〔未定稿 文責:日本共産党愛知県議会議員団事務局〕
第三子保育料無料化事業費補助金について
[わしの委員]
今年4月から「子ども・子育て支援新制度」が始まった。県内でも様々な問題が出ている。新制度の実施が、安心して子どもを生み育てられるよう保育の公的責任の堅持と施策の拡充となるよう求めて質問したいと思う。
最初に第三子保育料無料化事業費補助金制度について質問する。
幼い子どもを持つ世帯の収入は低く、非正規雇用で不安定な場合も多く、子育ての経済的負担は大変重いものとなっている。これが少子化のひとつの要因と言われている。このため、政府は、子ども手当の創設や公立高校の授業料無償など子育て家庭を支援する施策を拡充してきた。
国においては、保育料について、保育所等にきょうだいが同時入所する場合、2人目を半額、3人目以降を無料にする減免措置があるが、それは同時入所に限られており、きょうだいが小学校や中学校に通う場合はこの対象になっていない。
そこで、愛知県では、平成17年3月に策定した「あいち 子育て・子育ち応援プラン」の中で少子化の流れを変える子育て環境づくりの目標として掲げていた、当時の平均理想子ども数、全国2.48人の達成を目指し、第三子以降児を産みやすい体制を整備するため、平成19年度に第三子保育料無料化事業費補助金制度を創設し、18歳未満の児童が3人以上の世帯について、保育料が高い3歳未満児の保育料を無料化することにより、就労と育児の両立支援を図るという制度とした。
そこで質問するが、県内の市町村で第三子保育料無料化事業がどのように進んだのか伺いたいと思う。
[子育て支援課主幹]
県において、本事業を開始する前の平成19年度当初は、第三子保育料無料化事業は6市のみで実施されていたが、県が事業を開始した19年10月以後は、平成20年度から、飛島村を除く53市町村で実施されている。
[わしの委員]
第三子以降児の出生数は増加し1万人を超え、以後横ばいを維持しており、合計特殊出生率の増を下支えし、第三子を産んだ後も就労を継続する家庭に対して、育児と就労の両立支援という事業効果を上げてきたと伺う。ところが、平成25年度には制度の見直しを行ったと聞くが、その見直し内容について伺いたいと思う。
[子育て支援課主幹]
本事業は、本県独自の制度として、平成19年度に23年度までの5年間の事業として創設した。
補助率は、一般市町村が1/2である。政令市・中核市については、当初、補助対象外とすることを検討したが、中核市は同様の事業を実施していなかったことから政策的に誘導するため、補助率を一般市町村の半分の1/4とし、政令市は対象外としたところである。
その後、最終年度の平成23年度に、事業継続と制度の見直しについて検討した。
具体的には、真に補助を必要とする世帯に対して必要な補助を行うため、24年度は周知期間とした上で、25年度から所得に応じた補助割合を設定し、世帯年収が約405万円~約811万円の第5・6階層は保育料半額、約811万円以上となる第7階層以上を対象外としたところである。
さらに、中核市については、平成25年度は補助率を1/8とする経過措置を設けた上で、26年度に廃止することとした。
[わしの委員]
答弁にあったように、この間、県は、第三子保育料無料化制度を見直し、所得制限を設け、中核市においては26年度廃止とされた。
そこで問題だと思うのは、県の制度変更に合わせて所得制限を設けた市町村、一宮市など21市町村がある一方、引き続き所得制限を設けないで第三子無料化を継続している市町村、春日井市など28市町村がある。このように市町村に格差が生まれていることが、私は大きな問題だと思う。
この所得制限導入は財政難を理由にされているのかどうかと思うが、少子化対策として折角これまでやってきた子育て支援施策の後退につながったのではないかと思うが、いかがか。
[子育て支援課主幹]
第三子保育料無料化等事業費補助金への所得制限の導入は、財政難を理由としたものではなく、真に必要な世帯に対して必要な補助を行うという観点及び福祉施策における応能負担の考えから実施したものである。
従って、第三子保育料無料化事業の所得制限導入が、直ちに少子化対策と子育て支援施策の後退につながったとは考えていない。
[わしの委員]
直ちに子育て世帯への支援施策が後退したのではないとはっきり言われたが、これまで無料化だったところが、所得制限がついて無料でないということは、受ける側から見れば、後退したと言わざるを得ないと思う。
一方で、国においては、平成27年3月20日「少子化社会対策大綱」が閣議決定され、重要課題として多子世帯への一層の配慮を掲げている。全ての子育て家庭を支援していく中で、3人以上の子どもを持ちたいとの希望を実現するための環境を整備していくことが重要であるとされている。
また、新しい愛知県人口ビジョンでは、2030年までに出生率を1.8人、2040年までに出生率2.07人を実現すれば、2060年に人口700万人の確保を決めている。
第三子保育料無料化制度が実施されるまでは、愛知県の出生率は1.36だったと思う。これが、第三子保育料無料化制度が実施された以降、平成23年に1.46人に改善されて、以後ずっとこの状況が続いている。事業効果を上げていると私は評価したいと思う。
そこでお聞きするが、国の今年3月の閣議決定を受け止めて、県は再び、第三子保育料無料化等事業費補助金について所得制限をつけずに実施するよう、元の制度に戻すべきと考えるがいかがか。
[子育て支援課主幹]
この事業は、国が統一的に実施している「同一世帯から2人以上が保育所に入所している場合、2人目から保育料を減額」する制度に加え、子育て家庭の経済的負担を軽減することを目的に、本県独自に平成19年度から実施しているものである。
事業開始から9年が経過し、ほとんどの市町村で実施されており、既に市町村の制度として、定着していると考えている。
一方、真に必要な世帯に対して必要な補助を行う観点及び福祉施策の応能負担の考えから、所得に応じた補助割合を設定しているものである。
11月26日にとりまとめられた国の「一億総活躍社会の実現に向けて緊急に実施すべき対策」の中に多子世帯への支援が位置付けられており、今後の動向に的確に対応していくが、県としては、当面は現行制度を維持することとし、元の制度に戻すことは考えていない。
[わしの委員]
元の制度に戻すことは考えていない、と最後の答弁がとてもつめたい答弁だと思う。
第三子保育料無料化等事業費補助金制度はこれまで大切な役割を果たしてきた。真に必要な施策だと思う。真に、子育て支援、少子化対策につながるよう、所得制限を撤廃することを要望する。