〔未定稿 文責:日本共産党愛知県議会議員団〕
転落事故防止にホームドアの設置を
【下奥奈歩委員】
ホームドアについて、駅からの転落や、飛込自殺をなくしたいという思いで質問していきます。
今年の8月15日に、東京メトロ銀座線青山一丁目駅で転落死亡事故がありました。これに続いて、10月16日に近鉄大阪線河内国分駅で転落事故がありました。視覚障碍者の方が駅ホームから転落し、自坊する事故が相次いでいます。
この事故を受け、愛知県視覚障碍者協議会の方たちが、国土交通省に要請を行いました。視覚障碍者のみなさんは「これ以上仲間の命を落とさせたくない」「救うことができた命。数区方法があるのだからやるべきだ」と要請の時に訴えたそうです。
このほかにも、愛知県盲人福祉連合や、愛知障害者フォーラムの各団体も、近鉄や名鉄など鉄道各社にホームドア設置の要望を提出しています。
このように、視覚障碍者にとって駅のホームは欄干のない橋と言われるほど危険な場所になっています。
そこで、まず伺います。ホームドアがない駅で起きた、視覚障碍者の転落事故はホームドアさえあれば防ぐことができ、事故は起きなくて済んだのではないかと思います。この点について県の基本認識を伺います。
【交通対策課主幹】
・国が平成23年に定めた「移動等円滑化の促進に関する基本方針」においては、「ホームドア又は可動式ホーム柵については、視覚障害者の転落を防止するための設備として非常に効果が高く、その整備を進めていくことが重要」とされている。県としても、ホームドアが設置されたことによって、駅での転落事故がなくなったとする事例は承知しており、ホームドアを設置することは、転落防止のための有効な対策であると認識している。
【下奥奈歩委員】
視覚障害者の方は要請の時に「車を運転するわけにいかないので電車が頼り。ホームドアがあれば安心して利用できる」と言っていたそうです。駅のホームからの転落は人命にかかわることです。
次に伺います。愛知県内の駅は、全部で495駅あり、うちホームドアが設置されているのはたった65駅です。
まず、ホームドア設置の65駅の内訳をお示しください。
【交通対策課主幹】
平成27年度末の県内でホームドアを設置している65駅の内訳は、名古屋市交通局の「地下鉄」では、桜通線、東山線、上飯田線の全ての駅で42駅、「あおなみ線」の全駅11駅、「リニモ」の全駅9駅、名古屋鉄道の「空港線」と「小牧線」でそれぞれ1駅の2駅、JR東海の「新幹線」1駅で、合わせて65駅となっている。
【下奥奈歩委員】
ほぼ名古屋駅だけにしかない、ということがわかりました。私の地元豊橋にもありません。愛知県内には、危険なホームがたくさんあるわけです。新幹線も名古屋駅だけとなっています。
次に、一日平均利用者数が一万人以上、そして、10万人以上の駅はそれぞれ何駅ありますか。先ほど示していただいた数字の中で、一日平均10万人以上の駅のホームドアの設置数をお示しください。
【交通対策課主幹】
1日平均利用者数について、1万人以上の駅は、県内に139駅あり、この内10万人以上の駅は8駅である。その10万人以上の8駅のうち、ホームドアが設置されている駅は、名古屋市の地下鉄で2駅、JR東海で1駅、以上3駅である。
転落事故だけでなく自殺防止にも効果大
【下奥奈歩委員】
一日平均10万陣以上の利用がある駅でもホームドア設置がされていないことろの方が多いということです。
次に、ホームドアは視覚障害者の転落と同時に自殺も防ぐことができます。
愛知県内では、2016年に入ってから、10件以上の鉄道線路内での飛び込み自殺と思われる人身事故が起こっています。10月9日に名鉄本線の呼続駅ー桜駅間で、翌日10日には名鉄名古屋駅ー山王駅間で、今月に入り、3日に南大高駅、4日に名鉄犬山線の布袋駅ー石仏駅間でなど、まだまだありますが、これだけたくさん人身事故が起きています。
愛知県内の人身事故一覧というものを出しているインターネットのページがあります。それによりますと、何百件とあって、名鉄も10件の中だけでも、半数が名鉄の人身事故となっています。また、過去10年間の自殺者と思われる件数ランキングが東洋経済に掲載されていて、7位に名鉄本線が入っています。
