県政の窓

《寄稿》介護保険20年

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介護の充実を求める会 愛知連絡会代表世話人
中村 亘 氏

2000年4月に介護保険制度が始まって20年を迎えようとしています。当初から「保険あって介護なし」と言われ続けたように、保険料の値上げが続く一方で、介護サービスは抑制・削減が続いてきました。いくつかの大きなポイントに絞って20年を振り返ります。



【保険料引き上げ】
 介護保険料は3年ごとに改定されますが、65歳以上の第1号被保険者の保険料は制度設立当初、介護給付費(利用料の1割の自己負担分は除く)の17%だったものが、3年ごとに1%ずつ上がり、第7期介護保険事業計画(2018年―20年度)では23%になっています。
 その一方で国庫負担の割合は25%(そのうち5%分は調整交付金)のままとなっています。21年度から1号被保険者の保険料負担は自動的に24%に引き上げられることになります。
 調整交付金制度を廃止し、さしあたり国庫負担の割合を30%に引き上げさせることが緊急の課題です。
【食事居住費自己負担化】
 2005年の介護保険法改定で、地域包括支援センターの設置(人口2―3万人に1カ所設置が目標)や、福祉用具貸与の制限(要介護1以下の軽度要介護者は介護保険を利用して介護ベッドを借りることはできなくなる)が実施に移されただけではなく、何よりも特別養護老人ホームなどの施設入所者の食費・居住費を保険給付から外し、全額自己負担化(低所得者に対する補足給付は残された)されたことで、介護サービス利用者の負担が急増しました。
 最低限、低所得者に対する補足給付は改悪せずに続けるべきです。
【要介護度切り下げ】
2009年の介護保険法改定で、要介護認定制度が改悪されました。要介護認定のコンピューターによる1次判定のための認定調査員による訪問調査は、制度設立当初は調査項目が85項目であったものが72項目に縮小されました。
 その一方で、医師などの専門家による2次判定は形式的になり、結果としてコンピューターによる1次判定重視で要介護度の切り下げが進みました。
 特に、要介護1、2から要支援への切り下げが大きく影響し、この10年近くの間で要支援該当者は150万人から200万人へと急増しました。
 現行の要介護認定制度(年間総費用約600億円)は廃止すべきです。
【市町村の総合事業】
 2014年の介護保険法改定では、①単身世帯の場合、年間所得160万円(年金収入280万円)以上の者の利用者負担2割への引き上げ②特別養護老人ホームへの入所は原則要介護3以上に制限③要支援該当者は全国一律の介護給付から外され、市町村が主催する介護予防・日常生活支援総合事業(新しい総合事業)に移されることになりました。
 いま全国各地で、介護報酬が従前の70―80%に切り下げられたため、営業が成り立たないとして、サービス事業者の撤退が相次いでいます。介護サービス利用者は介護サービス打ち切りで、要介護度が重度化した事例も多数生まれています。
 実態を検証し、制度の抜本的見直しをすることが必要です。
 現在、県内各自治体では、第8期介護保険事業計画(21年度―23年度)の案づくりが進められています。
 厚生労働省は8月29日、来年の通常国会での介護保険法改定に向けて、社会保障審議会介護保険部会に8項目の「給付と負担の見直し」を提示し、具体的検討が始まりました。その8項目は、現在40歳以上からの2号被保険者の年齢引き下げや、ケアプランの作成費用の自己負担化など、いずれをとっても大きな問題点があります。なかでも最も重大な改悪の項目は「要介護1・2の生活援助サービスの総合事業への移行」です。
【要介護1・2保険外し】
 現在、名古屋市の65歳以上の高齢者は約60万人。そのうち介護保険サービスを受けているのは10万8000人です。また愛知県では65歳以上の高齢者は約185万人、介護保険サービスを受けているのは約28万人です。
 全国ではおよそ630万人が介護保険サービスを受けていますが、すでに要支援1、2の該当者約200万人は市町村の「新しい総合事業」に移されています。
 今回の厚生労働省の提案は、要介護1・2該当者約230万人、要介護3―5該当者約200万人、合計430万人の32・4%に相当する訪問介護やデイサービス利用者約140万人を新しい総合事業に移行させようとするものです。
 もしこれが実施されると、事実上身体介護が必要な介護サービス利用者以外は保険給付の対象としないという、制度始まって以来の大改悪になります。絶対容認できません。

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