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2月定例議会最終日 わしの恵子議員が反対討論

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2月定例議会最終日の3月20日、わしの議員は「第1号議案、平成31年度愛知県一般会計予算」に反対の立場で討論を行いました。

全文をご紹介します。☞コチラからダウンロードできます

(文責:日本共産党愛知県議団)

私は、日本共産党愛知県議員団を代表して、第1号議案、平成31年度愛知県一般会計予算について、反対討論を行います。

年収200万円以下の「働く貧困層」といわれる人は史上最多に上っている中、消費税増税と社会保障費の自然増の圧縮による毎年度の抑制により、年金、医療、介護など各分野で負担増と給付減が強いられ県民生活を直撃しています。

また2人以上世帯の実質家計消費支出は事実上、連続で対前年比マイナスが続いています。

貧困と格差が拡大するばかりで、「アベノミクス」は完全に破たんしたと言わざるを得ません。

さらに内閣府が3月7日発表した1月の景気動向指数の速報値は、3か月連続で悪化、内閣府は景気判断を「足踏み」から「下方への局面変化」に引き下げました。

これは、国内の景気が落ち込みの局面に入ったことを、ついに政府自身が認めたことです。同じ判断をしたのは2014年11月以来です。消費税8%への増税で景気への悪影響が出たためでしたが、今回は10%への増税実施前に景気悪化の可能性が生まれているのです。ここで増税を強行することは日本経済にとって自殺行為になることはいよいよ明らかではないでしょうか。

いまやるべきは、外需頼みではなく、国内需要とりわけ家計を温めて足腰を強くすることであり、足腰を破壊する消費税増税は論外です。

こんなときこそ、愛知県は、国の悪政から、県民の暮らしや福祉・医療・子育て・教育を守る「防波堤」の役割を果たすことが求められています。ところが、愛知県の予算案は、そういう立場に立っていません。

以下、第1号議案に反対する主な理由を述べます。

【反対理由の第1】は、県民の暮らしと福祉・教育を支えるべき地方自治体としての役割をないがしろにした予算となっていることです。

1点目、消費税及び地方消費税の10%への増税を、県の使用料、手数料に転嫁し値上げをする予算案となっていることです。

消費税10%への増税を、県の使用料、手数料に転嫁すべきではありません。

県は、利用者の負担増を全会計・平年度ベースで9億1600万円と見込んでいます。消費税10%への増税については、これまでの消費税増税や景気悪化に苦しむ県民に追い打ちをかけるもので、「今あげるべきではない」という声が多数となっています。民間エコノミストも「今回は2014年以上に景気低迷が長期化する」と警告しています。消費不況に苦しむ中小業者からは、消費税が増税されたら「商売を続けられない。中小業者に死ねというようなものだ」と厳しい抗議の声があります。

県は、国に対して、県民の消費税増税ストップの声を上げるべきではないでしょうか。それが地方自治体の役割を果たすことです。

2点目、高すぎる国民健康保険料についてです。 

国民健康保険の都道府県化が昨年4月から実施され、県が財政運営の責任主体となりました。今年度については、激変緩和措置を行っても県内54市町村のうち、37市町村で国民健康保険料の引き上げが行われました。

私は、議会で国民健康保険に対する国の財政支援については、「1兆円の公費投入」で均等割り・平等割りを廃止すれば国保料の大幅引き下げは可能と提案をしました。県は、今後も国に責任をもって財源を確保するよう求めると答弁がありました。しかしその一方で、県の単独補助金は廃止したままです。

1997年度、28億円を最高額とした国保への県単独補助金、2014年度に廃止してしまいましたが、いまこそ、県単独補助金を復活させ高すぎる国保料の値上げを抑制すべきです。全国でも東京都の62億円を始め、11都府県が1億円以上の県単独補助金を設けています。

