日本共産党しもおく奈歩です。通告に従い質問させていただきます。
最初に若者支援について質問します。
若者支援の一つ目、奨学金についてです。
日本は、大学の学費が世界から見て異常に高い学費となっています。国立大学の昨年の年間授業料は年間53万円で、40年前から15倍値上がりしています。それに追い打ちをかけるように、安倍政権は、国立大学の学費を今後15年間にわたって上げ続けるという、とんでもない道に踏み出そうとしています。
財務省が、国立大学への運営交付金を大幅削減して、自己収入で賄うように、と提案をしました。大学の自己収入の主力は学生から集める学費です。自己収入で賄うということは、学費値上げにつながることになってしまいます。毎年値上げをしていけば15年後には、40万円増になる可能性もあります。しかし、逆に交付金を毎年1.5%160億円ずつ増やせば、学費を10年後には半額に引き下げられます。
そこでお聞きします。知事は日本の学費が異常なほど高いという認識はありますか。また、先に述べた学費そのものを下げていく提案についてどうお考えでしょうか、基本的な認識をまずお伺いします。
学費そのものの引き下げと同時に重要なのが、奨学金改革です。日本は給付制奨学金もない、という世界でもまれな特異な国になっています。昨年の11月にOECDが発表した教育に関する調査では、日本は「授業料が高額で、学生支援体制が比較的未整備の国々」に分類されました。そのため、日本の学生は「奨学金」という名の借金を背負わされて、卒業時に300万円が普通になり、大学院に進学すれば1000万円もの借金を背負ってしまうというケースも増えています。「卒業したら待っているのは借金の返済」という異常なことになっています。
日本共産党愛知県委員会は、奨学金返済の実態調査を行いました。その調査の中で、月々の返済について「かなり大変」が24.1%「どちらかといえば大変」が42%となり、7割近い方が奨学金の返済について大変だと感じていることがわかりました。
また、アンケートに寄せられた声の中に「返済するなら奨学金の意味がない。奨学金は経済的余裕のない家庭が利用するものであることをわかってほしい。」「私たちの世代は、就職が思うようにいかないし、就職してもブラックな職場で長く続かない子もいます。奨学金を返済したくても仕事がないし、給料が低い。」など、たくさんの不安の声が寄せられました。
奨学金問題の是正について、今各地で取り組みが進められています。岐阜県では、「県出身大学生等のUターン促進のための奨学金制度」を創設することになりました。長野県では、経済的な理由で進学を諦めている学生を支援しようと、全国で初めて入学一時金に相当する給付型奨学金を二〇一四年度から創設しました。
他の県は独自に学生に対して支援しています。財政力のある愛知県で、MRJ支援や大規模展示場に使えるお金があるなら、ぜひ、そのお金を愛知の学生たちの支援に使い道を切り替えて、若者がお金の心配なく学べる環境をつくるべきと考えます。
そこで、お聞きします。昨年の9月の一般質問で奨学金の質問をした際、「意欲と能力がある学生などが経済的理由により進学を断念することがないよう、安心して学ぶことができる環境づくりとして奨学金制度の充実が図られることは必要なことと思っております。」と答弁がありました。安心して学ぶ環境をつくるためにも、県独自の奨学金給付制度や無利子や減免など返済支援制度を創設するべきと考えます。県の考えを改めてお示しください。
続いて、若者支援の二つ目、最低賃金について質問します。
日本の若者が働いても働いても貧困で苦しいという、その根本にあるのは賃金の絶対的な低さです。
日本共産党愛知県委員会が若い世代の働く実態調査をおこないました。その中で、二人に一人が400万円以下で生活していることがわかりました。また、アンケートに寄せられた声の中に「給料が低い。パートなのに社員がやるようなことをやらされる」「昇給が少ない。業務内容に対して給料が少ないと思う。」という声がありました。そして、東三河の若者からも「従業員は、労働に見合わない給料に希望を無くして職場を去っていきます。」という声をききました。
このように若者たちの間で格差や貧困が広がっているのに、最近とんでもない貧困たたきがありました。愛知の若者たちがそれに反撃して「貧困で諦めなきゃいけない社会を変えたい」「最低賃金1000円に」と声をあげています。こういうなかで愛知県では最低賃金が25円上がり845円になりました。一ヶ月なら15万円弱です。しかし、若者や愛知県労働組合総連合が求める時給1000円には及びません。
私たちは、中小企業の社会保険料減免や賃金助成など、抜本的に中小企業支援を強化することを大前提にして、最低賃金を今すぐ、1000円に引き上げ、さらに全国どこでも1500円を目指して、愛知の若者が苦しまなくていい社会をつくることが、なによりも大事だと考えます
