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[2016年10月14日]反対討論 わしの議員

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 私は、日本共産党愛知県議会議員団を代表して、第109号議案平成28年度愛知県一般会計補正予算(第3号)に反対の立場から討論をおこないます。

 補正予算案には、団塊の世代の方々が75歳以上となる平成37年に向け、医療人材、介護人材の確保に向けた取り組みを推進する11億5383万2千円が計上されています。

 県当局の説明では、「地域医療介護総合確保基金を活用し、病床機能の転換を進めるための人材養成、在宅医療の提供体制の強化、医療従事者及び介護従事者の確保の取り組みを一層推進します」とされており、それは、国の「医療介護総合確保法」に基づき、医療・介護の総合的確保をすすめるものとしていますが、多くの問題が山積しています。

 

反対理由の第1は、医療に関わる問題です。

 団塊の世代が75歳以上となる2025年に向けて、医療費の削減を最大の目的として、病床の機能分化とベッド数の削減で患者を病院から施設へ、施設から在宅へと追いやるという方針で、都道府県ごとに地域医療構想の策定が進行していることです。

 愛知県の構想では「名古屋・尾張中部」構想区域では、高度急性期病床3720床、急性期病床1171床を減らし、一方で回復期病床は5450床を増やす、慢性期病床は1042床を減らす計画ですが、このような病床機能の転換は大混乱を招くものではないでしょうか。また、「名古屋・尾張中部」は、区域人口(約240万人)を抱え、全国でも最大規模クラスの人口であり、きめ細かな必要な医療資源の確保は困難と考えます。とりわけ、東三河では北部251床(48%)、南部1391床(21%)が削減されることになり、すでに住民から不安の声が多く上がっています。

 そして、東三河圏内の市町村からは、「県内のどの区域においても良質の医療が受けられるよう、医師の偏在化の問題に対応してほしい」、「慢性期病床を不足する回復期病床へ転換することは極めて困難である」と病床機能の転換に不安を示しています。また、「安心で質の高い医療サービスを安定的に提供できるよう、地域の実情に応じた医療従事者の確保対策について、即効性のある対応を検討する必要がある」等々の意見が出されています。

 厚生労働省が9月23日に開催した地域医療構想に関する会合で、日本医師会が提出した資料によると、地域医療構想を策定済みの都道府県のうち、構想に「病床削減のためではない」と掲載しているのは、36.4%にとどまっています。

 大分県が「『病床削減ありき』の構想ではなく、不足する医療機能をいかに充実させていくかという視点が重要です」と指摘していること、鳥取県が「国のガイドラインに基づく2025年の必要病床数は個々の地域の実情に応じた推計になっていない」と指摘していることなどを紹介し、「実効性のある構想への発展をめざす」よう求めています。

 このように、地域医療のあり方を病院完結型から地域完結型、最終的には在宅医療中心への医療・介護のあり方を大きく変える政策誘導を強力に進めようとしたのが地域医療構想であり、重大な問題だと指摘します。

 確かに、在宅で医療を受けることを希望し、それが可能な方もいると思いますが、一人暮らしの方や老々世帯、家族と同居でも家族は仕事をしているなど、24時間、在宅で病人の世話をすることは、困難という方が多数です。今でもやっと入院ができたとしても、転々と病院を変わらざるを得ません。にもかかわらず、地域医療構想のもとに地域の病院の病床数を減らすなら、安心して医療や介護が受けられなくなる恐れがあるのではないでしょうか。

 

反対理由の第2は介護に関わる問題です。

 今回の予算案では、介護の確保について、介護事業所等の一時的な人手不足に対応するため、意欲のある高齢者等をサポーターとし、介護事業所等とマッチングを行う人材バンクの創設など介護従事者の確保に関する事業が掲げられています。これは、高齢者が担い手となって、ボランティアとして清掃や配膳など介護福祉士ら専門職の補助や応援をするというものです。

 介護の専門性は大切だと考えますが、介護における無資格者やボランティアへの誘導は、介護福祉士らの専門性を否定することにもつながりかねません。また、医療介護総合確保法に基づく基本方針の狙いにあるように、高齢者への“自立自助”を強いるものでもあります。

