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[2017年3月15日]健康福祉委員会 一般質問 わしの議員

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〔未定稿 文責:日本共産党愛知県議会議員団〕

研究所の労働環境の改善について

【わしの 恵子 委員】

コロニー発達障害研究所で研究に従事する県職員の健康管理について伺います。

 昨年6月8日、コロニー発達障害研究所に所属する30歳代の研究業務嘱託員が脳卒中で倒れ、2日後に死亡しました。また、9月にも同所属の研究業務嘱託員が脳溢血で亡くなられています。さらには、2009年6月には20歳代の研究職員が電車事故で亡くなられ、「パワハラが起因となった自殺」ではないかとコロニー内で調査が行われたと聞いています。

 研究業務嘱託員の勤務条件は嘱託員設置要綱で定められ、「1週間当たり29時間以内、残業は命じられない」という情報を聞いています。また、昨年12月議会に条例が改正され、来年度からは嘱託職員に対しても超過勤務を命ずることができるようになります。3月2日の新聞各紙は、岡崎商業高校の40歳代の先生がくも膜下出血で亡くなられた事案について、名古屋地裁が「過労死」として認定したことを報じています。学校の先生は、超勤手当はつかないが、残業だらけ、研究員もよく似た環境にあると思います。

 そこでお尋ねします。研究職場の職員は、研究の性格から、長時間の労働を求められる場合が容易に想定できます。研究職員の超過勤務をどのように管理していくのかお答えください。

 

【健康福祉総務課主幹(総務・人事)】

 コロニー発達障害研究所の研究職員の超過勤務に関するご質問であるが、まず、質問にあった昨年6月と9月の研究業務嘱託員の死亡については、いずれも研究所の労働環境が原因との事実根拠はない。

 また、平成21年6月の職員の死亡については、パワハラの可能性が指摘されたため、研究所職員を対象として調査が行われたが、その結果、パワハラの事実はなかったと確認されている。

 その上で、研究所職員の超過勤務をどのように管理していくのか、という点については、研究所も他の職場と同様に、上司が必要と判断した場合のみ、本人の申請に基づき、必要最小限の範囲で時間外勤務を命じているところであり、研究所としても、長時間の時間外勤務とならないよう、必要に応じて上司や所属長により聞き取りを行い、長時間勤務が生じないよう働きかけを行っているところである。

その結果、研究所の時間外勤務については、健康福祉部全体と比較しても、それほど多くない実態となっている。

 なお、研究業務嘱託員については、平成29年4月からは他の嘱託員と同様、一般職の非常勤職員に位置づけられ、制度上は時間外勤務を命ずることが可能となるが、非常勤という性質は変わらないことから、これまでと同様に時間外勤務は命じないこととしている。

 

【わしの 恵子 委員】

 県職員は、健康管理制度によってすべての職員の健康状況を把握し、それぞれの職員を健康区分に分け、過度の労働をきたさないようにしていると伺います。対象のよくない職員は「要注意」「要軽業」「要休業」などに指定され、産業医の管理のもとで、適切な対処がされる制度と聞いています。特に研究職場は、研究事案によっては自らの体調状況を無視して長時間の執務をやむなくされる場合があると思います。

 そこで伺います。研究職場の職員の健康管理を今より正確に丁寧に行う必要はありませんか。

 

【健康福祉総務課主幹(総務・人事)】

研究職員の健康管理について、研究所の職員は、他の職場の職員と同様に、年に1度の健康診断受診を義務づけている。

 また、長時間の時間外勤務者に対しては、「長時間の時間外勤務者に対する健康管理対策要領」により、月45時間を超える時間外労働に従事した場合は、所属長が体調等の聞き取りを行い、必要に応じて受診勧奨等を行うこととしている。

 さらに、月100時間を超える場合や、過去2か月から6か月間の月平均が80時間を超える場合は、衛生管理医師による保健指導や、必要に応じて健康診断を受診させる等の措置を行うこととしている。

 なお、コロニー発達障害研究所における2月末時点での時間外勤務の実績は、一番多い職員でも月20時間となっており、特別な措置を講ずる必要はないものと考えている。

 

【わしの 恵子 委員】

 次にアカデミックハラスメントに関する防止対策ガイドラインの制定について県の姿勢を伺います。

 健康福祉部には、コロニー発達障害研究所に約40名ほどの研究職員が、世界の先端を行く研究に励んでいます。特別な研究ゆえに、研究の業過や人事配置、研究予算の配分など自律的に行い、研究所の自治を確保し県きゅに集中できるように努力されています。

 一方で、そのような成果悪の研究職場ゆえに、研究上の卓越した地位にある職員が、その地位や職務権限を濫用して、職員に対して不適切・不当な言動を行い、これによって相手が研究、就労、職務遂行に関して、不利益・損害を被る場合があります。これがアカデミックハラスメントといされているものです。

 名古屋大学では、パワハラと合わせてアカデミックハラスメントの防止対策ガイドラインを定めています。その中で、「例示」をあげています。「上司の教員による他の教員に対する研究の妨害」の項では、「昇任や業績評価にあたって恣意的に不当な評価を行う」「研究費の使途について不当な制限を加えたり不合理な配分を行う」などをあげています。また、愛知県立大学でも2011年「ハラスメントのないキャンパスづくりのために」を発行し、その中で「正当な評価を行わず、採用・昇進について差別的な扱いをする」例をあげながら「アカデミックハラスメントとは深刻な人権侵害なのです」と説明しています。 

 そこでお尋ねします。愛知県には人事当局発行の「セクシャルハラスメントの防止に関する要綱」「職場におけるパワーハラスメントの防止及び対応について」がありますが、アカデミックハラスメント対策はありません。

