議会報告

一般質問 設楽ダム建設の中止を求める [2015年10月5日]

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〔未定稿   文責:日本共産党愛知県議会議員団事務局〕

【下奥奈歩委員】

 日本共産党の下奥奈歩です。設楽ダム建設について、質問をさせていただきます。

 設楽ダム建設は、もともと1963年に電源開発株式会社が発電用ダムとして計画しましたが、地質が弱いことを理由に計画は消滅し、71年には、当時の通産省から揚水発電ダムとして計画されるものの、73年に、多目的ダムとして総貯水量8000万トン、ロックフィル方式のダムとして当時の建設省や愛知県が計画をしました。その後、総貯水量は1億トンに変更され、2008年に「設楽ダムの建設に関する基本計画」が告示されました。民主党政権時代に、ダム事業計画の見直しのための検証がされましたが、設楽ダム建設は必要という検証結果が示され、大村知事をはじめ、流域自治体の首長の合意のもと、建設の推進がはかられているという現状にあります。

 まず、伺います。設楽ダム建設の目的、建設関係の総事業費および県及び県内自治体への負担分についてお示しください。

【土地水資源課主幹(水資源計画)】

 設楽ダムは、洪水調節、流水の正常な機能の維持、かんがい用水及び水道用水の確保を目的としており、総事業費は、約2,070億円で建設される計画となっています。その内、国庫補助を除き愛知県の負担額が721億円で、ダム建設事業にかかる関係自治体の負担はありません。

 

【下奥奈歩委員】

 全体として約1400億円の県民負担のある莫大な計画となっています。国民の税金の使い方が厳しく問われている中で、これほどの莫大な費用をかけてダム建設をすすめる必要があるのかが大きく問われていると思います。そこで、その点をはっきりさせたいと思います。

 目的の一つである、洪水調節についてです。設楽ダムは、目標水量を定めている基準地点の新城市石田の集水面積の11・4%にすぎません。非常に限られた地域での効果しか見込めません。検証結果では、一定の「安全度」を確保するとすれば、「コスト」について有利なのはダム建設との評価をしていますが、洪水調節は何よりも安全の確保が中心であり、安いから、いいのではありません。豊川には、中世以来の不連続堤、遊水地が残っており、新河川法で推奨しているような総合治水が十分可能です。洪水対策としては、上流でダムをつくることよりも、破堤しにくい堤防など堤防の強化、不連続堤による遊水地、緑のダムといわれる森林整備、農地の適正な管理、氾濫原の宅地化の抑制など、流域全体での総合的な治水計画を充実すべきであります。

 次に、かんがい及び水道による新規利水についてです。検証結果では、一定の「目標」すなわち、必要とされる開発水量からみて、「コスト」で最も有利な案はダム案とされています。しかし、問題は開発水量が適切かどうかが問われています。上水で約600万立方メートル、かんがいで約700万立方メートルを確保するとしていますが、2002年3月末に豊川総合用水事業が完成し、それらの水源が完全運用されるようになった2003年4月以降、水道用水、農業用水、工業用水は十分足りております。2006年2月に、豊川水系水資源開発基本計画、通称フルプランと呼ばれておりますが、全面的に見直しをされました。その際、平成15年度と平成27年度の給水人口、一日平均家庭用水有収水量、一日平均都市活動用水有収水量、一日平均工場用水有収水量、一日最大取水量の実績と推計を明らかにしています。そこで伺います。豊川の現在の供給余力はどれだけありますか。また、フルプランでは、12年間の間にどれだけそれぞれ増大すると推計され、最近のデータでの増大の実績はどうなっていますか。お示しください。

【土地水資源課主幹(水資源計画)】

 平成17年度に閣議決定された豊川水系における水資源開発基本計画、いわゆるフルプランでございますが、これは、目標年である平成27年度の需要想定値が算定されております。平成15年度の水道用水の一日の最大取水量の実績値は毎秒3.56トンで、平成27年度の想定値は、毎秒4.53トンと算定していますので、平成15年度実績値に比べ、毎秒0.97トン大きい値となっております。最新データである平成24年度の実績値は毎秒3.42トンであり、平成15年度の実績値と比較し、概ね横這いとなっております。

