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看護修学金貸し付けの継続について質問 わしの議員(健康福祉委員会) 

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10月4日、9月議会・健康福祉委員会で、わしの議員は「看護修学金貸し付けの継続について」質問しました。

全文を紹介します。コチラからダウンロードできます

〔未定稿 文責:日本共産党愛知県議会議員団〕

看護修学金貸し付けの継続について

【わしの恵子委員】
 看護修学資金の貸付けについて質問したいと思います。
本会議の一般質問で、下奥議員が看護修学資金貸付について、中止・廃止するのではなく、むしろ内容を充実して継続すべきだと質問しましたが、関連して質問したいと思います。
 県内中小病院等の看護師確保として看護修学資金貸付が大きな役割を果たしています。県内324病院のうち、そこで5年間勤務すれば返済免除となる200床未満の中小病院は213あって、全体の3分の2を占めています。一方、大きな病院は独自で高額な奨学金制度を持っており、いわゆる青田刈りで新規看護師を学校の修学中から確保していて、中小病院の新規看護師の確保は困難になっていました。そのため、県の看護修学資金貸付制度の改善が求められていたところです。にもかかわらず、看護修学資金貸付の制度がなくなれば、いよいよ中小病院の看護師確保は困難になるばかりです。実態は先ほどの口頭陳情でもあったとおりだと思います。
 この3年間の新規貸与者を見ると、地域医師会の専門学校の学生が貸与者全体の39%、また准看護師課程の学生が31%、働きながら定時制や通信制で学ぶ学生が31%、これはダブって数えてますが、そうなっています。そこからは経済的な困難を、この貸付金で乗り越えて、看護師を目指す若者の姿が浮かんできます。また、県の平成25年度事務事業評価調書では、「休廃止の影響は大きい」として、その理由として「看護職を志す看護学生のうち経済的支援を必要とする者が看護師等学校養成所へ修学しやすくするために支援する必要がある」と評価しています。
この制度は、このような方々の修学の機会を経済的に支えています。貧困の格差が拡大している今日、ますます必要です。この制度を中止すれば、看護職への就業の機会を極めて困難にしてしまうのではありませんか。伺います。

【医務課主幹(看護・医療指導)】
 医療機関や市町村が実施している奨学金は、貸付額や免除要件等で県の看護修学資金より使いやすくなっており、県内養成所における平成28年度の貸与状況を見ると、9割を超える方が県以外の制度を利用しています。こうした状況からも、県の看護修学資金の廃止により、看護職の就業の機会を困難にするものとは考えていません。

【わしの恵子委員】
 他の奨学金制度、貸付金制度が使いやすくなっているということですが、だったら、県の看護修学資金貸付制度を良くしてほしいと、この間、関係者からもあったと思いますが、そういう点について努力はしたのですか。

【医務課主幹(看護・医療指導)】
 新規貸付者が減少していることに加えて、返還免除となる要件を満たせずに返還となる割合が5割を超えていること、また、学生が借りている奨学金のうち、県の看護修学資金の割合が減っていること、 中小病院及び看護関係団体の聞き取りの結果などから、事業実施の効果が薄れていると判断し、平成31年度から新規貸付を中止することとしているので、そのため返還免除要件の変更は考えていません。

【わしの恵子委員】
 県の制度が不十分だから良くしてほしいということについて、しっかりと検討されてはいなかったと思います。
次に、平成31年度から新規貸付の中止の理由として、ひとつは「新規貸与者が減少していること」、ふたつ目に「中小病院に勤務するなどの返還免除要件から外れて返還者が5割を超えていること」、この2点を挙げています。そこでまず1点目の新規貸与者の減少についてお尋ねします。
 愛知県の説明資料では、新規貸付者は平成24年度114人が、平成29年度は76人に減少しています。平成30年度の新規貸付者は何人ですか。また、貸付希望者は何人であったか。平成24年度から平成30年度までについて年度ごとにお聞きします。

【医務課主幹(看護・医療指導)】
新規貸与者数は、平成24年度が114人で、以降、25年度96人、26年度93人、27年度92人、28年度83人、29年度76人、30年度33人であります。
 また、貸付希望者数については、平成24年度が140人で、以降、25年度127人、26
年度218人、27年度171人、28年度228人、29年度114人、30年度が113人となっています。

【わしの恵子委員】
 貸付希望者は、ばらつきはあるというものの減少してはいないということだと思います。この3年間を詳しくみると新規希望者が455人なのに、新規貸付者が192人で、半数以上が認められていません。その原因は何ですか。

【医務課主幹(看護・医療指導)】
 新規貸与者の決定については、過去の貸与者数を基に積算した人数の範囲内で行っています。また、貸付決定後に貸与を辞退する方もおり、近年、こうした辞退者も増加しているところであります。なお、県の修学資金の貸与希望者は、他の奨学金と併願していることもあります。これらの理由により、新規貸与希望者数と新規貸付者数の間に差が生じています。
【わしの恵子委員】
 希望者と貸付者に開きがあるということだが、結局、限られた予算しか付けないから全員が認められないという結果になっているのではないですか。

