議会報告

[2016年3月25日]2月議会 反対討論(わしの議員)

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私は、日本共産党県議団を代表して、第1号議案、平成28年度愛知県一般会計予算について反対討論を行います。

 

消費税増税と社会保障の連続改悪は、県民生活を直撃しています。

働く人の賃金は4年連続してマイナスで、年収200万円以下の「働く貧困層」といわれる人は史上最多に上っています。また生活保護受給者も過去最高となっています。アベノミクスの「破たん」がいよいよ明らかになっています。

暮らしが大変になっている時だからこそ、愛知県は、国の悪政から、暮らしや福祉・医療・子育て・教育を守る「防波堤」の役割を果たすことが求められています。ところが、県の予算案は、そういう立場に立っていません。

 

以下、第1号議案に反対する主な理由を述べます。

全国トップクラスの財政力ありながら、教育・福祉は非常にお粗末

【反対理由の第1】は、県民の暮らしと福祉・教育を支えるべき地方自治体としての役割をないがしろにした予算となっていることです。

国民に痛みを押し付けるばかりの安倍政権のもとで、消費税増税や景気悪化に苦しむ県民に追い打ちをかけるように、市町村国保の引き上げにつながる恐れがある国民健康保険の都道府県化や、生活保護費の削減など県民の暮らしや福祉は後退させられています。

また、教育についても高校進学率の改善は見られないことや、特別支援学校の老朽化の改善策は依然として遅れたままです。その問題を取り上げたわが党のもとむら衆院議員の予算委員会での質問に対して、馳文科大臣は、愛知の特別支援学校の視察を約束、早速視察されました。

三好特別支援学校を視察された際には、冷房が設置されていない教室があることについても言及があり、「政府としてもより一層予算措置をしなければいけない」との発言がありました。

本県では、肢体不自由児の特別支援学校への冷房設備の設置は完了していますが、知的障害児の特別支援学校の冷房設置率は17.9%に過ぎません。

何故そんなに遅れているのかといえば、冷房設置費は特別支援学校費の維持修繕費から工面しなければならないからです。新年度の維持修繕費は1億1400万円ですので、この枠内では十分な対応はできないと思います。もうこれ以上、待てないという実態ではないでしょうか。この夏に間に合うように、特別支援学校の冷房設置を進めていただくよう強く求めるものです。

県営住宅についても、建て替えや修繕がなかなか進まず、「玄関ドアのペンキの剥げ」がひどくボロボロになっていても、議案質疑の答弁でもあったように、修繕は入居者の負担としています。

このように県民に様々な負担を強いている愛知県ですが、全国47の都道府県のなかで全国屈指の財政力指数となっています。

しかしながら、歳出に占める人口1人当たりの民生費の割合は41位、教育費はどうか、人口1人当たりの予算は43位と、やはり全国と比べると低い水準です。愛知県は全国トップクラスの豊かな財政力を、県民の福祉や教育等に使うべきです。

 

見込みのない大型開発推進の県の姿勢を問う

【反対理由の第2】は、県政運営の重点が、採算の見通しのない大型開発中心の大規模公共事業の推進となっていることです。以下具体的に述べます。

 

1.国際展示場についてです。

大規模展示場計画を愛知県も名古屋市も独自で進めていますが、県内に2つも必要でしょうか。350億円という建設費も莫大ですが、さらに数百億円はかかるとみられる用地取得費も含めるとさらなる県費が投入されます。

  また、4万㎡規模の展示会を毎月実施すれば収支が賄えるとしていますが、現在稼働しているポートメッセなごやでの展示会は年14回のうち、4万㎡規模の展示は3回に過ぎません。名古屋市との調整を行わずに、採算の見通しも立たない計画は認められません。

 

2. リニア新幹線についてです。

JR東海のリニア新幹線事業は、採算性の甘過ぎる見通し、深刻な環境破壊、電力エネルギーの浪費に電磁波の危険性、さらには、春日井市沿線の亜炭鉱掘削による空洞など、大きな問題が山積しているにも関わらず、JRは沿線住民への説明責任を誠実に果たそうとせず強引に事業を進めています。

それにも関わらず、県はリニア推進の立場をとっています。

 

3.リニアインパクトを口実にした「名古屋駅スーパーターミナル化」「中部国際空港第二滑走路」「西知多道路」についてです。

「名古屋駅スーパーターミナル化」は一極集中の極みではないでしょうか。

三河部などからは、いっそう「過疎化・人口減少」が進むのではないかと心配の声が届いています。

さらに、リニアインパクトに便乗して「中部国際空港第二滑走路」「西知多道路」が急浮上しています。

 

