私は、日本共産党愛知県議団を代表して、第140号議案平成27年度一般会計補正予算案(第4号)及び7件の議案について、反対の立場から討論を行います。
最初に、第140号議案平成27年度一般会計補正予算(第4号)についてです。
一般会計補正予算案には、環境調査センター・衛生研究所のPFI手法による整備で、整備等事業契約 債務負担行為 67億1000万円が計上されています。
PFI事業に関しては、さまざまな問題点や、疑問点があります。
一つは、建設についてです。建設段階から民間業者にゆだねているため、安全性について、県として厳格なチェック体制が必要です。PFI事業で、建設を民間に任せることについて、安全性の保障はあるのでしょうか。建設に、手抜きや、偽装などの問題が起こったときに、「想定していなかった」では済まされないことです。
建築基準法が守られずに、偽装が見抜けない中で、安全性が保障されるのかが大変疑問に思います。災害によって耐震性に問題があり、建物が壊れた場合、また建築に不備があり、事故が起こった場合の県としてのチェックの甘さや責任は大変重大です。
二つ目はコストの面についてです。コスト削減といいながらも、結局は「想定していない」ことが起こり、コストが上がってしまうことが懸念されます。コストを削減により、質が確保できなくなる可能性もあるとかんがえます。
私は、このように指摘をして、振興環境委員会で質問しまた。県当局は、「公共工事と同じようにやるから大丈夫です。」「何か起こった時には事業者の責任です。」と答弁しました。
これは、具体的な安全性の根拠を示さず、県の責任は投げ捨て、責任を事業者におしつけるものです。
環境調査センター・衛生研究所は昭和47年に現在の北区にたてられました。そのとき以来、維持管理はしてきたものの建て替えは一度も行われていません。老朽化しているのに、長い間放置されていたことにも問題があるのではないでしょうか。建て替えについては、必要だと思いますが、ただ、建て替える目的を果たすことと、コスト削減ということだけに飛びつくとこに大きな問題があります。先ほども指摘したように、国民の生命、財産を守る諸制度の規制緩和が進み、耐震強度偽装などのように、質よりもコスト中心の運営が進められることになりかねません。県民にとって大切な施設であるからこそ何よりも安全が最優先されるべきです。
以上、述べてきたように不安や懸念材料があることから、第140号議案平成27年度一般会計補正予算のうち、環境調査センター・衛生研究所のPFI手法による整備については賛同できません。
二つ目は、第141号議案 行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律に基づく個人番号の利用に関する条例の制定についてです。
この条例制定は社会保障・税番号制度、いわゆるマイナンバー法の施行に伴い、新たにマイナンバーを含む個人情報に関する規定を整備するものです。
マイナンバー制度が施行されて、10月末から個人番号通知カードの発送が開始されています。配達間違いや住民が希望してないのに自治体がマイナンバーを住民票に記載したりするなど、厳重管理が必要な個人のプライバシーを扱う仕組みなのに、始動したとたんにトラブル続きでは国民の不安は募るばかりです。
マイナンバー制度は、国民の各種個人情報を個人番号によって結び付けて、活用する制度で、利便性が協調されています。ですが、ひとたび流出したり、悪用されたりすれば、甚大なプライバシー侵害やなりすましなどの犯罪の危険性を飛躍的に高めることになります。
また、中小零細業者はマインバー制度のもとで、従業員を雇用する事業者は、税務署に提出する法廷調書に個人番号を記載することが求められます。個人番号の管理のためのコストが大きな負担となります。
さらに、制度への対応がまだ完了していない企業が多く、帝国データバンク名古屋支店の調査によりますと、愛知県内の企業で対応完了は1割未満となっています。コスト面、作業面、で中小零細業者へ、重い負担が強いられるものです。
そして今回、個人番号を利用することができる事務であげられている、法律に基づく「特別障害者等に障害の種類及び程度に応じて県が上乗せして支給する手当」と「特別支援学校に就学する児童の保護者等に対して法律による特別支援教育就学奨励費に県が上乗せして支払う経費に関する事務」は、弱い立場の人に対して行われるもので、弱いものいじめというべきものです。
県がこのような弱いものいじめとなる制度を推進することは、県民の暮らしを守るという、本来の県の役割からするとそれに反しているものです。
私は、振興環境委員会の中で、県当局に質問をしました。県は、「企業につきましては、負担や余裕のない企業もありますが、大規模なシステム管理を導入する必要はございません。それぞれの企業の規模に見合った対策をしていただければよいと考えます。」という答弁で、県民の不安や、企業への負担を理解して寄り添うものではありませんでした。
私は、最後に「条例を制定して、マイナンバーを使用するのではなく、国に対して実施中止を求めるべきです。」と質問をしました。ですが、県当局は「公平公正性の実現となるものです。」という推進の立場での答弁でした。
マイナンバー制度で、国家による多岐にわたる個人情報の集積を許してよいのかという問題があります。憲法13条で保障された人権を侵害していいはずがありません。憲法に違反する国家による情報集積を、社会保障という憲法で保障された国民の権利を切り捨てる方向で活用するなど断じて許せません。
国民の不安を取り除く最良の方法は、国が実施中止を宣言することです。そして、愛知県においても、この条例案を成立させないことで、情報連携を許さず、マイナンバー制度を実質的に機能させないことが求められます。
以上の理由で、第141号議案 行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する条例の制定については反対です。
