議会報告

[2016年3月4日]2016年2月議会 一般質問 わしの恵子

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本会議の一般質問

 

「15の春を泣かせない」どの子も希望する高校へ進学することについて

私は、昨年の県議選にあたり、「愛知の高校進学率を全国最低から脱却させ、だれもが希望する高校へ進学できるよう、15の春を泣かせない愛知の教育を目指します」と公約に掲げてきました。

昨年の夏公表された『学校基本調査』では、2015年3月の通信制を除く「高等学校等進学率」の全国平均は96・6%、愛知県は93、2%で、最高の石川県の98、8%と6%近くの開きがあります。これで愛知県の「高等学校等進学率」は19年連続で全国最低と深刻です。

一番大きな原因は、高等学校設置者会議において、1997年以降「93%」に抑えられている計画進学率にあります。私は、そもそも計画進学率を設定することこそ問題だと考えますが、高等学校等進学率「93%」実現のためにも、少なくとも全日制への進学希望率93、9%に見合うように公立高校の定員を増やすべきだと思います。ところが県教育委員会は生徒の数が減少しているからと、来年度の公立高校の定員をまたもや、5学級、200人を減らす計画です。

そこで教育長にお聞きします。公教育を担う根幹である、公立高校の責任として公立高校の定員は減らさず、全日制への進学希望率の93、9%に合わせて、増やす計画こそ必要ではないですか。

経済状況によることなく希望する誰もが全日制で学べるように

県は、公私の定員配分を2対1として毎年度の募集定員を設定していますが、私立高等学校では、2010年度の入試以降、6年連続して欠員が募集定員の1割前後の2000人を超えており、全日制高校への進学率を下げる要因にもなっていると思います。

原因は、学力の問題だけではなく、家庭の経済的な問題もあると思います。この間、私学関係者の大きな運動もあり、私学への助成は随分進んできましたが、それでも、私学に行くにはまとまったお金が必要です。

今、働く人の雇用賃金は減り続けており、「なるべくなら公立に行ってほしい」と願う親も増えていると思います。

子どもたちの未来が家庭の経済事情によって左右されることがあってはなりません。私学への授業料などの助成を増やして、お金の心配なく私学で学べるようにすることも必要ではないでしょうか。

そこで質問ですが、私学が定員割れを起こさないよう、授業料や学校運営費等への助成を増やして、さらに安心して学べる私学にすることを求めますがいかがでしょうか

一方で、通信制高校生と、進学も就職もしない無業者が多いのが愛知県の特徴です。15年春の通信制の入学者は4、9%の3611人、無業者は1、04%の767人とどちらも全国最多です。

この問題について、現場の先生にお聞きしました。

「公立高校に行きたい」が「定数枠が少ない」。しかし「私学は高い」「地方には私学は少ないので」と、専修学校や通信制、定時制が選択肢になるが・・。そこも自分の居場所とならず、「無業者になってしまう」と、先生方も大変心を痛めておられました。

2013年から15年春に卒業した生徒の中で、全日制を受験したが、全日制の進学がかなわなかった子どものうち「経済的理由」であきらめた生徒は21、7%(503人)も占めています。「希望者を進学させる」「受け入れる」ことは教育の基本であり、経済的理由で子どもたちに進学をあきらめさせてはなりません。

日本共産党は、経済的理由で就学が困難な家庭のお子さんは、県立・私立にかかわらず、給付制の奨学金の支給を求めてきましたが、ようやく2014年度から国の制度で、高校生等への給付制奨学金の実施となりました。しかし生活保護世帯、住民税非課税世帯に限られています。そこで、県が高校生への独自の支援策として、給付制奨学金の充実を図ることが必要だと考えます。いかがですか。

さてこの問題で気になるのは、大村知事が記者会見で、「中学から進路を見据えて手に職をつける人生があってもいい」という発言です。もちろん、中学の時から自分の進路を決めて手に職をつけようと、それに向かって進んでいける子はいいですが、そういう生徒はわずかな生徒ではないでしょうか。

そこで質問です。「公立高校へ行きたいが自分の成績では無理、私学はお金がかかるから」と悩む子どもたちが、「自分の意に反した選択」として「定時制」「通信制」「無業者」となってしまう生徒が多い。お金の心配なく誰もが安心して全日制の高校で学べるよう、計画進学率をもつことはやめるべきと思いますが、知事の見解を求めます。

