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[2016年6月24日]振興環境委員会 大規模展示場

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第91号議案 平成28年度愛知県一般会計補正予算、大規模展示場と、アジア競技大会について、第94号議案、愛知県名古屋飛行条例の一部改正について、第104号議案設楽ダム建設に関する基本計画の変更についての3議案に対して、質問をしていきます。

〔未定稿 文責:日本共産党愛知県議会議員団〕

収支見込めない大規模展示場は見直しを

【下奥議員】

 最初に、大規模展示場について質問をします。大規模展示場への補正予算で整備費349億4千円が計上されています。

大規模展示場は、2020年の東京オリンピック、パラリンピックで首都圏の会場が使えないためその受け皿として、中部国際空港の空港島に整備されるというものです。

 2019年9月頃に開業するため、設計・施行を一括して発注する、デザインビルド方式で行うとしています。この方式の場合、コスト削減、工期短縮というメリットがあるといいますが、デザインビルドは、設計・建設業務が“業者丸投げ”となり、工事の内容について発注者のチェックが効かず、追加工事などにより事業費が膨れ上がる危険性も指摘されているなど、公共事業のあり方としても大きな問題がある手法です。

 それなのに、愛知県は工期短縮を理由に、その手法で何が何でも建設ありきで進めようというのは、安易すぎるのではないでしょうか。このデザインビルド方式について、まったく問題がないと考えているのでしょうか、リスクについてどのように考えていますか?答弁を求めます。

 

【大規模展示場準備室長】

・デザインビルド方式は、施工者の独自の技術力やノウハウを設計段階から活用することが可能であり、また、設計作業と並行して、資材発注などの施工準備ができることから、工期短縮の有効手段となるとともに、施工業者の独自の技術を採用することによりコスト縮減効果も期待できる。

・決して丸投げするわけではなく、発注者である県が、設計、工事の様々な段階で適正に進められているかチェックし、補正予算の中には、デザインビルドを監督するための委託費も盛り込んでおり、第3者である業者によるチェックも行うことで、適正な事業管理を行う予定であり、リスクはないと考えており、問題はないと考えている。

【下奥議員】

 日経のアーキテクチュアという雑誌や、国土総合研究機構が出しているデザインビルドに関する提言の中でも、デザインビルド方式につきまとう要求条件、設計基準の不明確さなどは、不確かな条件での入札となり、価格設定の問題、コスト、リスク増大の問題があること、品質に関する管理監督が不透明になるという危険性があると指摘されています。

 公共工事の執行においては、透明性を確保して説明責任をはたすために設計施工分離方式が原則ではないでしょうか。

リスクを背負ってデザインビルド方式を選ぶ県の姿勢は問題だとおもいます。

 

 次に、大規模展示場について、知事は「簡素に」といいますが、349億円という額がもうすでに莫大な額になっています。「コスト削減やなるべくお金がかからないように」という言い訳はすでに通用しません。

 11日付の中日新聞に先ほども言いましたが説明会の様子が掲載されていて、そのなかに「空港などと、屋根つきの回路で結ぶ」ということや、3日の中日新聞では、「将来的に展示面積を拡張していく」と報道されていました。さらに、いまだ示されていない、土地代もあります。

 このように、次々と大規模展示場それ自体と関連事業で、金額が膨れ上がっていき、幕張メッセのように建設段階から、建設後の膨大な県民の大事な税金が湯水のごとく投入されることが予想されます。県にとって大きな負担になるおそれが今から明らかではではないでしょうか。

 

【大規模展示場準備室長】

・今回の建設予算は、展示場施設の躯体は倉庫並みの仕様に抑えながら、展示場としての必要最低限の仕様を加味して見積もったもので、かなりコストを抑えたものとなっている。また、建設後の運営についても徹底したローコストオペレーションとなるよう、現在進めている運営体制の調査の中で検討を進めている。拡張するのではとのご指摘については、当面、2019年秋頃開業の目標に向け現在の計画を実現できるよう着実に進めていきたいと考えている。

 

【下奥議員】

 次に、大規模展示場の収支面について伺います。

 愛知県の試算では新展示場は4万平方メートル規模の展示会を毎月実施しないと収支が賄えないとしていますが、そのようなことが果たして可能でしょうか?

