議会報告

[2016年3月15日]ダイコー(株)による食品廃棄物の横流しについて

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〔未定稿 文責:日本共産党愛知県議会議員団事務局〕

 

【下奥奈歩 委員】

食品廃棄物の不正転売問題について質問する。

この問題は今年の1月に株式会社壱番屋から廃棄処分を依頼された冷凍ビーフカツを、産業廃棄物処理業者のダイコー株式会社が横流しをしていたという事実に端を発したものです。

1月14日付けの中日新聞によると、壱番屋から1月12日に県に通報があり、発覚したと報道されています。ダイコー株式会社は1996年6月から8月に、愛知県から産業廃棄物の運搬業と中間処理業の許可を取得しています。

大村知事は、1月18日の定例記者会見で廃棄物を横流しされた壱番屋に対しては、「被害者だが、日本を代表するカレー外食チェーンで、社会的責任は重い。二度とおきないよう検証・反省して欲しい」と発言したと報道されています。

排出者の責任点は重要な問題です。しかし、産廃処理業者への県の監督責任については、「悪意をもって書類を偽装されると見抜くのは難しい」と指摘しただけで、「県として責任がある」という発言はなかったようです。

今回の問題は許可を出した県の責任も大きく、愛知県にとって重要な問題であり、あってはならないことだと思います。

 まず、県として、あってはならない今回起こった問題の重大性や県の責任に対する基本認識について答弁を求めます。

 

【資源循環推進課廃棄物監視指導室長】

産業廃棄物処理業者については、廃棄物処理法及び関係法令に基づき、廃棄物の適正な処理を行うことにより生活環境の保全を図るという大切な使命を持っている。

しかし、受託した廃棄物を不適切に取り扱ったことは、廃棄物処理への信頼を損なう大変重大な問題であると受け止めている。

 

【下奥奈歩 委員】

重大な問題であるとの答弁をいただきました。

大量廃棄物の排出者として壱番屋を監督するのも、ダイコーに許可を出したのも愛知県です。問題を起こすような業者に許可を与え、重大な問題が発生したことは、県民の信頼を覆す重大な問題であす。

政府も全国的な問題として注視し、環境省、農林水産省などは、立入検査や全国調査を行い、暫定的な再発防止案も作成し、本格的に対処しています。

そういう問題として、愛知県も位置づけ、対応していく姿勢が必要であります。

次に、再発防止のために、なぜ問題が起こったのか、なぜ未然に防ぐことができなかったのかも含め、問題の全容解明と原因の究明が必要です。現在、全容解明の途中であるものの、かなりの部分が明らかになってきています。ダイコーが管理票を偽装した問題を始め、県が立入検査をしながら見逃した問題、かなりの広がりを持って食品関連会社の食品廃棄物が不正転売されているのではないかという問題、さらにこれらをチェックする法律の抜け道や体制の不備など、多くの問題が指摘されています。

これら全体を究明し、対策を講じていくことが必要であり、県としてどう考えていますか。答弁を求めます。

 

【資源循環推進課廃棄物監視指導室長】

様々な問題があることは認識している。現在、廃棄物処理法に基づく違反内容などについて事実確認を進めている段階である。

今後、すべての違反事実等が確認できた段階で、課題やその対応について、しっかりと検討していきたい。

 

【下奥奈歩 委員】

 県は、大量に食品廃棄物を排出する事業者を、きちんと管理・監督することができていないということが問題です。

 3月10日に、参議院環境委員会で市田忠義参議院委員がこの問題について質問し、一連の再生利用の工程全体をチェックできるよう、省令でなく、法律で明確にすべきと提起している。

愛知県は、過去5年間、ダイコーに対し、近隣住民から悪臭の苦情があったということで立入調査を行っています。2011年は3回、2012年と2013年が1回ずつ、2014年は最も多くの6回、2015年は2回と、合計13回もの立入検査を行っているにも関わらず、見逃されています。2014年に悪臭の苦情を受け、稲沢市の倉庫の立入検査を実施した際、ダイコーから「廃棄物でなく、飼料や肥料である。」と説明され、悪臭の改善を口頭で促すにとどめました。

 県の担当者からは、ダイコーの説明を真に受けずに、綿密に確認していれば良かったとの声も出ていると新聞で報道されていました。

 これらの事実は、県のチェック体制が甘すぎたということを示しているのではないでしょうか。優良企業だから大丈夫という企業性善説ではいけないのではないでしょうか。

 特に廃棄物の中でも食品は、県民の健康や命に直接関わる問題であり、県民の暮らしと環境、食の安全を守るという県民本意の立場から厳しい検査をするべきではないでしょうか。

