〔未定稿 文責:日本共産党愛知県議会議員団事務局〕
[わしの委員]
愛知県障害者差別解消推進条例案についてお伺いします。これは、障害者差別解消法が25年6月に公布され、来年4月に施行されることに合わせ、県の障害者差別解消推進条例を制定するもので、先の9月定例会に提案する予定だったのですが、事前に当事者の意見を聞かずに進めたため、愛知障害フォーラム(ADF)らが反発し見送った経過があります。そこで質問ですが、今回は当事者の方々の意見をどのように聞いてこの条例案を修正してきたのか伺います。
[障害福祉課 主幹]
今回の意見聴取の方法でございますが、障害当事者及び障害者団体を代表する方々にも委員として参加いただいております愛知県障害者施策審議会、これは障害者基本法に基づき設置をしております障害者に関する施策の推進について調査審議等を行う審議会ですが、この審議会の委員の皆様に御意見をお聴きすることといたしました。障害者施策審議会のもとに設置したワーキンググループを2回、審議会を1回の計3回会議を開催し、委員の皆様から多くの貴重な御意見をいただきました。また、ADFからも審議会とは別に直接ヒアリングをさせていただいたところでございます。
[わしの委員]
そのような経過の中で、先ほど大嶽委員の質問にもあったように、修正、改善がされたということで私はそのことについては評価するものであります。その上で、障害当事者や団体の方からの話を伺いました。本当に皆様方も、この条例ができるということは歓迎しておりましたが、更に良いものにしたいという思いがあって、具体的な要望を少しお聞きしたので、質問したいと思います。まずは、条例案の前文なのですが、障害者権利条約の文言を入れてほしいという要望を聞いてまいりました。そこで調べてみたのですが、埼玉市では、「誰もが共に暮らすための障害者の権利の擁護等に関する条例」という名前ですけども、条例そのものに障害者の権利がきちんと謳われております。茨城県では、「障害のある人もない人も共に歩み幸せに暮らすための茨城県づくり条例」の前文に、国際連合総会において採択された障害者の権利条約の趣旨を踏まえてという文言があります。北海道でも障害者の権利が明確に位置づけられているということが分かりました。そこで、質問ですけども、本県でも国際連合総会において採択された障害者の権利に関する条約の趣旨を踏まえて、それに関する文言を入れられないか検討してほしいと思いますが、いかがでしょうか。
[障害福祉課 主幹]
今回の条例案は、障害者差別解消法の趣旨を広く県民に周知し、県民各層の差別の解消推進への気運を高めていくとともに、県民一体となって、障害を理由とする差別の解消の推進を図るものであります。今回の条例案の基となります、障害者差別解消法には、権利条約の趣旨が盛り込まれておりますので、条例案の内容についても、権利条約の趣旨を踏まえているものと考えております。
[わしの委員]
障害者差別解消法には盛り込まれているという答弁でしたので、そうであるならば、わざわざ外さなくても、条例案にもぜひ含めていただきたいと要望したいと思います。第2条の「障害者」とは、身体障害者、知的障害者、精神障害者とありますけれども、この1月に制定された難病法に基づく、「難病患者」を加えてほしいという要望もありましたが、いかがですか。
[障害福祉課 主幹]
難病患者の方々についてですが、難病に起因する心身の機能の障害があり、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受けている状態にある方については、「その他の心身の機能の障害がある者」として対象となっております。
[わしの委員]
難病患者についても、その他の中に入るという理解でよろしかったでしょうか。
[障害福祉課 主幹]
その他の中に入るということになります。
[わしの委員]
その他の中に入っているということで、条例案の中に相談とかいろいろなことができるわけですけど、きちんと難病患者の方も受けられるということでいいですね。
[障害福祉課 主幹]
難病患者の方々からの差別に関する相談についても的確に対応していきたいと考えております。
[わしの委員]
差別のことなのですが、条例案には「差別とは何か」という定義がありません。「差別」とはどういうことをいうのかについては明記することの考えはあってもいいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
[障害福祉課 主幹]
本県では、従来より、差別に対する取組については、全国の統一的な取扱いが必要であると考えており、条例案では、障害者差別解消法の規定と同様に「障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。」と規定しております。
[わしの委員]
規定されていることを分かっている上での質問なのですが、国の基本方針には、差別の具体例が示されております。差別の具体例をもった条例をもっている県もありますので、やはり一つ一つの差別を具体化することを求めたいと思います。障害者が差別だと感じた時に訴える場所が必要だと思いますが、そういった点では「相談及び紛争の防止のための体制の整備」が設けられているわけですが、相談という言葉より、一方で、訴えることができる=「申し立て」という言葉も使うべきではないでしょうか。
[障害福祉課 主幹]
条例案第13条において、「不当な差別的取扱いを受けたと認める障害者等は、知事に対し、当該不当な差別的取扱いに該当する事案の解決のために必要な助言、あっせん又は指導を行うよう求めることができる。」と、「求める」と規定しているところであります。
[わしの委員]
求めることができるということで、これは、私が先ほど申し上げた「申し立て」という意味合いでよかったですか。
[障害福祉課 主幹]
条例案では、「求めることができる」ということで、仕組み的には、申し立てをしていただける仕組みになっているところであります。
[わしの委員]
申し立てできる仕組みとおっしゃったならば、「申し立て」という言葉を使ってもいいのではと思うので、ぜひ入れていただければと思います。それから、障害の種別の問題なのですが、先の9月議会のこの委員会の場で議論もされました障害者の医療給付制度について、障害の種別よって差別があること、具体的には、「精神」の方が医療給付を受けられるのは、精神の病気に係るときだけという点について、いわゆる「差別」と捉えられるのではないか。どんな障害を抱えていても、誰もが安心して医療を受けることができるように、同じようにすべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
[障害福祉課 主幹]
障害者差別解消法及び条例案では、「障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。」と規定しており、正当な理由なく、障害のある方を障害者でない方より不利に扱うことが、不当な差別的取扱いであるとしております。法を所管します内閣府に対し、「障害のある方に対する医療費助成や運輸事業者が実施している運賃割引制度等で、障害種別間で取扱いが異なる場合、当該事例について、不当な差別的事例に当たるか否か。」を照会したところ、「法の不当な差別的取扱いには当たらない。」との回答を得ております。こうしたことから、障害のない方より障害のある方が優遇される制度である、障害者医療給付費制度に関しましては、法の差別的取扱いの対象には当たらないものであります。
[わしの委員]
答弁いただきましたが、この条例は、障害者の方と障害を持っていない方との関係を表記したもので、障害者同士の差別の問題ではない、そうゆう内容だったかと思います。しかしながら、 せっかくこのような条例案を作るのですので、そのようなこともしっかり考えていただきたい。
改めてですが、精神障害者の方が交通運賃割引の問題でも、身体・知的障害者との差別解消を求めていることについてもご承知だと思います。「みんなねっと」という団体が昨年度実施したアンケートでは、運賃割引がないため、外出を控えているとか、施設で働いた賃金の3分の1が交通費などで占めています。
交通費の負担が重いため、精神障害者の社会参加を阻んでいるとの声が相次いでおります。なお、名古屋市精神障害者家族会連合会の会長が、約43%が「交通費が負担になっていない」と回答した背景に、公共交通機関の利用を差し控えておられる実態があるとしています。そういったことからも愛知県が差別解消条例を作るならば、そのようなことも加味していただきたいと思います。