3点目、子どもの医療費無料化についてです。

愛知県の子どもの医療費無料化は、2008年4月から、通院では小学校入学前、入院では中学卒業まで実施されていますが、その後、11年も経つのに拡充は全くされていません。そのため通院では54の県内市町村すべてが、県基準を拡大。新年度では、名古屋市とみよし市が入院のみですが、18歳まで拡大し、津島市では中学卒業まで窓口無料に対象拡大し、通院の所得制限は撤廃されると伺います。

県内のどこに住んでも、同じように子どもの医療費助成が受けられるようにすべきです。

また、財政力で見れば、愛知県より低い静岡県、福島県、鳥取県が高校生まで拡大をしています。

静岡県の川勝知事は、「子ども医療費助成について、子育て家庭の経済的負担の軽減を図り、安心して子どもを産み育てる環境を整備するため、これまでの中学校卒業までを、更に高校生世代の子どもを持つ家庭の経済的負担の軽減のために、市町村と連携して18歳まで拡大します」と昨年2月県議会で提案、10月から実施しています。

子どもの医療費助成は、子どもの貧困対策の観点から見ても大切です。子どもの貧困対策を進めている愛知県として、通院・入院とも18歳まで拡大すべきです。

4点目、教育についてです。

特別支援学校の全教室の空調化は、1年前倒しして、2年間で実現する運びとなり、関係者の方々からとても喜ばれています。

一方、特別支援学校新設の計画はあるものの、老朽化の改善は依然として遅れたままです。

また県立高校のトイレの洋式化は、ようやく進むことになりましたが、空調の設置も電気代もPTAに依拠したままです。

さらに、トイレットペーパー代や試験用紙用の更紙やインク代までもPTA負担となっていることは、大変驚きました。

これらの公費負担を求めましたが、改善につながる答弁はありませんでした。知事は「教育立県あいち」を標榜しています。直ちに改善を求めます。

学校は何よりもこどもたちの成長、発展のためにあるもので、少人数学級の実施を求める声が強くなっています。ところが、県の新年度予算案では、少人数学級を拡充していません。小学校1、2年生、中学校1年生での35人学級編成にとどまり、中部地方で最低水準です。

2017年9月に知事に提出された「子どもが輝く未来に向けた提言」では、第一に「義務教育段階における少人数学級の更なる充実を図ること」を掲げています。新年度予算案はこの提言にもこたえていません。

5点目、看護師確保についてです。

看護職員修学資金貸付金について、新年度予算案では約3000万円を計上していますが、県は、新年度から新規貸与を止めてしまいました。

県の看護職員修学資金貸付金は、准看護師課程や定時制で学ぶ人が多く利用しており、200床未満の中小病院は、准看護師の採用が高い実態があります。新規貸与を辞めれば、特にこういう方々の看護専門学校への修学が厳しくなるばかりか、慢性的な人手不足に悩まされている200床未満の中小病院にとっては、看護師確保が一層困難になるばかりです。復活させるべきです。

【反対理由の第2】は、大型開発優先・大企業応援型となっていることです。

以下具体的に述べます。

1点目、国際展示場についてです。

常滑沖の中部国際空港島に建設されている県の国際展示場は、新年度は115億円を投じて8月末開業をめざしています。約270億の用地代を含めると総事業費は非常に多額となり、しかも全額県費を投入する莫大な事業です。

この国際展示場を拠点として、「産業首都あいち」の中核事業「MICEを核とした国際観光都市」づくりとして、新年度予算案では約3900万円が計上されています。県は中部国際空港やその周辺エリアに、MICEを核とした国際観光都市の実現を目指して、調査研究を進めるとしています。

知事は、「国内外の人が交流できる場として整備していく」と力を込めていますが、IRの中核はカジノであることは明白です。そもそもギャンブルに入れ込んだ顧客の散財に期待するような成長戦略は健全とは言えません。これらの中核になる国際展示場には賛成できません。

2点目、中部国際空港対策事業費とリニア中央新幹線についてです。

県は、リニア開業により誕生する大交流圏の西の空の玄関としての役割を果たすため、中部国際空港の2本目滑走路の早期実現、LCCを含めた航空ネットワークの一層の拡充に向けた取り組みを推進するとして、新年度は約3400万円の予算を計上しています。