 

【資源循環推進課廃棄物監視指導室長】

食品は県民の生活・安全に関わる重要な要素であるという指摘であるが、環境部は、所管する廃棄物処理法に関し、廃棄物処理業者のみならず、排出事業者に対する検査や指導をどうしていくかしっかり考えなければならない。

現在、違反事実をしっかり確認している段階であり、全体像を把握したうえで、今後、県として対応を検討していく。

 

【下奥奈歩 委員】

食の安全などは、環境とは違うのかもしれないが、こういう面もしっかり考えて厳しい検査をするべきではないか。もう一度お聞きします。

 

【資源循環推進課廃棄物監視指導室長】

食品が大切な問題点であるということは十分認識している。それも含めて、廃棄物処理法に基づき、しっかりやっていくということを回答した。

 

【下奥奈歩 委員】

是非、厳しい検査を行っていただきたいと思います。

今回の問題はダイコーのように、中間処理業者であると同時に再生利用事業者で事業を行っている場合、都道府県や国の機関の違いによって的確に指導や監督がなされていないことから、今回のような食品廃棄物の不正転売につながっていると考えられます。

そこで、今後、こうした業者に関しては、特別なチェックが必要であると考えますがいかがでしょうか。

 

【資源循環推進課廃棄物監視指導室長】

本事案の対応については、委員が発言したように、食品リサイクル法など色々な法律があり、食品リサイクル法は環境省中部地方環境事務所及び農林水産省東海農政局、廃棄物処理法は本県と所管が分かれており、本事案の発覚以降、各関係機関とはしっかり情報交換をし、さらに連携して対応してきた。

今後もしっかりとした連携を図って対応していく。

 

【下奥奈歩 委員】

今後も同じ対応ではいけません。こういう業者に対しては、特別なチェックが必要だと考えるますが、県としては特別なチェックが必要だという認識はありますか。

 

【資源循環推進課廃棄物監視指導室長】

先ほど申し上げしたとおり、事態を解明して、必要な対応をする。その中で、委員が指摘したとおり、今後、方向性が決まってくると考えている。

 

【下奥奈歩 委員】

今後の方向性をしっかりと出していくという答弁でしたので、特別なチェックが必要だということも踏まえて、しっかりと反省していただきたいと思います。

先の参議院環境委員会で市田議員が質問しているが、「登録再生利用業」の登録審査を厳格に行うよう、ダイコーのような企業が優良企業として登録されないよう、こういう事態を二度と繰り返さないために、単なる書類上の審査でなく、法改正も含めた抜本的な見直しが必要と考えます。

今回の問題を受け、原因解明と再発防止対策について、県も、国も、制度的な見直しも含めた抜本的な対策を講じることが重要であります。愛知県だけでなく、他の県でも起こる可能性がある問題です。愛知県として県民の命m食の安全の責任の重さを考えながら、行政のどこかに節穴がなかったのかどうかしっかりと反省して議論するべきです。

愛知県として、今後、同じことが繰り返されないためにどう頑張っていくのか、再発させないために、国に対する要請も含め、何をしていくのか。答弁と求めます。

 

【資源循環推進課廃棄物監視指導室長】

先ほど答弁したとおり、現在、違反事実等の確認をしっかり進めているところである。また、本件発覚後、環境省中部地方環境事務所及び農水省東海農政局だけでなく、本省である環境省・農林水産省とも情報交換を行い、連携をして取り組んできた。

農水省も環境省も関心を持っており、こちらからの情報提供も求められている。そのような中でしっかり連携して、引き続き対応していく。

 

【下奥奈歩 委員】

国への要望など、何かありますか。

 

【資源循環推進課廃棄物監視指導室長】

現在、しっかり事実関係を確認しているところであり、それを踏まえて検討していきたいと考えている。

 

【下奥奈歩 委員】

食品廃棄物の不正転売の温床として、賞味期限が切れていない食品が大量に廃棄されるのが問題であります。そこには、いわゆる「流通の3分の1ルール」があり、賞味期限の3分の1を過ぎたものが廃棄されるという商慣習の見直しが必要であるということも先の環境委員会の質問で提起されています。

こうした点も含め、県民の食の安全が脅かされる事態が起こったということの重大さと、ずさんなチェック体制であったということをしっかりと認識し、改善していくことが重要です。二度と同じことが起きないためにも、制度の見直しや人員体制などを含め、抜本的な対策を講じることが必要です。

愛知県として、県民の命、食の安全の責任の重さを考えながら、県民本意の立場に立ち、再発防止に真剣に取り組むことを強く要望して私からの質問を終わります。

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