〔未定稿 文責:日本共産党愛知県議会議員団事務局〕
【下奥議員】
2月議会に引き続き、食品不正転売の問題について質問をしていきます。
私たち県議団は、ダイコーの処理施設の稲沢市の2か所と本社工場へ視察に行きました。現地に着くと、カラスが集まっていて住処のようになっていました。食品廃棄物もまだたくさんある状況でした。そして、異臭もして、鼻をふさぎたくなるくらいでした。6月9日付の中日新聞でも近隣住民の女性が「臭いで窓も開けられず、洗濯物を外に出せないときもあった」と報道されています。
これから、夏になれば、ますます悪臭が増すことが予想されます。撤去作業をいま、進めていて3、4か月かかると報道されています。この作業について、県の職員のみなさんもがんばっている様子が報道されていました。大変な作業ではありますが、引き続き完全に撤去されるまで、力をつくしてほしいとおもいます。
撤去作業も大事ですが、そればかりになっていて、再発防止が後回しになっていてはいけないと思います。両方平行しておこなっていくべきということを最初に申し上げ、質問に入ります。
私は、2月議会で、県が許可をだした産廃業者ダイコーが、廃棄されるはずの食品を不正に転売したという重大な事態にたいする基本認識を県の責任という点も含めて伺いました。県は、答弁で、「受託した廃棄物を不適切に取り扱ったことは、廃棄物処理への信頼を損なう大変重大な問題であると受け止めている。」とこたえました。ですが、県の責任ということは答弁にありませんでした。
そこで、確認する意味も含めて改めて伺います。今回のこの問題は、許可を出した、県の責任であるということをしっかりこたえてもらいたいと思います。答弁を求めます。
【資源循環推進課廃棄物監視指導室長】
産業廃棄物処理業の許可については、事業の用に供する施設及び申請者の能力が、法及び省令で定める基準に適合すること、及び、事業者が欠格条項に該当しないこと、これらのことを申請書で審査して、基準に適合すれば、裁量の余地なく許可するものとなっている。
ダイコーについても、法に基づき厳正に審査をした結果、基準に該当したため、許可したものである。
しかしながら、今回、ダイコーが悪意をもって、廃棄物処理法に違反し、適正な処理を行わずに不正転売するという、廃棄物処理への信頼だけでなく、食の安心・安全を揺るがすような事件を引き起こした、これに関しては、私どもは大変残念なことと思っている。
【下奥議員】
何度も申し上げますが、許可を出したのは愛知県です。愛知県が問題を犯すような業者に許可を与え、こうした重大問題が起きたことは、県が県民からの信頼を覆す重大な問題という認識をしっかりもっていただきたいと思います。
次に、排出事業者の責任について伺います。ダイコーのことは報道にあるとおりで、話題にあがっていますが、出した側壱番屋の責任という問題点が消えてしまっているのではないでしょうか?
壱番屋は、ビーフカツに合成樹脂の異物が混入していたおそれがあるとうことで、ダイコーに処分を委託しています。もし、消費者の口に入っていたら健康被害へのおそれが大きかったとおもわれます。なおさら、壱番屋には委託した食品廃棄物であるビーフカツが確実に、安全に最終処分されるまでダイコーの処分を確認する責任があったはずです。にもかかわらず、大部分が不正に転売されてしまった。これは食品関連事業者として責任を放棄したといわれても仕方がないと思います。
この点について、まず県の認識を伺います。
【資源循環推進課廃棄物監視指導室長】
今回の事件が起こって、私どもは、壱番屋の排出事業者責任の履行状況、その他諸々のことについて、廃棄物処理法第18条に基づく報告で確認している。
その中で、同法及び私ども県条例で定めている、マニフェストの交付、それから、委託契約の締結、また、処理状況の確認と、これらについては、実施されていた。
しかしながら、壱番屋は、結果として、今回のようにダイコーが悪意をもって不適正処理を行ったことを見抜くことはできなかった。
その後、壱番屋は、廃棄物処理の委託方法について、改善を行う旨を公表している。これらのことから、壱番屋は、排出事業者としての責任を放棄しているとまでは言えないと考えている。
【下奥議員】
国会でわが党参議院議員市田忠義議員がこのことについて質問をして、環境省が「排出事業者としての責任はある」と答弁しています。
壱番屋は、2014年以降、60万枚近いカツをダイコーに処理依頼しています。多量発生事業者の責任は極めて重大だとかんがえます。県として、食品関連事業者の責任はどうしていくのでしょうか。答弁を求めます。
【資源循環推進課廃棄物監視指導室長】
関係部局を始め、市町村、関係団体と連携を図り、廃棄物処理法、県条例で定める排出事業者の責務、中でも、処理状況の確認等について、これについては確実に実施するよう、排出事業者に対し法令遵守の徹底を指導・啓発していく。
【下奥議員】
排出者もとの責任もはっきりさせて、これを教訓に今後同じことが起こらないように排出者責任についても県として考えてもらいたいと思います。
次に、今後の再発防止も含めてどうしていくのかということについて質問をします。
今回の問題は、県行政としてのチェック体制が杜撰だったという点もあります。
2月議会でもお話したように、愛知県は過去5年間、ダイコーに対して近隣住民から悪臭の苦情があったということで、立ち入り調査を行っています。2011年~2015年の間に計13回もの立ち入り検査をおこなっているにもかかわらず、見逃されています。
