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[2017年12月11日]健康福祉委員会 障害者就労継続支援A型事業所について わしの議員

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〔未定稿 文責:日本共産党愛知県議会議員団〕

 

【わしの議員】

 

 私は先の9月議会で、障害者就労支援A型事業所の障がい者支援機構が経営に行き詰まり、北区と清須市の2か所を閉鎖、利用者を解雇し、69名が行き場を失った問題について質問をしましたが、この問題は愛知や名古屋だけでなく、全国的にも大きな問題となっていることが、新聞報道等で明らかになっています。

 名古屋市北区に本社を置く、「株式会社障がい者支援機構」が運営する就労継続支援A型事業所で雇用された障害者156人と職員27人の合計183人で、名古屋市、清須市、さいたま市、船橋市、大阪市などに事業展開しています。そのうち、清須市と名古屋市で雇用された障害者は69人、職員は12人の合計81人ということです。

 そこで質問です。

 9月議会で当委員会では、県は「法人の代表者から経営不振により運営する全事業所を廃止したいと連絡を受け、法人に対して、利用者説明会を開き、今後の意向確認と移行先の確保、未払賃金の支払いを指示した。そして合同説明会が開かれ、利用者14名への個別面談、今後の意向の確認をし、愛知労働局と連携、利用者の受け入れ先として、支援をお願いするA型事業所を対象とした説明会を実施。その結果、移行先が未定という方は7名となり、それぞれ相談支援を担当する支援事業所が決まっている」という答弁でした。しかし、その後どのような状況になったのか伺いたいと思います。

 3点まとめて伺いたいと思います。

 一つ、6月から8月まで3か月分の給料は支払われたのか伺います。

 二つ、移行先が未定の方は7名ということでしたが、その後移行先はみつかったのでしょうか。

 三つ、8月1日に代表取締役菊谷氏は「皆さんの行き先を見届けてから事業所の廃止となります。」と発言していたそうですが、県が、「株式会社障がい者支援機構」が運営するA型事業所の廃止届を受理したのはいつでしょうか。

 

【障害福祉課主幹(地域生活支援)】

 

 まず、一つ目でございます。賃金の支払いでございます。

 障がい者支援機構のように、企業倒産により賃金が支払われないまま解雇された労働者に対しては、労働基準監督署の関与の上、独立行政法人労働者健康安全機構において実施されている「未払賃金立替払制度」を利用し、未払賃金の8割が支払われることになります。

 現在は、労働基準監督署の指導のもと、出勤簿等を精査の上、勤務実態を確認するなどの未払賃金額の確定作業を行っているところでありまして、支払いはまだ行われておりませんが、額が確定した後、各利用者や職員からの申請を、障がい者支援機構の破産申立弁護士がとりまとめて提出し、未払賃金が支払われる予定でございます。

 二つ目の移行先のご質問でございます。

 9月議会以降、新たに3名の方の移行先が決まりまして、現在、移行先が未定の方は4名でございます。 移行先が決まっていない方は、体調が悪く入院中である方であるとか失業手当の給付を受けてから移行先を考えたいとしている方などでありますが、引き続き移行先の未定の方を担当している各相談支援事業所と連携をとりまして、移行先確保の支援をしてまいりたいと考えております。

 三つ目のご質問でございます。廃止届の受理でございます。

 10月17日に代表取締役と面談を行いまして、解雇した利用者の現在の状況の確認を行いました。その結果、就職を求めている方については、移行先が確保されていることを確認し、移行先が未定の方については、体調不良により入院されているとか、失業手当を受給してから今後のことを考えたいという方でございまして、すぐに就職する意向のない方でございましたが、こうした方につきましても、今後、責任のある支援を行うことについて確認できましたため、10月17日付けで、廃止届を受理しました。

 

【わしの議員】

 

 今答弁を聞きまして、改めて深刻な状況が分かりました。

 経営のずさんさによって、給料が未払になっているだけでなく、体調を崩して入院中の方ですとか、4人の方が次の職場が決まっていませんよね。このように解雇された方々は、経済的不安と再就職先が見つかるのか不安を抱えていると思います。実際、解雇された方たちは、「楽しく通っていたのに、突然職場がなくなってショックを受けた。どこに相談していいか分からない」、「仕事がなくなり、家に引きこもり。周りが説得しても再就職に足が踏み出せない」など、大変苦しい思いをされたと伺います。中には、体調が悪いという方もいましたけど、保健師さんの派遣とか、ドクターによる対応も必要な方もあると伺っております。そして、事業所で職員をしている方々も、「お金儲けのために仲間が利用されたと感じる。とてもつらい。」と心を痛めています。県として最後まで責任をもって対応をしていただきたい。

 そこで、今後の問題についてお聞きしたいと思います。

 解雇された障害者の気持ちに寄り添いながら、相談を受けることができる緊急の窓口が必要だと思いますが、県は相談窓口を設置する考えはあるのか伺います。

 

【障害福祉課主幹(地域生活支援)】

 解雇された方に対しましては、一人一人を担当しております相談支援事業所が、相談支援を行っておりますが、それぞれの相談支援事業所では解決できない課題が生じた折には、圏域ごとに県が配置しております地域アドバイザーなどと連携した支援を行ってまいりたいと考えております。

 行き先が決まらない方の行き先が決まるまでは、相談支援事業所と一緒にしっかりと支援をしてまいりたいと考えております。

 緊急の窓口につきましては、身近なところで一人一人の相談を親身になって受けていただく市町村の相談支援事業所の方で一時的には対応していただき、そこで対応できない場合、先ほど申し上げました県が設置しております地域アドバイザーを活用して、対応させていただきたいと考えております。

