議会報告

[2016年3月15日]一般質問 太陽光パネルの海上の森環境破壊

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〔未定稿 文責:日本共産党愛知県議会議員団事務局〕

【下奥奈歩 委員】

愛知万博会場跡地の「海上の森」に隣接する民有林が無許可で伐採され、太陽光発電施設が建設された問題について、質問します。

繰り返し報道されていますように、愛知万博会場跡地の「海上の森」に隣接する民有林が無許可で伐採され、太陽光発電施設が建設され、大量のソーラーパネルが設置されました。

13日の朝日新聞では、「太陽光施設、遺跡も破壊」という見出しの記事が掲載され、「一帯は文化財保護法上の『埋蔵文化財包蔵地』だが、開発に必要な教育委員会の届け出もされていなかった」との報道もされています。

万博の跡地である「海上の森」に隣接する民有林が無許可伐採され、なぜソーラーパネルが大量に設置されるようなことが起こってしまったのでしょうか。海上の森は愛知万博の跡地です。万博は環境万博といって開催されました。その環境万博開催跡地の隣にある民有林が伐採されたことは、環境を破壊するものです。環境を守り抜くというスローガンは環境万博が終わってしまえばそれで終わりなのでしょうか。

ソーラーパネル自体は、再生エネルギーである太陽光発電に必要なものですが、その設置のために自然を破壊することは許されません。しかも、環境万博を行った愛知県が自然環境を守ることに全力を挙げることは当然です。また、その愛知万博の跡地が環境万博のシンボルとなった当時の経緯から見ても、環境万博跡地全体の自然環境の保全は極めて重要な県政のテーマであると考えます。

この点について県としての基本認識を伺います。

 

【自然環境課主幹】

海上の森は、人工林や二次林を主体とする里山の豊かな自然環境を有し、本県では、あいち海上の森条例により将来にわたって保全・活用することとしている。

その中でも特に優れた自然を有する地域を、自然環境の保全及び緑化の推進に関する条例に基づき、海上の森自然環境保全地域として指定し、保全を図っている。

 

【下奥奈歩 委員】

太陽光パネルが無断設置されたのは、環境万博が行われた海上の森に隣接する民有林です。無断伐採による太陽光パネル設置は自然環境を破壊するものです。 

しかし、愛知県の環境影響評価の対象は75ヘクタールとなっています。今回のような小さい規模のものは、環境影響評価の対象にはなっていません。さらに、ソーラーパネル設置に関して、規制も環境影響評価の対象にもなっていません。これでは、いくらでもどこにでもソーラーパネルが設置できるやりたい放題ということになってします。

規制やアセスが行われていない中で、どんどんと県内にも太陽光パネルができています。太陽光発電整備のための農地兼用が進み、県内では2012年44件、2013年206件、2015年(2016年の1月まで)433件で、4年間合計すると1285件で農地転用が行われているという異常な事態になっています。

自然エネルギーの普及促進は必要なことですが、太陽光発電計画は、その設置場所によっては、近隣住民の安全や自然環境に悪影響を及ぼしたり、景観を損ねたりと様々な問題が起こる可能性を含んでいます。県はソーラーパネルの設置に関してどのような問題があるか実態調査をしているでしょうか。お尋ねします。また、県内のソーラーパネル設置件数を県として把握していますか?お答えください。

 

【自然環境課主幹】

県として、ソーラーパネルの設置に関する実態調査は行っていませんが、自然環境の豊かな場所に太陽光発電施設を設置する場合には、土地の形質変更により、自然環境に影響を及ぼすおそれや、景観を損なうおそれがあると考えている。

このため、優れた景観や自然環境を有する自然公園地域及び自然環境保全地域では、自然公園法などの法令に基づき、木の伐採や土地の改変など自然環境に影響を与える行為について規制されている。

 

【地球温暖化対策室長】

県内のソーラーパネルの設置件数に関するデータとしては、資源エネルギー庁の固定価格買取制度(FIT制度)の統計がある。これによると、10kW未満のものについては約14万件、10kW以上の大型のものは約2万4000件となっている。

なお、この統計には自家消費など固定価格買取制度を使わない設備は含まれていない。

 

【下奥奈歩 委員】

ソーラーパネルの設置による問題としては、一般的には景観の破壊、パネルの反射する光による公害、自然環境改変や破壊、土砂崩れなどの問題があります。

例えば、太陽光パネルの設置件数が増加している田原市では、259号線や42号線沿いに太陽光パネルが多く設置されて地元の住民のみなさんから「観光のまちなのに観光が阻害される」と声が上がり、県間保全の面で重大な問題が浮上して、「太陽光発電ガイドライン」を策定するよう市議会は市に要請をするという事態になっています。

また、豊川市ではソーラーパネルの設置により、反射光による自動車運転への影響や、家の中の温度上昇など、数々の相談が寄せられているといいます。景観を守り、環境を守るという点から、野放しでなくきちんと規制の網を張ることが必要だと考えます。

 県としては、長野県では、自然環境を守りながら、再生可能エネルギーの導入量を拡大するために「長野県環境影響評価条例」を今年1月13日に改正して、その中には太陽光による発電施設に環境影響評価の手続きを義務付け、今すでに事業の環境影響評価を実施しています。

そこで、愛知県もこのようにしっかり規制する立場に立って、きちんと行政指導ができる対象になるようなルールの仕組みを確立したり、環境影響評価の適用対象の中に、ソーラーパネルを入れるべきではないでしょうか。答弁を求めます。

 

【環境活動推進課】

規制等については、先ほど自然環境課主幹が答弁したように、自然公園法などに基づき行われている。

一方、環境影響評価制度においては、規模が大きく環境影響の程度が著しいものとなるおそれがある事業を対象としているが、太陽光発電事業は、火力発電所などのように操業に伴う排ガス、排水、騒音等の大きな影響はなく、施設の供用に伴う影響はあまり想定されないことから、法律上、環境影響評価の対象とされていない。この趣旨を踏まえ、本県においても太陽光発電事業そのものについて環境影響評価条例の対象とする考えは持っていない。

 

【下奥奈歩 委員】

 山林をソーラーパネル設置のために開発を行うことによって、景観の阻害や土石流災害などの危険が危惧されます。

 県政は、住民の命と安全を守ることこそが最優先であり、そのためにも開発におけるルール作りが必要だと考えます。再生エネルギーならどのような形態でも歓迎されるというのではなく、それぞれの条件に見合った開発利用が必要です。

 また、先ほども申し上げました通り、太陽光パネルが無断設置されたのは環境万博が行われた海上の森に隣接する民有林です。無断伐採太陽光パネル設置は環境を破壊するものです。あってはならないことです。

環境影響評価の対象にソーラーパネルを加えることなどの、ルールづくりをし、二度と同じことが起こらないように、住環境が壊されることがないよう、環境を守る県の立場からしっかりと取り組んでいくよう要望して質問とします。

 

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