供給余力については、平成6年には厳しい渇水に見舞われて、水道の断水、工場の操業短縮、農作物の被害が生じ、県民生活・社会経済活動に大きな影響を及ぼしております。近年においても、豊川水系では、たびたび取水制限を余儀なくされ、平成25年9月には宇連ダムが枯渇寸前になるなど、この地域は常に渇水に対する不安を抱えています。

こうしたことから、県としましては、長期的視点に立って需要を想定するとともに、渇水時や災害時などにおいても県民の生活に支障を来たすことのないよう、水道用水等の安定を図ってまいりたいと考えており、豊川水系には供給余力がないものと認識しておりますので、設楽ダムは必要であると考えています。

 

【下奥奈歩委員】

 お話がありましたように、十分な余力があると思います。渇水の問題が指摘され、フルプランでは、少雨化傾向で水源供給施設である、既設ダムなどの水量確保の実力が低下していることが指摘されています。確かに、渇水が多くみられる地域であることは事実ですが、豊川総合用水事業が完成後は、2005年、観測史上最少雨量の時にも、「節水」はしましたが、渇水の被害はでていません。この現実をしっかりと受け止めるべきであり、必要水量の過度な見込みについてはただされるべきだと思います。

 ダムの最大の目的となっているのが、「流水の正常な機能の維持」であります。この問題では、日本共産党のもとむら衆院議員が5月に衆議院国土交通委員会で太田大臣にただしています。
 1973年に愛知県が地元に示した8千万m3規模の多目的ダム案は、2度変更された結果、総貯水容量9800万m3でその内訳は、治水容量1900万m3、不特定容量6000万m3、新規利水容量1300万m3、堆砂容量600万m3の計画となっています。
 この目的別貯水容量の数値からみて、設楽ダムの主目的は、治水でも利水でもなく、不特定容量(流水の正常な機能の維持容量)であることがわかります。この6000万m3をどのように使おうとしているのか、事業者の説明は、「豊川水系宇連川の大野頭首工(豊川用水の取水堰)下流で川の水がなくなる断流が生じているので毎秒1.3 m3の維持流量を確保する、また豊川の中流部にある牟呂松原頭首工下流の河川流量が少なく、現状の毎秒2m3より5m3に維持流量を増やすことが必要である。主としてこの二か所について、流水の正常な流量を維持するために、ダムで水を貯める必要がある。」こうして、渇水期の川に水を流すために巨大ダムを造って水を貯める(流水を溜まり水にする)というのであります。流水を溜めこんで、流水の正常な機能の維持のために使うというのは、全く理解に苦しむことです。巨大なダムを造れば、川から海まで大きな環境影響をひき起こすことは目に見えているのに、その目的が“流水の正常な機能の維持”というのは異常です。堆砂容量を除いた有効貯水容量9200万m3の65%、さらに洪水調節容量を除いた利水容量7300万m3の実に85%に当たる6000万m3が、「流水の正常な機能維持」のための容量という前代未聞のダム計画だとかんがえます。県はどういう認識をおもちですか?異常なダムだという認識はありますか?