2014年に悪臭の苦情を受け稲沢市の倉庫の立ち入り検査を実施した際、ダイコー側から、「廃棄物ではなく、肥料や飼料」と説明をされて、悪臭の改善を口頭で促すにとどめました。県の担当者からは「ダイコー側の説明を真に受けずに、綿密に確認すればよかった」との声も出ていると朝日新聞で報道されていました。あまりに検査の仕方がぬるいのではないでしょうか。
県民の目線にたつなら、優良企業だから大丈夫ということではいけないのではないでしょうか。
廃棄物のなかでも食品は県民の健康や命に直接関わる問題であり、県民の暮らしと環境、食の安全を守るという県民本位の立場から、県行政のチェック体制がどうであったか検証をしっかりとして、今後は、厳しい検査をするべきではないでしょうか?答弁を求めます。
【資源循環推進課廃棄物監視指導室長】
立入検査方法や、チェック項目の見直し、担当職員への研修等により、監視指導体制の強化を図っていく。
【下奥議員】
再発防止のために、なぜ問題が起こったのか、なぜ未然に防ぐことができなかったのかも含め、問題の全容解明と原因の究明が必要です。私が2月議会でこの点について質問をしたときに、県は「様々な問題があることは認識している。現在、廃棄物処理法に基づく違反内容などについて事実確認を進めている段階である。
今後、すべての違反事実等が確認できた段階で、課題やその対応について、しっかりと検討していきたい。」ということを答弁の中でいわれました。あれから時間が経過をしましたが、その後、課題や対応についての検討はどこまでできているのでしょうか、どんなことが検討されているのでしょうか、答弁を求めます。
【資源循環推進課廃棄物監視指導室長】
まず違反事実の確認等をしっかりと進めてきて、本日、確定した違反について、廃棄物処理業の許可取消しを行ったところである。その違反内容としては、一つとして、マニフェストへの虚偽入力、それから、積替保管場所の追加を行ったにも関わらず届出を行わなかったこと、一つとして、発酵施設が故障し、他の場所に新たに発酵施設を設置したにも関わらず届出を行わなかったこと、一つとして、変更の許可を受けずに破砕施設を設置して産業廃棄物の破砕処分を業として行った、ということである。
それから、再発防止策については、これらの事実確認を踏まえ、監視強化、排出事業者への指導、啓発などの対応について、現在検討を始めたところである。
【下奥議員】
今回の問題はダイコーのように、中間処理業者であると同時に再生利用事業者で事業を行っている場合、都道府県や国の機関の違いによって的確に指導や監督がなされていないことから、今回のような食品廃棄物の不正転売につながっていると考えられます。
私は、2月議会の質問のときに「今後、こうした業者に関しては、特別なチェックが必要であると考えますがいかがでしょうか。」ときいて県は、「今後、方向性が決まってくると考えている。」ということを答弁の中で言われましたが、現在までに、どんな方向性が決まっていますか?特別なチェックが必要であると考えますか?答弁を求めます。
【資源循環推進課廃棄物監視指導室長】
環境省が、食品リサイクル法を所管する農水省、あるいは厚労省、消費者庁と共同して、食品廃棄物の不適正な転売防止、転売事案の再発防止のための対策を検討している。私どもも、この動向をしっかり注視しているところである。それから、本県としても、本事案の発覚後、関係機関、関係部局、関係市町村との情報交換のための打合せ、あるいは合同立入検査を行う等により、連携して対応しており、今後も実施していく。
【下奥議員】
もっと特別なチェックが必要だと考えているが、そういうことも視野に入れているか。そういうことも検討に入っているのか。
【資源循環推進課廃棄物監視指導室長】
それぞれの機関については、所管する法律の目的に沿って監視・指導を行うものであり、その中で情報交換などにより連携していくことと思っている。
2月議会でも申し上げたとおり、今回の問題を受け、原因解明と再発防止対策について、県も、国も、制度的な見直しも含めた抜本的な対策を講じることが重要であります。愛知県だけでなく、他の県でも起こる可能性がある問題です。
愛知県として県民の命食の安全の責任の重さを考えながら、しっかりと反省して議論するべきです。愛知県として、今後、同じことが繰り返されないためにどう頑張っていくのか、再発防止のとりくみはどうしていくのでしょうか、答弁を求めます。
【資源循環推進課廃棄物監視指導室長】
今回のダイコーによる不適正な処理は、マニフェストの虚偽、立入検査時に偽りの説明をするなど、悪意をもって行われたものであり、通常の立入検査や指導では、見抜くことが難しいという側面もあった。しかしながら、県としては、今後このような事件が二度と起こらないよう、関係部局を始め、市町村、関係業界団体等との連携を図りながら、産業廃棄物処理業者に対しては、法令遵守の徹底の指導していく。また、排出事業者に対しては、廃棄物の処理過程の確認をしっかり行うよう、指導していく。
更に、立入検査方法の見直し、担当職員への研修などにより、監視指導体制の強化を図っていく。
以上により、再発防止に向け、しっかりと取り組んでいきたいと思っている。
【下奥議員】
県民の食の安全が脅かされる事態が起こったということの重大さと、ずさんなチェック体制であったということをしっかりと認識し、改善していくことが重要です。二度と同じことが起きないためにも、制度の見直しや人員体制などを含め、抜本的な対策を講じることが必要です。
愛知県として、県民の命、食の安全の責任の重さを考えながら、県民本意の立場に立ち、再発防止に真剣に取り組むことを今回も繰り返しになりますが、強く要望して私からの質問を終わります。