 現在あるポートメッセ名古屋の稼働率は、2012年の39.8%から、2014年の46.3%と少しずつ上がってはいるものの、5割以上には至っていません。今ある会場もまともに使えていない状況です。

 県は2月議会の答弁で、「当地域で最大のポートメッセなごやの展示面積は、3万4千㎡であり、それを上回る規模の展示会は、これまでに本県で開催されたことがなく、確かに簡単ではないと考えている。」という答弁をして、オープンする前にPRに努めるとこたえているだけで、まったく、収支の見通しについては答えませんでした。

 これだけの大型公共工事で、莫大な予算が伴うにもかかわらず、簡単じゃないとか、PRに努めるという答弁は運営が赤字にならない、県民負担はないという根拠にはなりません。収支シミュレーションと、その根拠をお示しください。

 

【大規模展示場準備室長】

・今年2月に今回の計画を公表した際に計画の概略の中で収支シミュレーションをお示ししている。これは、昨年度調査において、他の展示場へのヒアリングの中で、「ローコストオペレーションを徹底し、30%の稼働率を確保すれば収支が均衡する」との概ねの方向性を確認できたので、他の大規模展示場の収支を参考に、展示面積を6万㎡に置き換え試算したものである。これにより、展示面積の適正規模と、そのためにどれぐらいの展示会を開催すれば成り立つかについて検証を行ったものである。その結果、展示面積6万㎡で、稼働率30%で収支均衡するためには、4万㎡規模のイベントを毎月開催する必要があるとの結果となったものである。

・30%の稼働率は高い目標ではあるが、インテックス大阪、ポートメッセなごやの稼働率を見ても、現実離れした数字ではない。今後、今年度進めている運営体制の調査の中で、展示ホールの詳細な諸元、会議室の面積、構成など詳細について固めつつ、使用料の詳細を固めながら詳細な収支の見込みを明らかにしていきたい。

 

【下奥議員】

既存の施設を6万平方メートルに見立てて、収支をだすということは、単なる一つの仮定、推定でなんの根拠にもならず、ずさんな計画というべきものです。現在、進めているものの積算や、全体の積算根拠は、いつ、どのように明らかにされるのでしょうか?答弁を求めます。

 

【大規模展示場準備室長】

・本年度の進めている運営体制構築支援業務と今回補正予算を提案している施設の基本設計により、施設の具体的な諸元などをあきらかにしていくので、それらを踏まえて、使用料、収支等運営について検討・明確にしていきたい。

 

【下奥議員】

 千葉県の幕張メッセの場合では、最初は使用料収入で賄うということになっていたそうです。しかし、使用料収入だけでは賄えずに2014年度までに累計377億円を運営に投じて、県と市の大きな負担となっています。幕張メッセは毎年赤字を出し、その穴埋めに県費を投入し続けている施設です。

 幕張メッセについて、当初千葉県知事は、99年に黒字になり、施設の収入が増えるから税金の世話にはならない、と胸を張っていたそうです。今では、メッセのような施設に赤字も黒字もないと開き直り、負担を負う結果となっています。

 大規模展示場も使用料収入だけで賄えない場合、千葉県幕張メッセのように愛知県も財政支援を行うことになり、県民への膨大な負担となるのではないでしょうか?

 2月議会のときに、わたしが、「幕張メッセと同じ道を歩む懸念がある」といったことに、県は否定しませんでした。将来、愛知県も、財政支援を行う可能性があるとかんがえますが。どうでしょうか、答弁を求めます。

 

【大規模展示場準備室長】

・2月の際のお答えと先ほどの答弁と同様になるが、本年度の当初予算で、運営体制構築支援業務を進めている。この作業の中で、ローコストオペレーションとの基本的な考えの下で、収支の詳細を検討している。今後実施する、基本設計により、施設の詳細を固めていくので、それらを踏まえて、収支等運営に関する情報を明らかにしていきたい。

 

【下奥議員】

県民の税金を使って大企業のための展示場を作ってあげて、その赤字の穴埋めでまた税金を投入する。これが巨大開発の歩む道ではないでしょうか。

浪費のつけが回ってきて、県が10年、20年と負担を負う可能性がある事業は見直すべきです。「財政難」というなら、巨大事業を思い切って凍結・見直しし、税金の使い道を切り替えるべきです。大企業言いなり、大型開発優先の県政ではなく、県民の福祉、教育、若者支援にもっとお金を使うことを強く求め、次の質問にいきたいと思います。

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