議会報告

[2016年3月8日]2月本会議 議案質疑 国保の基金条例制定について

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第65号議案 平成27年度愛知県一般会計補正予算(第5号)及び

第75号議案 国民健康保険財政安定化基金条例の制定について一括して質問します。

高すぎる国保料の引き下げを求めます

昨年の通常国会において、2018年度から国民健康保険の財政運営の主体を市町村から都道府県に移す医療保険制度が成立しました。都道府県は市町村とともに国保の財政運営の責任主体となり、安定的な財政運営や効率的な事業の確保等、国保運営に中心的な役割を担うこととなります。

具体的な都道府県の対応としては、市町村ごとの国保事業費納付金の額を決定すること、国保安定化基金を設置すること、県内の統一的な国保運営方針を定めていくこと、市町村が担う事務の効率化・標準化・広域化を推進すること、さらに、市町村ごとの標準保険料を算定・公表すること、給付に必要な費用を全額市町村に対して支払うこと等が挙げられています。そして、今回の制度改正への対応として、国民健康保険財政安定化基金を設置するための条例案及び補正予算案が提案されているところです。

本県の市町村国保における国民健康保険料負担率は平成25年度9.4%、また、一人当たりの保険料は97,976円と、全国で高い方から11番目となっています。

この間、雇用所得などの減少や消費税率の引上げ、非正規労働者の増大等により、県民生活は向上するどころか低下しつづけているのに、国保の国庫負担金が削減され、保険料(税)が上がり、加入世帯の負担能力をこえるほど高くなっています。

愛知県社会保障推進協議会の自治体キャラバン報告によれば、県内では2015年6月時点での滞納世帯は15万7322世帯と、国保加入者世帯の15%を占めています。滞納世帯にたいする「制裁措置」といわれる有効期間の短い短期保険証の発行件数は47399世帯。医療機関窓口10割負担の資格証明者発行件数は4990件にものぼっています。

また、国保の対象であるのに、保険証を持たない、事実上の無保険者も少なくありません。医療団体からは、受診抑制による重症化、手遅れによる死亡の実例が報告されており、国保の危機、国民皆保険制度の危機、県民の健康の危機といえる事態となっています。

そこで伺います。今回の財政安定化基金の設置は、国保の都道府県化への対応ということですが、そもそも低所得者や年金生活者が多く加入する医療保険であるのに、高すぎる国保料・税を少しでも引き下げることが必要であると考えますが、いかがでしょうか。

 

本年度より低所得者対策として、市町村国保に1700億円の財政支援が行われています。また、2017年度以降は、更に毎年1700億円の公費が投入される予定です。

国保は国の医療制度の根幹として位置づけられ、当初は5割近い国庫負担金でしたが、度重なる削減で今では、32%まで減らされています。3400億円の公費による財政支援は、国民の健康保険料負担の軽減を求める全国知事会など地方団体や地域住民の声に押されて政府が計上したものだと思いますが、全国知事会は、国保の保険料負担を協会健保並みに引き下げるためには、1兆円の公費投入が必要であると主張していました。国の判断はその3分の1にとどまったのです。

そこで質問です。今回の制度改正にあたり、財政安定化基金の造成を含め、2015年度から1700億円、2017年度以降は、全国規模で毎年3400億円の財政支援が予定されていますが、国民健康保険の構造的な特徴から、国や県から国保への一層の財政支援が必要と思いますが、所見をうかがいます。

県は、市町村国保の財政の安定化を図ることを目的として、財政安定化基金を設置するとのことですが、県は2014年度に廃止した市町村国保への県単独補助金を復活・増額して保険料・税の引き下げを実現すべきだと考えます。県は自身が行っている事務事業の評価で、県単独補助金について、「国民健康保険事業は、年々医療費が増大する一方、高齢者や低所得者の加入割合が増加し、大変厳しい状況にあります。県は、保険者である市町村と国民健康保険組合に対し助言・指導監督する義務があり、健全運営を維持するために支援する必要がある」と評価していたではありませんか。考えをお聞きかせください。

保険料の決定や一般会計からの繰り入れは市町村の選択

次に、財政安定化基金の使途として、保険料の収納不足が生じた市町村に対する貸し付け又は交付を行うということが掲げられていますので、市町村における保険料の算定や一般会計からの繰り入れについてお尋ねします。

県は、市町村ごとの標準保険料を算定・公表し、市町村はそれを参考にしつつ、保険料を決定するとしています。

市町村における国保に対する一般会計からの繰入については、昨年の通常国会において、衆議院の厚生労働委員会では「一般会計からの繰入をどうするかということにつきましては、それぞれの自治体で御判断をいただく。これを制度によって禁止するというふうなことは考えていない」という答弁がありました。

そこでお聞きしますが、市町村の保険料(税)の決定や一般会計から国民健康保険特別会計への繰入は、市町村の首長と議会の選択であり、国や県から何ら規制されるものでないことと確認させていただきますが、いかがですか。

 

再質問と要望 国民健康保険は皆保険制度の根幹

答弁いただきましたが、今回の制度改定は、高すぎる国民健康保険料(税)のさらなる負担増を招き、その一方で医療費削減の新たな仕組みを導入するのではという懸念ももっているところです。

 

都道府県による国保財政の管理、「標準保険料率」の提示、保険料平準化の推進などは、市町村を保険料引き上げに導き、取り立ての一層の強化につながりかねないこと。

さらには、都道府県が策定する「医療費適正化計画」に医療給付費の目標総額を明記し、「地域医療構想」による病床削減とリンクさせ、新たに導入する「都道府県国保運営方針」も「適正化計画」と整合させるよう義務づけています。このことは、都道府県を司令塔にした、強力な医療費削減の仕組みづくりになる恐れもあるのではないでしょうか。

 

国民健康保険は皆保険制度の根幹です。国民の医療を受ける受給権は保障されなければなりません。そのためにも大幅に削減されてきた定率国庫負担を抜本的に増やすことにより、せめて中小企業の従業員で構成する協会けんぽ並みの保険料へ引き下げ、低所得者の負担軽減など、受給権の保障を図るべきだと考えます。そこで愛知県としては、以上の問題について、力を尽くして頂くことを要望して議案質疑とさせていただきます。

 

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