議会報告

[2016年5月19日]本会議反対討論 アジア競技大会招致について

カテゴリー:

私は、日本共産党愛知県議会議員団を代表して、ただ今議題となっております第87号議案、「平成28年度愛知県一般会計補正予算(第1号)」について、反対の立場から意見を述べます。

この補正予算案は、2026年開催予定のアジア競技大会の招致に向けた開催構想の策定費など6650万円が掲げられています。

大規模な事業だからこそ慎重に、県民の声を聞くことが必要

 5月11日(水)の午後2時から、大村知事と河村市長が一緒に、県庁で記者会見を行い、日本オリンピック委員会(JOC)が実施している国内立候補都市の募集に対し、立候補することを表明しました。そして13日(金)には、JOCの竹田会長を訪問し、立候補意思表明書を提出しました。

 本日行われた振興環境委員会では、「突然ではないか」の質問に対し、「アジア競技大会については当初予算に盛り込まれていた」と答弁がありましたが、当初予算では「国際的スポーツ大会開催可能性検討調査費」が可決されたものであります。

従って、今回の県の提案は、余りにも突然であり、急ピッチで進められているとの思いはぬぐい切れません。

 さらに愛知県のホームページには5月11日付の更新で、アジア競技大会について、「大会構想策定業務委託の公募のお知らせ」が掲載されているではありませんか。

 募集要項には、いくら「平成28年5月臨時議会における予算の成立を条件とし、予算が成立しない場合、本事業は実施しないものとします」と、掲げていても、そして手続き的に急がなければならないといえども、アジア競技大会は規模的にも財政的にも大きな事業であります。だからこそ議会での慎重な議論が必要であり、県民からの意見を聴くことが求められます。

 立候補意思表明書には、「競技会場としては、愛知県内の既存施設の活用を中心に展開することを想定している」とありますが、新聞報道などでは、県と市は今後、500億円とも700億円とも言われるアジア競技大会運営経費や、メイン会場として想定する名古屋市の瑞穂陸上競技場の改修に必要な建設費は500億円と試算されています。さらには16000人対応の選手村を整備するなど、財政負担は図り知れません。

 実際、22年前の1994年に開催された、広島アジア競技大会の財政について国会図書館の資料を調べたところ、選手村の整備費・運営費を含む大会運営費に275億4500万円、そして大会に直接関連する競技施設の建設に2100億円と合わせて2375億円もの財政規模でした。

 また、2014年のインチョンアジア大会では、バラ色の経済効果があると期待されていましたが、結果残ったのは、借金ばかりでバラ色の展望は夢で終わり、財政再建団体の指定寸前にまで陥っています。このように、アジア競技大会の招致は県民の税金の無駄遣いになることが懸念されます。

わしの5月臨時

反対討論を行うわしの議員

 今回の2026年アジア競技大会誘致を検討してきた福岡県は、県などの試算で、総事業費が約600億円に達し、財政確保は困難と判断し、立候補を見送りました。

アジア競技大会を名古屋に呼び込む意義とは

 さて、第20回アジア競技大会を愛知県及び名古屋市で開催する意義についてですが、立候補意思表明書の資料には4点掲げています。

・2020年東京オリンピック・パラリンピックの次の目標となり、愛知・名古屋はもとより、日本全体の成長に貢献する。

・リニア開業前後のビッグ・プロジェクトとして、超電導リニアを世界に発信する。さらにインパクトを活かして、愛知・名古屋の交流人口を拡大し、国際競争力を高める。

・愛知・名古屋を名実ともに東京に対抗する日本のセンターとしてブランドを確立する。

・成長著しいアジア地域と愛知・名古屋とのより強固な連携を構築するというものです。つまり、アジア競技大会そのものの意義というより、それを契機にして愛知・名古屋を世界に発信し、国際競争力を高めるなど、愛知・名古屋の売り込みに夢中になっているとしか思えません。

 また、新聞報道では、アジア競技大会の誘致に成功すれば開催時期を2027年にずらし、開業したてのリニア中央新幹線を世界にアピールする狙いだとまで書かれています。

 そこで日本共産党県議団は、「アジア競技大会」そのものについては、スポーツを通じてアジアを含めた国際平和と友好を促進し、スポーツの振興やアスリートたちの願いに寄り添うという点では賛成するものですが、2026年の招致には賛同できないと表明するものです。

反対理由について明確に述べる

 第1の反対理由は、熊本地震から1か月余りになりますが、被災地では余震が続き、仮設住宅や公営住宅の確保も不十分な中、避難所や車の中で生活せざるを得ない人もたくさんおられます。地震により命は助かったが、その後、地震の影響により命を亡くす方も少なくありません。

 また、東日本大震災の被災地の復興もまだまだ進んでいません。原発事故や放射能除去も収束には程遠い状況です。こんな状況の中で、全国が総力をあげて取り組むべきは、被災者支援・復興対策、原発事故の収束対策ではないでしょうか。

 また愛知でも近い将来に、南海トラフなどの巨大地震が襲う可能性が高いことが指摘されています。いま県が力を入れるべきは、アジア競技大会よりも、県民の安全・安心を確保するための防災・福祉のまちづくりに全力をつくすべきだということです。

 第2に、愛知県の豊かな財政力は、県民の福祉や教育に使うべきです。特に、県立高校や特別支援学校の老朽化・マンモス化対策として、新たな特別支援学校の増設や冷暖房の設置、老朽化した学校施設・トイレの改修は待ったなしの課題です。県民が望むのは、アジア大会に莫大な税金をかけるより、「福祉や教育の水準を引き上げるための施策を優先的に行うべき」ということです。

 第3に、アジア競技大会の招致はこうした安全・安心の国土、愛知や名古屋の都市づくりが進んだ中で、県民、国民の声が広がれば、検討すればよいと思いますが、何よりも「アジア競技大会の意義」については、スポーツを通じてアジアを含めた国際平和と友好を促進するという見地に立って、有意義なものにするために、県民参加で再検討を行うべきです。

 以上、反対理由を述べて、今回のアジア競技大会の招致に向けた開催構想の策定などの補正予算には反対であることを表明して、日本共産党愛知県議会議員団を代表しての討論とさせていただきます。

 

▲ このページの先頭にもどる

© 2015 - 2024 日本共産党 愛知県委員会