〔未定稿 文責:日本共産党愛知県議会議員団〕
県営住宅の老朽化、早期改善を
【しもおく奈歩 委員】
まず、平成28年度の建設部事務概要には、建替は県営住宅建替5箇年に基づき行ってきたが、現在はこの計画は策定せず適宜公表し実施していると記してあります。
そこで、どのような予定で進めているのか、未着工数はどれだけかも含め伺います。また、現在は計画を策定せず適宜公表とした理由についても説明をお願いします。
【公営住宅課主幹】
県営住宅の建替事業は、従前、昭和46年度から5年ごとに策定する県営住宅建替計画において建替住宅を公表し、平成18年度から22年度までを計画期間とする第8次建替計画までは、同計画に基づいて事業を実施してきた。現在は、第7次・第8次建替計画において対象となった住宅の建替がまだ残っており、未着工数については、約2,500戸ある。適宜公表とした理由については、近年は事業規模が縮小しており、予定どおり事業を進めることが困難であること、建替対象となる住宅は募集停止をするため、空家が長期間生じる要因となっていることなどから、空家の発生を抑え、効率的に建替事業を進めるため、事業の見込みがついた住宅について適宜公表し、事業化することとしている。
【しもおく奈歩 委員】
次に平成25年10月には、県営住宅の効率的な管理運営を項目にした外部有識者による公開ヒアリングで、昭和40年代以前の住宅は建替対象とし年間500戸で期間30年、また、昭和50年度から55年度の住宅は長寿命化改善対象として年間650戸で期間20年間で実施するとの計画を説明していますが、この3年間の実施戸数はそれぞれどれだけなのか伺います。
【公営住宅課主幹】
まず、建替事業について、契約ベースでの直近3箇年の実績は、平成26年度が、5住宅281戸、27年度が、5住宅275戸、28年度が、6住宅407戸であり、合計で963戸となっている。また、長寿命化改善事業については、同様に、平成26年度が、3住宅300戸、27年度が、4住宅324戸、28年度が、4住宅352戸となっており、合計で976戸となっている。
【しもおく奈歩 委員】
このテンポで進んだ場合、40年以上といったかなりの年月がかかるのではと思います。入居者は、今でも老朽化が激しいのに40年以上も待ってくださいねということになってしまいます。外部有識者による公開ヒアリングにおいて有識者会議の判定は、7人中6人が再検討が必要とし、県営住宅に係る財政の仕組みを改善し、建替・長寿命化改善対策をスピードアップされたいと提言されています。
そこで、期間や財源を含め改築計画を見直す必要があると考えるが、県の見解を伺います。
【公営住宅課主幹】
建替を行う必要がある住宅が約2,500戸残っているため、まずはこれらの住宅の建替を着実に進めていくことが重要と考えている。一方で、建設後相当年を経過している住宅が存在しており、これらの住宅の建替に着手していきたいところと考えているが、事業費の確保が課題となる。このため、一層の建設コストの縮減に努めるとともに、今年度から進めているPFI事業による事業費縮減効果を有効に活用し、建替を効率的に進めてまいりたいと考えている。
【しもおく奈歩 委員】
公営住宅法の第1条は、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を整備し、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与すると定めています。公営住宅は、憲法25条を実現する住宅制度です。県民の大切な共有財産でもある県営住宅にもっと予算を拡充していくことを要望します。
玄関ドアの塗装は県の責任で
決算に関する報告書363ページ県営住宅管理運営事業費について伺う。
維持修繕費の決算額は、平成24年度の34億円を底にしてここ数年増額されています。平成28年度は46億円、29年度予算額は48億円に増額されている。しかし、20年ほど前は約72億円の維持修繕費が確保され、今よりはるかに多額に確保されていました。
入居者の声に応えて県が努力してきた中で、維持修繕費は増額の流れですが、建設から40年以上たつ老朽化した大量の県営住宅の維持に対処できるものには程遠い状況であります。我が党は、入居者のアンケートなどをまとめてたくさんの要望を提出しています。委託先である県住宅供給公社の職員は、予算が少ないために入居者の要望や対応に大変苦労しています。
入居者の要望に積極的に応えられるように抜本的な思い切った予算確保が必要だと思います。県の今後の取り組みについて伺います。
【公営住宅課主幹】
限られた修繕費の中で、これまで入居者の安心安全の確保を最優先として、効果的・効率的な実施に努めてきたところである。
ここ数年は、厳しい財政状況の中でも、県営住宅の修繕費は漸次増額されているので、今後とも入居の要望にできる限り応えられるよう修繕費の確保に努めていく。
【しもおく奈歩 委員】
次に、修繕に関わって、入居者の費用負担の改善について伺う。これまで委託先である県住宅供給公社とやり取りをしたが、塗料が剥がれ落ちて見苦しい玄関ドアの塗替えは入居者負担となっています。大阪府や神奈川県は県負担となっています。群馬県に至っては、玄関戸を含む建具は、内装塗装は入居者、それ以外は県となっており、方法は県によって様々ありますが、県が負担することとなっています。
そこで、入居者の負担を軽減するためにも玄関ドアの塗替えは県が負担するように改善すべきと考えます。県の見解を伺います。
【公営住宅課主幹】
本県においては、玄関ドアの修繕は、例えばドアの開閉を制御するドアクローザーや丁番などが故障し、ドアの機能が損なわれた場合には、一般修繕により県の負担で修繕しているが、個別の住戸のドアの塗替えについては、原則として入居者の負担としている。
一方、長寿命化改善工事の際には、県の負担によりドアの塗替えを行うと共に、一般修繕においても、住宅の老朽化度合及び住棟ごとのバランスを考慮し、住棟ごとにドアの塗替えを実施している。
【しもおく奈歩 委員】
県営住宅について、いろいろ伺いましたが、まだまだ不十分です。住まいは生活の基本であり、憲法第25条が保障する生存権の土台ともいうべきものであります。住まいが権利であることは、世界人権宣言や、日本政府も批准している国際人権規約も認めています。これに則し、安全で最低限度の文化的な生活を営めるよう抜本的な改善を強く要望します。
また、今、格差と貧国が広がる中で、住宅に困窮する低額所得者に低廉な家賃で賃貸する公営住宅はニーズが高いものとなっているので、空き家修繕も大いに進めていき、募集戸数を増やしていくことを要望する。