議会報告

一般質問 産業廃棄物とリサイクル  [2015年10月2日]

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〔未定稿   文責:日本共産党愛知県議会議員団事務局〕

 

【下奥奈歩 委員】

産業廃棄物問題について質問させていただきます。環境行政にとって産業廃棄物とリサイクルの問題は重要な問題です。

新城市では、産業廃棄物処理業者であるタナカ興業の進出について、住民から多くの反対の声が上がっています。新城市の黒田区、一鍬田区、富岡区の各区長からは、6月に県へ要望書が提出されています。一鍬田区は区として反対の決議を上げています。日本共産党の浅尾洋平市議も今日傍聴に来ておりますが、新城市の9月議会で反対の立場でこの問題を取り上げています。新城市長は「賛同しかねる」という立場にいます。「反対」とは言わないものの、「賛同する」とは言っていません。そこで伺います。

新城市の区長からの要望書に対し、どのように受け止めていますか。また、市民の方から産廃への反対の声が多く上がっているという認識はありますか。

 

【資源循環推進課主幹】

 区長から提出された要望書については、参考にできるところは、参考にさせていただいている。また、市民から反対の声が上がっているという認識はある。

 

 

【下奥奈歩 委員】

参考にするということや、反対の声が多く上がっているという認識があるという答弁をいただきました。ぜひ、要望書に書いてあることをしっかり読んでいただき、参考にして産廃問題と市民の声に向き合っていただきたいと思います。

次の質問に移ります。

豊橋市で操業している企業であるタナカ興業が、新城市で産業廃棄物の下水道汚泥、食品残渣等を混ぜ発酵させ堆肥化する中間処理施設を新城南部企業団地の土地を買い取って建設し、操業の許可を県に求めています。

この企業は「緑みどり」と呼ばれる肥料の製造を目的とした施設と述べていますが、この企業が製造している肥料について、隣の県の静岡県では、湖西市の農家の方から「肥料というけれどもゴミが混ざっていて、作物も育たない。」という訴えを受けて、静岡県は、2004年に調査の上、肥料になり得ない木くずや発酵していない汚泥が入れられていて、肥料ではなく産業廃棄物だと結論付けて撤去させております。この肥料が田原市の仮置場や耕作放棄地にうずたかく山積みにされ、付近の住民から、悪臭、異臭が出ていることに批判が寄せられています。日本共産党の島津衆議院議員が、この問題で新城市に2月に調査に入った際、田原市役所の担当課の課長は「農水省が肥料であると認定していて、県も問題ないと言っているので困っている。」と述べていました。そこでお伺いします。

環境省は2013年に「行政処分の指針について」という通知を各県や政令市に出し、産業廃棄物該当性の判断、つまり、その製品が廃棄物かどうかの事実認定の基準を示していますが、どのようになっておりましでしょうか。そして、この通知に基づいて、県は、「緑みどり」についてどのような判断をされているのかお示しください。

 

【資源循環推進課 廃棄物監視指導室長】

タナカ興業が田原市内に搬入している「緑みどり」の件については、環境省の行政処分の指針という通知があり、その中で、廃棄物該当性については、「物の性状」、「排出の状況」、「通常の取扱形態」、「取引価値の有無」及び「占有者の意思」という5つの判断要素を総合的に勘案して判断するということを技術的助言として示しているので、その指針に基づいて現在調査をしているところである。

 

 

【下奥奈歩 委員】

 行政処分の指針に基づいて調査をしているということでありますが、「緑みどり」について、調査をしているのではなく、どんな判断をされているのかということを聞いています。

どんな判断をしているのかは、答えられないということでしょうか。

 

【資源循環推進課 廃棄物監視指導室長】

 「緑みどり」については、肥料取締法上は農林水産省の登録を受けた普通肥料であると農林水産省にも確認しているが、廃棄物処理法の観点から廃棄物該当性について現在調査をしているところである。

 

 