そこで伺います。ホームドアがないことにより、このように県内で人身事故や飛び込み自殺が相次いでいるということを、当局として認識していますか。
【交通対策課主幹】
日々の報道や、国が公表しているデータ等により、県内の鉄道駅においても人身事故等が生じていることは十分承知している。
【下奥奈歩委員】
今年の7月27日付の雑誌「東洋経済」の記事の中に「鉄道自殺を防ぐホームドアは効果が絶大だ」という記事がありました。
JR山手線は23駅でホームドアが設置されて、飛込自殺がゼロになったそうです。設置前は100件以上の人身事故があり、設置機構は接触事故は1件あったものの転落事故はゼロになったと報道されていました。札幌の地下鉄もホームドア設置後同様に自殺や人身事故がゼロになったと書いてありました。
そこで伺います。今述べてきたように、こういったホームからの視覚障害者を含む転落事故と同時に自殺も防ぐのに、ホームドアが極めて有効であることは言うまでもありません。県としてホームドアの必要性についてどう考えますか。
【交通対策課主幹】
ホームドアの設置がホームでの自殺防止も含め、利用者の安全確保に効果があることは認識しており、その整備の促進を図ることが重要であると考えている。
【下奥奈歩委員】
次に、鉄道の利用は視覚障害者を含め、全ての方が安心して利用できるものにしなくてはいけません。
国の交通政策基本計画では、一日平均10万人利用の駅を最優先し2020年までに800駅にホームドアを設置する、という目標を掲げています。全国の設置状況は合計665駅です。あと3~4年で百ちょっとやれば達成する数字になっています。10万人以上の駅でもまだ170くらいの駅が未達成で設置をしていないという現状です。全国の駅は9000以上あり、一日平均利用者数一万人以上の大規模な駅でも2131駅もあるということで、国の計画にある800駅というのは極めて不十分な数字だと思います。
そこで伺います。この、国の掲げるの区表について、県は不十分だという認識がありますか。また、800駅という低い目標をもっと引き上げるべきということを県から国に対して積極的に申し入れてほしいと思いますが、どうでしょうか。
【交通対策課主幹】
国が策定した「交通政策基本計画」において、「バリアフリーをより一層身近なものにする」施策の1つとして、ホームドアの設置数を、平成25年度の583駅から平成32年度には約800駅にする目標を掲げている。県内においては、名古屋市の地下鉄で今後の設置計画があるが、その他の事業者では、現時点では設置予定はない。ホームドアの設置は、様々な課題があって全国的に進んでいない現状がある。従って、まずは基本計画にある800駅を着実に整備することが重要と考えている。
県独自の補助制度、ものづくり愛知に相応しい取り組みを
【下奥奈歩委員】
次に、鉄道駅のバリアフリー化の推進として「地域公共交通確保維持改善事業費補助金」というものがあります。これは、国、地方自治体などがそれぞれ3分の1ずつ事業者に補助金を出して、ホームドアを含めてバリアフリー化を推進するというものです。
まず確認ですが、県は補助金を出しているのでしょうか。
【交通対策課主幹】
国の補助事業として、「地域公共交通確保維持改善事業費補助金」があり、これは地下鉄以外の鉄道事業者への補助制度として、国が3分の1を補助するものである。自治体に対しても、国が定めた「移動等円滑化の促進に関する基本方針」の中で、事実上3分の1の補助が求められている。本県においては、名古屋市交通局以外の鉄道事業者は、JR東海の1駅を除いて既設駅にホームドアを設置した例はない。従って、この補助制度に協調して、ホームドア整備に対する県の補助金を出した実績はない。
【下奥奈歩委員】
事業者から需要がないのを理由に、事業者任せで県は補助金を出すことを考えていないし、やっていないということです。
次に、ホームドア設置が進まない理由の一つは、費用が高額だから進まないということがあります。国、県、事業者の3社が力を合わせていくことが必要です。
