議会報告

[2016年3月9日]2月議会 議案質疑 若年者雇用について

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 日本共産党しもおく奈歩です。通告に従い、歳出 第7款 産業労働費 第3項 労政費の「若年者雇用促進対策費」に関連する若年者の雇用について、質問します。

 

増える非正規労働、正社員化へ

安倍首相はいまだに国会で、「今後とも『アベノミクス』を一層強化し、雇用の改善や賃金の上昇が消費や投資の拡大に結び付く経済の好循環を継続していく」(16日の衆院本会議)と繰り返しています。しかし、その根拠は総崩れとなっています。

16日に発表された国の労働力調査によりますと正規雇用は2015年10~12月期で、3307万人で第2次安倍政権発足前の12年10~12月期(3330万人)から23万人も減少しています。非正規雇用の労働者は172万人増えています。安倍首相は国会答弁で雇用の増加を自慢していますが、増えたのはもっぱら非正規です。

東海4県でみてみますと、非正規労働者の割合が年々増え、4割に達しています。派遣法の改悪でさらに非正規雇用が増えていくことが懸念されます。

2月17日付の中日新聞では、若者の非正規労働者が増えていることを受けて東海4県の労働局長が名古屋工業大学で、新規学卒者から非正規を出さない取り組みを要請したと報道されていました。

非正規雇用が増えていけば、収入が不安定になり所得が減り、愛知の経済にとっても、打撃になります。人減らしや非正規化に走れば、それと引き換えに、企業や産業にとっていちばん大切な働く人間の力を失うことになります。

正規雇用への促進を県として取り組むべきと考えます。今、各地で正社員化への取り組みが行われています。

東京都では、「東京正社員化促進計画」という計画で、国のキャリアアップ助成金への上乗せを行うものです。非正規労働者から正規雇用に切り替えると、国から50万円県から50万円助成されるという仕組みです。また、秋田県では、35歳未満の非正規雇用者を正社員へ転換する企業への助成を来年度からスタートさせます。これは、非正規雇用者の正社員化を推進するために、正規雇用転換した事業主に対して、1人当たり年額20万円を3年間助成するというものです。

事業目的には「若い世代が結婚して、子どもを産み育てていくためには、安定した雇用と一定の所得が必要であることから、正社員化を促進して、若年者の地元定着を目指すものです。」と記載されています。沖縄県では、非正規職員の正社員化を促進するために県が新規に「正規雇用サポート事業」を来年度予算に盛り込む方針だと沖縄タイムスで報道されています。

9月の一般質問で雇用問題について取り上げた際に県から「国のキャリアアップ助成金については、国と連携してその活用を促進していくことが効果的であると考えます。」と答弁がありました。

「効果的である」というのなら、県としてもぜひ、国と連携して正社員化促進へ取り組んでいくべきではないでしょうか。この点について、県として、どういう考えをもっていますか?

2月議案若者

「若者が使い潰されては社会的にも大きな損失」 次に、ブラック企業問題について、質問します。ブラック職場で苦しむ若者が増えています。国会でもわが党議員がこの問題を追及しました。社会問題となり、ワタミ、ユニクロ、すき家など、社名も公表されています。国会では、ブラック企業規制法案が継続審議となっていることや、離職率の公表、若者雇用促進法など、ブラック企業への対策についての前進面もあります。ですが、まだまだブラックな職場環境は多くあります。

工場で、パートで働く20代の女性は、「人手不足なのに仕事量が多くまったく追いつかなくて、残業させられてしまう。派遣で、きてもすぐにやめていってしまう方が多い。私自身正社員と同じ仕事なのになかなか正社員にしてもらえない。賃金もあがらない。負担が大きい。」という話をしていました。他にも「有給が取れない。」「お昼休みがない」「残業代でない」など、ブラックな職場の話を聞いています。

昨年の9月の一般質問でブラック企業について聞いた時に、県は、「若者が使いつぶされてしまえば社会てきにも大きな損失です。」という答弁でした。ここは、私も同じ意見です。ブラック企業に就職させないという県の立場ですがやはり、それでは根本的な問題解決にはなりません。

愛知県の若者が使いつぶされるブラックな職場の状況を県として放置したままにしないためにブラック企業の規制へ県独自で取り組むというような、県としての対策が必要ではないでしょうか?この点について、県としてどう考えますか?