そこで、お聞きします。県として、若者の声を真摯に受け止めて、国に対して最低賃金の大幅な引き上げを求めていくべきと考えますがいかがでしょうか?お伺いします。
続いて、長時間労働の問題について質問します。
今年の2月に、昨年度厚生労働省が「過重労働解消キャンペーン」の重点監督を行い、愛知労働局が東海地区で実施した、調査結果を発表しました。そして、違法な時間外労働があった事業所は東海地区全体で333事業所であることが明らかになりました。 うち、愛知県は、その約半数の158事業所で、100時間以上超えていました。過労死ラインを超えた、長時間労働が横行していることがわかります。日本は36協定を結べば、残業を命じることができることになっています。限度基準もありますが、「特別条項」というものがあり、それによっていくらでも残業できる青天井になっています。
私たち日本共産党の志位和夫衆議院議員が国会で、長時間労働の実態を告発して、トヨタ自動車が、厚労省が過労死ラインと呼ぶ80時間の残業を36協定で認めていることが明らかになりました。他にもNTT東日本や王子製紙など大企業が率先して、長時間過密労働を行っていることも明らかになりました。愛知で大企業が率先して、労働者を過労死ラインを越えて長時間労働させている実態は、異常だと考えます。
そこで伺います。異常な労働環境を改善するために、大企業に対して、知事が長時間労働をやめるように申し入れることや、長時間労働ではなくまともな労働時間で、人間らしい労働環境をつくるキャンペーンを愛知県として積極的に行うべきではないでしょうか?見解を伺います。
東三河に関わる重要問題
愛知の農業を壊すTPP交渉からの撤退を求めることに関して質問をします。
安倍政権はいま、TPP大筋合意のあとのTPP協定批准案など、臨時国会での国会承認を狙っています。TPPで、関税を撤廃される農林水産物は82.3%の品目にのぼり、農産物重要5品目(米、麦、牛・豚、乳製品、甘味資源作物)でも、28.6%の品目で関税撤廃が約束されています。まさに、農業破壊協定です。
私の住む豊橋を含む東三河は農業が盛んな地域です。TPP協定が批准されてしまえば、農産物に大きな影響を与えてしまいます。私は、地元豊橋と田原の農家の方とTPP問題について懇談をしました。そこで、「キャベツやブロッコリー、関税撤廃で大きな打撃を受けてしまう。」「畜産農家はTPPを見据えて、自分たちの代でやめると言っている。知り合いの農家を訪ねたら、もう廃業していた。」という地元の切実な声をききました。また、「食の安全は守られるのか?」という不安の声もありました。
愛知の農業を壊して、食の安全や、命を脅かすという百害あって一利なしのTPP協定交渉からは撤退しかないと考えます。
そこで2点伺います。一点目、愛知県知事として、東三河を含めて県内農業全体を守る立場にたって、TPP協定の批准を断念、撤退すべきと、国に対していうべきではないでしょうか。知事の基本的な考えを改めておきかせください。
二点目、資材や燃料の高騰で、経営が厳しいという農家も多い、価格保障がなく不安が大きい。という話を聞きました。子どもたちの前で、経営が厳しい話をしてしまい、跡継ぎの話が難しい。という話もありました。
TPPによる農業つぶしではなく、農家のくらしを守り経営を安定させる価格保障や所得補償を充実させ、農業を次の世代に安心して、引き継ぐ環境をつくることが大事だと考えます。若者が安心して農業に励め、暮らせる条件を抜本的に整える農業政策に転換するべきと考えますが、知事の考えをお聞かせください。
続いて、東三河の医療に大きく関わる、いわゆる「地域医療構想」について質問します。
地域医療構想は、国から都道府県に対して策定が求められているものです。愛知県も地域医療構想(案)が発表されて、パブリックコメントが行われました。これは、国が医療費の削減を最大の目的として、病床の機能分化とベッド数の削減で患者を病院から施設へ、施設から在宅へとどんどん締め出していく方針をすすめるものです。
東三河南部は、特にベッド削減数がひどく、影響が大きい地域です。今現在の病床数6605床で、平成37年の必要病床数を5214床として全体で1391床のベッド削減が構想の中で示されています。地域医療構想では、長期にわたる入院の「慢性期」を減らして、在宅に、としています。しかしその実態は、一人暮らし、老々世帯が多く、若い家族がいても仕事をしているとか、看護の知識も経験もない家族には、24時間、病人の世話をするのは肉体的にも精神的にも大きな負担です。
また、東三河南部圏域地域医療構想調整ワーキンググループの会議の中でも、在宅医療について、住まいの問題や医師不足、介護負担などについて、懸念の声が続出しています。こういったもとで、東三河地域などでは、ベッドを減らすのではなく、むしろ充実の方向でこそ検討すべきです。医療全体を底上げしてほしいという東三河の関係者の声を十分くみとった、深刻なリアルな現状を踏まえた地域医療構想にすべきだと考えます。