【下奥奈歩 委員】

 行政処分の指針の中で、「利用用途に要求される品質を満足し、かつ飛散、流出、悪臭の発生等の生活環境の保全上の支障が発生するおそれのないものであること。」が必要とされています。それにもかかわらず、悪臭は付近の住民に被害を及ぼしています。この原因の一つに、堆肥が未完熟という問題があると考えられます。

 農林水産省に提出された「緑みどり」の「肥料登録申請書」の生産工程の概要によると、樹木のチップなどを50%、下水汚泥を45%、動植物性残渣5%を混合・調整し、半月間、堆積・発酵させた上で、半年から1年熟成し、製品化していくこととなっています。

 市民団体のみなさんの指摘によると、原料の混合割合にも登録との違いが予想されるとしていますが、少なくとも熟成期間については、豊橋市工場の廃棄物処分業の許可申請書の施設の概要によると、熟成期間は60日間となっており、さらに新城市の工場については、新城市議会でタナカ興業の社長は、「熟成期間は40日間である。」と発言している。

 まさに「看板に偽りあり」ではありませんか。この問題について県はどう考え、どう対応しようとしているのかお示しください。

 

【資源循環推進課主幹】

法令等に基づき、申請者が設置する施設の構造が取り扱う廃棄物の種類に応じた適正な処理を行うことができるものであるかどうかなどについて、厳正かつ慎重に審査を進めているところである。

 

 

【下奥奈歩 委員】

 この肥料を搬入した田原市の農地で、昨年10月に市民団体が調査したところ、環境基準の5倍強にあたる砒素が検出されました。その後、県がこの農地の6地点で土壌を採取し調査したところ、いずれも土壌環境基準以下であったと報告されました。

 しかし、市民団体は、11月に改めて農地から6か所の土壌と、前回砒素が検出されたところを再検査し、土壌環境基準の1.8倍から5.2倍の砒素を検出しています。

しかも、今年3月3日に田原市環境課がこの「肥料」を投入している別の農地付近の水路と農地からの排出水を検査したところ、1リットル中から0.02ミリグラムの砒素が検出されました。

田原市農政課は、耕作者にこの肥料を投入しないよう要請しています。

市民団体と県どちらが本当かということではなく、どちらのデータもあるということが重要です。県はこの市民団体の出した調査結果についてどう認識をされていますか。

 

【水地盤環境課主幹】

県としては、県の行った環境庁告示46号に定める分析の結果、ヒ素、六価クロム、水銀、鉛の4物質すべてが土壌環境基準を満足していたため、土壌汚染はないと判断している。

 

 

【下奥奈歩 委員】

県は、住民団体が出した結果についてどう考えますか。

 

【水地盤環境課主幹】

土壌汚染があったか、なかったかの判断は、どういったものを採取し、サンプリング方法は適正であったか、さらには分析方法もしっかり確認した上で判断すべきと考えている。市民団体の行った調査では、何を、どこで、どのように採取し、どういう分析方法で行ったのかが確認できていないため、行政検査の結果を優先的に考えている。

 

 

【下奥奈歩 委員】

ご存知だと思いますが、ヒ素というのは人体にとって非常に有害で、発がん性もあります。食べ物を、ヒ素が出た農地で生産し、人の口に入ることは絶対に避けなければなりません。これは、あいまいにできない問題です。

市民団体は昨年12月、環境部長に対し、市民団体の立会いのもと、再調査を要請しています。

今年3月の日本共産党の島津議員の質問に対し、政府は、「愛知県に確認したところ、市民の会からまだ愛知県に対しそのような要請はされていないという事実関係と承知しています。」との答弁をしています。誰がどのように答えているのですか。市民団体からの要請をどう受け止めているのか、考えをお示しください。

 

【水地盤環境課主幹】

市民の会から12月1日付けであった要望の中に、土壌汚染の再調査に関するものがあったことは認識している。

しかし、県が行った調査結果で土壌汚染がないことを確認しているので、それについては特に対応していない。

 