【土地水資源課主幹(水資源計画)】

 設楽ダムにおける流水の正常な機能の維持の目的としましては、

1点目は、河川には動植物の保護、漁業、景観、流水の清潔の保持、塩害の防止等を考慮した維持流量が必要です。

このため、大野頭首工地点で毎秒1.3トン、中流部の牟呂松原頭首工地点で毎秒5トン確保することで、例えば、豊川では上流部の大野頭首工下流地点で過去に年間約180日の水枯れが発生し、アユが死んだりしておりましたが、ダムからの補給により河川環境の保全が図られるものでございます。

2点目は、豊川水系では最近10年間で4回の節水を余儀なくされるなど渇水が頻発しております。流水の正常な機能の維持が図られることにより、河川流況が改善され、豊川用水や牟呂松原用水など既得用水の安定供給を図ることが可能となります。

 以上2点の目的によりまして、設楽ダムの流水の正常な機能の維持については大きな効果があることから、ダム計画は適切なものと、県は認識しています。

 

【下奥奈歩委員】

 本来、自然の川が流れている、これが一番の流水の正常機能の維持というべきものではないでしょうか。検証結果は、相も変わらず、一定の「目標」を確保することを基本とすれば、「コスト」が安いのはダムと評価していますが、そもそもこれまでのダム建設や豊川用水事業などによって、水枯れ状態が生まれているものを、改めてダムをつくり、そこから水枯れしているところに導水路をつくって、水量を維持すること自体が間違っています。河川の環境保全などといっていますが、ダムを造ればダム湖による清流寒狭川と流域の里山が水没し、ダム堆砂による川砂利の消失と河川の生態系の劣化がすすむなど、大規模な川の環境破壊がすすむことになります。大野頭首工下流では大半が水枯れ状態といわれます。

 市民団体からは「毎秒1・1立方メートルを大野頭首工から取水せずに魚道に流して、牟呂松原頭首工経由で森岡導水路を活用して豊川用水の東部幹線に流せば、流水の正常な機能の維持流量ができるとの提案もあります。

 そこで伺います。市民団体からの提案について、県として、どのように受け止めているか、お示しください。

【土地水資源課主幹(水資源計画)】

 先ほど申し上げましたとおり、大野頭首工の下流地点では過去に180日間の水涸れが発生するなどして、河川環境の悪化が懸念されていますが、これが設楽ダムからの補給により少なくとも常時毎秒1.3トンの水が流れることになります。また、牟呂松原頭首工の下流につきましては、現在は少ない時は毎秒2.0トンしか流れませんが、これも設楽ダムにより毎秒5.0トンを確保することができ、河川環境の改善に大きく資するものとなります。

 設楽ダムによる流水の正常な機能の維持は、大野頭首工下流1.3トン、牟呂松原頭首工下流5.0トンの確保と、豊川水系における全体の安定した取水を図ることを目的としております。市民団体の提案では、これらの目的を達成できませんので、代替案とはならないものと考えます。

 

【下奥奈歩委員】

 以上、ダム建設の目的について検証してきました。いろいろお答えはありましたが、納得できるものではありません。県民からみて、ダム建設が必要とは考えられないのです。そのうえ、設楽ダム建設は、県民経済にも大きな影響を与えます。その一つが、あさりの問題です。愛知県のあさりの漁獲量は日本一とうかがっています。あさりの稚貝がわく六条干潟については、テレビでも紹介されています。そこで伺います。愛知県のあさりの漁獲量、全国比、三河湾にある六条干潟の役割について、お示しください。

【土地水資源課主幹(水資源計画)】

 アサリの漁獲量などの水産業につきましては、農林水産部の所管でございますが、平成26年において、愛知県では、全国のアサリ漁獲量19,300トンの約55%を占める、全国第一位となる10,600トンの漁獲量となっております。

 また、六条潟の役割につきましては、全国屈指のアサリ種苗の発生場所と認識しております。

 

【下奥奈歩委員】

 まさに、愛知県の漁業にとって、大事な漁獲物です。しかも、全国比から考えれば、日本の漁業にとっても大切なものとなっています。ところが、ダム建設で、このあさりの漁獲に欠かせない、六条干潟の消失の可能性があるというのです。