県は、中部国際空港の旅客数は、「開港時の1235万人を超える過去最高が視野に入ってきた」と言いますが、2005年の開港当時から12年経った2017年度でも、1153万人と開港当時に至っていません。

そんななかで、報道によれば、「空港沖では、名古屋港の浚渫土砂を処分するため、空港の隣接海域への埋め立てを計画している。大村知事は昨年7月、埋め立て後の土地を第2滑走路にする考えを表明。東海3県の政財界と共にリニア中央新幹線開業までの実現をめざしている」とあります。

建設費も大きな問題です。沖合に行けばいくほど海が深くなり建設費が嵩むといわれています。あるマスコミの報道では3000億円もの事業費がかかるといわれています。

従って、中部財界と一緒になって進めている中部国際空港の第2滑走路は、必要性も採算性もないと言わざるを得ません。

県営名古屋空港を拠点にするFDA(富士ドリームエアラインズ)は、新たに旅客機2機を購入して名古屋空港の路線を拡充しようとしています。第2滑走路に巨額を投ずるよりも、県営名古屋空港の活用を図るべきです。

次に、リニア中央新幹線についてです。

新年度では、名古屋駅スーパーターミナル化推進費補助金など、約4500万円を計上しています。

しかし、リニア新幹線事業は、採算性もなく、深刻な環境破壊、電力エネルギーの浪費に電磁波の危険性など大きな問題が山積したままです。

にもかかわらず、JR東海は、2045年までに、路線を大阪まで延伸することをめざしていますが、日本の人口はリニアを維持できるほど大きくならないとの懸念もあります。

今、あいちでは、リニアを起爆剤とした「中京大都市圏づくり」に向けた施策が進められており、「名古屋駅スーパーターミナル化」を支援していますが、三河部などからは、いっそう「過疎化・人口減少」が進むのではないかと心配の声が届いています。

従って、リニア中央新幹線事業への支援は認められません。

【反対理由の第3】は、産業構造のあり方です。

愛知の製造品出荷額等は、日本1であり、農業産出額でも全国7位の農業県でもあります。しかし、大村県政は、リニア、ジェットなど、大企業優先の大型開発型県政を推進しています。

その一方で、中小企業への施策が後回しにされています。

県は、「世界と闘える愛知」を目指して、21世紀高度先端産業立地補助金や新あいち創造産業立地補助金を、航空宇宙、次世代自動車、環境、新エネルギー、ロボット、情報通信など高度先端産業や次世代成長分野における工場・研究所の支援にあてています。また、税制においても産業立地促進税制により、不動産取得税の免除、軽減を行うなど、日本一の優遇制度を展開しています。

このような、先端技術の特定分野を主とした産業・経済政策ではなく、愛知の産業を支える中小企業全体に目を向けるべきです。中小企業を「経済の根幹」に、農業を「基幹産業」に位置付け、それにふさわしい施策を行うことが必要です。県の中小企業景況調査では、消費不況による「売り上げ不振」に悩んでおり、「商店街のシャッター通り化」は県内各地に広がり、「商品開発支援」や「販路拡大支援」、「人材確保支援」等を行政に求めています。また、中小企業への制度融資の拡充や、商店街活性化など切実な支援策を充実させることが必要です。

農産物の価格保障・農業従事者の所得保障を行い、将来にむけて農業に励める土台を整え、現に農業に従事する人はもちろん、農家の後継者や都会の若者などが就農できる施策を強化すべきです。

以上、第1号議案に反対する理由を述べてまいりましたが、今愛知県政に求められているのは、大型開発優先から暮らし・福祉優先へ税金の使い方をきりかえ、県民の切実な要求を実現することです。

そして、県営名古屋空港のF35の整備拠点化が懸念される今こそ平和な愛知が求められています。

日本共産党愛知県議員団は、県民の健康と暮らし、教育を支え、憲法9条改憲を許さず、平和な社会をめざす愛知県政実現のために頑張る決意を表明して討論とさせていただきます。

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