働く人の心と体を壊し、一人一人を大事にせずに、大企業が利益をあげるこんなあり方は変えていかなければいけません。国へ意見をいうことも大事ですが、県としても若者を守る政策が必要です。愛知県の若者一人一人が大切にされて、人間らしく働くルールが確立されることが必要です。また、働く人たちの権利、人間としての尊厳が踏みにじられているときに、それを是正することは国の責任でもあり、また、県民の生活と暮らしを守る県の責任ではないでしょうか。この点についてどう考えますか?

 

9月の質問で前進 若者向けリーフレット増刷

次に、県の行っている取り組みについて伺います。以前9月の一般質問で、質問した時に「若者がブラック企業についての認識を持つよう周知、啓発を行うことと、ブラック企業への就職未然防止を図ることが重要だ」と答弁しています。また、そのために、労働関係法令や相談窓口を紹介した若者向けリーフレットを作成して、県内の全高校、大学への配布や、労働相談を行っているとのことでした。ブラック企業についての認識というより、労働条件や法令をよく知るということですね。それは必要なことなので、継続してほしいと思います。ですが、若者の自己責任や、個人の問題で終わらせてはいけません。県全体の問題としてもっと力を入れていくべきところではないでしょうか。リーフレットは5000部作って配っていると昨年一般質問での答弁の中で言われました。

私は、昨年9月議会後に東三河の県立高校へ視察に行きました。その時に対応してくださった先生に、リーフレットを出していますが、5000部しかないことを伝えたら、「5000部ですか?その枚数しかなくてどこに配るのですか?足りないですよね?」と驚いた様子でした。

その後、担当課からの情報で5000部から1万部に増刷したと嬉しいニュースがありました。一般質問で取り上げた若者の声が届き嬉しく思うと同時に県の方たちの努力に感謝します。

成人式の時には、県内の各市町村から「リーフレットを成人式で配りたい。」と要望があったようです。それだけ、県の作っているこのリーフレットへの関心が高いことがわかります。なので、ここからさらにがんばてっていただき、充実してもらいたいと思います。

例えば、来年度の県内高校生からは、卒業生すべてにリーフレットを配るだとか、成人式に配布するよう市に提案するとか、大学の入学式に門前で配るなど、増刷と合わせてそういった確実に手元にわたる取り組みが必要ではないでしょうか?この点に関して県はどう考えますか?

 

労働相談窓口の周知徹底についても提案

労働相談窓口についても、周知徹底にぜひ力を入れてほしいです。前回の質問で、ウインク愛知など労働相談窓口を設置して、相談体制の充実を図っているということを答弁の中で言われていました。また、そうした情報を若者に届くようにしていくことが重要と答弁して、広報誌や、セミナー、ホームページで周知していくこと。という答弁でした。それも、必要なことですが、それだけでは情報発信の仕方が弱いと思います。

昨年の質問でも申し上げました通り、県が行っている相談窓口では、2015年度4月~1月の相談件数は三十代から五十代が1986件、二十代が580件となっています。今、ブラックな職場がふえる中、二十代からパワハラ、賃金不払いなど相談窓口へ相談があったと聞いています。

 県の職員の方から、二十代の若者も、もっと積極的に相談に来てほしいとききました。周知、啓発に努めるというのなら、例えば、電車内の広告で掲示するとか、コンビニにポスターを掲示することや、SNSで発信するなどして、労働相談窓口の所在地や連絡先などの情報を県が積極的に発信していけば、若者に自分たちの悩みを届けることのできる場所があるというメッセージとなり、相談をふやすことや、悩んでいる若者の助けになると考えますが、どうでしょうか?

デザイナーの夢を持ち、就職した女性は、夜遅くまでの仕事や、職場の床で寝るなど過酷な職場に疲弊していったといいます。また、その女性の職場の同僚や後輩も心と体を壊し、優秀な若手がたくさん仕事をやめていったそうです。知事に対して、こうした、若者の夢を壊し、心を壊すブラック企業への対策や若者への支援を県全体の問題とし捉えて取り組むことを強く求めまして私からの質問とします。

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