 

【下奥奈歩 委員】

ヒ素が出たことで不安に思っている市民団体が、立会いのもと、再調査をしたいと願っている。要望があったことを認識しているのなら、向き合った回答をきちんとすべきだと思います。

このヒ素の問題については、田原市の日本共産党 河邉正男市議から話を聞いています。

田原市内の農家では自分たちの農地がヒ素で汚染されているのではないか、また、このままでは風評被害になると不安の声がありました。農協や住民が協力し、農家への聞き取り調査を行うなどして回避することができたと話していました。

農家にとって、これはとても危機的な事態になったと話していました。このことに対し、県はどんな認識を持っていますか。

 

【水地盤環境課主幹】

土壌汚染については、法制度上、調査主体は、基本的には、措置を講ずべき土地の所有者や有害物質を排出する事業者にあるので、まず、そういった人から調査結果の報告を受けて、県が対応するかどうかを判断し、必要な対応をするというように考えている。

 

 

【下奥奈歩 委員】

こういう危機的な事態であったということも、本当に農家の方にとって切実な問題だということを一言申し上げて、次の質問に移ります。

環境省の通知の中で、「占有者と取引の相手方の間で有償譲渡がされており、なおかつ、客観的に見て当該取引に経済的合理性があること。法の規制を免れるために、恣意的に有償譲渡を装う場合等も見られることから、当事者間の有償譲渡契約等の存在をもって直ちに有価物と判断することなく、「物の性状」、「排出の状況」、「通常の取扱い形態」、「取引価値の有無」、「占有者の意思」までの各種判断要素の基準により総合的に判断されたい。」としています。

田原市でこの肥料を搬入している農業者からの聞き取りによりますと、工場がある豊橋市から田原市への運搬もすき込みも農家でなく、業者が自社のダンプや重機で、無償でやってくれるとのことでした。

法律に基づく必要な調査・検討が、環境省の示した基準によりなされていると考えますが、どのような調査が行われ、どのような結果が出ているのかお示しください。

 

【資源循環推進課 廃棄物監視指導室長】

先ほど説明した5つの判断要素の中で、「取引価値の有無」の考え方についてご指摘いただいたが、5つの判断要素については、必ずすべてがなければいけないというわけではなく、総合的に勘案して判断するものであるとの環境省からの助言を受けているので、それを踏まえて調査を行っているところである。

 

 

【下奥奈歩 委員】

 産業廃棄物問題について、明確な市民に寄り添ったような回答が全くなされませんでした。最後に意見を申し上げます。

私は、9月6日に新城市で開催された産廃問題市民フォーラムに、新城市の浅尾洋平市議とともに参加しました。産業廃棄物に反対しているママの会からも、砒素の問題、臭いの問題について不安の声を聞きました。ママの会を始め、住民の生活と子供たちのことを心配していました。生活環境を壊すことは、これらの子供たちの将来へ重大な影響を与えることになると考えます。愛知県は、環境先進県として環境首都あいちを目指しています。愛知の豊かな自然環境とともに、住民の生活環境を守るのは県の重要な責務であります。

 環境を現在の状況より悪化させないという現状非悪化の原則、環境に重大な影響を及ぼす可能性があるものについては、厳密な検証がなされていない段階でも規制するという予防原則は、愛知県が率先して行うべき環境行政であると考えます。

産業廃棄物問題では、本日取り上げた田原市や新城市の問題を始め、犬山市や瀬戸市から生活環境破壊の問題などの訴えが、日本共産党県議団に届けられています。廃棄物の処理及び清掃に関する法律や廃棄物の適正な処理の促進に関する条例の厳正な実施とともに、現状非悪化の原則、予防の原則に立って、住民の合意と関係市町村の連携を何よりも尊重し、住民の懸念のある施設については、その操業を認めないという立場で県が臨むことを強く求め、質問を終わります。

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