 

【わしの議員】

 答弁を伺いましたけれども、県は直接相談支援事業所をもっていない、市町村の相談事業で身近なところで解決をしていくんだと、そして解決ができないときは、地域アドバイザーなどと連携して支援を行う、また、行き先の決まらない方が、行き先が決まるまで支援をしていく、そういうことも言われたと思いますけど、私は本当に働く意欲のある障害者に対して、再就職先が決まるまで、就労支援を行うことが重要だと思います。県は再就職をハローワークや相談支援事業所と連携しながら、決して相手任せではなく、最後の一人まできちんと見届けていただくよう、強く要望したいと思います。

 それにしても、なぜこのようなことが起こったのか、今後起こらないようにするためにはどうすればよいのか、県の認識をお聞かせください。

 

【障害福祉課主幹(地域生活支援)】

 

 本件につきましては、事業の拡大に伴います人件費や賃借料等の増加、他県の事業所において予定していた利用者数を確保できなかったことなどによりまして、借入金の返済が滞り、資金繰りに窮したことが原因であると考えております。

 県では、事業所の指定審査の際に、収支予算書を提出させ収支見込みの確認をしているところですが、その後の状況確認が不十分であったことから、今後は定期的な実績報告を求めていくことを検討してまいります。

 また、事業所の実地指導におきましては、生産活動が最低賃金を支払うことになっているかなど工賃に関する収支について重点的に確認してまいります。

 

【わしの議員】

 

 県の事業所に対する指導といいますか、状況把握が不十分であった、そういう答弁であったと思いますが、私は、国からお金がくるといったって、これは大切な皆さんの税金ですし、きちんと事業所が経営的に成り立っているのか、県は把握をすべきだと思うんですね。今後きちんと把握すると言うことですけど、A型事業所の背景に何があるのかと。私は思うのですが、障害者自立支援法の施行で規制緩和がされて、福祉をお金儲けにする営利企業も障害関連事業を実施できるようにしたことが、今回の問題の発端だと考えます。実際、2010年には707だったA型事業所が2015年には3018に急増しています。営利法人の割合も24.6%から53.5%に増加しています。愛知県は全国で3番目に事業所数が多く、2017年4月1日現在で242ということです。A型事業所が雇用契約した障害者、利用者の人数に応じて、国は事業者に給付金を出します。事業者はこれを家賃や職員の人件費などに充て、雇用する障害者には、事業収益から最低賃金以上を支給しなければなりません。

 しかし、実態は給付金や助成金を目当てに事業を営む企業も増えていると聞きます。A型事業所の中には、事業で収益を出す努力をせず、給付金頼みのところもあったのではないかと考えざるを得ません。

 そこで質問ですが、現在の愛知県下のA型事業所の総数及び営利法人による運営主体の数について教えてください。

 また、こうした実態を受け厚生労働省は、給付金を障害者の賃金に充ててはいけないという趣旨の通知を出しました。今後、営利企業の場合、事業利益が得られなければ撤退、廃止の可能性も出てくるのではと危惧しますが、指定権者でもある県は、どのような見解をお持ちか伺います。

 

【障害福祉課主幹(地域生活支援)】

 

 一つ目の運営主体の件でございます。

 愛知県のA型事業所の総数は、平成29年12月1日現在で245か所です。そのうち営利法人が運営主体であるものは、205事業所であり、全体の83.6%となっています。

 二つ目の県の見解でございます。

 A型事業所は、働きたくても一般就労に就くことが困難な障害のある方が、一定の支援の下、多様な働き方を実現できる場所でございまして、大変重要な事業形態でございます。

 しかしながら、県で行った事業所の実態調査によりますと、8割を超える事業所が給付費を利用者の賃金に充ててはいけないという基準を満たしていない状況でございまして、このような事業所に対しては、国の通知に基づき、経営改善計画書の作成、提出を求め、収益の改善を図るよう指導してまいりたいと考えております。

 

【わしの議員】

 

 愛知県の中で、事業所の83.6%が営利企業が運営主体であるとお聞きしましたけど、私は、今回の事件を受けて、問題の本質とか原因を明らかにして再発防止を図らなければならないと思います。県は実績報告書をこれから出させるとか、経営改善報告書をこれから出させるということだったですけど、聞いていて今までノーチェックだったのかと思いました。それが問題だと思います。

 一方で、株式会社障がい者支援機構の元取締役は、3月22日に辞任をし、その年、今年でありますが、11月1日にその元取締役が代表を務める株式会社が名古屋市西区でA型事業所を開始しています。そして解雇された障害を持つ人たちが次に行き先が決まっていない、給料が未払で困っているのに、元取締役が新たなA型事業所を始めることに疑問を感じます。現在厚生労働省は、A型事業所の実態について調査を行っており、答弁にもあったとおり、各地で70%から80%の事業所が賃金補填を行っている状況が明らかになりつつあります。

 障害者の働く権利を保証するためには、国や県が率先して、この問題の解決に取り組むべきだと思います。

 私は、今回の事件を受けて、問題の本質、原因を明らかにして、再発防止策を図ることが必要だと思います。社会福祉事業への福祉を金儲けにする営利企業の参入のあり方を見直し、障害のある人たちが働く場、日中活動の場における制度設計の抜本的解決の検討を行うべきだと意見を申し上げてこの質問を終わります。

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