〔未定稿 文責:日本共産党愛知県議会議員団事務局〕
[わしの委員]
国が、「子ども・子育て支援新制度」を実施した。保育料が驚くほど高くなった家庭も出ている。小さな子どもが多いほど高くなる仕組みで、全国的にも大きな問題となっている。例えば、札幌市では、子ども6人いる家庭で2人分の保育料が29,190円アップした、約2.7倍。大阪府の豊中市では、子ども5人で一人分の保育料が23,700円アップした、4.6倍になったという話がある。愛知県内でも、知多市の子ども5人いる家庭の話を聞いた。2人分の保育料が8,000円上がって、どうしたらいいのかと嘆いているという話を伺った。
なぜ、こんなにも大幅な値上げになったのかといえば、「保育料を計算する基準が所得税額から市町村の住民税額に変わり、市町村住民税は確定が6月になるので保育料の切り替えが9月となり、年度途中で金額が変更になる事態となった。特に今回、大きな値上がりになったのは、さらに政府が年少扶養控除の「再計算」をしないと決めたことから生じている。
これまでは、年少扶養控除が廃止されても、保育料算出の基礎となる所得が上がるのを避けるために、「みなし適用」が設けられていた。しかし、子ども・子育て支援新制度のもとで、原則廃止されてしまった。そのため、小さい子どもさんがいる家庭では、保育料が3倍4倍に上がったという家庭もあるということである。
そんな中でも、県下の自治体の中には名古屋市や豊田市のように、独自の判断で、年少扶養控除があるものとして、保育料が計算されている自治体もある。
また、全国では年少扶養控除の廃止により、一旦大幅値上げしたものの、仙台市のように、引き続き旧税額で「再算定」の措置を実施している自治体もあると聞いている。
そこで、愛知県内の自治体について、年少扶養控除の「みなし適用」を続けている市町村を把握しているか伺う。
[子育て支援課主幹]
保育料算定における年少扶養控除の取扱いについては、県内54市町村中、11市町において平成27年4月分から8月分に「みなし適用」が行われている。
[わしの委員]
愛知県は、県内の市町村と連携して新制度を進めていると思う。まだまだ始まったばかりで問題の多い制度だが、愛知県には財政面の支援を含めた役割が求められると思う。保育料の値上げに連動させないために、引き続いて旧税額で「再算定」の措置を実施されるよう指導、援助をはかっていただきたいと考えるが、お答えいただきたい。
[子育て支援課主幹]
国によると、今回年少扶養控除の適用を廃止された理由は3点ある。まず、再計算を行う市町村の事務負担が大きいこと、次に所得税の年少扶養控除等が廃止されてから一定期間が経過していること、そして、今後その他の税制改正が行われた場合に、旧税額を計算する方法が複雑になっていく可能性があることとされている。
このため、新制度の利用者負担の算定に当たっては、旧税額を再計算する方法ではなく、改正前後で極力中立的なものとなるよう、所得階層区分に用いる税額が子ども2人の世帯で算定されているところである。
県としては、旧税額での「再算定」は、市町村独自の多子世帯への経済的支援策の一つであり、激変緩和のための経過措置でもあることから、市町村がそれぞれの実情に応じて適切に対応されていると考えている。
[わしの委員]
この制度は子どもが多いほど保育料が上がる仕組みで、保護者の願いや政府が掲げている少子化対策にも逆行するものだと考える。今、全国各地では保育料の値上げに対する集団での異議申し立ての動きも広がっている。県としても保育料の多子減免の拡充をすること、更には、国の公費負担の引き上げを求めるなど、保護者の負担軽減を図る施策が必要だと私は思うが、県はどのように考えるのか。
[子育て支援課主幹]
県としても、多子世帯における保護者の経済的負担の軽減は、重要な課題であると考えており、保育料の高い3歳未満児のうち、第三子以降の子どもの保育料の無料化等を実施しているところである。
また、全国知事会では、「子育ての負担の大胆な軽減」として「第三子以降の保育料の無償化」など、段階的な幼児教育・保育の無償化の実現を、8月以降4回にわたって国へ要請しているところでもある。
国の「一億総活躍社会の実現に向けて緊急に実施すべき対策」の中に多子世帯等への支援が位置付けられているので、今後の国の動向を注視するとともに、情報収集に努め、的確に対応していきたいと考えている。
[わしの委員]
子育て支援ということでは、保育料の大幅値上げは何とかしなければならないと思うので、しっかり取り組んでいただくことを要望する。