- 憲法9条を基本にすえ、県民の財産である港湾や空港の軍事利用を拒否すること。県営名古屋空港を県民のための空港として充実させること。
- 自衛隊の基地機能強化反対・基地撤去や、海外派兵、オスプレイの配備中止を求めること。小牧基地及び関連施設を米軍機F35の広域整備拠点に反対すること。県が補助する航空宇宙産業が軍事産業や軍事転用につながらぬよう監視を強めること。
- 土地利用規制法の施行・運用を中止し、法律の廃止を国に求めること。
- 自衛隊の市街地訓練や中学校の体験入隊の中止を求めること。自衛官募集のための自治体からの名簿提供は、個人情報保護に反するものであり中止を求めること。
- 排外主義的なデマや差別を許さないこと。へイトスピーチ、LGBTQ/SOGIに関する差別など、民主主義と人権を破壊する行為をなくすために、積極的施策をすすめること。
- 住民の意向を無視した合併後の学校、保育園、児童館などの公共施設の統廃合を止めること。
- 財界が求める道州制の導入を進めないこと。中京都構想の推進はやめること。
- イノベーションの偏った推進などSDGsウオッシュをやめて、ディーセントワーク(働きがいのある人間らしい雇用)とイノベーションを同等に支援する、ジェンダー平等を推進する、貧困と飢餓を終わらせるなど真のSDGsを追究すること。
- 政府が進めようとする「スマート自治体」や「圏域マネジメント」などに反対するとともに、市町村の自主性が発揮されるよう積極的に援助すること。
- 住民との対話・懇談会を各地域で行い、県民の生の声を県政に生かすとともに、財界や大企業には社会的責任(CSR)を積極的に果たさせること。
- 上下水道の一本化・広域連携・民営化は行わず、市町村の水道事業を積極的に支援すること。2026年4月からの県営水道料金引き上げはやめて、2024年9月時点の料金に戻すこと。
- 下水道など老朽化が進むインフラの維持管理・更新を確実に行うこと。そのための費用を国に求めるとともに必要な技術者を確保すること。
- 住民の福祉に直結する職員を増やすこと。
- 道路使用許可手数料の運用について、いわゆるデモ行進など県民の正当な権利行使に当たる申請についてはこれまで通り、手数料の対象としないこと。
- 各種委員会等、調停・審査・審議・諮問・調査等を行う機関は、付属機関条例主義に基づき、条例を定めて設置すること。政策顧問をはじめ独任制の期間などで付属機関に該当しない場合は、守秘義務を明記した文書による契約を締結すること。
(17) 有効な施策が展開できるよう、県の財源を確保する
- 地方交付税は総額の大幅な増額を国に強く求めること。
- 大企業や富裕層に適用されているさまざまな優遇税制(不公平税制)をあらため、「能力に応じた負担」の原則に基づく累進課税を国に求め、財源を確保すること。
- 法人事業税の超過課税(現行3%)を法定限度額の10%まで引き上げることをめざして、まずただちに5%に引き上げること。
- 2025年3月末に2835億円の残高となった財政調整基金を積極的に活用すること。