 そもそも、医療介護総合確保法の最大のねらいは、社会保障大削減路線を推進するものにほかなりません。介護保険では、すでに、要支援1・2の方への訪問・通所介護は保険給付から外し、市町村の地域総合支援事業に置き換えられてしまいました。

 名古屋市では今年6月から総合支援事業に移行しました。そこで私は、介護予防・日常生活支援総合事業に係る西区内の通所・訪問介護指定事業所に対しアンケート活動を行いました。

 通所介護事業所では、「新総合事業の緩和型の新たな事業の指定を受けられましたか」の質問に対して、46%もの事業所が「指定を受けていない」と回答されました。その理由については「新総合事業と一体的に運営するのは不可能」「職員体制が整わない」「要介護の方と対応が違うので事業所として対処できない」「今後のことがよくわからない」「報酬単価が見合わない」等々です。

 また訪問介護事業所では、「生活支援型訪問サービス」の指定を受けていないのは38%ありました。その理由は「中重度の利用者主体で受け入れていくため」「報酬単価が見合わない」などでしたが、「指定を受けた」という事業所でも「自社の従来のヘルパーでは赤字になってしまうので、名古屋市の講習を受けた方にサービスをしてもらっているが、『今までのヘルパーに来てほしい』と言われる方ばかりです」という声もあるように、通所・訪問とも介護事業所の苦悩が伝わってきました。

 こんな状況なのに、平成29年4月からは全てで実施が求められているのですから、これは本当に大変だなと痛感しました。

 さらに今度は、「要介護1・2」の訪問介護のうち、調理や掃除などの生活援助を保険給付から外し、「原則自己負担」に。また、車イスや介護用ベッドなどの福祉用具のレンタル、バリアフリー化などの住宅改修も「原則自己負担」とする。通所介護も、保険給付から外して、「要支援1・2」と同じく、自治体の事業に移管することを検討しています。要介護1・2の人は、すでに特養入所の対象外とされました。そのうえに、在宅サービスの大部分も保険の対象外にしていこうというのです。

 「要支援1・2」と「要介護1・2」を合わせれば、「要支援・要介護」と認定された人の65%を超えます。これでは「何のための介護保険か」となるのは当然です。こうした「軽度者」の介護保険外しとともに、65歳から74歳の利用料を2割に引き上げることも計画されています。

 このままでは、介護難民、老人漂流社会などの問題も他人事ではなくなります。以上のように、医療介護総合確保法は、介護保険の根拠なき負担増を押し付け、給付範囲を大幅に狭めるなど、あるゆる面で制度の根幹を揺るがす大改悪であると言わざるを得ません。

 なお、このような改悪に対しての国民の怒りが大きく広がり、「要介護1・2」に認定された要介護度が軽い人向けの調理や掃除など生活援助サービスについて、国は市区町村への押しつけを先送りするという報道がされています。

 最後に、私は、これまで「医療介護総合確保法」による医療・介護の問題点を指摘させていただきましたが、必要な時に必要な医療や介護を受けるのは、憲法25条にもとづく国民の権利です。

 「医療法」は、病床の再編・削減を都道府県に主導させ、従わない医療機関に制裁措置をとるとしています。安全・安心の医療・介護提供のためには安易な業務委譲ではなく、必要な医療・介護従事者を増やすこと。そのためには待遇改善こそ必要だと思います。

 公的な責任で、「介護離職」をゼロにし、現役世代が安心して働けるようにすることが大切です。これこそ本物の「介護離職ゼロ」の実現です。 医療や介護の利用は、早期であればあるほど費用が抑えられ、本人にとっても重度化を抑えることになります。そのことを保障するのは、制度の充実であり、自己負担の軽減ではないでしょうか。

 以上、医療・介護の充実を願う県民の願いとは逆行する「医療・介護総合確保法」の目的を実現するための今回の補正予算には反対であることを表明して、日本共産党愛知県議会議員団を代表しての討論とさせていただきます。

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