そこで、2点伺います。一点目、今述べてきた点も含めて、知事は、地域医療構想についてどう認識していますか、国いいなりの強権的な病床削減、患者追い出しをねらった制度は中止・撤回し、必要な医療体制の維持拡充をはかる考えかどうか、見解を伺います。
二点目、また、医療法で病床数の「是正」を要請し、従わない場合には知事がペナルティを課すことができ、公立病院には命令・指示ができますが、知事は絶対にしないとお約束できますか。答弁を求めます。
最後に、アジア競技大会について質問します。
9月25日のOCA総会で開催地が愛知・名古屋に決定しました。日本共産党は開催地が決定した以上は、OCA総会の決定を尊重し、スポーツを通して、国際平和と友好を促進するという、オリンピック精神の実現に務めるものです。同時に、今回の開催過程には様々な問題があり、不安と疑問の声も多く各方面から出され無条件で信任できるものではありません。
先ず、このアジア競技大会は、日程ありきで進められています。しかし、OCA規則第44条で、開催都市について「OCA総会はできるだけ最低8年前までに、開催地を決定するものとする」としています。今10年前の時点で、県民、議会と議論することなく焦って立候補を決める必要は全くありませんでした。
また、大会の内容について、多額の県民の税金を使うにも関わらず大会費用の試算と根拠が全く示されてきませんでした。そして、名古屋市長が市と県の負担割合や費用を示さない県当局のやり方に対して、懸念を示して、「取り下げ」の意向を示すという事態も起こりました。そこで、やっと県当局は、負担割合と費用を公表するに至りました。この一連の経過は、愛知県の進め方が、無計画で無責任であることをハッキリ示しています。
さらに、アジア競技大会推進の背景として、国際競争力の強化や、リニアなどのアピールが強調され、大規模展示場、中部空港二本目滑走路など大型開発の口実にもなっています。
私たちは、「アジア競技大会」そのものについて、スポーツを通じてアジアを含めた国際平和と友好を促進し、スポーツの振興やアスリートたちの願いに寄り添うものであってほしいと考えます。
そこで伺います。第一に、この間の一連の経過について明確な丁寧な説明を求めます。第二に、開催決定のシステムに疑問があります。不透明であり、正確に説明を求めます。第三に、大会のあり方、基本姿勢について、スポーツの大会は県民が主人公です。十分に県民の声をきき、スポーツの発展や、環境の保全、アジアの平和友好に貢献するよう議論するべきですが、どう考えますか?第四に、不明瞭な点があり、不確定要素が数多くある大会事業総額や費用、県市の負担額について、どのようにコンパクトにするのか、明快な答弁を求めます。
各当局の答弁をふまえ要望
1点目、奨学金について、これだけ多くの若者の声があるのにもかかわらず、県は、国の検討状況を見守ってということで、見るのは国の方であって県内の若者の方は見ないという、県の国いいなりの態度がよくわかりました。もっと、若者の声をきき、誰もがお金の心配なく通えて、そして、卒業後も“奨学金”という名の借金に苦しまなくてもいいように県独自の奨学金給付制度、無利子や減免など返済支援制度の創設を強く求めます。
2点目、地域医療構想について、県が示した構想案では先ほども申し上げましたとおり、東三河は1391床病院のベッドが削減されるという計画になっています。27日の代表質問の際、地域医療構想について知事は答弁の中で「できるだけ入院せずにすみなれた地域へ」ということも言っており、患者追い出しであることは明らかです。
また、医療法の規定により、公立病院に、知事が指示・命令することに対して、今まで健康福祉部とのやりとりでは、「自主的に判断してもらう。知事がすぐに命令するわけじゃない」としていました。
しかし、本当に命令しませんねときくと、「法律に書いてあることは事実」であり、「社会情勢が変わってくるし将来のことまではわからない」と言いました。さらに、本日の答弁でも知事が、公立病院に対して、指示命令を行い、従わない場合はペナルティーを科すことができるということがハッキリしました。あまりにも酷すぎます。地域医療を崩壊し、県民の命を脅かす地域医療構想ではなく、ベッドを増やし、医師や看護師も充実させて誰もが安心して医療を受けられる体制をつくることを強く求めます。
3点目、TPPの問題について、いまの国会でも「影響は小さい」とする政府試算の根拠が崩れそうな疑惑が大問題になっています。TPPの影響は甚大です。とくに畜産への影響は大きいことは明らかです。東三河や知多の畜産を先頭に愛知県農業への支援強化をしていくことと、農業を守るためにも、TPP交渉からの撤退を国に対して言うべき、ということを改めてく強く求めます。
最後に、大企業優遇や国言いなりの県政ではなく、若者があきらめなくてもいい社会と、希望を持てる県政の実現、県民の立場にたって、命、くらし、福祉、医療を守る県政の実現を求め、要望とします。