〔未定稿 文責:日本共産党愛知県議会議員団〕
国際展示場条例の制定について
【下奥奈歩委員】
続きまして、第153号議案 愛知県国際展示場条例の制定と大規模展示場の工事請負契約について質問します。
まず、条例の制定についてです。
大規模展示場は2020年の東京オリンピック、パラリンピックで首都圏の会場が使えないため、その受け皿として、中部国際空港の空港島に整備されるというものです。私は今までにも委員会で質問してきましたが、収支面や積算根拠など不透明な点が多いと思います。
今回の議案説明の資料に、稼働率25%で収支が均等できる料金とする、と記載がありますが、前回6月議会の時には、県が他の既存の施設を6万平方メートルに見立てて仮定、推測し、「ローコストオペレーションを徹底し、30%の稼働率を確保すれば収支が均衡する」とのおおむねの方向性を確認できたという趣旨の答弁をしていました。
そこで伺います。今回、稼働率30%から25%への方向転換をしたのは何故でしょうか。
【大規模展示場準備室長】
6月の答弁では、昨年度の調査に基づき、施設の仕様が定まっていない中で、他の大規模展示場の収入、支出を本県の施設の6万㎡の規模に置き直すと、稼働率が30%で収支が均衡することが確認できている、とご説明した。今回は、施設について発注した際の仕様や、整備事業者からの具体的な提案もあるので、それらの実体を踏まえた支出を見込み、収入についても、条例案の料金をもとに算出して、収支が均衡できる水準の稼働率を目標としたものである。したがって、本県展示場の施設の実体に、より近い収支となったものである。
【下奥奈歩委員】
今年の6月議会の委員会での答弁では、稼働率30%で収支が均等できる。30%の稼働率は高い目標だけど「現実離れした数字ではない」と言っていたのではないでしょうか。この点での確認を求めます。
【大規模展示場準備室長】
本県展示場と同規模の6万㎡クラスの展示場は、本県及び近隣県にないことから、他の地域の大規模な主要展示場の低めの稼働率を参考としたところである。それが概ね稼働率が25%から30%程度であったため、現実離れした数字ではない、と申し上げたところである。
【下奥奈歩委員】
今回示された当局の資料には「現実的と考えられる稼働率25%で収支均等できる料金」と記載してあります。ころころ「現実的」なものが変わっていく、何が現実的なのでしょうか。全くいい加減です。まずこの点を指摘しておきたいと思います。
次に、県のいうことろの「現実的」な稼働率25%で収支が均等できる、という根拠が、他施設の稼働率を勘案したという子度ですが、勘案しただけで、現実的だと言える根拠が全く分かりません。稼働率25%で収支が均等できるというその根拠をわかるようにお示しください。」また、今現在の予約数、確約した数が何件で、その件数に対して、25%稼働率に追いついているのでしょうか。答弁を求めます。
【大規模展示場準備室長】
収支については、先ほど申し上げたとおり、施設の実体が6月時点より具体的になってきていることから、それに合わせた維持管理経費等の支出を見込み、収入についても、条例案の料金をもとに算出したところ、収支が均衡できる水準が25%である。この25%という数字は、他の展示場の稼働率と比較して現実的であると判断できたので、これを目標としていくものである。なお、現在、お問い合わせは、約50件程度であるが、事前利用申込みは正式な予約ではないため、展示会主催者が会場を検討する過程のものであることから、現時点での件数、稼働率についてお答えは差し控えさせていただく。
【下奥奈歩委員】
25%という数字に全く根拠がなく、予約数は明かさないものの現段階では追いついていないという、収支にますます不安があり、ずさんな計画だと思います。
愛知県大規模展示場建設工事請負契約の締結について
【下奥奈歩委員】
続いて、第165号議案「愛知県大規模展示場建設工事請負契約の締結について質問します。
大規模展示場整備事業者が、竹中工務店が落札率99.9%で仮契約となっています。
この業者の決定は、県が指名した学識者3人が委員となる「事業者選定委員会」という団3社が入り、客観性、公正性を保つお言う名目で、県が作る委員会が設定され「評価項目などの選定基準」や「評価点の決定」が行われました。今回4社の応募、入札の結果、評価が高かったのが竹中工務店でした。
