〔未定稿 文責:日本共産党愛知県議会議員団〕
監視・パトロールの実態
【下奥奈歩委員】
この間、産業廃棄物処理施設の悪臭問題や、不適正処理など産業廃棄物に
関わって様々な問題が起こっています。そこで、県が行っている産業廃棄物不
適正処理を未然に防止する取り組みや、昨年起こったダイコーの食品不正転
売の問題について伺いたいと思います。
産業廃棄物の不適正処理を未然防止するために、監視特別班による監視パ
トロールと平日夜間と休日昼夜間の委託による監視業務を実施したと記さ
れている。そこで三点伺います。
まず、監視特別班による監視パトロールについて、その方法と年間の件
数・対処した内容について伺います。
【廃棄物監視指導室長】
県では、本庁及び7か所の地方機関で不法投棄等監視特別機動班を設置し、
定期的な監視パトロールや不適正処理事案に対する徹底的な指導・監視を実
施している。
不法投棄等監視特別機動班の監視パトロールでは、産業廃棄物処理業者、
産業廃棄物処理施設の設置者、産業廃棄物の排出事業者等に対して、立入検
査等を行い、不適正な事案に対して指導を行っている。
平成 28 年度の監視件数は、2,015 件、延べ 707 日である。
監視パトロールにおいて不適正行為を確認した場合は、速やかに文書等に
より指導を行っている。
【下奥奈歩委員】
次に、平日夜間と休日昼夜間の委託による監視業務についても、その方法
と年間の件数・対処した内容について伺います。
【廃棄物監視指導室長】
本県では、平日夜間と休日昼夜間の監視業務について、警備会社に委託し
て行っており、過去に不法投棄や野焼き等の不適正処理があった場所や産業
廃棄物焼却炉が設置されている事業場等を、定期的に確認している。
平成 28 年度の委託による監視パトロール件数は、平日夜間/休日を併せ、
延べ 630 日で 7,079 件である。
委託業者が不適正行為を発見した場合につきましては、県民事務所等に報
告がなされ、報告を受けた県民事務所等は、速やかに現場を確認し適正処理
に向けた調査・指導を行っている。
【下奥奈歩委員】
県民からの情報提供もあると思いますが、その件数と対処について伺います。
【廃棄物監視指導室長】
県民からの不適正処理に関する情報提供については、苦情案件として整理
しておりますが、平成 28 年度に新規に県民事務所等になされた苦情件数は、
53 件である。
苦情の主な内容としては、不法投棄、不適正保管、産業廃棄物の処理に伴
う粉じん・騒音等の発生、野焼き等である。
苦情を受け付けた場合は、速やかに現場を確認し不適正な行為が確認され
た場合は行為者に対し指導を行っている。
不適正処理の量と原因、問題点について
【下奥奈歩委員】
しっかりとこれからも取り組んでいってほしいと思います。
次に、「決算に関する報告書」に、「食品廃棄物の不適正処理事案において
撤去処分を実施した」と記載されています。先程部長からも話がありましたが、ダ
イコー株式会社が主たるものと思われます。私は、この問題が発覚してから、
ずっと振興環境委員会の中で質問し追求してきました。職員の皆さんが大変苦労
されたこともよく存じている。改めて今後のことも含め伺いたいと思います。
平成 28 年6月1日付けの記者発表資料によれば、民間の産業廃棄物関係
団体の無償協力を受け、当初保管量 8,981 ㎥の半分以上を排出事業者不明分
とし、愛知県が「分別・積込み」、関係団体が「運搬・中間処理・最終処分」
とされていますが、概ねその内容は記者発表資料どおりということで良いのか、
確認のために伺います。
【廃棄物監視指導室長】
撤去に当たっての民間の産業廃棄物関係団体の無償協力につきましては、
委員ご指摘のとおりである。
なお、撤去作業は平成 29 年2月 27 日に終了し、当初保管量 8,981 ㎥のう
ち、悪臭や害虫の発生の原因となる食品等廃棄物の 7,540 ㎥を撤去した。こ
れは、重量では 3,036tとなりますが、このうち、排出事業者による回収は
2,091t、県の事務管理による撤去が 945tとなっている。
現場作業で排出事業者の特定を進めたことにより、最終的には撤去した量
のうち、排出事業者による撤去が約7割、県による撤去が約3割となってい
る。
【下奥奈歩委員】
今回、排出事業者不明分が約1/3ということでありましたが、どうしてこの
ような事態になってしまったのでしょうか。
法によれば、産業廃棄物の排出事業者はマニフェストの運用などで最終処
分まで適正に行うこととなっていますが、その問題点はどこにあったか伺います。
【廃棄物監視指導室長】
ダイコー株式会社に不適正保管されていた廃棄物については、腐敗したり、
他の廃棄物と混合されるなどにより性状が大きく変化していたことから、廃
棄物の排出事業者の特定が、困難であった。
また、マニフェストにより排出事業者の特定作業を行いましたが、マニフ
ェストの記載事項は、廃棄物の性状や、実際に行った処理方法等の記載がな
いなど、廃棄物と照合するには情報が不十分であった。
このため、マニフェストについては、国に対し、記載事項の充実や、電子
マニフェストにおいて不正を自動検出できる機能の検討について要望し、そ
の結果、国において現在検討していただいている。
なお、排出事業者による最終処分までの確認につきましては、マニフェス
トによる管理に加え、実地確認等による処理状況の確認について廃棄物処理
法及び県条例で規定しておりますが、今回の事案では、これも十分に行われ
ていなかった。
このため、今年度は、廃棄物処理法に規定されている排出事業者責任の周
知徹底など、排出事業者に対する指導を再発防止対策に位置づけ、しっかり
と取り組んでいるところである。
今後の防止の取り組みについて
【下奥奈歩委員】
県は以前、委員会での答弁の際、「再発防止や強化対策を行う」と答弁し、
今回県は、「食品廃棄物の排出事業者のみなさんへ」の冊子を出されましたが、
今後その周知対応をどうされていくのかを伺います。
【廃棄物監視指導室長】
委員ご指摘のパンフレットについては、本県が実施する食品廃棄物排出事
業者への立入調査で活用するとともに、食品関係団体の集まりや 10 月に開
催した食品廃棄物排出事業者向けの現地研修会などにおいて活用してきた。
また、申し込みがあれば、食品関係団体の勉強会や社内研修の場において、
県職員が出張し説明することとしている。
いずれにしても、本パンフレットを活用し、二度と食品廃棄物の不適正処
理事案が発生することのないよう排出事業者への指導を行っていく。
【下奥奈歩委員】
愛知県として、県民の命、食の安全の責任の重さを考えながら、県民本位
の立場に立ち、今回作成した冊子を大いに活用し、二度とこういったことが
起こらないように、最後にくれぐれも再発防止に本当に真剣に取り組むことを要望したいと思います。