 「深刻な人権侵害」を防止するために、アカデミックハラスメント対策の要綱などを定め、職場に周知することが必要だと思うが、当局の考えを伺います。

 

【健康福祉総務課主幹(総務・人事)】

アカデミックハラスメント対策について、コロニー発達障害研究所においては、これまでにアカデミックハラスメントに該当する事例があったという事は聞いていない。

 また、県においてすでに策定されているパワハラ及びセクハラの要綱等で、アカデミックハラスメントに係る対応もできるものと考えている。

 しかしながら、開かれた研究機関として更なる発展を図るうえで、このような対策を講じることも有効であろうと考えられる。

 いずれにしても、まずは現場で十分検討することが肝要と考えており、研究所と相談しながら、ハラスメント対策のあり方について研究してまいりたい。

 

【わしの 恵子 委員】

 ぜひしっかりと研究していただきたいと思います。

 

 

県立病院のハラスメント対策について

 

【わしの委員】

 日本看護協会は実態調査を行い、病院内での暴力・トラブルの発生頻度は昼夜関係ないこと、保健医療福祉施設に勤務する職員のうち3割以上の者が身体的暴力及び言葉の暴力を受けており「職場ではよくある」と認識していること、職場内の暴力を防止する対策が不十分であることなどを明らかにし、ハラスメント対策指針を作成しています。

 そして、「暴力は、生命、健康、尊厳など人として最も大切なものを傷つけます。ひとつ対応を誤れば、保健医療福祉施設としての信頼を失うことになります。これらの取組は必ずや、看護サービスの質の向上や看護職員の離職防止対策としても有効に働くことと思います。本指針が、暴力の防止対策を進め、不幸にして暴力が発生した場合においても適切かつ迅速な対応がされることで、被害を最小限にすることを期待します。そしてこの指針が、働き続けることに誇りと満足感を持てる職場づくりの一助として、職場で活用されることを願っています。」と記されています。

 今やうつ病は看護師の職業病とも言われ、看護師である以上、誰もがうつ病になる危険性を秘めている。厚生労働省が発表した「平成26年度精神障害の労災補償状況」によると、看護師を含む医療業は、うつ病を含む精神障害による労災請求件数が2番目に多い業種、職種別では看護師はワースト9位となっています。

 では、なぜ看護師がうつ病になりやすいのか。それには、以下のような看護師ならではの要因があります。命を預かっているという責任感やプレッシャーがある、仕事量が多く時間に追われる仕事である、交代性勤務により生活が不規則になる、看護師への理解が不足している医師との関係、患者さんや御家族からの無理な要求、女性が多い職場ならではの人間関係、看護師には責任感の強い人が多い、などです。病院事業庁の職員数1,723人のうち、1,097人と3分の2を占めている看護師がこのような声を上げています。

 2015年度一年間では、精神疾患で10日以上療養休暇を取得あるいは休職した職員は何人いたか伺います。

 

【管理課主幹】

 平成27年度一年間に、精神疾患により10日以上療養のために休んだ職員は30名である。

 

【わしの委員】

 30人とのことであるが、やはり労働環境が大変なだけに多いと感じます。病院事業庁には、セクシャル及びパワーハラスメントの防止・対応の通知が出されているが、内容のほとんどが知事部局の通知と同じ内容になっており、働きやすい職場環境を作ろうとする意気込みが高いとは言えないと思います。

 パワーハラスメントの防止・対応の通知について、先ほど触れた看護師ならではの要因など、病院の特性に合わせて改善すること、職場の末端まで十分に周知することなど、ハラスメントを初期の段階で解決できる内容と体制、取組が必要だと思うが、どのように取り組むのか伺います。

 

【管理課主幹】

 病院職場に特有のハラスメントとしては、患者さんなどからの暴言・暴力がある。

 委員からもご紹介のあった日本看護協会が出している「保健医療福祉施設における暴力対策指針」にも、看護師が被害者となる事案の加害者は、「患者・ケア対象者」が最も多いとされている。

これに対しては、各病院において、それぞれの病院の特性も踏まえた「暴言・暴力対応マニュアル」を作成し、対応している。

 このマニュアルは、日常的な心得や、危険を感じた場合は「近くにいる職員を呼び、1対1で対応しない」など、事案が発生した際のフローチャートなどが記載されたものであり、職員が日常的に活用できるようポケット版を作成して携帯させるなど、いつでも事態に対応できるように備えている。

 また、暴言・暴力によって被害を受けた職員に対しては、上司等が面談を行うなどして、精神的なフォローを行うとともに、事案を病院内の医療安全管理委員会などの場に報告し、対策を検討することとしている。

 また、職員間のハラスメントの防止及び対応については、県職員共通の対策として、知事部局に準じた通知を発出していることに加え、病院事業庁独自の取組として、看護師については、例えば病棟の師長が必ず年3回部下と面談し、スタッフの悩み事などを早い段階で把握するようにしているほか、特に、新規採用から3年目までの看護師については、看護部の教育担当副部長が定期的に面談を行っている。

 さらに、上司には話しにくい実情を訴えやすいように、更衣室などに看護部長しか鍵を持っていない投書箱を設置するなどの工夫も行っている。

 現在、対応が必要な事案についての報告は受けていないが、こうした取組の中でハラスメントなどが明らかとなった場合は、個別に対処することはもちろんのこと、各病院の教育担当副部長で構成する看護職員研修検討会において、対応策を検討して対処する体制を整えている。

 このように、知事部局とは異なる病院職場の特性に合わせた各種の取組や体制により、職員が働きやすい、風通しの良い職場づくりに努めている。

 

【わしの委員】

 いろいろな対策を報告していただいたが、看護師は本当に大変な状況にいる。どこの病院でもきちんとこれらの対策によりパワハラの防止、対応が行われるよう要望します。

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