そこで伺います。「事業者選定委員会」の「選定基準」では、全加点100点のうち「入札金額に関する事項」の配点を30点としています。そして、その加算基準は県の決めた予定価格の価格以内の場合は30点。予定価格を超えたら0点としています。委員会で、どのような話し合いがあったのか、その考え方について簡単に説明してください。
【大規模展示場準備室長】
議案の工事は、総合評価落札方式を採用しており、評価項目及び評価基準について、学識者からなる事業者選定委員会によりご審議いただいている。その際、事務局である県から、「入札金額に関する配点」の考え方については、コストを抑えた予定価格を設定していることから、入札金額に応じた加算点とせず、予定価格内であれば、コスト削減努力を一律30点の加算点とする旨のご説明をし、委員会では異論なく了承されたところである。
【下奥奈歩委員】
次に今回、予定価格を最初からオープンにした上での入札でした。そして「予定価格以内の場合30店」なので、その結果、4社とも高い入札比率となります。竹中工務店を含む3社が99.9%の金額で、1社が100%という入札率となっています。
みんな価格評価は自動的に同点となり、30点は確実に加算され、結果、価格評価がされない意味のないものになっています。
「公共工事の品質確保の推進に関する法律」において、公共工事の品質は経済性に配慮しつつ価格以外の多様な要素をも考慮し、価格及び品質が総合的に優れた内容の契約がなされることにより、確保されなければならない、と規定されています。
そこで伺います。今回の県の予定価格を公表するやり方では価格が同点になり、価格の評価が抜け落ちている入札になっていると思います。価格と技術が両方勘案して評価させるべきではないでしょうか。答弁を求めます。
【大規模展示場準備室長】
予定価格の公表については、県の公共事業では通常行っている手法であり、透明性及び客観性が確保できること、事業者にとっても、入札へ参加するにあたっての一つの判断要素となり、採算が見込めない入札を回避できること、積算業務の負担の軽減が図れること等を理由に実施してきている。
先ほどのお答えと重なるが、この事業は、「入札金額」と「技術提案」を評価する総合評価落札方式としており、「入札金額」については、コストを抑えた予定価格を設定した上で、予定価格以内であれば、そのコスト削減努力を一律の加算点で評価をする一方で、そのコスト削減分に相当する分の優れた技術提案を促し、全体として、価格も技術提案も評価し、技術提案重視の事業者選定となっているところである。
【下奥奈歩委員】
公共工事における総合評価方式検討委員会の資料によりますと、高度技術提案型の項目に「高度な技術提案を求め、価格との総合評価を行う」と書いてあります。県のやり方は、総合評価にはなっていないと思います。技術面ばかりを評価するのではなく、価格評価もしっかりと行うべきです。
契約業者は適切か
【下奥奈歩委員】
次に伺います。仮契約となっている事業者「竹中工務店」についてです。名古屋市議会で、継続審議となった天守閣木造復元のことが12月7日の読売新聞の記事にあり、その中で河村市長自ら市長室に竹中工務店を呼んで、密室で価格交渉をしたと報道されていました。市長自ら事業者を呼んでこそこそと価格についてのやり取りをしたというのは事実であれば、極めて不透明であり、言語道断です。
そこで伺います。そういう不透明な、疑惑のある竹中工務県が同じように大型工事である大規模展示場の工事の仮契約もしていますが、なぜ、そういう怪しい業者と契約をしたのでしょうか。
【大規模展示場準備室長】
入札を8月から行い、10月に決定をした。竹中工務店が資格条項に触れることはなかった。
【下奥奈歩委員】
最後に大規模展示場は、文字通り無駄な大型開発です。何百億円という県民の税金を湯水のごとく使うのに、まともな収支計画も、稼働率25%で収支均等する根拠も示さず、極めてずさんなやり方です。
そして、入札についても客観性や公正性に欠けることが危惧される入札であり、仮契約となった竹中工務店も疑惑のある業者で、認めがたいものです。
さらに、展示場を理由にリニアや中部国際空港2本目滑走路推進に拍車がかかり、県民の負担が増すばかりです。今すぐ大規模展示場の白紙撤回も含め、見直すことを求め質問を終わります。