三つ目は、第159号議案風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例等の一部改正についてです。
これは、国会で可決された、風営法改正に準ずるものであり、新たに「特定遊興飲食店営業」を設け、ダンスを含む広範な行為を対象として許可制とすることで、警察のダンスなどへの規制強化や、権力の乱用を招くおそれがあるものです。
ダンスを含めた遊興という枠のなかで、さらに広く規制しようとする問題があります。
他の都道府県の警察が風営法のダンス規定を根拠に無許可営業として摘発したダンスクラブの裁判で、裁判所は、地裁、高裁と二度にわたり、警察の恣意的な解釈を断罪し、無罪を言い渡しました。
この裁判の中で、警察が風営法の規定をいかに乱用するか、その姿がはっきりと示されました。
警察の権力乱用となったダンス規定が、今回の改正でその一部が削除されたことは、世論と運動による結果です。ところが、警察は、特定遊興飲食店業として、新たに遊興を対象とする許可、規制権限を考えだしてきました。
遊興は、ダンスを含むだけでなく、さらに広範かつ曖昧な概念です。深夜には、ライブハウスやカラオケ、さまざまな事業やイベントが行われていますが、それを風俗営業並みの規制の対象とする根拠も明らかではありません。そして、そのどれが特定遊興として新たな規制の対象になるのかは警察の判断に委ねられています。
ダンスそれ自体が、風俗環境を乱すとは到底考えられません。今日においては、多くのクラブファンや音楽ファン、ダンス愛好家が存在し、クラブ営業やダンススクールなど、さまざまな可能性を秘めています。ダンス規制は時代遅れです。
以上、述べてきた理由から、警察による恣意的かつ広範な介入や権力のらんようのおそれのある、第159号議案風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例等の一部改正について、反対です。
四つ目は、第168号議案訴えの提起についてです。
これは、「愛知県高等学校等奨学金」の長期に渡り返済が滞っている方へ、返還請求訴訟の提起について議会の承認を求めるものです。
今年の7月末現在で、滞納期間が6年以上の方に、配達証明郵便による通知をしたが、奨学金受給者、連帯保証人のいずれも返還の意思が示されなかったということで、債権の回収と消滅時効の中断を図るため、民事訴訟を提起しようというものです。
この、議案は6月の議会でも、提出されて、その際に日本共産党県議団は反対をしました。そして、また今回も前回から何の改善もなく、同じ内容で訴えの提起として議案にあげられてきました。
今日では、格差や貧困の増大、非正規雇用の増大など若者たちの経済状況は深刻であり、県は、これから次の世代を担っていく若者に対して丁寧で慎重な対応が必要だと考えます。
滞納者に対して訴えの提起を行うことは、返済に苦しんでいる人にますます大きな不安を与えてしまうことになります。
高校生の中には、「進学したいけど、奨学金を借りるのも不安なので、進学をあきらめます。」という事例も増えているようです。これでは、いったいなんのための奨学金かわかりません。奨学金は本来、高校生の学びを支えるものです。
憲法26条は、「教育の機会均等」を保障しています。2015年から、国が国庫補助金をゼロにしたことは、この憲法26条とは逆行するものです。
「愛知県高等学校等奨学金」制度を教育の機会均等を保障するにふさわしい制度となるように、制度の改善をはかり、国に対して国庫補助金復活を求めるべきではないでしょうか。また、誰もが、安心して高校へ通えるために、奨学金給付制度や返済支援制度の創設が求められています。
憲法が定める、教育の機会均等への責任をしっかりと果たすべきということを強く申し上げ、以上の理由から、第168号議案訴えの提起についてはんたいです。
最後に、第184号議案愛知県森林公園の公園施設の指定管理者の指定について、第218号議案愛知県青年の家の指定管理者の指定について、第219号議案愛知県美浜少年自然の家の指定管理者の指定について、第222号議案愛知県武道館の指定管理者の指定についてです。
指定管理者の指定について、議案4件まとめて、反対の意見を述べていきます。これらの議案は、管理費の削減や、人員削減また、サービスの低下が懸念されるものです。
指定管理者制度が2003年9月に導入(施行)されて10年近くが経過しましたが、施設職員の雇用、賃金・労働条件の改悪に加えて、この制度そのものが「公の施設」の公的責任による公平性、安全衛生の確保やプライバシーの保護を営利、コスト削減や効率優先の業務遂行によって、生命、身体や人権が危険にさらされるという懸念もあります。
県として、不公正運営にあたっては、機敏なる実地調査や必要な指示を行うことが求められます。
保育・福祉・医療・教育など、はたらき手の質が重要な分野の施設については、指定管理者制度を導入すべきではありません。
また導入がやむを得ない場合でも、地方自治体の権限を活用して、地域に経済効果がおよぶよう区域内の事業者を指定したり、管理者の情報公開などを通じ実際のはたらき手の雇用の安定や労働条件の確保をはかるなどの工夫が必要です。しかし、先ほどあげた4議案の指定管理では、費用カットや、人員削減が行われており、工夫がなされていません。
よって以上の理由により、第184号議案愛知県森林公園の公園施設の指定管理者の指定について及び、第218号議案愛知県青年の家の指定管理者の指定について、第219号議案愛知県美浜少年自然の家の指定管理者の指定について、第222号議案愛知県武道館の指定管理者の指定について、反対です。
以上、県民の願いとは逆行する補正予算案と今述べてきた議案7件には反対であることを表明して、日本共産党を代表しての討論とさせていただきます。