議会報告

2015年6月29日 6月定例議会 振興環境委員会 【下奥奈歩議員】(ラグビーワールドカップ2019)

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〔未定稿   文責:日本共産党愛知県議会議員団事務局〕

2015年6月29日 6月議会 振興環境委員会 (ラグビーワールドカップ2019)

【下奥奈歩委員】

一般会計補正予算案のラグビーワールドカップ2019の準備にかかわる予算の問題で質問をいたします。

 ワールドカップ2019の準備ということで、3年間で2億円の負担額の1年分が提示されています。そこで、伺います。この2億円の根拠となっているものは何ですか。そもそもワールドカップで大会組織委員会が想定している収入と支出はどうなっていて、その中で地元負担金はどういう位置づけになっているのですか?

【スポーツ振興課主幹(スポーツ振興)】

 昨年7月時点で組織委員会が立案した収支計画によれば、総収入462億円の内訳としてチケット収入320億円、日本スポーツ振興センターからの助成金36億円、開催都市分担金36億円、寄付など民間資金70億円となっています。支出は、大会運営費299億円、国際統括機関ワールドラグビーへ大会保証料として163億円、合わせて462億円となっています。

 この大会保証料のほか、テレビ放映権料、スポンサー料のほとんどは、日本の組織委員会ではなく、ワールドラグビーに入る仕組みになっているため、開催都市にも負担の要請がありました。開催都市の負担金は36億円余となっているが、単純に割ると各都市3億円となるが、都道府県の人口、スタジアム収容人数を勘案し、平均よりも多い4億円の依頼が組織委員会からありました。これを豊田市と愛知県で折半して2億円となりました。

 

【下奥奈歩委員】

国際的なスポーツの大会で、重要な収入源であるテレビなどの放映権料やスポンサー料はすべて国際統括団体の「ワールドラグビー」に入る仕組みであり、しかも国内スポンサーを募ることも認められていません。大会運営は、観客のチケット収入に頼らざるをえず、そのうえこの「ワールドラグビー」に163億円もの巨額な保証負担があることが明らかになりました。

そこで伺います。観客のチケット収入で確保する予算については、チケット代を2万円と想定すると、1試合当たり平均何人の参加が必要とされていますか。また、日本のラグビーの1試合の平均観客数はどのくらいとなっていますか。お示しください。

【スポーツ振興課主幹(スポーツ振興)】

 チケット収入見込320億円を2万円で割り、さらに48試合で割ると、1試合当たり約33,000人となる。また、日本のトップリーグの1試合当たり平均観客数は約4,700人である。これは世界一流の試合と日本の試合の魅力の差があり、国代表の試合であれば非常に関心が高くなるので、人数は変わってくると思っています。

 先ほど、ワールドラグビーにスポンサー料収入が入る話があったが、組織委員会では、組織委員会にも少しでもスポンサー料が入るようにできないか検討・調整していると聞いています。

 

【下奥奈歩委員】

ちなみに、ラグビーは今現在スポーツの中で「マイナー中のメジャーだといわれています」13年に笹川スポーツ財団が発表した「10代のスポーツライフに関する調査」によると、若者が過去1年間に会場へ足を運んだ競技別観戦率は1位のプロ野球の13.7%に対してラグビーは0.5%です。組織委員の調査では、ラグビーワールドカップの認知度は5%にとどまったといわれています。

 これまでとはけた違いの観客を動員しなければならないことが明らかになり、収入不足に対する、穴埋めとしての地元負担金という性格が明らかになりました。そこで、伺います。この地元負担金については、あらかじめ県や豊田市には知らされていたのですか?豊田市議会では、当初の豊田市から市議会への説明には、地元負担金の説明はなかったと伺っています。しかも、大会組織委員会は立候補自治体に対し、「秘密保持誓約書」の提出を求め、仙台市は提出を拒否したと伺っています。県は「秘密保持誓約書」を提出したのですか?

【スポーツ振興課主幹(スポーツ振興)】

負担金については、立候補をする段階で組織委員会から話があった。秘密保持契約書については、平成26年10月29日に開催希望申請書を提出する際に、秘密保持契約書を提出しています。その内容は、開催都市の選定についての情報、応募書類の内容や選定プロセスについて、組織委員会が承諾する場合を除き開示しないという内容です。

 

【下奥奈歩委員】

健全なスポーツ振興とは思えません。会場選定基準を示した「開催都市ガイドライン」も非公表と伺っています。これでは、大会誘致の是非について県民が判断するための情報が極めて少ないと言わざるを得ません。「開催都市ガイドライン」の公開など県民への情報提示について、県はどのように考えていますか?

【スポーツ振興課主幹(スポーツ振興)】

 開催都市ガイドラインについて、組織委員会に聞いたところ、組織委員会としてのノウハウ・知的財産であるため非公開としたいが、必要な部分については、議員などに閲覧に供しても構わないとのことでした。

 

【下奥奈歩委員】

 これまでの質疑をふまえて、一般会計補正予算案のラグビーワールドカップ2019の開催準備にむけての費用について、反対の立場で意見を申し上げます。

 日本共産党は、ラグビーワールドカップの日本開催については、賛成しています。ラグビーワールドカップは世界の人々から高い社会的、文化的評価を獲得しているスポーツ大会です。その大会を日本で行うことは、日本や地域でのスポーツ振興にも役立つものであると思います。

 しかし、このような国際試合の開催のための費用は国が適切に対応すべきものであり、開催県や開催自治体に費用を押し付けるやり方には反対すべきであると考えます。

 質疑の中でも明らかになったように、ラグビーワールドカップ2019の財政運営は、極度に観客のチケット代の収入に依存する構造となっています。どの試合でも、チケット代を2万円と、かなり高いですが、としても平均3万人を超える観客動員を必要とします。これは、これまでの日本のラグビーの1試合の平均観客動員数の10倍近くの数になります。このようなけた違いの観客動員をしても、なお収入不足であり、それを補うものとして、地元への負担金が36億円もかけられているのです。このような状況では、36億円にとどまるかどうかも大変疑わしいものです。しかも、こうした負担の在り方が県民に事前に十分知らされることのないままに、誘致がすすめられたことは極めて重大です。事前の「秘密保持誓約書」を提出し、「開催都市ガイドライン」の一般公開もしないままに、地元負担を隠して、誘致をすすめて、開催が決まってから、負担を押しつけるやり方は、県民を無視したひどい運営です。

 日本共産党は、ラグビーワールドカップ特措法に賛成しておりますが、その国会での討論の中で、日本共産党宮本岳志衆院議員は「開催計画は適切なものでなければならず、地元自治体に過大な負担を押しつけて、負の遺産を残すようなものであってはなりません。しっかりと国として支援するとともに、くれぐれも住民合意のもとにすすめることを求めて」います。

 ラグビー日本大会開催は、日本や地域のスポーツ振興に役立つものですから、健全なスポーツ大会の運営が行われるべきです。「秘密保持協定」を提出し、県民に対して十分な情報提供をしないのは健全な運営ではありません。国が本来負うべき負担を地元に押し付けるやりかたには反対であり、その立場から、一般会計補正予算案のラグビーワールドカップ2019の開催準備にむけての費用について、反対の意見を申し上げ、質疑を終わります。

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