ホームドア設置へ補助金を出している県もあります。他の都道府県のホームドアへの補助実績を見ると、今年の補助額は、埼玉県5300万円、東京都2億9400万円、神奈川県1億2450万円、大阪府5億7700万円となっています。この財政力のある愛知県も積極的に取り組むべきです。
そこで伺います。3分の1件からも補助金を出す姿勢を示して、国と事業者に対して知事が申し入れを行うなど、人命最優先でやってほしいと強く働きかけをしてくべきではないでしょうか。
【交通対策課主幹】
県では、毎年、JR東海や名古屋鉄道との意見交換会を行っている。その中で、知事名により「ホームドアの設置よる転落防止などに積極的に取り組むこと。」などと盛り込んだ要望書を提出し、意見交換を行っている。今後も引き続き、鉄道事業者に対し強く働きかけを進めていきたいと考えている。
【下奥奈歩委員】
次にホームドア設置が遅れている、進まない理由の二つ目に、技術面での課題というのがあります。電車によって停車位置が違うということなど課題があります。ハイ初には技術をいろいろ試行錯誤し提案していかなければいけません。ホームドア設置をさらに進めるために技術面を充実させていかなければなりません。
そこで伺います。技術開発が進むように、技術開発への補助金を上げるべきと国に対して言っていくべきと思いますが、県はどのようにかんがえますか。
【交通対策課主幹】
・ホームドアの整備は、費用や技術的な問題があり、なかなか進まないのが現状である。そこでまず事業者にホームドア設置の機運を持ってもらわなければならない。そのためには、技術開発が進まなければなければならないが、その状況もみながら今後のホームドア整備の対策を考えていくことになる。現時点では、まずは働きかけを進めることにより、事業者の自助努力を促していきたい。
【下奥奈歩委員】
県からも独自の補助を出すことや、モノづくり愛知というのなら県としても協力できることがあるのではないでしょうか。
【交通対策課主幹】
国においては、「鉄道技術開発費補助金」として、事業費の2分の1を補助する制度を設け、ホームドアの技術開発を促進している。現在、新たなタイプのホームドアの開発が進んでいることから、引き続きこうした補助制度が継続されることを望んでいきたい。新たなタイプのホームドアが技術開発されれば、その成果は、全国の鉄道事業者に還元され、その活用ができるようになるものであることから、国が主導して進められるべきものと認識している。
【下奥委奈歩員】
さらに、ホームドアが設置されるまでに、人員の配置を増やすことや点字ブロックを視覚障害者が利用しやすいように工夫するなど事前の改善対策を講じる必要があると思います。
例えば、私の地元豊橋や東三河で言うと、渥美線や飯田線などでは無人駅も多くあり、何か起こったときに対応する方や、視覚障害の方が利用するとき声をかける人もいないという状況です。
そして、点字ブロックについても、今年の8月の東京新聞に、点字ブロックがあっても柱がブロックと重なっていて、点字ブロックに沿って歩くと柱にぶつかってしまうとか、柱や壁、床の色調が同じで、弱視の人にはわかりづらいということがあると報道されていました。
また、愛知障害フォーラムが鉄道各社に出した要望書の中に、列車が走行する進行方向がわかる点字ブロックをつけてほしい、人員を増やしてほしい、なども記載されていました。
そこで伺います。県として、自称者に対して人員を増やすことや点字ブロックを利用しやすいように工夫するなど安心して駅を利用できるようにしっかりと対策を講じるようにと、強く要求するべきではないでしょうか。
【交通対策課主幹】
ホームドアに変わる転落防止対策として、ホームの端が分かる形の内方線付き点状ブロックの設置や、駅員によるホーム巡視、巡回などの安全対策については、これまでも、鉄道事業者に対して要請を行ってきたところである。今後も引き続き、鉄道事業者に対し働きかけを行っていきたいと考えている。
【下奥奈歩委員】
最後に、県はリニアには熱心ですが、それよりも大事なのは、県民が安心して鉄道を利用できるようにすることです。ホームドア設置で救える命を救うために、人命を最優先し、ものづくり愛知というなら、積極的に行動を起こし、取り組むことを強く求め質問を終わります。