 1941年に設立された日本海洋学会環境問題委員会が、2007年に、設楽ダム建設にかかわって、意見を出しています。一つは、取水によって内湾の環境形成に本格的なエスチュアリー循環、これは、河川の流水による三河湾の河口部の循環のことですが、これが減少する。二つは、停滞したダム湖の汚濁した底層水と底泥が洪水時に流出することで海に多大な負荷がかかる。そして3つ目が、ダム湖の堆砂に伴って海岸浸食を加速し、干潟、浅瀬を消失させると指摘しています。こうした意見もうけて、河口部までの環境影響評価を行うことを市民団体や漁業者からもだされましたが、影響は軽微として、環境影響評価はなされておりません。

 そこで伺います。県として、この海洋学会環境問題委員会の意見について、どう受けとめていますか。県独自にも環境影響調査を行うべきではありませんか。お考えをお示しください。

【土地水資源課主幹(水資源計画)】

 国土交通省中部地方整備局は、三河湾へ流れ込む川の流域面積約 3,400平方キロメートルに対し、設楽ダムの流域面積は62平方キロメートルと2%程度であることから、土砂供給面での影響は小さい。また設楽ダムの新規利水容量1,300万トンは、三河湾全体の水量約55億 トンに対し0.2%程度であることから、水質の面でも三河湾への影響は小さい。

 三河湾のエスチュアリー循環流についても、豊川の流量の増減割合が、直接、海水交換量に同じ割合で結びつくのではなく、風速、風向など様々な要因が合わさって海水交換が成り立っているとしております。

 また、国が実施した設楽ダムの環境影響評価では、調査地域は新城市布里地点、これは河口から約50㎞上流になりますが、布里地点までとして予測評価が行われ、例えばBODでみると、布里地点はダム建設前も建設後も0.3 mg/Lであり、変化はみられないとされています。国は「設楽ダムによる三河湾への影響は小さい」 と判断しており、県といたしましても、こうした国の見解は適切であるものと考えております。

 

【下奥奈歩委員】

 残念ながら積極的な回答をきくことはできませんでした。あさりというのは愛知の漁業の生命線だともいわれています。その、あさりの漁獲量の大幅な消失の危険性に向き合わないということは、漁業振興という点からも重大であります。

 

 最後に、私たち日本共産党愛知県議団は、今年の5月に衆議院議員もとむら伸子さんと一緒に設楽ダム建設予定地へ視察に行ってきました。本当に自然が豊かですばらしいまちだと感じました。現地の方や、設楽ダム建設中止を求める会の方のお話を聞いてきました。「河川の生態系に悪影響。川が死んでしまう。」「自然がこわされてしまう」「地盤の不安もある」とダム建設に対しての怒りと不安の声が次々と寄せられました。

 また、設楽町はダム建設の計画により、街が分断されるという事態がおきています。実際「地元の人がお金をもらって賛成派にまわってしまった人もいる」「立派な家があるとダムでいいおもいをしたと思ってしまう。町民同士で溝ができる。」設楽ダム計画により、自然破壊の問題だけでなく、住民のくらしや、精神的な面にも大きな影響を与えています。

 ダム建設には、天然記念物のネコギギの生息域の破壊など自然環境の破壊や、建設予定地の岩盤の弱さや断層とのかかわりでの安全性の問題など、数多くの問題があります。それなのに、国は来年度政府予算の概算要求に、設楽ダム事業として、52億2000万円の予算を盛り込み、工事を新しい段階に進めるため、本体工事をすすめるために川の流れを変える転流工工事を行おうとしています。

 私は、無駄なダム建設から県が撤退し、設楽ダム建設を新しい段階にすすめる概算要求の撤回をはじめ、建設の中止を国に求め、関連地域のダム建設によらない地域振興策を真剣に検討すべきと考えます。無駄な負担をやめ、住民の暮らしに目を向けて、医療機関の充実をすることや、設楽町の魅力ある豊かな自然を生かした街づくりをすることが必要ではないでしょうか。本会議でも質問した若者の雇用や福祉・くらしに使うことこそ、真の地域振興、経済振興となるとかんがえます。設楽ダム建設反対と今すぐ中止することを強く求めて、質問を終わります。

 

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