今年に入ってから、相次いで3人の中学3年生の男子生徒の自殺がありました。理由は明らかにされていませんが、中学3年生にとっては、お正月が過ぎれば高校受験は目の前です。高校受験の心配があったのかなと思うのは私だけではないと考えます。希望に向かって学ぶ意欲を持たせることこそ愛知県知事の役割だと思います。

「15の春を泣かせない」、文字通りこの言葉が真に生きるよう、愛知の高校進学率を全国最下位から脱却し、どの子も希望する高校へ進学できるように変えようではありませんか。

 

 

ボロボロ施設何とかして

次に県立高校の老朽化対策についてです。

難関をくぐり、やっと県立高校へ希望をもって入学したとたんに、多くの生徒が驚くのは、学校施設があまりにも古くて汚いことです。「学校がボロボロ何とかして」と早速声が届けられました。

そこで私は、西区の県立名古屋西高校を訪問、視察しました。創立100周年を迎えた伝統校であるだけに、建物は古く、南館は昭和26年建設で、築64年以上経ち老朽化は著しいものでした。30年経過した時に大規模改修がされたが、その後は行われていません。そこで、学校全体を見させていただき、緊急に改善の対策をとっていただくことを求めて質問します。

「県立高校のトイレを何とかして」「女子高生は、近くのコンビニのトイレを借りている」など、多くの方々から苦情が寄せられています。一部は洋式に改修されたが、タイルははがれたまま、ドアや板の壁などもギザギザのまま、補修もされないままです。

そこで教育長に質問ですが、最も安全でなければならない、子どもたちが毎日学ぶ校舎や、トイレについて改修計画はどのようになっているのか伺います。

私が特にひどいと思ったのは、体育館のつり天井を外して改修する問題です。これは東日本大地震で崩れ落ちた天井の事故などを教訓に取り外すもので、早期に改修が求められます。

工事期間は約半年、その間生徒たちの体育の授業や部活動などもやれません。代わりに、地域のスポーツセンターなどを借りることになりますが、その費用は県教育委員会からは出ないので、学校で工面しなければなりません。生徒たちの安全のための工事で、国からも安全対策として必要な事業と位置付けられているのにと本当に驚きました。

教育長に伺います。体育館のつり天井を外して改修する場合、体育館の代替施設を借りる費用について、なぜ県の教育予算から補てんされないのか答弁を求めます。

次に教室の冷房についてです。

名古屋西高校では、PTAがエアコンの設置も、電気代も賄っています。

真夏に補習授業を受ける生徒たちの健康を気遣い、PTAが協力するということで設置されたとお聞きしましたが、県立高校全体では、未設置の学校が14、8%もあるそうです。

PTAなどがまとまらないからと未設置のままでは、子どもたちの教育に支障が出てくるのではないですか。

そこで伺います。夏休み以外にも冷房が必要な暑い日もありますので、公費により冷房を設置すべきと思いますが、県教育委員会としてどのようなお考えか伺います。

このように、学校施設が古くて教室の雨漏りや、トイレの酷さ、冷房の未設置など、数え上げればきりがありませんが、その原因は教育費の予算があまりにも少ないからではないでしょうか。

文科省の地方教育費調査では、愛知県の高等学校全日制過程生徒一人当たりの経費は、2011、12年度は47都道府県中47位、2013年度は46位と全国最低クラスです。仮に全国の平均水準に到達するには、単純に計算すると年間、約250億円の増額で県下の高等学校の日常の運営や教育環境が大きく改善されます。

さらに定時制課程の生徒一人当たりの経費についても、特別支援学校の生徒一人当たりの経費についても、今日40位以下とやはり最低クラスです。

財政力豊かな愛知県が、子どもたちの教育分野における予算がこのように全国最低水準なのは大きな問題です。

教育予算は、児童や生徒たちがどれだけ大切にされているのかがわかるバロメーターだと考えます。愛知の未来を担う子ども、生徒たちが、豊かな学校生活を送れるように、県は教育の予算を抜本的に増やすべきだと思いますが、教育長の見解を求めます。

 

 

安心して学べる特別支援学校について

共産党県議団は2月2日、春日台特別支援学校を視察しました。愛知県立の知的障がい特別支援学校として1969年に開校して47年、幼稚部から高等部まで452人もが学ぶマンモス校です。

