議会報告

公安委員に不正認証事件渦中のトヨタ役員は反対  
6議案に反対 2024年6月議会

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本会議壇上で反対討論する下奥奈歩議員

 日本共産党 下奥奈歩です。ただいま議題となっております。諸議案のうち、第103号議案、第113号議案、第114号議案、第122号議案、第124号議案及び、第127号議案について反対の立場から討論します。

 まず第103号議案 令和6年度愛知県一般会計補正予算のうち愛知県基幹的広域防災拠点整備事業費についてです。

広域防災拠点の整備は、緊急性の高い事業であり必要なことは言うまでもありません。しかし、この間整備手法についてPFI方式、とくにコンセッション方式にこだわり続けたことで、二年続けて落札できない事態となり、当初の計画よりも完成が3年も遅れる事態となりました。防災拠点の整備が遅れたことへの責任を明らかにし、その原因をしっかり総括すべきです。

県民の命とくらしを守る緊急性の高い、防災事業はシンプルに県の直営事業として行うべきです。今回、さすがにコンセッション方式は見直しましたが、いまだPFIに固執したまま整備を進めることは問題であり、賛成できません。

 次に、第113号議案 愛知県スタートアップ支援拠点条例の一部改正についてです。今回の条例改正は、施設の料金設定を行うためのものです。

 しかし、スタートアップ支援事業そのものについては、大企業の技術革新に役立つ一握りの企業のみを支援する形を変えた大企業支援であり、そのために多額の県費をつぎ込むべきではなく、賛成できません。

 愛知県はイスラエルのスタートアップ企業との連携も進めています。イスラエルでスタートアップ企業が多く創設されている背景には「軍の関与」があり、軍事技術の民間転用が推奨されビジネスに活用されやすい特殊な要因があると指摘されています。サイバーセキュリティやデジタルヘルス、医療や自動車分野の起業がさかんな背景には産・学・官プラス軍の連携が存在しています。愛知県とイスラエルスタートアップ支援機関の連携事業に参加したイスラエルスタートアップのなかには、軍需製品・軍事システムの開発製造企業を顧客とする企業も含まれており、本県のスタートアップ支援がいつの間にかイスラエルの軍需産業を支えることになってしまうのではと危惧します。ましてやいま、イスラエルによるパレスチナへの軍事攻撃に厳しい国際的批判がおきています。イスラエルの軍需産業支援につながる恐れのあるスタートアップ支援事業の抜本的見直しを求めます。

 次に、第114号議案 愛知県立学校条例の一部改正についてです。この議案には、県立の津島北高校と弥富市にある県立海翔高校を統合し、新たに津島北翔高校を設置することが含まれています。

海翔高校を廃止して津島北高校と統合し津島北翔高校を新設すると、弥富市は県下38市中で唯一、県立高校が存在しない市になってしまいます。海翔高校の福祉科では、地域の介護施設とも連携して貴重な介護の担い手を育ててきました。また様々な困難を抱えた生徒もしっかり受け止める高校として地域から頼りにされてきました。貴重な教育実践を積み重ねてきた高校を創設からわずか20年で廃止してしまうのは愛知県の高校教育にとっても地域にとっても大きな損失です。誰一人取り残さない学びの保障こそ追求すべきです。以上の理由により、賛成できません。

次に、第122号議案 新丸山ダムの建設に関する基本計画の変更についてです。

岐阜県の木曽川中流に治水目的で建設される新丸山ダムは、1980年の建設事業開始から既に44年を経過しました。しかし、いまだ完成の見通しが見えてきません。今回の基本計画変更で、完成予定はさらに7年遅らされ、2036年度とされています。建設費用も現行の約2000億円から2倍以上の約4100億円に増やされます。愛知県の負担も試算では約390億円から約800億円と2倍以上に増える見通しです。

この数十年で、洪水対策・治水の考え方も大きく変わりました。治水対策は上流部のダム頼みから河川の流域全体で総合的に取り組むようになりました。半世紀近く前の計画そのままに、時間と費用をさらにかけようとする今回の変更を認めることはできません。建設費が増え続けるばかりです。時代にそぐわない新丸山ダム建設の中止をふくめて、治水対策を総合的に見直すべきであり、賛成できません。

次に、第124号議案 訴えの提起についてです。

奨学金の返還に苦しむ若者には、裁判で追い詰めるのでなく、丁寧に寄り添い、支援すべきです。愛知県は、従業員への奨学金返還を支援する中小企業等を対象に、補助金を交付する制度をつくりました。高等学校等奨学金貸付金についても、返還免除の拡充をすべきです。奨学金返還の負担軽減へ、なんの改善も行わず、若者たちを訴えることに賛成出来ません。

最後に、第127号議案 公安委員会の委員の選任についてです。

公安委員会は、警察を民主的に運営し管理する重要な組織です。議案では、7月に任期満了となるトヨタ自動車役員の河合満委員の後任として、トヨタ車体取締役会長の増井敬二氏を選任する案となっています。増井氏は「人柄・識見とも公安委員に適任」とのことですが、トヨタ出身の公安委員は、この10年間で4人目となります。

さていま、そのトヨタグループは、車の量産に必要な認証「型式(かたしき)指定」をめぐる不正認証事件の渦中にあり、法令を守らない経営体質が大きな社会問題となっています。増井氏の経歴を見るとトヨタ自動車の専務を務めてきた方であり、今回の事件についても重い責任を負う立場にあるお一人だと思います。

法令違反の取り締まりは警察の基本業務です。その警察を民主的に管理運営する公安委員には、誰よりも法令順守の姿勢が求められます。いまトヨタグループの重役を公安委員に選任すれば、愛知県は不正を容認したかのように県民の目に映ってしまうのではないでしょうか。現時点では到底、県民の理解を得られません。

公安委員会と警察行政への県民の信頼を堅持するためにも、この案件は撤回し、あらためて人選をやり直すべきであり、同意できません。

以上、6つの議案について、県民のくらしを守ることや教育の充実に逆行し、県民の負担増につながるものなどであり、反対であることを表明し、討論を終わります。

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