【医務課主幹(看護・医療指導)】
 先ほども申し上げたとおり、新規貸与者の決定は、過去の貸与者数を基に算定した人数の範囲内で行っているので、公平な貸与ができるよう、人数の目安を各養成校に示していますが、すべての新規貸与希望者が貸与を受けられないということはあります。

【わしの恵子委員】
 過去の貸与者からみるということですが、やはり希望者からみなければならないと思います。希望者があるのに限ってしまうということ自体がそもそも看護修学資金貸付制度の考え方から外れていると言わざるを得ません。
豊橋市にある准看護学校「シンシア」のホームページを見ましたが、県のこの制度が案内されていました。そこには、今おっしゃったように、「人数枠が学校によって決められておりますので必ずしも受けられるわけではありません」と記載されている。これは、「シンシア」だけでなく、各学校にもそのようにしているのですか。

【医務課主幹(看護・医療指導)】
 先程も申し上げたとおり、公平な貸与ができるよう、人数の目安を各養成校に示しています。

【わしの恵子委員】
 どういうところが公平なのか。希望者に応えるのが県の役割だと思います。
財源確保についてですが、衝撃的な変化が起こっていました。決算書を調べると、平成27年度からは一般財源の投入はほとんどなくなり、地域医療介護総合確保基金が財源となっています。不適切な債権管理を公表したのは平成27年3月です。その翌年度から財政サイドの強力な査定があり、「一般財源は投入しない」、さらに「この制度は廃止する」ということになって、予算枠に入るようにしたのではないですか。

【医務課主幹(看護・医療指導)】
 新規貸与者が減少して、返還割合が増加するとともに、他の奨学金制度の利用者が増加している近年の状況等を踏まえ、事業実施の効果が薄れていると判断し、中小病院や看護関係団体などの関係者のご意見を伺った上で、平成31年度から新規貸与を行わないこととしたものであり、財政サイドの査定により、この制度を廃止するものではありません。。

【わしの恵子委員】
 財政サイドの査定ではないとおっしゃられたが、作為的に新規貸与者を減少させたと容易に判定できます。。
 もうひとつの理由「返還免除要件を満たさず返還となる割合が5割を超えていることについて」お尋ねします。愛知県は、平成13年度から平成20年度の貸与者の返還割合を52.7%と説明しています。なぜ、平成13年度以前の状況を省いたのですか。

【医務課主幹(看護・医療指導)】
平成12年度以前の返還割合は約30%であるが、これを省いているということではなく、事業効果を把握するため、近年の返還割合を参考としており、現在の状況を適正に踏まえていると考えています。

【わしの恵子委員】
 平成9年度以前の決算書では、当時は貸付額に対して、返還割合は2割前後です。今より当然少ないし、先ほどの答弁は30%とおっしゃられたが、それよりも少ない返還率です。それは、やはり200床以上の病院に就業しても返還免除としていたからだと思います。ところが、平成10年度以降は、200床未満の病院に就労することと免除要件を変更された。変更したにもかかわらず、返還となる割合が5割を超えているという理由については、どう考えても説明が付かないと思います。よって廃止する理由にはならないと考えるので、そのことは指摘します。
 最後に要望ます。看護修学資金貸付制度は、昭和30年代に全国の病院で燎原の火のごとく広がった夜勤制限闘争の結果、看護師人材確保の施策として、国庫補助制度でスタートしました。愛知県の場合、併せて県の単独事業の貸付制度も創設して、県立病院の看護師確保にも大きく貢献してきたと思います。そして、今年3月末では、全国42の都道府県が看護修学資金貸付を継続しています。ところが、愛知県は6番目の数少ない廃止県になろうとしているのです。
神奈川県では、少子高齢化の進展により、急速に拡大する医療ニーズを支えるため、看護人材の確保は喫緊の課題と重視し、また、千葉県でも、平成30年度予算案の知事の提案説明では、修学資金貸付の予算を増額し、地域医療を支える医療関係人材の確保のための貸付枠を拡充しています。
 愛知県の地域保健医療計画では、看護修学資金貸付を7つの主要な柱のひとつに定めていました。平成28年1月の医療介護総合確保法に基づく県の計画では、「愛知県看護職員需給見通しによれば、今後も不足の状況が続くものと見込まれており、一方、今後、地域包括ケアを推進するためにも、訪問看護等の需要が増していくものと考えられるため、本計画により医師、看護職員等の医療従事者の確保対策に継続的に取り組んでいく」と基本的な考え方が述べられています。
日本看護協会が昨年、看護職の勤務実態調査を行い、3交代制の31%、2交代制の49%が「夜勤は3交替制で月8回以内」という目安を超える勤務をしていることが明らかになりました。勤務間隔も3交代制の77%、2交代制の45%の看護職が11時間以下になることがあると回答しています。そこで日本看護協会が来年4月の働き方改革の関連法施行に向けて、国の指針に11時間以上の勤務間隔を確保するよう明記するよう求めていく。指針を厳守するには、人手の確保が必要だと、9月23日付けの毎日新聞の報道にありました。こんな状況にもかかわらず、明確な理由もない制度の廃止だと思います。不適切な債権管理という県行政の落ち度、弱点を看護師希望の若い青年に押し付ける最悪の手法ではないかと思います。県が貸付金制度を継続して実施することを強く要望して質問を終わります。

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