6月議会最終日、しもおく議員が第103号議案から第107号議案まで、及び第114号議案の6件の議案について反対討論しました。全文を掲載します。
2018年6月議会 閉会日7月5日
しもおく奈歩議員 反対討論
日本共産党しもおく奈歩です。私は、日本共産党愛知県議会議員団を代表して、第103号議案から第107号議案まで、及び第114号議案の6件の議案について反対の立場から討論を行います。
最初に、第103号議案 医療法施行条例の一部改正について、第104号議案 指定居宅サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例の一部改正について、第105号議案 指定通所支援の事業の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例の一部改正について、第106号議案 指定障害福祉サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例の一部改正についてです。
これら4つの議案は、平成29年6月2日公布、平成30年4月1日施行された「地域包括ケアシステムの強化のための 介護保険法等の一部を改正する 法律」による医療法等の一部改正に伴い、規定の整備や「共生型サービス」の基準を定めるものです。
国会で成立した「地域包括ケアシステムの強化のための 介護保険法等の一部改正」の内容には「我が事・丸ごとの地域づくり・包括的な支援体制の整備」として福祉サービスに地域住民の支援をもとめています。これは、行政の果たす福祉を充実させて県民の暮らしをまもるという本来の役割を削り、地域住民の助け合いに任せていくという狙いが盛り込まれており、多くの問題点があると思います。
一つ目は、この法改正には、一定以上所得のある方の介護保険利用料が3割に上げられることや、「共生型サービス」の創設も含まれています。介護保険料は前回2015年の改正で2割に上げられたばかりであり、そのことの影響が何ら検証されないまま、さらなる高齢者への負担押し付けになるものです。
二つ目は、介護療養病床を廃止し、介護医療院を創設するとしていますが、介護療養病床は、医療的ケアが必要な重介護の高齢者の受け皿として、在宅介護が困難な高齢者、家族を支えてきました。だからこそ患者の生活の質の向上と尊厳が守られるよう、看護師等の配置については緩和する措置を延長することなく、水準を引き上げることが必要です。
三つめは、共生型サービスの創設についてですが、これは、障害福祉の事業所が介護サービスも実施できるようにする等の基準緩和を行うものです。障害をもつ方たちが、65歳になったというだけで、これまでのサービス支給が縮小されたり、打ち切りが行われたりする、そして介護保険が優先となり、定率負担が課せられてしまいます。介護保険優先の原則こそ廃止すべきであり、障害福祉事業が介護事業所を兼ねれば済むという問題ではありません。
以上のことから、「地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律」による医療法等の一部改正に、反対の立場であり、この法改悪を前提とする条例の一部改正案である第103号~第106号議案には賛成できません。
続いて、第107号議案 愛知県都市公園条例の一部改正についてです。
この条例の一部改正は、愛・地球博記念公園の温水プールの廃止に伴い改正するものです。
今、県内各地では市民プールの廃止が相次いでいます。子育て中のお母さんから「子どもがプールに入る機会が奪われていると思う」と声を聴きました。
そんな中、愛・地球博記念公園の温水プールが廃止されてしまうことになりました。地元住民からは「子どもが中学生になったら連れていきたいと思っていたので、残念です」という声を聞きました。
県当局は、近隣にプールができたことを強調しますが、以前からあるプールばかりであり、また、決して近隣といえる場所ではありません。以上の理由により、子どもたちの遊び場・楽しみを奪う温水プールの廃止には賛成できません。
続いて、第114号議案訴えの提起 奨学金貸付金返還請求事件についてです。
この議案は、愛知県から貸与を受けた国公立高等学校等奨学金貸付金又は、高等学校等奨金貸付金の返還を延滞している方に対して、貸付金の返還を求めるというものです。
わが党は、滞納者に対して訴えの提起を行うことは、返済に苦しんでいる人にますます大きな不安を与えてしまうことになる、という理由から、毎回反対をしています。引き続き、また今回も何の改善もなく、同じ内容で訴えの提起として議案に上げられてきました。
日本は、幼児教育から大学・専門学校まで教育にかかる私費が極めて高く、保護者・学生の負担は世界から見ると考えられないほど重くなっています。それは、格差や貧困が増大する中でますます深刻化しています。
そこに加えて、学びを支えるはずの奨学金は借りたら返さなくてはいけない、借金であり学生や保護者にさらなる負担となっています。
そもそも、教育は子どもが人間らしく生きていくための重要な権利であり、家庭の経済力にかかわらず、すべての子どもたちに豊かに保障される必要があります。そのためにも、奨学金給付制度や返済支援制度の創設、高校の授業料無償化を行うべきです。
憲法26条は「教育の機会均等」を保障しています。「愛知県高等学校奨学金」制度を教育の機会均等を保障するにふさわしい制度となるように、制度の改善を図るべきです。以上の理由により、訴えの提起には賛成できません。
以上、福祉に冷たい国言いなりの条例改正など、今述べてきた議案に対して、反対であることを表明し、若者に希望ある県政、県民の福祉暮らし教育最優先の県政に、そして憲法9条守り、平和を願う県政にしていくべきであることを申し添えまして、日本共産党愛知県議会議員団を代表しての反対討論とさせていただきます。