児童生徒の増加により教室が不足し、理科室や美術室、音楽室など特別教室の多くが普通教室に転用されていました。

2月一般質問

食堂を仕切って教室にしているパネルを提示して質問するわしの議員

それでも足りず、小・中学部の子どもたち250人が一同に入れる大食堂の一角を間仕切りして、中学部の普通教室が2室もつくられていました。

さらに、今年度は図書室まで仕切って教室にしていました。

廊下や踊り場にはいろんなものが積まれ、更衣室は廊下をカーテンで仕切られています。これでは安心して着替えもできないなと思いました。

さて、その日も寒い日でしたが、教室の暖房設備は古く、ボイラーで沸かしたお湯を蒸気にして部屋を暖めるのですが、ほとんど効果もなく、子どもも先生も上着を着ていました。先日も、小学低学年の子どものお母さんから、「教室が寒くて子どもも先生も防寒着を着て授業をやっている、なんとかならないですか」と、切々と声が届いたばかりです。

また暑い夏も冷房のない教室では子どもたちは保冷剤を首に巻くそうです。トイレも県立高校に負けないくらいの古さで、「何とかならないかしら」と先生がつぶやいていました。

小・中・高等部の生徒さんたちは、だれもが、「こんにちは!」と元気一杯あいさつをしてくれ、楽しそうに学んでいる姿にうれしく思いました。先生や職員の愛情を一杯受けているのだなと感じました。

それだけに一層、子どもたちが、もっと安心して学べる特別支援学校に改善させることは急務だと痛感しました。

「とにかく県の教育予算を増やすしかありません」と校長先生がはっきりと言われましたが、私もその通りだと思います。

「県の教育予算増やして」校長からも切実な声

そこで、私は特別支援学校の経費について、文科省の地方教育費調査を調べてみました。2013年会計年度では、生徒一人当たりの経費は、愛知県は約571万円で全国44位と低く、トップの島根県は961万円、全国平均は704万円

そこで教育長に伺います。第1に、愛知県の特別支援学校の生徒1人当たりの教育費が全国44位、全国平均から130万円も少ない状況についてどのように認識しているのかお聞きします。

第2に、今後、尾張北東地区に特別支援学校を開校する計画があり、春日台のマンモス化は改善されるとは思いますが、老朽化の問題については春日台の他にも多くの特別支援学校で喫緊に対策が必要だと考えますがいかがですか。(

新設されたいなざわ特別支援学校でも教室足りない

続いて2月18日、いなざわ特別支援学校を訪問しました。開校してまだ2年という新しい学校です。

驚いたのは、開校した当時からすでに計画時の46学級をオーバーし、48学級からスタートとなっていたことです。当時の2学級不足には、教材室、生徒会室を普通教室にして対応しましたが、さらに1年後の今年度は、302名、54学級にも増加し、計画時から8教室も不足となりました。1教室に2学級が入って授業を行うなど苦労しているそうですが、特別支援学校を計画するにあたり、児童・生徒数・学級数をどのように推定して決めるのか、私は、大きな疑問を持ちました。

計画から設計、建設には4年ほどかかり、児童・生徒数を想定するのは難しいとは思いますが、開校時から教室不足が生じる。

当面、2年後には知多地区に、3年後には尾張北東地区に特別支援学校が開校する予定ですが、安城特別支援学校、三好特別支援学校の教室不足を解消するに至っていないということです。さらに特別支援学校の入学希望者の推移を鑑みるならば、まだまだ不足することは否めません。

県が、特別支援学校の増設の在り方を抜本的に見直すことが必要だと考えます。児童、生徒の増加に対しては、校舎の増築や、特別教室の転用などでしのいできたが、もうそれも限界に達しているのではないでしょうか。

そこでお聞きしますが、特別支援学校のマンモス化の解消、遠距離・長時間通学の解消のために、高等部のみの特別支援学校の増設、また、小規模の特別支援学校を身近なところで作っていく考えはいかがですか。お答えください。(

 

 

名古屋空港を「兵站拠点」にしないで

県営名古屋空港をF35最新鋭戦闘機の整備拠点としないことについて

F-35最新鋭戦闘機は、アメリカをはじめ9か国が共同開発し、ロッキード・マーチン社が中心的につくるものです。すでにアメリカが2443機の取得を予定し、日本を含め12か国で3170機の取得が計画されています。