中部国際空港は、国の審議会に示された1380万人の需要予測さえ大きく下回っています。にもかかわらず、「完全24時間化」「大規模修繕」を口実に第二滑走路は必要としています。国交省は、名古屋港で発生する浚渫土砂を処分するため、中部地方整備局は中部空港沖を埋め立てるための環境影響評価を始めました。それは、第2滑走路につながるものと懸念します。

マスコミ報道によれば1700億円もの巨額の事業費が求められる、中部国際空港の第二滑走路は、必要性も採算性もないものです。

 

さて、そんな状況にもかかわらず、さらに新空港と名古屋市をつなぐ2本目の幹線道路も始まろうとしています。 総事業費1400億円で、県はその内数百億円と言われる県費を投入することになります。しかし、直近の交通センサスでは交通量は減っており、現在の知多半島道路と国道155号線、247号線で十分だと考えます。よって、中部国際空港の二本目滑走路、新しい地域高規格道路は不要です。

 

4.設楽ダムについてです。

設楽ダムは昨年の知事選前に知事が中部地方整備局からの意見聴取に対して「意見なし」と回答され、国は新年度、ダム本体の工事のための転流工工事に着手します。知事が同意した理由は2013年の「渇水」も1つの要因でしたが、その当時でも同流域の大島ダムの貯水率は49%もあり、佐久間導水路や企業庁管理の連絡管などを活用すれば切り抜けられたと考えます。総事業費3000億円、愛知県負担1400億円の浪費の問題はもちろん、天然記念物となっているネコギギなどの自然の宝庫、日本一のアサリ漁業を支える三河湾・六条干潟などを破壊するもので、乱開発は許されません。

5. 名古屋空港周辺の整備についてです。

今年度に続き新年度予算も、三菱重工小牧南工場に隣接する県営名古屋空港の駐機場整備に債務負担を含めて約24億円、航空ミュージアムに44億円など県税を投入する予定です。

また、「アジアNo1航空宇宙特区」と称する事業には、不動産取得税の免除などの優遇税制や各種の規制緩和策が設けられています。これらの大企業応援、個別の産業に特化させる施策には反対です。

「県営名古屋空港の在り方」については、国会の論戦では、「アメリカ国防省が小牧南工場を整備拠点に定めたこと」「県営名古屋空港がその離発着に使用されること」「すでに小牧南工場は自衛隊機用を名目にF35ステルス戦闘機の整備拠点として機材購入や施設改良が始まっていること」が明らかになっています。このままでは、県営名古屋空港の上空を米軍機や他国の戦闘機も頻繁に飛び交う「兵站基地」になりかねません。

愛知県の軍事化が進むのではないかと懸念するものです。県民の不安は計り知れません。

さらに、政府は閣議決定で、安保法制(私どもは戦争法と呼んでいます)が、29日に施行することを定める政令を決定しました。同日午前0時に施行され、歴代政権が憲法違反と判断してきた集団的自衛権の行使や、「戦闘地域」での米軍支援などが可能になるということです。

 

不要不急な大型開発のつけ、巨額の借金

【反対理由の第3】は、5兆円に及ぶ県債残高の要因の一つは、「平成不況」を口実に次々と財政投入した高規格道路などの不要不急な事業と万博・新空港へのインフラ事業にあります。

第2の理由で述べた「国際展示場」「「中部国際空港第二滑走路」「西知多道路」「設楽ダム」などは、まさに不要不急な事業であり、巨額の借金を上乗せするものにほかなりません。一方で、県民の切実な要求などに対しては、いつも「県財政は厳しいから」と後継においやられています。そんな財政のあり方は問題です。

 

 以上、新年度予算に反対する理由を述べてまいりましたが、今愛知県政に求められているのは、大型開発優先から暮らし・福祉優先へ税金の使い方をきりかえ、県民の切実な要求を実現することだと思います。

 

高すぎる国民健康保険料の引き下げ、安心して介護が受けられるよう特養ホームの増設や介護保険料・利用料の減免・軽減、子どもの医療費無料化は入院・通院とも中学卒業までに拡大、どの子も希望する高校へ進学できるよう高校進学率を引き上げること、県立高校及び特別支援学校の老朽化対策、県営住宅の建て替えや修繕改修対策、そして給付制の奨学金制度の創設やブラック企業対策など若者の雇用を守ること等は急務です。

日本共産党県会議員団は、県民の健康と暮らしを支え、憲法9条の立場で平和な社会をめざす愛知県政実現のために頑張る決意を表明し、討論とさせていただきます。

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