10月16日、9月議会本会議で、わしの議員は第121号議案 あいち森と緑づくり税条例の一部改正について、及び、第126号議案 愛知県病院事業の設置等に関する条例の一部改正について反対の立場から討論しました。
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【未定稿 文責日本共産党愛知県議団】
2018年10月16日 反対討論 わしの議員
私は、日本共産党愛知県議会議員団を代表して、第121号議案 あいち森と緑づくり税条例の一部改正について、及び、第126号議案 愛知県病院事業の設置等に関する条例の一部改正について反対の立場から討論します。
最初に、第121号議案 あいち森と緑づくり税条例の一部改正についてです。この条例は、前神田県政が2008年2月議会で条例制定し、2009年度から実施した、森林・里山林や都市の緑を整備・保全する財源となる「あいち森と緑づくり税」を引き続き実施するため、課税期間を2023年度まで5年間延長するものです。
愛知県の県土面積は51万7千haありますが、そのうち、森林は約22万ha、約42%を占めています。人工林の割合が多く、とりわけ民有林の人工林比率は64%と全国3位の高い数値です。これまでに盛んな植林が行われたことを示しています。
森林は、水源のかん養や保全機能をはじめ、木材の生産機能、山地災害の防止機能、地球温暖化防止機能、動植物の生態系を守る機能、森林浴や景観によって健康に資する機能など、その価値と役割は県民にとって大きなものがあり、森林の保全は極めて重要です。
ところが、森林は荒廃が広がっています。その最大の原因は、歴代の政府が、長年海外の材木に依存する政策を進めてきた結果、林業そのものが成り立たなくなり、森林の手入れができない現状となってしまったこと。また、愛知県も国の政策と同様に、林業の振興費予算を大幅に削減してきたこと等も原因です。1995年度は49億4900万の予算を掲げていたのに、「あいち森と緑づくり税」が新設される前年の2008年度は24億8200万円と、13年間で約半分になってしまいました。このようななか、木材価格の低迷、高齢化などによって林業の担い手もなく、手が入らず荒廃した森林が増えていることは深刻です。
そんななか、2008年2月県議会では、当時の神田知事が「森と緑づくり」に取り組むために、その財源として「あいち森と緑づくり税」を新設する条例案を提案し、翌2009年から実施しました。その内容は、県民一人ひとりが森や緑の保全に主体的に関わることから「県民に薄く広く負担」を求める県民税均等割の超過課税、個人は一人当たり年間500円、法人は一企業当たり5%増の超過課税、合わせて年間約22億円とされたのです。
森林、里山林、都市の緑で、公的な施設を強化することは大切ですが、新しい税の導入は多くの問題があります。
愛知県は、大型開発優先、大企業優遇の県政を進めてきました。設楽ダムはその典型で、森林保全をするためには、こうした県政を改めることこそ重要です。
また、税の大原則である「応能負担」に反する県民税の均等割増税は、県民の理解が得られないと思います。個人の場合、当時の均等割の基本額は一律1000円。これに「あいち森と緑づくり税」500円を上乗せすると、合わせて年間1500円。50%もの増税です。「あいち森と緑づくり税」は低所得者ほど負担の重い庶民増税です。
法人の方も不公平を感じます。法人県民税の均等割税額は、資本金等に応じて年間2万円から80万円の5階層に分かれています。名だたる大企業でも最上階層の年間80万円ですから、この税額の一律5%を課税する「あいち森と緑づくり税」は年間わずか4万円です。企業活動を通じて多くの利潤を得ている割には税額が少ないと思わざるを得ません。
また、地球温暖化対策として、温室効果ガス排出量を考慮した「環境税・炭素税」でもありません。
そもそも、「あいち森と緑づくり税」によらなくてとも、現行の税制を活かす財源確保策はあります。愛知県は防災事業の財源として大企業の法人事業税に超過課税を実施しています。その上乗せ税率はだんだん下げて、いま3%です。5%に戻せば、「あいち森と緑づくり税」を上回る税収が得られます。
「森と緑づくりのための税制検討会議」報告は、むすびで「その導入に当たっては、納税者である、県民、事業者等の理解を得ることが不可欠であり、その趣旨を十分周知し、コンセンサスを得る必要」と指摘していますが、県は、県民の意識把握に努めず、わずかにパブリックコメントで103名の意見を聞いたにすぎません。愛知県が昨年7月に行った県民アンケート結果では、この税を知っている人はわずか9.2%にしかすぎません。
今日、県民のくらしはアベノミクスのもと、消費税増税や年金の引き下げ、介護保険料や国保料などの相次ぐ値上げ、伸びない実質賃金のもと、格差と貧困は広がるばかりです。県民税の「均等割のみの納税者」の割合は、この10年間で25%も増加しています。弱者に重く強者に軽い「あいち森と緑づくり税」は課税期間を延長するのではなく、先ほど提案した「防災事業」の財源として大企業の法人事業税への超過課税の税率を5%に戻すことや、愛知県の豊かな財政力を活かして一般会計から負担すべきと考えます。
以上の理由から第121号議案 あいち森と緑づくり税条例の一部改正には賛成できません。
次に、第126号議案 愛知県病院事業の設置等に関する条例の一部改正についてです。
この条例は、がんセンター愛知病院を岡崎市民病院に移管するため愛知県病院事業の設置等に関する条例の一部改正を行うものです。
先日公表された岡崎市病院事業将来ビジョンでは、愛知病院の病床数を2019年度には一般病床100床・結核病床25床を削減、2022年度はさらに結核病床16床を削減するものです。まさに国の病床削減計画をすすめるものとなっています。
愛知病院は国指定のがん診療連携拠点病院であり、これまで愛知病院に受診していた患者さんたちは、「がんセンターだから」という専門性に信頼を寄せて来院されています。岡崎市民病院に移管されれば、「センター」としての看板がなくなり、診療科はあっても「がん拠点」の専門性、がん専門の医師の配置や、緩和ケアを受けられる保障は確保されるのか、へき地医療支援はどうなるのか疑問です。
愛知病院が、地域医療構想で区分分けされている「回復期機能」「慢性期機能」の役割に変貌する恐れがあると懸念します。
以上の理由から第126号議案 愛知県病院事業の設置等に関する条例の一部改正には賛成できません。
以上、県民に更なる負担増となる「あいち森と緑づくり税条例改正」また、県民の医療充実の願いに反する「愛知県病院事業の設置等に関する条例改正」には反対であることを表明するとともに、「住民の福祉を守る」という自治体本来の役割を果たす愛知県政にしていくべきであることを申し添えまして、日本共産党愛知県議会議員団を代表しての反対討論とさせていただきます。 以上
※第121号議案(あいち森と緑づくり税条例の一部改正について)と第126号議案(愛知県病院事業の設置等に関する条例の一部改正について)は、賛成多数で可決されました。