今後、30年以上にもわたり主力の戦闘機として使われるもので、2017年には米軍の岩国基地に配備されることをはじめ、在日米軍の戦闘機も、順次F35に代わっていく予定です。自衛隊も42機の取得を予定し、2017年から三沢基地に配備しようとしています。

このF35戦闘機について、アメリカ政府が2014年12月17日、F35戦闘機の重整備拠点を日本に設置することを決め、12月18日には、「重整備拠点になるのは、三菱重工小牧南工場、東京のIHI瑞穂工場だ」と発表しました。

この問題について、2月18日、衆議院予算委員会で、日本共産党のもとむら伸子議員が質問しましたが、中谷防衛大臣は、愛知県民にとって重大な答弁をしました。

それは、「機体は三菱重工小牧南工場、エンジンはIHI瑞穂工場と、2つの工場が米軍を支援する工場になる」という問題。「三菱重工小牧南工場が整備拠点に位置付けられると滑走路はどこを使うのか」の質問には、「小牧南工場に隣接する県営名古屋空港を利用することになると考えられる」と。さらに大臣は、「重整備拠点設置にたいし、愛知県から御理解を得たものであると考えている」とまで答弁をした問題です。

県営名古屋空港として残した意の再確認を

質問に先立ち、2月4日、もとむら衆院議員と県議団が一緒に県の航空対策課にお話しを伺いました。県の振興部航空対策課からは、2014年12月15日に、防衛省と三菱重工の方が説明に来たが、未整理の点が多かったことから、空港の管理者として詳細な説明と情報提供をお願いしたということでした。そして、17日に、米国政府はアジア太平洋地域のF―35整備拠点を日本とオーストラリアに設置すると発表し、その翌日の18日に、三菱重工の担当者が、防衛省の「米国政府によるアジア太平洋地域のF-35整備拠点に関する発表について」の文書をもって来たという事でした。

愛知県としては、F35の整備拠点について説明は受けたが未整理の点が多く、防衛省に対して、詳細な説明を求めたが、その後の説明もないまま、国会では中谷防衛大臣が「重整備拠点設置についてご理解を得たものである」と答弁したのです。その点に対して、県はどのような見解をおもちですか。伺います

愛知県には、小牧基地と隣り合わせで名古屋飛行場がありました。2005年の中部国際空港の開港に伴い、名古屋空港の設置者は国交省から愛知県に代わりました。

そしてコミューター航空やビジネス機など小型航空機の拠点空港となる「県営名古屋空港」として生まれ変わりました。

そして、春日井市長、小牧市長、豊山町長が連名で、当時の額賀防衛庁長官に、要望書を出しています。

そこには「県営名古屋飛行場において、他基地所属の自衛隊機による定期的業務以外による利用及び米軍機の利用などがないようにされたい」など4点に及ぶ要望が提出されています。また、2009年にも同じ内容の要望が浜田防衛大臣にも出されています。

さらには、毎年毎年、春日井市の議会と行政と住民の皆さんが入っている春日井市飛行場周辺対策市民協議会からも要望が出ています。

そもそもなぜ県営名古屋空港として残したのか。そうしなければ、隣接している航空自衛隊小牧基地の滑走路として、軍事専用の滑走路になってしまう、そのことを恐れて県営名古屋空港として残したのです。しかも、地元の皆さんは、小牧基地は教育と輸送の役割だから・・戦闘の部隊じゃないと、我慢させられているのです。

そこにF35戦闘機が頻繁に飛来してくるという計画は、これまでの経過もまったく無視したものとしか言えません。

県としては、これらの経緯を踏まえて、あくまでも住民、県民の立場に立って臨むべきだと思いますがいかがですか

「戦争のための再軍備を可能とする産業は許されない」

 三菱重工小牧南工場では、F35戦闘機の最終組立工場が12月から稼働していますが、ロッキード・マーチン社の下請け工場という位置づけです。結局、日本の企業が、アメリカの軍需産業の下請けになっていくものと考えます。

そして、重整備拠点まで三菱重工小牧南工場に隣接した名古屋空港内に作るという事は、アメリカ軍のコストダウンのため、アメリカ軍にとって戦闘能力を高めるためだと考えます。

ポツダム宣言第11項には、「戦争のための再軍備を可能とする産業は許されない」と書いてあります。また、憲法公布から70年の今、愛知県として、F35戦闘機の整備拠点化を許さないと、県民の立場に立って、県としてきっぱり撤回を求めていただきたいと強く要望します。

 

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